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Verilognにおけるcase文とbegin endの使い方と活用12選

begin end 徹底解説 Verilog
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この記事では、プログラム(回路記述)の基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

本記事のサンプルコードを活用して機能追加、目的を達成できるように作ってありますので、是非ご活用ください。

※この記事は、一般的にプロフェッショナルの指標とされる『実務経験10,000時間以上』を満たす現役のプログラマチームによって監修されています。

※Japanシーモアは、常に解説内容のわかりやすさや記事の品質に注力しております。不具合、分かりにくい説明や不適切な表現、動かないコードなど気になることがございましたら、記事の品質向上の為にお問い合わせフォームにてご共有いただけますと幸いです。
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●Verilogのcase文とbegin endとは?

デジタル回路設計の分野では、Verilog言語が広く使われています。

この言語の中で、特に重要な役割を果たす構文が「case文」と「begin end」です。

初めてこれらの構文に触れる方々にとって、その重要性を理解することは、より効率的な回路設計への第一歩となります。

○case文の基本

case文は、複数の条件に応じて異なる処理を行うための制御構造です。

プログラミング言語のswitch文に似た働きをします。

回路設計において、様々な入力信号に対応して異なる出力を生成する際に非常に有用です。

case文の基本的な構造は次のようになります。

case (expression)
  value1: statement1;
  value2: statement2;
  ...
  default: default_statement;
endcase

expression部分に指定された式の値と一致するvalue部分の処理が実行されます。

どの値とも一致しない場合は、default部分が実行されます。

○begin endの使い方

begin endは、複数の文をひとまとまりのブロックとして扱うために使用します。

複数の処理をまとめて実行したい場合や、条件分岐の中で複数の処理を行いたい場合に活用できます。

begin endの基本的な使い方は次の通りです。

begin
  statement1;
  statement2;
  ...
  statementN;
end

begin endで囲まれた部分は、1つの処理単位として扱われます。

この構造により、複雑な処理をより整理された形で記述できるようになります。

○サンプルコード1:基本的なcase文の構造

それでは、case文とbegin endを組み合わせた基本的な例を見てみましょう。

ここでは、2ビットの入力に応じて異なる出力を生成する簡単な回路のコードを紹介します。

module simple_case(
  input [1:0] in,
  output reg [1:0] out
);

always @(*) begin
  case(in)
    2'b00: out = 2'b11;
    2'b01: out = 2'b10;
    2'b10: out = 2'b01;
    2'b11: out = 2'b00;
  endcase
end

endmodule

このコードでは、2ビットの入力信号inに応じて、outに異なる値を割り当てています。

case文によって入力値を判断し、対応する出力値を設定しています。

begin endブロックは、always文の中で使用されており、複数の処理(この場合はcase文全体)をまとめています。

この回路の動作を確認するためには、テストベンチを作成して実行できます。

テストベンチの例は次のようになります。

module testbench;
  reg [1:0] in;
  wire [1:0] out;

  simple_case uut (
    .in(in),
    .out(out)
  );

  initial begin
    $monitor("Time=%0t in=%b out=%b", $time, in, out);
    in = 2'b00; #10;
    in = 2'b01; #10;
    in = 2'b10; #10;
    in = 2'b11; #10;
    $finish;
  end
endmodule

このテストベンチを実行すると、次のような結果が得られます。

Time=0 in=00 out=11
Time=10 in=01 out=10
Time=20 in=10 out=01
Time=30 in=11 out=00

結果から、入力信号inの値に応じて、outが正しく変化していることが確認できます。

●case文とbegin endの実践的活用法

case文とbegin endの基本を理解したところで、より実践的な使用方法を探っていきましょう。

実際の回路設計では、これらの構文をさまざまな方法で組み合わせて使用します。

○サンプルコード2:コンビネーション回路でのcase文

コンビネーション回路は、現在の入力のみに基づいて出力を決定する回路です。

case文は、このような回路の設計に非常に適しています。

次のコードは、4ビットの入力を受け取り、その値に応じて異なる演算を行う回路の例です。

module combo_logic(
  input [3:0] a, b,
  input [1:0] op,
  output reg [4:0] result
);

