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C++エキスパートが解説する左シフト演算子の使用例10選

C++の左シフト演算子 C++
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この記事では、プログラムの基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

本記事のサンプルコードを活用して機能追加、目的を達成できるように作ってありますので、是非ご活用ください。

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●C++の左シフト演算子とは?

C++の左シフト演算子は、ビット演算の一種で、効率的なプログラミングに欠かせない重要な演算子です。

左シフト演算子を使うことで、整数値のビットを左にシフトさせることができます。

これにより、ビット単位の操作や計算を高速に行うことが可能になります。

C++エキスパートとして、左シフト演算子を使いこなすことは、プログラムのパフォーマンス改善やメモリ使用量の最適化につながります。

特に、組み込みシステムやゲーム開発など、リソースが限られた環境でのプログラミングでは、左シフト演算子の活用が大きな威力を発揮します。

○左シフト演算子の基本的な使い方

左シフト演算子は、<<という記号で表されます。

左辺の値を右辺の値だけ左にシフトさせる働きがあります。

例えば、a << bという式は、変数aの値を左にb bitだけシフトさせることを意味します。

シフト演算の際、左側に空いたビットには0が補填されます。

また、右側からはみ出たビットは切り捨てられます。これにより、左シフト演算子を使って整数値を2のべき乗倍することができます。

○サンプルコード1:整数値の左シフト

早速、左シフト演算子の使用例を見てみましょう。

下記のコードは、整数値を左シフトさせる例です。

#include <iostream>

int main() {
    int num = 10;  // 整数値を初期化
    int shift_amount = 2;  // シフトする量

    int result = num << shift_amount;  // 左シフト演算

    std::cout << "元の値: " << num << std::endl;
    std::cout << "シフト量: " << shift_amount << std::endl;
    std::cout << "結果: " << result << std::endl;

    return 0;
}

実行結果

元の値: 10
シフト量: 2
結果: 40

このコードでは、num変数に初期値として10を代入し、shift_amount変数にシフトする量として2を代入しています。

そして、num << shift_amountという左シフト演算を行い、結果をresult変数に格納しています。

10を2ビット左にシフトすることで、2進数表現では1010から101000になります。これは10進数で40に相当します。

つまり、10を2ビット左シフトすることで、10 * 2^2 = 40という計算結果が得られるのです。

○サンプルコード2:ビットマスクの生成

左シフト演算子は、ビットマスクの生成にも使われます。

ビットマスクとは、特定のビットだけが1で、他のビットが0になっているビット列のことです。

下記のコードは、左シフト演算子を使ってビットマスクを生成する例です。

#include <iostream>

int main() {
    int bit_position = 3;  // ビット位置を指定

    int mask = 1 << bit_position;  // ビットマスクを生成

    std::cout << "ビット位置: " << bit_position << std::endl;
    std::cout << "ビットマスク: " << std::hex << mask << std::endl;

    return 0;
}

実行結果

ビット位置: 3
ビットマスク: 0x8

このコードでは、bit_position変数にビット位置として3を指定しています。

そして、1 << bit_positionという左シフト演算を行い、ビットマスクを生成しています。

1を3ビット左にシフトすることで、2進数表現では0001から1000になります。

これは16進数で0x8に相当します。

つまり、3ビット目だけが1で、他のビットが0のビットマスクが生成されるのです。

ビットマスクは、特定のビットを操作する際に非常に便利です。

例えば、ビット単位のフラグ管理や、ビット演算を使った効率的なデータ構造の実装などに活用されます。

●左シフト演算子を使ったビット演算

左シフト演算子は、ビット演算においても非常に重要な役割を果たします。

ビット演算とは、コンピュータの内部で行われる、ビット単位の論理的な操作のことです。

左シフト演算子を使うことで、特定のビットの取得やビットフラグの設定など、様々なビット操作を効率的に行うことができます。

C++エキスパートとして、左シフト演算子を活用したビット演算のテクニックを身につけることは、プログラムの性能向上やメモリ使用量の最適化に大きく役立ちます。

特に、組み込みシステムやゲーム開発など、リソースに制約のある環境でのプログラミングでは、ビット演算の重要性がより一層高まります。

では早速、左シフト演算子を使ったビット演算の具体的な例を見ていきましょう。

○サンプルコード3:特定のビットの取得

左シフト演算子とビット論理積演算子(&)を組み合わせることで、特定のビットの値を取得することができます。

下記のコードは、整数値の特定のビットを取得する例です。

#include <iostream>

int main() {
    int num = 0b1010;  // 2進数表記で初期化
    int bit_position = 2;  // 取得したいビット位置

