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初心者から上級者まで理解深まる!C++におけるインスタンス生成の全手順10選

C++インスタンス生成プロセスのイラスト C++
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この記事では、プログラムの基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

本記事のサンプルコードを活用して機能追加、目的を達成できるように作ってありますので、是非ご活用ください。

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はじめに

C++はプログラミング言語の一つで、多くのソフトウェア開発において広く利用されています。

C言語を基に拡張されたこの言語は、オブジェクト指向プログラミングの特徴を持ち、柔軟性、効率性、豊富なライブラリにより様々な分野で応用が可能です。

この記事では、C++におけるインスタンス生成に関する全てを解説します。初心者から上級者まで理解できる内容を目指しています。

●C++とは

C++はBjarne Stroustrupによって開発されたプログラミング言語です。

1980年代初頭に登場し、C言語の直接的な拡張として設計されました。

パフォーマンスと柔軟性を重視し、オブジェクト指向プログラミングの概念を取り入れています。

この言語はシステムプログラミング、アプリケーションソフトウェア、デバイスドライバ、組み込みソフトウェアなど、幅広い分野で使用されています。

C++は標準化されており、多くのコンパイラやプラットフォームでサポートされています。

○C++の歴史と特徴

C++の歴史は1979年にBjarne StroustrupがC言語にクラスの概念を導入したことから始まります。

この新しい言語は当初「C with Classes」と呼ばれていましたが、1983年にC++と改名されました。

C++の「++」はC言語のインクリメント演算子から来ており、C言語の進化形を意味します。

C++の主な特徴として、オブジェクト指向プログラミングにおけるクラスとオブジェクトの使用、低レベルの操作サポート、豊富な標準ライブラリ、複数のプログラミングスタイルのサポート、パフォーマンスと効率に関する特性が挙げられます。

これらの特性により、C++は多様な機能と特性を持つ言語として、さまざまなプログラミングニーズに応えています。

●インスタンス生成の基本

C++でのプログラミングにおいて、インスタンスの生成は基本的なプロセスの一つです。

インスタンス生成とは、クラスからオブジェクトを作成することを指します。

クラスはオブジェクトの設計図であり、インスタンスはその設計図に基づいて実際に作成されたオブジェクトです。

このプロセスを理解することは、C++のオブジェクト指向プログラミングを学ぶ上で非常に重要です。

○インスタンスとは何か

インスタンスとは、クラスに基づいて生成されたオブジェクトのことを指します。

クラスは属性(データ)とメソッド(機能)を定義しますが、インスタンスはそのクラスの具体的な実例です。

例えば、クラスが「車」という概念を表す場合、インスタンスは特定の車(例えば、赤いトヨタのセダン)を表します。

インスタンスごとに属性の値(色、ブランド、モデルなど)が異なることがあります。

○クラスの定義方法

C++においてクラスを定義するには、class キーワードを使用します。

クラス定義は、クラスの名前とその中に含まれる属性とメソッドを宣言します。

class Car {
public:
    string brand;
    string model;
    int year;

    Car(string x, string y, int z) { // コンストラクタ
        brand = x;
        model = y;
        year = z;
    }
};

この例では、Car という名前のクラスを定義しています。

このクラスには、brandmodelyear という3つの属性があります。

また、Car(string x, string y, int z) というコンストラクタも定義しており、新しいインスタンスを生成する際に初期値を設定できます。

●インスタンス生成方法

C++におけるインスタンス生成は、オブジェクト指向プログラミングの核心部分を成します。

インスタンスは、定義されたクラスの実体化されたバージョンであり、具体的なデータと振る舞いを持ちます。

インスタンスを生成する方法はいくつかありますが、基本的な方法はコンストラクタを用いることです。

○サンプルコード1:基本的なインスタンス生成

基本的なインスタンス生成では、クラスのコンストラクタを呼び出してオブジェクトを作成します。

例えば、前述のCarクラスを用いたインスタンス生成は下記のようになります。

int main() {
    Car myCar("Toyota", "Corolla", 2020); // インスタンスの生成
    cout << myCar.brand << " " << myCar.model << " " << myCar.year << endl;
    return 0;
}

