Objective-Cで例外処理を理解しよう!初心者のための10選の方法

Objective-Cの例外処理を学ぶ初心者のイラスト Objctive-C
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この記事では、プログラムの基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

基本的な知識があればサンプルコードを活用して機能追加、目的を達成できるように作ってあります。

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はじめに

Objective-Cとは、AppleのiOSやmacOSなどのオペレーティングシステムで使用されるプログラミング言語の一つです。

C言語にオブジェクト指向の機能を追加したものであり、多くの開発者によって利用されています。

Objective-Cの例外処理は、他の言語の例外処理と多少の違いがあるため、しっかりと理解しておくことが重要です。

例外とは、プログラム実行中に予期しないエラーが発生したときに、そのエラーを検出し、適切に処理するための仕組みのことを指します。

例外が発生すると、通常のプログラムの実行フローが中断され、例外処理のコードが実行されるようになります。

Objective-Cでは、@try@catch@finallyといったキーワードを使用して、例外処理を行います。

●Objective-Cの例外処理とは

例外処理は、プログラムが意図しない動作やエラーに直面したとき、その事態を検出し、適切に対応するための仕組みです。

例えば、ファイルが見つからなかった、メモリが不足している、ネットワークが接続できないなど、多くの理由で例外が発生する可能性があります。

Objective-Cの例外処理は、大きく分けて2つの部分から成り立っています。

  1. 何らかの理由で例外が発生すると、NSExceptionクラスのインスタンスが作成され、それがスローされます。このときには@throwキーワードを使用します。
  2. スローされた例外は、@catchブロックで捕捉されます。このブロック内で、エラーメッセージの表示やリソースの解放など、エラー発生時の適切な処理を実行することができます。

また、@finallyブロックは、例外の有無に関わらず、最後に必ず実行されるブロックです。ここで、リソースの解放や後処理を行うことが一般的です。

○例外処理の基本概念

例外処理は、主に次の3つのステップで行われます。

  1. プログラム中で何らかのエラーが発生した場合、そのエラー情報を持った例外オブジェクトが生成されます。この例外オブジェクトは、NSExceptionクラスまたはそのサブクラスのインスタンスとして生成されます。
  2. 例外オブジェクトが生成されると、それは即座に現在の関数やメソッドから上位の関数やメソッドへと伝播していきます。この伝播は、適切な例外処理コードが見つかるまで続きます。
  3. 適切な例外処理コード、すなわち@catchブロックが見つかると、そのブロック内のコードが実行され、例外が捕捉されます。このブロック内で、エラーに対する対処やリソースの解放などの処理を行います。

Objective-Cの例外処理は、他のオブジェクト指向プログラミング言語と比べても独自の特徴を持っています。

例えば、JavaやC++のように複数の例外タイプを指定して捕捉することはできません。

しかし、Objective-Cの例外処理は、シンプルで扱いやすいというメリットもあります。

●Objective-Cでの例外処理の使い方

Objective-Cでの例外処理は、実行時に予期せぬエラーが発生した際に、それを捕捉し適切に処理するための仕組みです。

例外処理を理解し適切に利用することで、エラーによるアプリケーションのクラッシュや不具合を防ぎ、ユーザーエクスペリエンスを高めることができます。

○サンプルコード1:基本的な例外の投げ方とキャッチ方法

Objective-Cでは、例外を投げるための@throw文と、それをキャッチするための@try-@catch文を使用します。

下記のコードは、例外を投げてそれをキャッチする基本的な方法を表しています。

#import <Foundation/Foundation.h>

int main(int argc, const char * argv[]) {
    @autoreleasepool {
        @try {
            // ここで例外を投げる
            [NSException raise:@"SampleException" format:@"これはサンプルの例外です"];
        }
        @catch (NSException *exception) {
            NSLog(@"例外が捕捉されました: %@, %@", exception.name, exception.reason);
        }
    }
    return 0;
}

このコードでは、[NSException raise:format:]を使って名前が”SampleException”で理由が”これはサンプルの例外です”の例外を投げています。

この例外は@try-@catch文でキャッチされ、例外の名前と理由がコンソールに出力されます。

このコードを実行すると、コンソールに「例外が捕捉されました: SampleException, これはサンプルの例外です」と表示されます。

○サンプルコード2:特定の例外をキャッチする方法

Objective-Cでは、特定の例外だけをキャッチすることもできます。

下記のサンプルコードでは、特定の例外をキャッチする方法を表しています。

#import <Foundation/Foundation.h>

int main(int argc, const char * argv[]) {
    @autoreleasepool {
        @try {
            [NSException raise:@"SpecificException" format:@"これは特定の例外です"];
        }
        @catch (NSException *exception) {
            if ([exception.name isEqualToString:@"SpecificException"]) {
                NSLog(@"特定の例外が捕捉されました: %@, %@", exception.name, exception.reason);
            } else {
                NSLog(@"未知の例外が発生しました");
            }
        }
    }
    return 0;
}

