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初心者でも分かる!Verilogでの固定小数点処理の5ステップ完全ガイド

Verilogプログラミングの固定小数点処理を解説するイラスト Verilog
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この記事では、プログラム(回路記述)の基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

本記事のサンプルコードを活用して機能追加、目的を達成できるように作ってありますので、是非ご活用ください。

※この記事は、一般的にプロフェッショナルの指標とされる『実務経験10,000時間以上』を満たす現役のプログラマチームによって監修されています。

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はじめに

プログラミング初心者向けに、Verilogでの固定小数点処理の手法をわかりやすく解説します。

具体的なコード例や応用例も掲載していますので、一緒に学んでいきましょう。

●Verilogと固定小数点とは

○Verilogとは

Verilogは、デジタル回路の設計と検証を行うためのハードウェア記述言語の一つです。

FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)といった特定のアプリケーション向けのIC設計などに使用されます。

○固定小数点とは

固定小数点とは、コンピュータ上で小数を表現する方法の一つであり、小数点の位置が一定の場所に固定されています。

それに対し、浮動小数点は小数点の位置が動的に変わることで、より広範囲な数値を表現できますが、精度が損なわれる可能性があります。

固定小数点は、特定の範囲で高精度な数値計算が必要な場合に適しています。

●Verilogで固定小数点を表現する方法

○基本的な表現方法

Verilogでは、整数部と小数部をビットで表現し、その組み合わせで固定小数点数を表現します。

□サンプルコード1:基本的な固定小数点の表現

このコードでは、8ビットの整数部と8ビットの小数部を持つ16ビット固定小数点数を表現しています。

この例では、整数部が3、小数部が0.5を表現しています。

reg [15:0] fixed_point_number;  // 16ビットの固定小数点数
fixed_point_number = 16'h0300;  // 整数部:3、小数部:0.5

○算術シフトによる表現

固定小数点数は、2進数で表現され、算術シフトによって値を簡単に2倍したり1/2にすることができます。

□サンプルコード2:算術シフトを利用した固定小数点の表現

このコードでは、16ビットの固定小数点数に対して左シフト(<<)を用いて2倍し、右シフト(>>)を用いて1/2にしています。

reg [15:0] fixed_point_number;  // 16ビットの固定小数点数
fixed_point_number = 16'h0300;  // 整数部:3、小数部:0.5

fixed_point_number = fixed_point_number << 1;  // 固定小数点数を2倍
fixed_point_number = fixed_point_number >> 1;  // 固定小数点数を1/2

ここで注意すべきは、シフト演算を行うと小数部の精度が損なわれる可能性があるという点です。

そのため、シフト演算を使用する場合は、事前にその影響を考慮する必要があります。

続いて、固定小数点数の演算方法について見ていきましょう。

●Verilogで固定小数点演算を行う方法

○加算・減算の演算方法

固定小数点数の加算・減算は、整数同様に行うことができます。

しかし、オーバーフローやアンダーフローに注意しながら行う必要があります。

□サンプルコード3:固定小数点の加算・減算

このコードでは、2つの16ビット固定小数点数の加算と減算を行っています。

reg [15:0] fixed_point_number1; // 16ビットの固定小数点数1
reg [15:0] fixed_point_number2; // 16ビットの固定小数点数2
reg [15:0] result;              // 結果を格納する16ビットの固定小数点数

fixed_point_number1 = 16'h0300; // 整数部:3、小数部:0.5
fixed_point_number2 = 16'h0200; // 整数部:2、小数部:0.5

result = fixed_point_number1 + fixed_point_number2;  // 加算
result = fixed_point_number1 - fixed_point_number2;  // 減算

○乗算・除算の演算方法

乗算と除算は少し複雑で、固定小数点数の乗算を行う場合、結果はオペランドの合計ビット数になり、割り算を行う場合、ビット数は割られる数(dividend)のビット数になります。