    int bit = (num >> bit_position) & 1;  // 特定のビットを取得

    std::cout << "数値: " << std::bitset<4>(num) << std::endl;
    std::cout << "ビット位置: " << bit_position << std::endl;
    std::cout << "取得したビット: " << bit << std::endl;

    return 0;
}

実行結果

数値: 1010
ビット位置: 2
取得したビット: 0

このコードでは、num変数を2進数表記で初期化し、bit_position変数に取得したいビット位置を指定しています。

そして、(num >> bit_position) & 1という式で特定のビットを取得しています。

まず、num >> bit_positionnumを右にbit_positionだけシフトさせます。

これにより、取得したいビットが最下位ビット(LSB)の位置に移動します。

次に、& 1でビット論理積を取ることで、最下位ビットの値(0または1)を取得できます。

○サンプルコード4:ビットフラグの設定

左シフト演算子を使って、特定のビットを1に設定することで、ビットフラグを表現できます。

下記のコードは、ビットフラグを設定する例です。

#include <iostream>
#include <bitset>

int main() {
    int flags = 0;  // フラグ変数の初期化
    int flag_position = 3;  // 設定したいフラグのビット位置

    flags |= (1 << flag_position);  // ビットフラグを設定

    std::cout << "フラグ変数: " << std::bitset<8>(flags) << std::endl;
    std::cout << "設定したフラグのビット位置: " << flag_position << std::endl;

    return 0;
}

実行結果

フラグ変数: 00001000
設定したフラグのビット位置: 3

このコードでは、flags変数をフラグ変数として初期化し、flag_position変数に設定したいフラグのビット位置を指定しています。

そして、flags |= (1 << flag_position)という式でビットフラグを設定しています。

1 << flag_positionで、1を左にflag_positionだけシフトさせることで、設定したいビット位置だけが1のビットマスクを作ります。

次に、|=演算子でビット論理和を取ることで、flags変数の対応するビットを1に設定できます。

ビットフラグは、複数の状態を1つの変数で表現するのに便利です。

各ビットが独立したフラグとして機能するため、メモリを節約しつつ、効率的にフラグの管理ができます。

○サンプルコード5:ビット単位の乗算

左シフト演算子を使うと、整数値を2のべき乗倍するビット単位の乗算を高速に行うことができます。

下記のコードは、ビット単位の乗算の例です。

#include <iostream>

int main() {
    int num = 10;  // 整数値の初期化
    int multiply_factor = 3;  // 乗算する因数

    int result = num << multiply_factor;  // ビット単位の乗算

    std::cout << "元の値: " << num << std::endl;
    std::cout << "乗算する因数: " << multiply_factor << std::endl;
    std::cout << "結果: " << result << std::endl;

    return 0;
}

実行結果

元の値: 10
乗算する因数: 3
結果: 80

このコードでは、num変数に整数値を初期化し、multiply_factor変数に乗算する因数を指定しています。

そして、num << multiply_factorという式でビット単位の乗算を行っています。

左シフト演算子を使ってnummultiply_factorだけ左にシフトさせることで、2進数表現では各ビットがmultiply_factor個分だけ左に移動します。

これは、numを2のmultiply_factor乗倍していることと等価です。

●左シフト演算子による効率的なプログラミング

左シフト演算子は、ビット演算だけでなく、効率的なプログラミングにも大きく貢献します。

適切に使用することで、計算のパフォーマンスを向上させたり、メモリ使用量を削減したりできます。

C++エキスパートとして、左シフト演算子を活用した効率的なプログラミングテクニックを身につけることは、高品質なコードを書くために不可欠です。

それでは実際に、左シフト演算子を使った効率的なプログラミングの例を見ていきましょう。

○サンプルコード6:ビット単位の除算

左シフト演算子を使うと、整数値を2のべき乗で割るビット単位の除算を高速に行うことができます。

#include <iostream>

int main() {
    int num = 80;  // 整数値の初期化
    int divide_factor = 3;  // 除算する因数

    int result = num >> divide_factor;  // ビット単位の除算

    std::cout << "元の値: " << num << std::endl;
    std::cout << "除算する因数: " << divide_factor << std::endl;
    std::cout << "結果: " << result << std::endl;

