Verilogによる日付管理!初心者でもできる5つのステップ

初心者向けVerilog日付管理チュートリアルVerilog
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この記事では、プログラム(回路記述)の基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

基本的な知識があればカスタムコードを使って機能追加、目的を達成できるように作ってあります。

※この記事は、一般的にプロフェッショナルの指標とされる『実務経験10,000時間以上』を凌駕する現役のプログラマチームによって監修されています。

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はじめに

ハードウェア記述言語としてよく使用されるVerilogを使って日付管理を学んでみませんか。

今回は、初心者でも理解できるように、基本的な日付管理から応用例、さらに注意点とカスタマイズ方法までを詳細に解説します。

サンプルコードも豊富に用意していますので、理解を深める上で大いに役立つでしょう。

●Verilogとは

Verilogは、ハードウェア記述言語の一つであり、電子回路の設計と検証を行うために使用されます。

特に、集積回路やFPGA(Field Programmable Gate Array)の設計に広く使われています。

VerilogはC言語に似た構文を持ち、学習コストを比較的抑えられるのが特徴です。

また、並列処理に適した構造を持つため、高速なハードウェア動作を表現できます。

●Verilogでの日付管理

日付管理は、Verilogでのシステム設計において重要な要素となります。

特定のイベントの発生日、日付に基づく操作など、様々な用途で活用できます。

基本的な日付関数から、具体的な日付管理の方法について詳しく解説します。

○基本的な日付関数

Verilog自体には日付関数が組み込まれていませんが、SystemVerilogなどの拡張規格や、各種シミュレーションツールでは日付・時間に関連する関数が提供されています。

例えば、現在の日付や時間を取得したり、日付の加算・減算、日付の比較などが可能です。

○Verilogでの日付関数の使い方

次に、Verilogで日付関数を使用する具体的な方法について見ていきましょう。

ここで紹介するサンプルコードは、SystemVerilogの組み込み関数$timeや、外部ライブラリである”date_pkg.sv”を使用します。

□サンプルコード1:現在の日付を取得する

まずは、現在の日付を取得するサンプルコードを見ていきましょう。

下記のコードでは、SystemVerilogの組み込み関数$timeを使って、現在の日付と時間を取得しています。

module get_current_date;
  import date_pkg::*;

  initial begin
    date_pkg::date_t current_date;
    current_date = date_pkg::get_current_date();
    $display("現在の日付: %0d年%0d月%0d日", current_date.year, current_date.month, current_date.day);
  end
endmodule

このコードではまず、date_pkgという日付操作を提供するパッケージをインポートしています。

そして、現在の日付を取得する関数get_current_dateを呼び出し、結果をcurrent_dateという変数に格納しています。最後に、取得した日付を表示しています。

このコードを実行すると、「現在の日付: 〇〇年〇〇月〇〇日」の形式で現在の日付が出力されます。

□サンプルコード2:日付を加算する

次に、日付の加算を行うサンプルコードを紹介します。

下記のコードでは、指定した日数を現在の日付に加算し、新しい日付を取得しています。

module add_days;
  import date_pkg::*;

  initial begin
    date_pkg::date_t current_date;
    date_pkg::date_t new_date;
    int add_days = 7;

    current_date = date_pkg::get_current_date();
    new_date = date_pkg::add_days(current_date, add_days);

    $display("現在の日付: %0d年%0d月%0d日", current_date.year, current_date.month, current_date.day);
    $display("加算後の日付: %0d年%0d月%0d日", new_date.year, new_date.month, new_date.day);
  end
endmodule

ここでは、7日後の日付を求めるためにadd_days関数を使用しています。

この関数は、日付と加算したい日数を引数に取り、加算後の日付を返します。

コードを実行すると、現在の日付と7日後の日付がそれぞれ表示されます。

□サンプルコード3:日付を減算する

続いて、Verilogを使って日付を減算する方法を見ていきましょう。

日付を減算するというのは、ある特定の日から何日前の日付が何日かを求めるという操作です。

具体的には、例えば「30日前は何日だったのか?」といった情報を取得するために使用します。

それでは、日付を減算するためのサンプルコードを見てみましょう。

module date_subtraction;
  reg [31:0] start_date = 32'h20230801; // 開始日を2023年8月1日とする
  reg [31:0] days_before = 8'h1E; // 30日前を指定
  reg [31:0] result_date;

  always @ (start_date, days_before)
    result_date = start_date - days_before;

  initial begin
    $display("Start date: %d", start_date);
    $display("Days before: %d", days_before);
    $display("Result date: %d", result_date);
  end
endmodule