always @(*) begin
  case(op)
    2'b00: result = a + b;
    2'b01: result = a - b;
    2'b10: result = a & b;
    2'b11: result = a | b;
  endcase
end

endmodule

このモジュールでは、opの値に応じて異なる演算(加算、減算、ビット単位のAND、ビット単位のOR)を行います。

case文によって、操作の種類を簡潔に切り替えることができています。

○サンプルコード3:begin endを使った複雑な処理

begin endは、複数の文を1つのブロックとしてまとめるために使用されます。

特に、if文やcase文の中で複数の処理を行う場合に有用です。

ここでは、ステートマシンの一部を模した例を紹介します。

module state_machine(
  input clk, reset,
  input [1:0] input_signal,
  output reg [2:0] state
);

always @(posedge clk or posedge reset) begin
  if (reset) begin
    state <= 3'b000;
  end else begin
    case(state)
      3'b000: begin
        if (input_signal == 2'b11) begin
          state <= 3'b001;
        end else begin
          state <= 3'b000;
        end
      end
      3'b001: begin
        if (input_signal == 2'b00) begin
          state <= 3'b010;
        end else if (input_signal == 2'b11) begin
          state <= 3'b011;
        end else begin
          state <= 3'b001;
        end
      end
      default: state <= 3'b000;
    endcase
  end
end

endmodule

ここでは、begin endを使用して、各状態での複雑な条件分岐と状態遷移を表現しています。

各状態内で複数の条件を確認し、適切な次の状態を設定しています。

○サンプルコード4:assign文とcase文の組み合わせ

assign文は、組み合わせ論理回路を記述する際によく使用されます。

case文と組み合わせることで、より複雑な条件に基づいた信号の割り当てが可能になります。

ここでは、複数の入力信号に基づいて出力を決定する回路の例を紹介します。

module priority_encoder(
  input [3:0] request,
  output reg [1:0] grant,
  output reg valid
);

always @(*) begin
  case(1'b1)  // 最初に1が現れる位置を探す
    request[3]: begin
      grant = 2'b11;
      valid = 1'b1;
    end
    request[2]: begin
      grant = 2'b10;
      valid = 1'b1;
    end
    request[1]: begin
      grant = 2'b01;
      valid = 1'b1;
    end
    request[0]: begin
      grant = 2'b00;
      valid = 1'b1;
    end
    default: begin
      grant = 2'b00;
      valid = 1'b0;
    end
  endcase
end

endmodule

この例では、4ビットの要求信号(request)を受け取り、最も優先度の高い(最上位の)アクティブな要求に対応するgrant信号を生成します。

case文を使用することで、優先順位付けを簡潔に表現しています。

○サンプルコード5:配列を活用したcase文の応用

Verilogでは、配列とcase文を組み合わせることで、より柔軟な条件分岐を実現できます。

ここでは、ルックアップテーブルを使用して、入力値に応じた出力を生成する回路の例を紹介します。

module lookup_table(
  input [2:0] address,
  output reg [7:0] data
);

reg [7:0] memory [0:7];  // 8エントリの8ビット幅メモリ

initial begin
  memory[0] = 8'h00;
  memory[1] = 8'h0F;
  memory[2] = 8'hF0;
  memory[3] = 8'hFF;
  memory[4] = 8'h55;
  memory[5] = 8'hAA;
  memory[6] = 8'h33;
  memory[7] = 8'hCC;
end

always @(*) begin
  case(address)
    3'b000: data = memory[0];
    3'b001: data = memory[1];
    3'b010: data = memory[2];
    3'b011: data = memory[3];
    3'b100: data = memory[4];
    3'b101: data = memory[5];
    3'b110: data = memory[6];
    3'b111: data = memory[7];
  endcase
end