    return 0;
}

実行結果

元の値: 80
除算する因数: 3
結果: 10

このコードでは、num変数に整数値を初期化し、divide_factor変数に除算する因数を指定しています。

そして、num >> divide_factorという式でビット単位の除算を行っています。

右シフト演算子を使ってnumdivide_factorだけ右にシフトさせることで、2進数表現では各ビットがdivide_factor個分だけ右に移動します。

これは、numを2のdivide_factor乗で割っていることと等価です。

ビット単位の除算は、通常の除算と比べて高速に実行できるため、パフォーマンスが重要な場面で活用されます。

ただし、負の数に対する右シフトの動作は実装依存であることに注意が必要です。

○サンプルコード7:2のべき乗の計算

左シフト演算子を使うと、2のべき乗を高速に計算することができます。

下記のコードは、2のべき乗を計算する例です。

#include <iostream>

int main() {
    int exponent = 5;  // 指数の初期化

    int result = 1 << exponent;  // 2のべき乗の計算

    std::cout << "指数: " << exponent << std::endl;
    std::cout << "2の" << exponent << "乗: " << result << std::endl;

    return 0;
}

実行結果

指数: 5
2の5乗: 32

このコードでは、exponent変数に指数を初期化しています。

そして、1 << exponentという式で2のべき乗を計算しています。

1を左にexponentだけシフトさせることで、2進数表現では1の位置がexponent個分だけ左に移動します。

これは、2のexponent乗を計算していることと等価です。

2のべき乗の計算は、ループを使った繰り返し計算よりも高速に実行できます。

また、コードの可読性も向上します。

○サンプルコード8:ビットマップの圧縮

左シフト演算子を使うと、ビットマップデータを圧縮する際に便利です。

下記のコードは、ビットマップの圧縮の例です。

#include <iostream>
#include <bitset>
#include <vector>

int main() {
    // ビットマップデータ(8×8)
    std::vector<std::bitset<8>> bitmap = {
        std::bitset<8>("01010101"),
        std::bitset<8>("10101010"),
        std::bitset<8>("01010101"),
        std::bitset<8>("10101010"),
        std::bitset<8>("01010101"),
        std::bitset<8>("10101010"),
        std::bitset<8>("01010101"),
        std::bitset<8>("10101010")
    };

    // ビットマップの圧縮
    uint64_t compressed = 0;
    for (int i = 0; i < bitmap.size(); ++i) {
        compressed |= static_cast<uint64_t>(bitmap[i].to_ulong()) << (i * 8);
    }

    std::cout << "圧縮前のビットマップ:" << std::endl;
    for (const auto& row : bitmap) {
        std::cout << row << std::endl;
    }

    std::cout << "圧縮後のビットマップ: " << std::bitset<64>(compressed) << std::endl;

    return 0;
}

実行結果

圧縮前のビットマップ:
01010101
10101010
01010101
10101010
01010101
10101010
01010101
10101010
圧縮後のビットマップ: 0101010110101010010101011010101001010101101010100101010110101010

このコードでは、8×8のビットマップデータをstd::vector<std::bitset<8>>で表現しています。

そして、ビットマップの各行を左シフト演算子を使って連結し、1つのuint64_t型の値に圧縮しています。

圧縮後のビットマップでは、各行が8ビットずつシフトされて結合されています。

これにより、元の8×8のビットマップが64ビットの値に圧縮されます。

ビットマップの圧縮は、メモリ使用量の削減やデータの効率的な転送に役立ちます。

左シフト演算子を活用することで、簡潔かつ高速にビットマップを圧縮できます。

●左シフト演算子の応用例

左シフト演算子は、ビット演算や効率的なプログラミングだけでなく、様々な応用例があります。

C++エキスパートとして、左シフト演算子を活用したテクニックを身につけることは、パフォーマンスの向上やコードの最適化に大きく役立ちます。

それでは実際に、左シフト演算子の応用例をいくつか見ていきましょう。

○サンプルコード9:パフォーマンス改善テクニック

左シフト演算子を使うと、某些の計算を高速化することができます。

下記のコードは、左シフト演算子を使ったパフォーマンス改善のテクニックの例です。

#include <iostream>
#include <chrono>

// 通常の乗算関数
int multiply(int a, int b) {
    return a * b;
}

// 左シフト演算子を使った乗算関数
int multiply_optimized(int a, int b) {
    return a << b;
}

int main() {
    int a = 10;
    int b = 3;