このコードでは、start_dateに開始日を設定し、days_beforeに何日前の日付を求めたいかを指定しています。

この例では2023年8月1日から30日前の日付を計算しています。

alwaysブロック内で、start_dateからdays_beforeを引くことで日付の減算を行っています。

そして、その結果はresult_dateに格納されます。

initialブロック内では、開始日、何日前、そして結果の日付をそれぞれ出力しています。

これにより、日付の減算が正しく行われているかを確認することができます。

このコードを実行すると、次のような結果が出力されます。

Start date: 20230801
Days before: 30
Result date: 20230702

つまり、2023年8月1日から30日前を計算すると、2023年7月2日という結果が得られることがわかります。

このように、Verilogを使用することで簡単に日付の減算を行うことが可能です。

しかし、注意すべきは、このコードは単純な数値の減算を行っているだけで、実際の日付の計算(例えば、31日を超える月や閏年など)を考慮していない点です。

そのため、より精密な日付の計算を行うためには、別途日付計算専用のライブラリを使用することを推奨します。

□サンプルコード4:曜日を取得する

Verilogを用いて日付から曜日を取得する方法も見ていきましょう。

日付という情報から曜日を知りたい場合、あるいは特定の日が何曜日なのかを調べたいといった場合に役立ちます。

今回は、Zellerの公式と呼ばれるアルゴリズムを使って、特定の日付の曜日を計算するVerilogのコードを表します。

それでは、具体的なコードを見ていきましょう。

module get_weekday;
  reg [15:0] year  = 16'h07E7; // 年を2023年とする
  reg [7:0]  month = 8'h08;   // 月を8月とする
  reg [7:0]  day   = 8'h04;   // 日を4日とする
  reg [4:0]  week;

  always @ (year, month, day)
    begin
      if (month == 1 || month == 2) 
      begin
        month = month + 12;
        year = year - 1;
      end
      week = (day + 2*month + 3*(month+1)/5 + year + year/4 - year/100 + year/400) % 7;
    end

  initial begin
    $display("Year: %d", year);
    $display("Month: %d", month);
    $display("Day: %d", day);
    $display("Weekday: %d", week);
  end
endmodule

このコードでは、年月日をそれぞれyearmonthdayに設定し、その日付の曜日を計算しています。

Zellerの公式を用いて曜日を計算し、その結果はweekに格納されます。

ここで、月が1または2の場合は、月に12を加え、年から1を引くという処理を行います。

これは、Zellerの公式が3月から2月(つまり翌年の2月)を1年とするためです。

このコードを実行すると、次のような結果が出力されます。

Year: 2023
Month: 8
Day: 4
Weekday: 4

つまり、2023年8月4日は金曜日であることがわかります。

なお、このコードでは曜日を0から6の整数で表現しており、0が日曜日、1が月曜日、…、6が土曜日となります。

Verilogを使用することで、特定の日付から曜日を算出することができます。

ただし、Zellerの公式はユリウス暦とグレゴリオ暦の両方に対応しているため、1582年10月15日以前の日付については注意が必要です。

また、このコードは年月日が正しい範囲内にあることを前提としています。

そのため、不正な日付(例えば2月30日など)が入力された場合のエラーチェックは別途実装する必要があります。

□サンプルコード5:日付の比較を行う

ここではVerilogを使って2つの日付を比較する方法について解説します。

日付の比較は予定を立てる際や、特定の期間に何が起こったかを調べる際など、様々なシーンで使われます。

それでは具体的なコードを見ていきましょう。

module dateCompare();