このコードを実行すると、コンソールに「特定の例外が捕捉されました: SpecificException, これは特定の例外です」と表示されます。

しかし、「SpecificException」以外の例外が発生した場合、コンソールには「未知の例外が発生しました」と表示されることとなります。

○サンプルコード3:複数の例外をキャッチする方法

複数の例外をキャッチするためには、複数の@catchブロックを使用します。

下記のコードは、複数の例外をキャッチする方法を表しています。

#import <Foundation/Foundation.h>

int main(int argc, const char * argv[]) {
    @autoreleasepool {
        @try {
            // ここで複数の例外を投げる
            [NSException raise:@"FirstException" format:@"これは最初の例外です"];
        }
        @catch (NSException *exception) {
            if ([exception.name isEqualToString:@"FirstException"]) {
                NSLog(@"最初の例外が捕捉されました: %@, %@", exception.name, exception.reason);
            } else {
                NSLog(@"未知の例外が発生しました");
            }
        }
        @catch (NSException *exception) {
            if ([exception.name isEqualToString:@"SecondException"]) {
                NSLog(@"二番目の例外が捕捉されました: %@, %@", exception.name, exception.reason);
            } else {
                NSLog(@"未知の例外が発生しました");
            }
        }
    }
    return 0;
}

このコードでは、2つの@catchブロックを使用して、それぞれ異なる例外をキャッチしています。

最初の@catchブロックでは「FirstException」をキャッチし、二番目の@catchブロックでは「SecondException」をキャッチします。

このコードを実行すると、コンソールには「最初の例外が捕捉されました: FirstException, これは最初の例外です」と表示されることとなります。

●Objective-Cの例外処理の応用例

例外処理はプログラミングにおいて重要な概念であり、Objective-Cにおいてもその重要性は変わりません。

今回はObjective-Cの例外処理の応用例に関する詳細な解説とサンプルコードをご紹介します。

○サンプルコード4:ユーザ定義例外の作成と使用方法

Objective-Cにおいて、既存の例外クラスでは要件を満たせない場合、ユーザが独自に例外クラスを定義することができます。

このコードでは、ユーザ定義例外の作成と、その例外を使用した例を表しています。

#import <Foundation/Foundation.h>

// ユーザ定義の例外クラス
@interface MyCustomException : NSException
@end

@implementation MyCustomException
@end

int main(int argc, const char * argv[]) {
    @autoreleasepool {
        @try {
            [NSException raise:@"MyCustomException" format:@"これはユーザ定義の例外です"];
        }
        @catch (MyCustomException *exception) {
            NSLog(@"ユーザ定義の例外をキャッチしました: %@", exception);
        }
    }
    return 0;
}

上記のコードでは、まずMyCustomExceptionという名前の独自の例外クラスを定義しています。

そして、main関数内でこの例外を投げ、キャッチしています。

この例を実行すると、”ユーザ定義の例外をキャッチしました”というメッセージが出力されることを確認できます。

○サンプルコード5:例外情報の詳細取得方法

例外が発生したときに、その例外に関する詳しい情報を取得することが重要です。

このコードでは、例外情報の詳細な取得方法を表しています。

この例では、例外が発生した際に、その名前や理由、コールスタックの情報を取得しています。

#import <Foundation/Foundation.h>

int main(int argc, const char * argv[]) {
    @autoreleasepool {
        @try {
            [NSException raise:@"TestException" format:@"これはテストの例外です"];
        }
        @catch (NSException *exception) {
            NSLog(@"例外名: %@", exception.name);
            NSLog(@"理由: %@", exception.reason);
            NSLog(@"コールスタック情報: %@", exception.callStackSymbols);
        }
    }
    return 0;
}

この例を実行すると、投げられた例外の名前、理由、そしてコールスタックの情報が出力されることが確認できます。

○サンプルコード6:外部ライブラリやAPIの例外をキャッチする方法

Objective-Cのプログラムで外部ライブラリやAPIを使用する際、それらが投げる例外も適切にハンドルする必要があります。

このコードでは、外部ライブラリやAPIが投げる例外をキャッチする方法を表しています。

#import <Foundation/Foundation.h>

// 外部ライブラリのシミュレーション
@interface ExternalLibrary : NSObject
+ (void)throwExceptionMethod;
@end

@implementation ExternalLibrary
+ (void)throwExceptionMethod {
    [NSException raise:@"ExternalException" format:@"これは外部ライブラリの例外です"];
}
@end

int main(int argc, const char * argv[]) {
    @autoreleasepool {
        @try {
            [ExternalLibrary throwExceptionMethod];
        }
        @catch (NSException *exception) {
            NSLog(@"外部ライブラリの例外をキャッチしました: %@", exception);
        }
    }
    return 0;
}