そのため、オーバーフローやアンダーフロー、精度の問題に注意しながら行う必要があります。

□サンプルコード4:固定小数点の乗算・除算

このコードでは、2つの16ビット固定小数点数の乗算と除算を行っています。

結果は32ビットと16ビットの固定小数点数で表現されます。

reg [15:0] fixed_point_number1;  // 16ビットの固定小数点数1
reg [15:0] fixed_point_number

2;  // 16ビットの固定小数点数2
reg [31:0] multiplication_result;  // 乗算結果を格納する32ビットの固定小数点数
reg [15:0] division_result;  // 除算結果を格納する16ビットの固定小数点数

fixed_point_number1 = 16'h0300;  // 整数部:3、小数部:0.5
fixed_point_number2 = 16'h0200;  // 整数部:2、小数部:0.5

multiplication_result = fixed_point_number1 * fixed_point_number2;  // 乗算
division_result = fixed_point_number1 / fixed_point_number2;  // 除算

固定小数点数の基本的な表現方法と演算方法について見てきました。

次に、その応用例を見ていきましょう。

●固定小数点の応用例

○数値計算の高精度化

固定小数点数は、特定の範囲での高精度な数値計算に適しています。

例えば、DSP(Digital Signal Processor)では音声や画像の処理などに用いられます。

□サンプルコード5:高精度な数値計算

このコードでは、16ビットの固定小数点数を用いて高精度な数値計算を行っています。

乗算の結果を32ビットで取得し、右シフトで16ビットに戻しています。

reg [15:0] fixed_point_number1;  // 16ビットの固定小数点数1
reg [15:0] fixed_point_number2;  // 16ビットの固定小数点数2
reg [31:0] multiplication_result;  // 乗算結果を格納する32ビットの固定小数点数

fixed_point_number1 = 16'h0300;  // 整数部:3、小数部:0.5
fixed_point_number2 = 16'h0200;  // 整数部:2、小数部:0.5

multiplication_result = fixed_point_number1 * fixed_point_number2;  // 乗算
multiplication_result = multiplication_result >> 16;  // 結果を16ビットに戻す

○信号処理の精度向上

固定小数点数は、信号処理の精度を向上させるためにも使用されます。

例えば、音声信号や画像信号のフィルタリングなどに用いられます。

□サンプルコード6:高精度な信号処理

このコードでは、16ビットの固定小数点数を用いて信号のフィルタリングを行っています。

reg [15:0] signal_data;  // 信号データ(16ビットの固定小数点数)
reg [15:0] filter_coefficient;  // フィルタ係数(16ビットの固定小数点数)
reg [31:0] filtered_signal;  // フィルタリングされた信号(32ビットの固定小数点数)

signal_data = 16'h0300;  // 入力信号(整数部:3、小数部:0.5)
filter_coefficient = 16'h0200;  // フィルタ係数(整数部:2、小数部:0.5)

filtered_signal = signal_data * filter_coefficient;  // フィルタリング
filtered_signal = filtered_signal >> 16;  // 結果を16ビットに戻す

次に、固定小数点数処理における注意点と対処法について説明します。

●注意点と対処法

○オーバーフローの問題と対処法

固定小数点数の演算では、特に乗算においてオーバーフローが生じる可能性があります。

オーバーフローが生じると、予期しない数値が得られることになります。

これを避けるためには、演算の結果がビット数を超えないように事前にチェックするか、ビット数を適切に調整する必要があります。

○精度損失の問題と対処法

また、除算や算術シフトでは精度損失が生じる可能性があります。

これは、固定小数点数の小数部のビット数が不足しているために発生します。

精度損失を避けるためには、必要な精度に応じて小数部のビット数を適切に設定する必要があります。

最後に、固定小数点数処理のカスタマイズ方法について説明します。

●カスタマイズ方法

○精度調整のカスタマイズ

Verilogでは、整数部と小数部のビット数を自由に設定することができます。

これにより、必要な精度に応じて固定小数点数を調整することができます。

○演算方法のカスタマイズ

また、加算・減算、乗算・除算の演算方法も自由に設定することができます。

例えば、乗算の結果を32ビットで取得した後に16ビットに戻す方法など、自分のニーズに合わせてカスタマイズすることができます。

まとめ

この記事では、Verilogでの固定小数点処理について詳しく説明しました。

Verilogでの固定小数点数の表現方法、演算方法、応用例、注意点と対処法、そしてカスタマイズ方法を順に紹介しました。

これらの知識を活用して、Verilogでの高精度な数値計算や信号処理に挑戦してみてください。