このコードでは、CarクラスのインスタンスmyCarを生成し、それに対してブランド、モデル、年式を設定しています。

このようにインスタンスを生成することで、クラスに定義された属性や振る舞いを具体的なオブジェクトとして扱うことができます。

○サンプルコード2:コンストラクタを利用したインスタンス生成

コンストラクタを利用したインスタンス生成では、クラスの定義にコンストラクタを含め、インスタンス作成時に特定の処理を行います。

例として、Carクラスにデフォルトコンストラクタを追加することを考えます。

class Car {
public:
    string brand;
    string model;
    int year;

    Car() { // デフォルトコンストラクタ
        brand = "Unknown";
        model = "Unknown";
        year = 0;
    }

    Car(string x, string y, int z) { // コンストラクタ
        brand = x;
        model = y;
        year = z;
    }
};

この追加されたデフォルトコンストラクタでは、ブランド、モデル、年式を初期値として設定しています。

インスタンス生成時に引数を与えない場合、このデフォルトコンストラクタが呼び出されます。

○サンプルコード3:コピーコンストラクタを使ったインスタンス生成

コピーコンストラクタを使用すると、既存のオブジェクトをコピーして新しいインスタンスを生成できます。

これは、オブジェクト間でデータを複製する際に特に有用です。

class Car {
public:
    string brand;
    string model;
    int year;

    // ...(他のコンストラクタの定義)

    // コピーコンストラクタ
    Car(const Car &car) {
        brand = car.brand;
        model = car.model;
        year = car.year;
    }
};

int main() {
    Car car1("Toyota", "Corolla", 2020);
    Car car2 = car1; // コピーコンストラクタの使用

    cout << car2.brand << " " << car2.model << " " << car2.year << endl;
    return 0;
}

この例では、car1のデータをcar2にコピーしています。

コピーコンストラクタは、オブジェクトが別のオブジェクトから初期化されるときに自動的に呼び出されます。

●インスタンスの応用例

C++のプログラミングでは、インスタンスの生成は基本的な操作ですが、応用的な使い方も非常に重要です。

それでは、具体的な応用例を見ていきましょう。

○サンプルコード4:インスタンスを使った簡単な計算

このコードでは、C++で定義されたクラスのインスタンスを使用して、簡単な計算を行います。

クラスCalculatorは、加算を行うメソッドaddを持っています。

インスタンスを生成した後、このメソッドを呼び出して、二つの数値の加算結果を得ます。

#include <iostream>
using namespace std;

class Calculator {
public:
    int add(int a, int b) {
        return a + b;
    }
};

int main() {
    Calculator calc;
    int result = calc.add(5, 3);
    cout << "Result: " << result << endl;
    return 0;
}

このコードは、Calculatorクラスのインスタンスcalcを生成し、addメソッドを使用して5と3を加算します。

実行すると、Result: 8と表示されます。

○サンプルコード5:インスタンス配列の使用方法

C++では、クラスのインスタンスを配列として扱うことができます。

これにより、複数のオブジェクトを効率的に管理し、操作することが可能になります。

下記のサンプルコードでは、Pointクラスの複数のインスタンスを配列に格納し、それぞれのインスタンスのメソッドを呼び出しています。

#include <iostream>
using namespace std;

class Point {
public:
    int x, y;

    Point(int x, int y) : x(x), y(y) {}

    void display() {
        cout << "(" << x << ", " << y << ")" << endl;
    }
};

int main() {
    Point points[3] = {Point(1, 2), Point(3, 4), Point(5, 6)};

    for (int i = 0; i < 3; i++) {
        points[i].display();
    }
    return 0;
}

このコードは、Pointクラスのインスタンスを3つ生成し、それらを配列pointsに格納します。

ループを使用して、各インスタンスのdisplayメソッドを呼び出し、座標を表示します。

実行すると、(1, 2), (3, 4), (5, 6)と表示されます。

○サンプルコード6:継承を使ったインスタンス生成

C++では、クラスの継承を利用して、新しいクラスを定義することができます。

継承を使ったクラス定義では、親クラスの属性やメソッドを子クラスが引き継ぎます。

これにより、既存のコードの再利用が可能になり、プログラムの効率が向上します。

#include <iostream>
using namespace std;

