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【C++】純粋仮想関数を完全マスターする5つの実例付き解説

C++の純粋仮想関数を学ぶイメージ C++
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はじめに

C++を学ぶ上で、オブジェクト指向プログラミングの理解は不可欠です。

特に、純粋仮想関数はこのパラダイムの中核をなす概念の一つです。

この記事では、C++における純粋仮想関数の基本から応用、さらにはそれがもたらす重要な利点について、初心者でも理解しやすいように丁寧に解説します。

初めてC++の純粋仮想関数に触れる方も、すでにある程度知識がある方も、この記事を読むことで、純粋仮想関数の理解を深め、C++プログラミングスキルをさらに磨くことができるでしょう。

●純粋仮想関数とは

C++における純粋仮想関数は、オブジェクト指向プログラミングにおいて非常に重要な概念です。

純粋仮想関数は、基底クラスにおいて宣言されるが、その実装は派生クラスで行われるべき関数を指します。

これにより、抽象クラス(すべてのメソッドが実装されていないクラス)を作成することができます。

純粋仮想関数の存在は、派生クラスがその関数を実装することを強制し、これによってポリモーフィズムという概念を実現します。

○純粋仮想関数の定義と基本概念

純粋仮想関数は、下記のように定義されます。

クラス名の後にコロン(:)を使用せず、クラスの宣言内で関数を定義します。

例えば、下記のような形式になります。

class Base {
public:
    virtual void function() = 0;  // 純粋仮想関数の宣言
};

ここで、virtualキーワードは関数が仮想関数であることを表し、= 0はその関数が純粋仮想関数であることを意味します。

この関数は「抽象的」であり、基底クラスでは実装されません。

そのため、このクラスはインスタンス化できない抽象クラスとなります。

○純粋仮想関数の役割と重要性

純粋仮想関数の主な役割は、派生クラスに特定の関数の実装を強制することです。

これにより、開発者は派生クラスが基底クラスのインターフェースを適切に実装することを保証できます。

この機能は、特にライブラリやフレームワークの設計において重要で、異なるクラスが共通のインターフェースを持つことを保証するのに役立ちます。

純粋仮想関数を使用することで、コードの再利用性が高まり、保守性や拡張性が向上するため、C++のプログラミングにおいて非常に重要な概念となっています。

●純粋仮想関数の実装方法

C++において純粋仮想関数は、オブジェクト指向プログラミングの中心的な概念です。

純粋仮想関数は、基底クラスで宣言されるが、その実装は派生クラスで行われる関数です。

これにより、派生クラスでのオーバーライドを強制し、より柔軟で再利用可能なコードを作成することが可能になります。

具体的には、純粋仮想関数を持つクラスは「抽象クラス」となり、そのクラスのインスタンスは作成できませんが、派生クラスで具体的な実装を提供することで、その派生クラスのインスタンスを作成できます。

○サンプルコード1:基本的な純粋仮想関数の実装

純粋仮想関数が宣言された抽象クラスから派生したクラスでは、この純粋仮想関数を実装する必要があります。

ここでは、抽象クラスから派生したクラスで純粋仮想関数を実装する基本的な例を紹介します。

class 抽象クラス {
public:
    virtual void 純粋仮想関数() = 0; // 純粋仮想関数の宣言
};

class 派生クラス : public 抽象クラス {
public:
    void 純粋仮想関数() override {
        // ここに実装を記述
    }
};

この例では、「派生クラス」というクラスが「抽象クラス」から派生しており、「純粋仮想関数」をオーバーライドしています。

この「派生クラス」では、「純粋仮想関数」に具体的な

実装を提供することで、このクラスのインスタンスを作成することが可能になります。

ここでのポイントは、「override」キーワードを使用することで、明示的に基底クラスの純粋仮想関数をオーバーライドしていることを表している点です。

●純粋仮想関数の応用例

純粋仮想関数は、C++において多様な応用が可能です。

特に、ポリモーフィズム(多態性)やインターフェースの実装において重要な役割を果たします。

ポリモーフィズムを利用することで、同一のインターフェースを持つ異なるオブジェクトを同一の方法で扱うことが可能になり、柔軟かつ効率的なプログラム設計が実現できます。

また、インターフェースとして純粋仮想関数を用いることにより、異なるクラス間で共通の契約を定義し、より安全かつ明確なコードの記述が可能になります。

○サンプルコード2:多態性を活用した純粋仮想関数

多態性を実現するために純粋仮想関数を用いる例を紹介します。

下記のコードは、異なる動物の鳴き声を模倣するシンプルな例です。

class Animal {
public:
    virtual void speak() = 0; // 純粋仮想関数の宣言
};

class Dog : public Animal {
public:
    void speak() override {
        std::cout << "ワンワン" << std::endl;
    }
};

class Cat : public Animal {
public:
    void speak() override {
        std::cout << "ニャーニャー" << std::endl;
    }
};

この例では、「Animal」という抽象クラスに「speak」という純粋仮想関数を定義しています。

そして、「Dog」と「Cat」という二つのクラスが「Animal」クラスから派生し、「speak」関数をそれぞれ異なる方法で実装しています。

これにより、異なる動物のクラスでも共通のインターフェース(ここではspeakメソッド)を通じて扱うことが可能になります。

○サンプルコード3:インターフェースとしての純粋仮想関数

インターフェースとして純粋仮想関数を使用する例を紹介します。

この例では、異なるタイプのデバイスに対して共通の操作を定義するインターフェースを作成しています。

class Device {
public:
    virtual void turnOn() = 0; // デバイスを起動する純粋仮想関数
    virtual void turnOff() = 0; // デバイスを停止する純粋仮想関数
};

class Television : public Device {
public:
    void turnOn() override {
        std::cout << "テレビを起動します。" << std::endl;
    }
    void turnOff() override {
        std::cout << "テレビを停止します。" << std::endl;
    }
};

class Radio : public Device {
public:
    void turnOn() override {
        std::cout << "ラジオを起動します。" << std::endl;
    }
    void turnOff() override {
        std::cout << "ラジオを停止します。" << std::endl;
    }
};