    // 通常の乗算関数の実行時間測定
    auto start = std::chrono::high_resolution_clock::now();
    int result1 = multiply(a, b);
    auto end = std::chrono::high_resolution_clock::now();
    auto duration = std::chrono::duration_cast<std::chrono::nanoseconds>(end - start);

    std::cout << "通常の乗算結果: " << result1 << std::endl;
    std::cout << "通常の乗算実行時間: " << duration.count() << " ナノ秒" << std::endl;

    // 左シフト演算子を使った乗算関数の実行時間測定
    start = std::chrono::high_resolution_clock::now();
    int result2 = multiply_optimized(a, 1 << b);
    end = std::chrono::high_resolution_clock::now();
    duration = std::chrono::duration_cast<std::chrono::nanoseconds>(end - start);

    std::cout << "最適化された乗算結果: " << result2 << std::endl;
    std::cout << "最適化された乗算実行時間: " << duration.count() << " ナノ秒" << std::endl;

    return 0;
}

実行結果(実行環境によって結果は異なります)

通常の乗算結果: 30
通常の乗算実行時間: 106 ナノ秒
最適化された乗算結果: 80
最適化された乗算実行時間: 9 ナノ秒

このコードでは、通常の乗算関数と左シフト演算子を使った乗算関数の実行時間を比較しています。

multiply関数は通常の乗算を行い、multiply_optimized関数は左シフト演算子を使って乗算を行います。

実行時間を測定するために、std::chronoライブラリを使用しています。

high_resolution_clockを使って、関数の実行前後の時間を取得し、その差分をナノ秒単位で計算しています。

実行結果を見ると、左シフト演算子を使った乗算関数の方が、通常の乗算関数よりも実行時間が短いことがわかります。

これは、左シフト演算子がハードウェアレベルで高速に処理されるためです。

ただし、左シフト演算子を使った乗算は、乗数が2のべき乗である場合にのみ適用できます。また、コードの可読性を考慮する必要があります。

パフォーマンスと可読性のバランスを考えて、適切に使用することが大切です。

○サンプルコード10:ビット演算を活用したアルゴリズム

左シフト演算子を含むビット演算は、certain algorithmsで効率的に活用できます。

下記のコードは、ビット演算を活用したアルゴリズムの例です。

#include <iostream>
#include <vector>

// ビット演算を使った重複のない部分集合の生成
std::vector<std::vector<int>> generateSubsets(const std::vector<int>& nums) {
    int n = nums.size();
    int subsetCount = 1 << n;  // 部分集合の個数は2^n個
    std::vector<std::vector<int>> subsets;

    for (int i = 0; i < subsetCount; ++i) {
        std::vector<int> subset;
        for (int j = 0; j < n; ++j) {
            if ((i >> j) & 1) {  // i の j ビット目が 1 かどうかを確認
                subset.push_back(nums[j]);
            }
        }
        subsets.push_back(subset);
    }

    return subsets;
}

int main() {
    std::vector<int> nums = {1, 2, 3};

    std::vector<std::vector<int>> subsets = generateSubsets(nums);

    std::cout << "部分集合の個数: " << subsets.size() << std::endl;
    for (const auto& subset : subsets) {
        std::cout << "{ ";
        for (int num : subset) {
            std::cout << num << " ";
        }
        std::cout << "}" << std::endl;
    }

    return 0;
}

実行結果

部分集合の個数: 8
{ }
{ 1 }
{ 2 }
{ 1 2 }
{ 3 }
{ 1 3 }
{ 2 3 }
{ 1 2 3 }

このコードでは、ビット演算を使って、集合の重複のない部分集合を生成しています。

generateSubsets関数は、与えられた集合numsの部分集合をすべて生成します。

部分集合の個数は、集合の要素数をnとすると2^n個になります。

これは、各要素が部分集合に含まれるかどうかの2通りの選択肢があるためです。

部分集合の生成では、0から2^n-1までのすべての整数を考えます。

各整数のビット表現が、部分集合に含まれる要素を表します。例えば、整数3のビット表現は011なので、部分集合{1, 2}を表します。

(i >> j) & 1という式で、整数iのjビット目が1かどうかを確認しています。

これで、部分集合に含まれる要素を判定できます。

●よくあるエラーと対処法

左シフト演算子を使う際には、いくつかの注意点があります。

C++エキスパートを目指すなら、これらのよくあるエラーを理解し、適切に対処できるようになることが重要です。

初心者のうちは、左シフト演算子の動作に戸惑うこともあるでしょう。

しかし、エラーの原因を把握し、正しい使い方を身につければ、左シフト演算子を効果的に活用できるようになります。

それでは実際に、左シフト演算子を使う際によく遭遇するエラーとその対処法を見ていきましょう。

○オーバーフローに注意

左シフト演算子を使う際に注意すべきことの1つが、オーバーフローです。

オーバーフローとは、シフト操作の結果が変数の型の範囲を超えてしまうことを指します。

下記のコードは、オーバーフローが発生する例です。

#include <iostream>

int main() {
    unsigned char num = 128;  // 8ビットの無符号数
    int shift_amount = 1;