class Animal {
public:
    void speak() {
        cout << "Some sound" << endl;
    }
};

class Dog : public Animal {
public:
    void speak() {
        cout << "Woof" << endl;
    }
};

int main() {
    Dog myDog;
    myDog.speak();
    return 0;
}

このコードでは、Animalクラスを継承してDogクラスを定義しています。

DogクラスはAnimalクラスのspeakメソッドをオーバーライドしており、DogのインスタンスmyDogspeakメソッドを呼び出すと、「Woof」と表示されます。

○サンプルコード7:ポリモーフィズムを活用したインスタンス

ポリモーフィズムは、C++のオブジェクト指向プログラミングの重要な特徴の一つです。

ポリモーフィズムを使用すると、異なるクラスのオブジェクトを同じインターフェースで操作することが可能になります。

これにより、より柔軟で再利用可能なコードを書くことができます。

#include <iostream>
using namespace std;

class Shape {
public:
    virtual void draw() = 0; // 純粋仮想関数
};

class Circle : public Shape {
public:
    void draw() override {
        cout << "Drawing Circle" << endl;
    }
};

class Square : public Shape {
public:
    void draw() override {
        cout << "Drawing Square" << endl;
    }
};

void drawShape(Shape *shape) {
    shape->draw();
}

int main() {
    Circle circle;
    Square square;

    drawShape(&circle);
    drawShape(&square);

    return 0;
}

このコードでは、Shapeクラスを基底クラスとして、CircleクラスとSquareクラスを定義しています。

drawShape関数はShapeクラスのポインタを引数として受け取り、drawメソッドを呼び出します。

このようにして、異なる形状の描画を一つの関数で抽象化しています。実行すると、「Drawing Circle」と「Drawing Square」と表示されます。

●インスタンス生成の注意点と対処法

C++におけるインスタンス生成は強力な機能ですが、正しく扱わないと様々な問題が発生する可能性があります。

ここでは、インスタンス生成時に特に注意すべき点とその対処法について詳しく解説します。

○メモリリークの防止

メモリリークは、プログラムが動的に割り当てたメモリを適切に解放しないことによって発生します。

C++では、newを使用してメモリを割り当てた場合、それをdeleteで解放する必要があります。

メモリリークを防ぐためには、次のような対策を取ることが重要です。

  • 動的メモリ割り当てを行った後は、必ずdeleteを使用してメモリを解放する
  • スマートポインタ(std::unique_ptrstd::shared_ptrなど)を利用して、自動的にメモリを管理する
  • コピーコンストラクタや代入演算子を適切にオーバーロードし、ディープコピーを行う

例えば、スマートポインタを使用したメモリ管理のコードは下記のようになります。

#include <iostream>
#include <memory>
using namespace std;

class MyClass {
public:
    MyClass() { cout << "MyClass created" << endl; }
    ~MyClass() { cout << "MyClass destroyed" << endl; }
};

int main() {
    unique_ptr<MyClass> myClassPtr(new MyClass());
    // スマートポインタは自動的に解放されるため、deleteは不要
    return 0;
}

このコードでは、unique_ptrを使用してMyClassのインスタンスを動的に生成しています。

プログラムの実行が終了すると、unique_ptrは自動的にメモリを解放します。

○例外処理の重要性

C++プログラミングにおいて、例外処理は重要な役割を果たします。

特に、インスタンス生成時に発生する可能性のあるエラーを適切に処理することは、プログラムの安定性と信頼性を高める上で欠かせません。

例外処理を行う際には、下記のポイントを考慮する必要があります。

  • コンストラクタやメソッド内でエラーが発生した場合、例外を投げて呼び出し元に通知する
  • tryブロック内でインスタンス生成やその他の処理を行い、catchブロックで例外を捕捉する
  • 必要に応じて、独自の例外クラスを定義する