endmodule

このモジュールでは、3ビットのアドレス信号に基づいて、事前に定義された8ビットのデータを出力します。

case文を使用することで、アドレスに応じた適切なメモリエントリの選択を簡潔に表現しています。

●SystemVerilogでの進化

Verilogの分野は常に進化を続けています。

そんな中で生まれたSystemVerilogは、従来のVerilogに多くの新機能を追加し、より強力な設計ツールとなりました。

case文やbegin end構文もSystemVerilogで大きく進化を遂げ、設計者たちに新たな可能性を提供しています。

○サンプルコード6:SystemVerilogのcase文新機能

SystemVerilogでは、case文に新たな機能が追加されました。その中でも特に注目すべきは「unique case」と「priority case」です。

module advanced_case(
  input [3:0] selector,
  input [7:0] data_in,
  output reg [7:0] data_out
);

always_comb begin
  unique case (selector)
    4'b0001: data_out = data_in + 8'd1;
    4'b0010: data_out = data_in - 8'd1;
    4'b0100: data_out = data_in << 1;
    4'b1000: data_out = data_in >> 1;
    default: data_out = data_in;
  endcase
end

endmodule

このコードでは、「unique case」を使用しています。

unique caseは、複数の条件が同時に真になることがないことを保証します。

もし複数の条件が真になる可能性がある場合、コンパイラは警告を発します。

priority caseも同様の機能を持ちますが、条件の優先順位も考慮します。

○サンプルコード7:拡張されたbegin end構文の活用

SystemVerilogでは、begin endブロックにも新たな機能が追加されました。

特に注目すべきは「fork join」構文です。

fork joinを使うと、並列処理を簡単に記述できます。

module parallel_tasks;
  int result1, result2;

  initial begin
    fork
      begin
        #10;
        result1 = 10;
      end
      begin
        #20;
        result2 = 20;
      end
    join

    $display("Result1 = %d, Result2 = %d", result1, result2);
  end
endmodule

fork joinブロック内の2つのbegin endブロックは並列に実行されます。

最初のブロックは10時間単位後に実行され、2つ目のブロックは20時間単位後に実行されます。

joinによって、両方のブロックが完了するまで待機します。

○サンプルコード8:パラメータ化されたcase文

SystemVerilogでは、パラメータを使用してより柔軟なデザインを作成できます。

case文もパラメータ化が可能になり、再利用性の高いコードが書けるようになりました。

module parameterized_case #(
  parameter int WIDTH = 4,
  parameter logic [WIDTH-1:0] THRESHOLD = '1
)(
  input logic [WIDTH-1:0] data,
  output logic result
);

always_comb begin
  case (data)
    THRESHOLD: result = 1'b1;
    default: result = 1'b0;
  endcase
end

endmodule

このモジュールでは、WIDTHパラメータによってデータ幅を、THRESHOLDパラメータによって閾値を設定できます。

パラメータ化により、同じコードを異なる設定で再利用できるようになります。

●よくあるエラーと対処法

Verilogやそれに類するHDL言語の有用性は明らかですが、他のプログラミング言語と同様に、一定の問題やエラーに直面することがあります。

ここでは、設計者が遭遇する頻度の高い問題について説明し、解決策を提案します。

○case文での不完全な分岐の罠

case文を使用する際、全ての可能性を網羅していないと、予期せぬ動作を引き起こす可能性があります。

module incomplete_case(
  input [1:0] select,
  output reg [3:0] result
);

always @(*) begin
  case(select)
    2'b00: result = 4'b0001;
    2'b01: result = 4'b0010;
    2'b10: result = 4'b0100;
  endcase
end

endmodule

この例では、select信号が2’b11の場合の処理が定義されていません。

結果として、未定義の動作が発生する可能性があります。

対策として、必ずdefaultケースを設定するか、または全ての可能性を明示的に記述することをおすすめします。

always @(*) begin
  case(select)
    2'b00: result = 4'b0001;
    2'b01: result = 4'b0010;
    2'b10: result = 4'b0100;
    default: result = 4'b0000;  // デフォルトケースを追加
  endcase
end