この例では、様々なデバイスが「Device」という共通のインターフェースを介して操作されることを想定しています。

それぞれのデバイスは「Device」クラスから派生し、turnOnturnOffの純粋仮想関数を実装しています。

このアプローチにより、異なるデバイスに対しても統一的な操作を提供することができ、コードの再利用性と拡張性が向上します。

●純粋仮想関数の注意点

C++で純粋仮想関数を使用する際には、いくつか重要な点を理解しておく必要があります。

特に抽象クラスの理解と純粋仮想関数を持つクラスの継承において注意すべき点があります。

まず、純粋仮想関数を一つでも持つクラスは「抽象クラス」と呼ばれます。

この抽象クラスは、そのままではインスタンス化することができません。

これは、純粋仮想関数が実装されていないため、クラスとしての完全な形がないことを意味します。

したがって、抽象クラスを直接使用しようとすると、コンパイルエラーが発生します。

○インスタンス化できない抽象クラスの理解

抽象クラスを効果的に使用するためには、派生クラスを通じて具体的な実装を行う必要があります。

class 抽象クラス {
public:
    virtual void 純粋仮想関数() = 0; // 純粋仮想関数の宣言
};

class 派生クラス : public 抽象クラス {
public:
    void 純粋仮想関数() override {
        // 純粋仮想関数の具体的な実装
    }
};

この例では、「抽象クラス」は純粋仮想関数「純粋仮想関数」を持っているため、このクラスのインスタンスを直接作成することはできません。

しかし、「派生クラス」ではこの純粋仮想関数に具体的な実装を提供しているため、「派生クラス」のインスタンスを作成することが可能です。

○純粋仮想関数を持つクラスの継承における注意点

純粋仮想関数を持つクラスを継承する際には、全ての純粋仮想関数に対して実装を提供する必要があります。

もし派生クラスで純粋仮想関数のいずれかを実装しなかった場合、その派生クラスも抽象クラスとなり、インスタンス化することはできません。

この点は、純粋仮想関数を継承する際に特に注意が必要です。

class 抽象クラスA {
public:
    virtual void 純粋仮想関数1() = 0;
    virtual void 純粋仮想関数2() = 0;
};

class 派生クラスB : public 抽象クラスA {
public:
    void 純粋仮想関数1() override {
        // 純粋仮想関数1の実装
    }
    // 純粋仮想関数2は実装されていない
};

この例では、「派生クラスB」は「抽象クラスA」から継承していますが、「純粋仮想関数2」を実装していません。

その結果、「派生クラスB」も抽象クラスとなり、インスタンス化することができません。

すべての純粋仮想関数に対して実装を提供することが、抽象クラスを継承する際の重要なポイントです。

●純粋仮想関数のカスタマイズ方法

純粋仮想関数のカスタマイズは、C++におけるオブジェクト指向プログラミングの柔軟性を高める重要な要素です。

純粋仮想関数のオーバーライドを通じて、派生クラスにおいて特定の機能や振る舞いをカスタマイズすることができます。

このプロセスは、プログラムの再利用性と拡張性を大きく向上させるため、適切な理解と実装が求められます。

○サンプルコード4:純粋仮想関数のオーバーライド

純粋仮想関数のオーバーライドを行う際には、基底クラスで宣言された関数のシグネチャ(関数名、パラメータ、戻り値の型)を正確に継承し、派生クラスでその具体的な実装を提供します。

class 基底クラス {
public:
    virtual void 純粋仮想関数() = 0;
};

class 派生クラス : public 基底クラス {
public:
    void 純粋仮想関数() override {
        std::cout << "派生クラスでの具体的な実装" << std::endl;
    }
};

この例では、派生クラス基底クラスの純粋仮想関数純粋仮想関数をオーバーライドし、具体的な実装を提供しています。

overrideキーワードを使用することで、派生クラスが基底クラスの関数を正しくオーバーライドしていることを明示しています。

○サンプルコード5:異なる戻り値型を持つ純粋仮想関数

純粋仮想関数のオーバーライドにおいては、基底クラスで宣言された戻り値の型を変更することはできません。

しかし、異なる戻り値型を持つ新しい純粋仮想関数を派生クラスで宣言することは可能です。

class 基底クラス {
public:
    virtual int 数値を返す関数() = 0;
};

class 派生クラス : public 基底クラス {
public:
    int 数値を返す関数() override {
        return 5; // 数値を返す
    }

    virtual std::string 文字列を返す関数() = 0; // 新しい純粋仮想関数
};

class さらに派生クラス : public 派生クラス {
public:
    std::string 文字列を返す関数() override {
        return "文字列"; // 文字列を返す
    }
};

この例では、基底クラス数値を返す関数という純粋仮想関数があり、派生クラスでこれをオーバーライドしています。

さらに、派生クラスでは新しい純粋仮想関数文字列を返す関数を宣言し、さらに派生クラスでその実装を提供しています。

まとめ

この記事では、C++の純粋仮想関数について詳細に解説しました。

初心者から上級者まで理解できるよう、基本的な概念から応用例、注意点、カスタマイズ方法に至るまで、具体的なサンプルコードを交えながら説明しました。

純粋仮想関数の適切な使用は、オブジェクト指向プログラミングにおいて非常に重要であり、プログラムの柔軟性と再利用性を大きく向上させます。

これらの知識を活用して、より効果的なC++プログラミングを行っていただければ幸いです。