例外処理の基本的なコード例を紹介します。

#include <iostream>
using namespace std;

class MyException : public exception {
    const char * what() const throw() {
        return "C++ Exception";
    }
};

int main() {
    try {
        throw MyException();
    } catch(MyException& e) {
        cout << "MyException caught" << endl;
        cout << e.what() << endl;
    } catch(exception& e) {
        // その他の例外の処理
    }
    return 0;
}

このコードでは、MyExceptionという独自の例外クラスを定義し、main関数内でその例外を投げています。

catchブロックで例外を捕捉し、エラーメッセージを出力しています。

●カスタマイズ方法

C++でのインスタンス生成をカスタマイズするには、カスタムコンストラクタの作成が重要です。

カスタムコンストラクタとは、クラスのオブジェクトが生成される際に自動的に呼び出される特殊な関数です。

これにより、インスタンスの初期化時に特定の値を設定したり、必要な準備を行うことができます。

例えば、下記のようなコードが考えられます。

この例では、MyClass というクラスにカスタムコンストラクタを定義しています。

このコンストラクタは、int 型のパラメータを受け取り、内部の変数 value を初期化しています。

class MyClass {
public:
    int value;
    MyClass(int initValue) {
        value = initValue;
    }
};

int main() {
    MyClass obj(10);
    // obj.value は 10 に初期化される
    return 0;
}

このコードは MyClass のインスタンスを生成するときに、10 という値で初期化しています。

このように、カスタムコンストラクタを利用することで、インスタンス生成時の振る舞いを柔軟に定義することが可能です。

○カスタムコンストラクタの作成

カスタムコンストラクタの作成は、クラスの機能を拡張し、より柔軟な初期化を可能にします。コンストラクタはクラス名と同じ名前を持ち、戻り値を持ちません。

通常の関数と同様に、パラメータを持つことができ、これを使ってオブジェクトの初期状態を設定します。

例えば、下記のコードは、2つの整数を受け取り、それらを足し合わせた結果を保持するクラスを表しています。

このクラスは2つの整数をパラメータとして受け取るカスタムコンストラクタを持っています。

class Adder {
public:
    int sum;
    Adder(int a, int b) {
        sum = a + b;
    }
};

int main() {
    Adder adder(5, 3);
    // adder.sum は 8 になる
    return 0;
}

このコードでは、Adder クラスのインスタンスが生成される際、2つの整数が加算され、その結果が sum に格納されます。

このようにカスタムコンストラクタを利用することで、オブジェクトの初期化プロセスを明確に制御することができます。

○オーバーロードとオーバーライドの利用

オーバーロードとオーバーライドは、C++プログラミングにおいて重要な概念です。

オーバーロードは、同じ名前の関数やコンストラクタが異なるパラメータを持つことができる機能です。

一方、オーバーライドは、派生クラスで基底クラスのメソッドを新しい実装で置き換えることを指します。

例えば、下記のコードはオーバーロードの一例を表しています。

ここでは、Printer クラスに print 関数が2つ定義されており、異なるタイプのパラメータを受け取ることができます。

class Printer {
public:
    void print(int number) {
        std::cout << "Number: " << number << std::endl;
    }
    void print(std::string text) {
        std::cout << "Text: " << text << std::endl;
    }
};

int main() {
    Printer printer;
    printer.print(100); // "Number: 100"
    printer.print("Hello"); // "Text: Hello"
    return 0;
}

このコードでは、Printer クラスに整数と文字列の両方を受け取る print 関数がオーバーロードされています。

これにより、同じ関数名で異なる種類のデータを処理することができます。

まとめ

C++インスタンス生成の全手順を学ぶことで、初心者から上級者までがC++の様々な側面を理解し、実践的なスキルを習得できます。

このガイドを通じて、基本から応用までのインスタンス生成方法、メモリ管理、例外処理などをサンプルコードと共に深く掘り下げました。

この記事を読み終えた頃には、理論的な知識と実践的な技術の両面でC++のインスタンス生成をマスターすることができるでしょう。