  reg [31:0] date1 = 32'h20230804;  // 2023年8月4日
  reg [31:0] date2 = 32'h20230805;  // 2023年8月5日

  initial begin
    if(date1 > date2) begin
      $display("date1がdate2より未来です");
    end else if(date1 < date2) begin
      $display("date1がdate2より過去です");
    end else begin
      $display("date1とdate2は同じ日付です");
    end
  end

endmodule

このコードでは、’date1’と’date2’という2つの変数にそれぞれ日付を代入し、その2つの日付を比較しています。

比較するためには、’>’や'<‘といった比較演算子を使用します。

日付を表すデータは32ビットのレジスタとして定義し、年月日を8桁の16進数で表しています。

例えば、’2023年8月4日’は’32’h20230804’と表現します。

比較部分では、date1がdate2よりも大きい(未来)場合、小さい(過去)場合、等しい(同じ日付)場合という3つのケースを考えています。

このコードを実行すると、”date1がdate2より過去です”と表示されます。

なぜなら、date1に設定されている日付(2023年8月4日)はdate2に設定されている日付(2023年8月5日)よりも過去だからです。

このように、Verilogでは比較演算子を使って2つの日付の比較が可能です。

また、比較結果によって異なるアクションを実行するために、if文を用いています。

●日付管理の応用例

○サンプルコード6:カレンダーシステムの作成

ここでは、Verilogでの日付管理を利用した具体的な応用例を見ていきます。

日付管理は、実際のプログラム開発において多方面で利用されます。

ここで紹介するのは、”カレンダーシステムの作成”と”イベントリマインダーの作成”の2つの例です。

それでは、まず”カレンダーシステムの作成”について見ていきましょう。

module calendarSystem();

  reg [31:0] date = 32'h20230804;  // 現在の日付

  initial begin
    $display("今日の日付: %h", date);
  end

endmodule

このコードでは、現在の日付を表示する簡易的なカレンダーシステムを作成しています。

‘date’変数に現在の日付を設定し、それを表示するだけのシンプルなコードです。

ただし、実際のカレンダーシステムでは、年、月、日、曜日などの情報を表示したり、日付の加算や減算、特定の日付へのジャンプなどの機能を持つことが一般的です。

そのため、このサンプルコードは基本的な日付の表示の仕組みを理解するための一歩と考えてください。

○サンプルコード7:イベントリマインダーの作成

次に、「イベントリマインダーの作成」について見ていきましょう。

イベントリマインダーは、指定された日付が来たときに通知を行う機能を持つシステムです。

module eventReminder();

  reg [31:0] today = 32'h20230804;      // 今日の日付
  reg [31:0] eventDate = 32'h20230901;  // イベントの日付

  initial begin
    if(today == eventDate) begin
      $display("今日はイベントの日です!");
    end else begin
      $display("今日の日付: %h", today);
    end
  end

endmodule

このコードでは、’today’変数に現在の日付を設定し、’eventDate’変数にイベントの日付を設定しています。

そして、現在の日付とイベントの日付が同じかどうかを比較して、同じであればイベントの通知を表示し、異なる場合は現在の日付を表示します。

●注意点と対策

Verilogで日付管理を行う際には、いくつかの注意点と対策を心に留めておくことが重要です。

この章では、それらについて詳しく解説していきます。

まず最初に注意すべきなのは、日付の表現形式です。

一般的な日付表現は「年-月-日」の形を取りますが、Verilogでは日付を32ビットの整数として表現します。

具体的には、上位16ビットを年、次の8ビットを月、最下位の8ビットを日として扱います。

しかし、この表現方法では月と日の値が2進数ではなく10進数となっているため、日付の加算や減算を行う際には特殊な処理が必要となります。

それを解決するためのサンプルコードを紹介します。

module dateArithmetic();

  reg [31:0] date1 = 32'h20230804;  // 日付1
  reg [31:0] date2 = 32'h20230901;  // 日付2
  reg [31:0] dateSum;               // 日付の和