上記のコードでは、ExternalLibraryという外部ライブラリをシミュレートするクラスを作成し、その中で例外を投げています。

そして、その例外をキャッチする方法を表しています。

この例を実行すると、”外部ライブラリの例外をキャッチしました”というメッセージが出力されることを確認できます。

●例外処理の注意点と対処法

例外処理はプログラムの安定性を保つための重要な機能の一つです。

しかし、正しく行われない例外処理は、逆にプログラムの動作を不安定にする原因となることがあります。

ここでは、Objective-Cにおける例外処理の際の注意点と、それらの問題を解決するための対処法を解説していきます。

○サンプルコード7:try-catchのネストとその対処法

Objective-Cでは、try-catch構文を使用して例外処理を行います。

しかし、try-catchブロックを多重にネストすることで、コードの可読性が低下し、エラーハンドリングの難しさが増加することがあります。

このコードではtry-catchのネストを使って例外をハンドリングするコードを表しています。

この例では内側のtry-catchブロックでの例外発生時に、外側のcatchブロックでもその例外をキャッチする方法を表しています。

@try {
    @try {
        // 何らかの処理
    } @catch (NSException *innerException) {
        // 内側の例外処理
        @throw innerException;  // 例外を再スロー
    }
} @catch (NSException *outerException) {
    // 外側の例外処理
}

このサンプルコードを実行すると、内側のtry-catchブロックで例外が発生した場合、まず内側のcatchブロックが例外をキャッチします。

その後、外側のcatchブロックでもその例外がキャッチされます。

このように、多重のtry-catchブロックを使用することで、例外のキャッチ順序や処理の流れが複雑になる可能性があります。

対処法としては、ネストの深さを適切に保つこと、特定の例外だけをキャッチするなどの方法が考えられます。

具体的な状況や要件に応じて、最適な例外処理の方法を選択することが求められます。

○サンプルコード8:メモリリークを避けるための例外処理方法

Objective-Cにおいて、例外処理を不適切に行うことでメモリリークが発生するリスクがあります。

特にARC(Automatic Reference Counting)を使用している場合、例外が発生した際にオブジェクトの解放が正しく行われない可能性が考えられます。

このコードでは、メモリリークを避けるための例外処理方法を表しています。

この例では例外が発生した際に、適切にリソースの解放を行う方法を実装しています。

NSObject *object = [[NSObject alloc] init];
@try {
    // 何らかの処理
} @catch (NSException *exception) {
    // 例外処理
} @finally {
    object = nil;  // メモリリークを避けるためのリソース解放
}

このサンプルコードを実行すると、例外が発生した場合でも、@finallyブロックが必ず実行されます。

そのため、@finallyブロック内でリソースの解放を行うことで、メモリリークのリスクを低減することができます。

Objective-Cの例外処理には多くの注意点がありますが、適切な対処法を取り入れることで、安定したプログラムの開発を実現することができます。

●例外処理のカスタマイズ方法

例外処理は、予期しないエラーや不正な操作を検出して対応するためのものです。

Objective-Cにおいても、例外処理は重要な役割を果たします。

プログラムの安定性や信頼性を向上させるために、例外処理のカスタマイズが求められる場面は多いです。

ここでは、例外処理のカスタマイズ方法について詳しく解説します。

○サンプルコード9:例外のカスタムメッセージの追加方法

例外をキャッチした際に、標準のメッセージだけでは不十分な場面もあります。

独自の情報や詳細なメッセージを追加することで、エラーの原因や状況をより正確に把握することができます。

このコードでは、カスタムメッセージを追加する方法を表しています。

この例では、NSExceptionクラスのインスタンスを作成し、カスタムメッセージをセットしています。

@try {
    // 何らかの処理
    [NSException raise:@"MyCustomException" format:@"カスタムエラーメッセージ:%@", @"詳細情報"];
} @catch (NSException *exception) {
    NSLog(@"例外発生: %@, リーズン: %@", exception.name, exception.reason);
}

このコードを実行すると、カスタムメッセージ「カスタムエラーメッセージ:詳細情報」という文字列が出力されます。

これにより、例外の内容や発生原因を詳しく知ることができます。

○サンプルコード10:例外処理のログ取得と分析方法

プログラムが複雑になると、例外の原因や状況を追跡するのが難しくなることがあります。

このような場合、例外の情報をログに記録して分析することが役立ちます。

このコードでは、例外が発生した際の情報をログに出力する方法を表しています。

この例では、例外の名前、理由、呼び出しスタックをログに出力しています。

@try {
    // 何らかの処理
    [NSException raise:@"AnotherException" format:@"何らかのエラー"];
} @catch (NSException *exception) {
    NSLog(@"例外名: %@", exception.name);
    NSLog(@"理由: %@", exception.reason);
    NSLog(@"呼び出しスタック: %@", exception.callStackSymbols);
}

このコードを実行すると、例外名、理由、そして呼び出しスタックの情報がログに出力されます。

これにより、エラーの発生箇所や原因を追跡し、問題を解決する手がかりを得ることができます。

まとめ

例外処理はプログラムの安定性や信頼性を向上させるための重要な技術です。

Objective-Cでは、標準の例外処理機能を利用して、さまざまなエラーや不正な操作を効果的に検出し、適切に対応することができます。

特にカスタマイズ方法を駆使することで、エラーの原因や状況をより詳細に把握し、迅速かつ正確に問題を解決することが可能となります。

プログラムの品質を高めるために、例外処理の知識や技術をしっかりと身につけることが重要です。