○begin endのスコープ関連のミス

begin endブロックを使用する際、変数のスコープに関連するミスが発生することがあります。

module scope_mistake(
  input clk,
  input reset,
  output reg [7:0] count
);

always @(posedge clk or posedge reset) begin
  if (reset) begin
    count = 8'b0;
  end
  else begin
    reg [7:0] temp;  // ここでtempを宣言
    temp = count + 1;
    count = temp;
  end
end

endmodule

このコードでは、tempがbegin endブロック内で宣言されているため、各クロックサイクルごとに新しいtempが作成されます。

これは非効率的で、場合によっては合成時にエラーを引き起こす可能性があります。

対策として、変数はモジュールレベルで宣言することをおすすめします。

module scope_fixed(
  input clk,
  input reset,
  output reg [7:0] count
);

reg [7:0] temp;  // モジュールレベルでtempを宣言

always @(posedge clk or posedge reset) begin
  if (reset) begin
    count = 8'b0;
  end
  else begin
    temp = count + 1;
    count = temp;
  end
end

endmodule

○タイミング違反を引き起こすcase文の使用

case文の不適切な使用は、タイミング違反を引き起こす可能性があります。

特に大規模なcase文や、複雑な条件を含むcase文は注意が必要です。

module timing_violation(
  input clk,
  input [7:0] data,
  output reg [7:0] result
);

always @(posedge clk) begin
  case(data)
    8'h00: result = 8'h11;
    8'h01: result = 8'h22;
    8'h02: result = 8'h33;
    // ... 多数のcase文が続く ...
    8'hFE: result = 8'hEE;
    8'hFF: result = 8'hFF;
  endcase
end

endmodule

このような大規模なcase文は、合成後に長い組み合わせ論理パスを生成し、タイミング違反を引き起こす可能性があります。

対策として、case文を小さく分割したり、パイプライン化を検討したりすることをおすすめします。

module timing_improved(
  input clk,
  input [7:0] data,
  output reg [7:0] result
);

reg [7:0] intermediate;

always @(posedge clk) begin
  case(data[3:0])
    4'h0: intermediate = 8'h10;
    4'h1: intermediate = 8'h20;
    // ... 少ないcase文 ...
    4'hF: intermediate = 8'hF0;
  endcase
end

always @(posedge clk) begin
  case(data[7:4])
    4'h0: result = intermediate + 8'h01;
    4'h1: result = intermediate + 8'h02;
    // ... 少ないcase文 ...
    4'hF: result = intermediate + 8'h0F;
  endcase
end

endmodule

このように、case文を2段階に分割することで、各ステージの組み合わせ論理パスを短くし、タイミング違反のリスクを軽減できます。

●RTL設計における応用例

RTL(Register Transfer Level)設計は、デジタル回路設計の核心部分です。

case文とbegin endの組み合わせは、RTL設計において非常に重要な役割を果たします。

実際の設計現場で遭遇する可能性が高い、複雑な回路の実装例を見ていきましょう。

○サンプルコード9:ステートマシンの実装

ステートマシンは、デジタル回路設計において頻繁に使用される構造です。

case文とbegin endを使用することで、複雑なステートマシンを簡潔に表現できます。

module traffic_light_controller(
  input wire clk,
  input wire reset,
  output reg [2:0] light_NS,  // 000: R, 001: Y, 010: G
  output reg [2:0] light_EW   // 000: R, 001: Y, 010: G
);

  // 状態の定義
  localparam S_NS_G = 2'b00,
             S_NS_Y = 2'b01,
             S_EW_G = 2'b10,
             S_EW_Y = 2'b11;

  reg [1:0] state, next_state;
  reg [3:0] timer;

  // 状態遷移ロジック
  always @(posedge clk or posedge reset) begin
    if (reset)
      state <= S_NS_G;
    else
      state <= next_state;
  end

  // 次の状態と出力の決定
  always @(*) begin
    case (state)
      S_NS_G: begin
        light_NS = 3'b010;
        light_EW = 3'b100;
        if (timer == 4'd10)
          next_state = S_NS_Y;
        else
          next_state = S_NS_G;
      end
      S_NS_Y: begin
        light_NS = 3'b001;
        light_EW = 3'b100;
        if (timer == 4'd3)
          next_state = S_EW_G;
        else
          next_state = S_NS_Y;
      end
      S_EW_G: begin
        light_NS = 3'b100;
        light_EW = 3'b010;
        if (timer == 4'd10)
          next_state = S_EW_Y;
        else
          next_state = S_EW_G;
      end
      S_EW_Y: begin
        light_NS = 3'b100;
        light_EW = 3'b001;
        if (timer == 4'd3)
          next_state = S_NS_G;
        else
          next_state = S_EW_Y;
      end
    endcase
  end