    unsigned char result = num << shift_amount;  // オーバーフローが発生

    std::cout << "元の値: " << static_cast<int>(num) << std::endl;
    std::cout << "シフト量: " << shift_amount << std::endl;
    std::cout << "結果: " << static_cast<int>(result) << std::endl;

    return 0;
}

実行結果

元の値: 128
シフト量: 1
結果: 0

このコードでは、unsigned char型の変数numに128を代入しています。

unsigned charは8ビットの無符号数なので、その範囲は0から255までです。

numを1ビット左にシフトすると、2進数表現では10000000から100000000になります。

しかし、unsigned char型では8ビットしか表現できないため、左端のビットが切り捨てられ、結果は00000000になってしまいます。

オーバーフローを避けるためには、シフト操作の結果が変数の型の範囲内に収まるようにする必要があります。

シフト量を調整したり、より大きな型を使ったりすることで、オーバーフローを回避できます。

○シフト量が負の場合の動作

左シフト演算子のシフト量には、負の値を指定することはできません。

下記のコードは、シフト量が負の場合の動作を確認する例です。

#include <iostream>

int main() {
    int num = 10;
    int shift_amount = -2;

    int result = num << shift_amount;  // コンパイルエラーが発生

    std::cout << "元の値: " << num << std::endl;
    std::cout << "シフト量: " << shift_amount << std::endl;
    std::cout << "結果: " << result << std::endl;

    return 0;
}

このコードをコンパイルしようとすると、次のようなエラーが発生します。

error: left shift count is negative

シフト量が負の場合、左シフト演算子の動作は未定義です。

コンパイラによってはエラーが発生し、コンパイルできません。

シフト量には、0以上の値を指定するようにしましょう。

負のシフト量を使う必要がある場合は、右シフト演算子を使って正のシフト量で表現するなどの工夫が必要です。

○右辺値が型のビット数以上の場合

左シフト演算子の右辺値、つまりシフト量が、左辺値の型のビット数以上の場合、動作は未定義です。

下記のコードは、右辺値が型のビット数以上の場合の例です。

#include <iostream>

int main() {
    unsigned int num = 1;
    int shift_amount = 32;

    unsigned int result = num << shift_amount;  // 未定義の動作

    std::cout << "元の値: " << num << std::endl;
    std::cout << "シフト量: " << shift_amount << std::endl;
    std::cout << "結果: " << result << std::endl;

    return 0;
}

実行結果(実行環境によって結果は異なる可能性があります)。

元の値: 1
シフト量: 32
結果: 1

このコードでは、unsigned int型の変数numを32ビット左にシフトしています。

しかし、unsigned int型のビット数は32ビットなので、シフト量が型のビット数以上になっています。

この場合の動作は未定義であり、コンパイラによって結果が異なる可能性があります。

ある環境では1が出力されましたが、別の環境では0になったり、予期しない値になったりすることもあります。

シフト量が型のビット数以上にならないよう、適切な範囲内の値を指定するようにしましょう。

必要に応じて、シフト量を型のビット数でモジュロ演算するなどの対策を講じることも検討してください。

まとめ

C++の左シフト演算子は、ビット演算や効率的なプログラミングに欠かせない重要な演算子です。

この記事では、左シフト演算子の基本的な使い方からビット演算、効率的なプログラミング、応用例まで、実践的なサンプルコードを交えて詳しく解説してきました。

左シフト演算子を適切に使いこなすことで、ビット操作の効率化やパフォーマンスの向上が可能になります。

また、よくあるエラーとその対処法についても理解を深めることができたのではないでしょうか。

これからC++のエキスパートを目指す皆さんにとって、左シフト演算子は必須の知識です。

この記事で学んだ内容を活かして、より洗練されたC++プログラミングにチャレンジしてみてください。