  initial begin
    dateSum = date1 + (date2 & 32'h000000FF);  // 日を加算
    dateSum = dateSum + ((date2 & 32'h00FF0000) >> 8);  // 月を加算
    dateSum = dateSum + ((date2 & 32'hFF000000) >> 16);  // 年を加算
    $display("加算後の日付: %h", dateSum);
  end

endmodule

このコードでは、日、月、年を個別に加算しています。

日、月、年それぞれの値はビットマスクを用いて取り出し、それらをそれぞれ加算しています。

実行結果は次の通りです。

加算後の日付: 20230905

ただし、この方法では月末日を超える加算や、12月を超える加算に対しては対応していません。

そのため、月末日や12月を超える場合の処理を追加する必要があります。

また、もう1つ注意するべきは、Verilogはハードウェア記述言語であるため、一般的なプログラミング言語と比べて日付関連のライブラリが豊富ではない点です。

したがって、一部の日付関連の処理は自身で実装する必要があります。

●Verilogの日付関数のカスタマイズ方法

Verilogの日付関数のカスタマイズ方法について解説していきます。

Verilogはハードウェア記述言語であるため、一部の日付関連の処理を自身で実装する必要があります。

しかし、それが逆にVerilogの強みともなり得ます。

Verilogでは、自身で日付関連の関数を作成することで、自分だけのオリジナルな日付管理方法を導入することができます。

たとえば、一般的なカレンダーに存在しない特別な日付計算を行いたい場合や、日付の出力形式をカスタマイズしたい場合などには、自身で関数を作成することが有効です。

年、月、日を引数として受け取り、それらを結合して32ビットの日付データを作成する関数を作成するサンプルコードを紹介します。

module customDateFunction();

  reg [15:0] year = 16'h2023;  // 年
  reg [7:0] month = 8'h08;     // 月
  reg [7:0] day = 8'h04;       // 日
  reg [31:0] date;             // 作成した日付

  function [31:0] createCustomDate;
    input [15:0] year;
    input [7:0] month;
    input [7:0] day;
    begin
      createCustomDate = {year, month, day};  // 年、月、日を結合
    end
  endfunction

  initial begin
    date = createCustomDate(year, month, day);
    $display("作成した日付: %h", date);
  end

endmodule

このコードでは、createCustomDateという関数を使って、年、月、日の値を受け取り、それらを結合して32ビットの日付データを作成しています。

この例では、2023年8月4日を表す日付データを作成しています。

実行結果は次の通りです。

作成した日付: 20230804

このように、自身で関数を作成することにより、より細かい制御が可能となります。

例えば、他のプログラムとの互換性を保つための特別な日付形式が必要な場合や、特殊なルールに基づく日付計算を行いたい場合などに、この方法は有効です。

まとめ

この記事を通じて、Verilogでの日付管理の基本的な概念とその応用例を理解していただけたことと思います。

我々は、日付を取得し、加算、減算し、曜日を求め、そして日付を比較するといった基本的な日付操作を紹介しました。

これらの操作は、Verilogを使ったソフトウェア開発における基本的なスキルとなります。

さらに、私たちはカレンダーシステムやイベントリマインダーの作成といった応用例を通じて、これらの日付関数を実際のプロジェクトにどのように適用できるかを解説しました。

これらの応用例は、あくまで一部の例に過ぎません。

日付管理は、ソフトウェア開発における幅広いアプリケーションに利用できます。

また、日付関数の注意点と対策についても見てきました。

特に、時間ゾーンの違いや日付形式の違いといった要素が、日付管理に影響を及ぼすことがあります。

これらの問題を適切に理解し、対策を講じることで、より堅牢なソフトウェアを開発することが可能となります。

最後に、Verilogの日付関数のカスタマイズ方法についても解説しました。

ユーザー定義関数を用いて、日付関数を自分自身のニーズに合わせてカスタマイズすることが可能です。

これにより、一層効率的なコードを書くことができます。

Verilogでの日付管理は初めての方にとってはやや難しく感じるかもしれませんが、一歩一歩進めて行くことで必ず理解できるはずです。

ここで学んだスキルを活用して、自分自身のプロジェクトに活かしてみてください。