  // タイマーロジック
  always @(posedge clk or posedge reset) begin
    if (reset)
      timer <= 4'd0;
    else if ((state == S_NS_G && timer == 4'd10) ||
             (state == S_NS_Y && timer == 4'd3) ||
             (state == S_EW_G && timer == 4'd10) ||
             (state == S_EW_Y && timer == 4'd3))
      timer <= 4'd0;
    else
      timer <= timer + 1;
  end

endmodule

このコードは、南北(NS)と東西(EW)の交差点の信号機を制御するステートマシンを実装しています。

case文を使用して各状態での動作を定義し、begin endブロックで複数の処理をグループ化しています。

○サンプルコード10:複雑な条件付き信号処理

実際の回路設計では、複数の条件に基づいて信号を処理する必要がある場合があります。

case文とbegin endを組み合わせることで、複雑な条件付き信号処理を効率的に記述できます。

module signal_processor(
  input wire clk,
  input wire reset,
  input wire [7:0] data_in,
  input wire [1:0] mode,
  output reg [7:0] data_out
);

  reg [7:0] temp_data;

  always @(posedge clk or posedge reset) begin
    if (reset) begin
      data_out <= 8'b0;
      temp_data <= 8'b0;
    end else begin
      case (mode)
        2'b00: begin  // パススルーモード
          data_out <= data_in;
        end
        2'b01: begin  // 累積モード
          temp_data <= temp_data + data_in;
          data_out <= temp_data;
        end
        2'b10: begin  // 閾値モード
          if (data_in > 8'd127) begin
            data_out <= 8'd255;
          end else if (data_in < 8'd64) begin
            data_out <= 8'd0;
          end else begin
            data_out <= data_in;
          end
        end
        2'b11: begin  // ビット反転モード
          data_out <= ~data_in;
        end
      endcase
    end
  end

endmodule

このモジュールは、入力信号に対して4つの異なる処理モードを実装しています。

case文を使用して各モードを選択し、begin endブロックで各モードの処理を定義しています。

○サンプルコード11:パイプライン処理の最適化

高性能な回路設計では、パイプライン処理が重要です。

case文とbegin endを使用してパイプラインステージを実装し、処理を最適化できます。

module pipelined_multiply_accumulate(
  input wire clk,
  input wire reset,
  input wire [7:0] a,
  input wire [7:0] b,
  input wire [1:0] opcode,
  output reg [15:0] result
);

  reg [7:0] a_reg, b_reg;
  reg [1:0] opcode_reg;
  reg [15:0] mult_result;
  reg [15:0] acc_result;

  // パイプラインステージ1: 入力レジスタ
  always @(posedge clk or posedge reset) begin
    if (reset) begin
      a_reg <= 8'b0;
      b_reg <= 8'b0;
      opcode_reg <= 2'b0;
    end else begin
      a_reg <= a;
      b_reg <= b;
      opcode_reg <= opcode;
    end
  end

  // パイプラインステージ2: 乗算
  always @(posedge clk or posedge reset) begin
    if (reset)
      mult_result <= 16'b0;
    else
      mult_result <= a_reg * b_reg;
  end

  // パイプラインステージ3: 累積と結果出力
  always @(posedge clk or posedge reset) begin
    if (reset) begin
      acc_result <= 16'b0;
      result <= 16'b0;
    end else begin
      case (opcode_reg)
        2'b00: begin  // 乗算のみ
          result <= mult_result;
          acc_result <= 16'b0;
        end
        2'b01: begin  // 乗算と累積
          acc_result <= acc_result + mult_result;
          result <= acc_result + mult_result;
        end
        2'b10: begin  // 累積のリセット
          acc_result <= 16'b0;
          result <= 16'b0;
        end
        2'b11: begin  // 現在の累積値を出力
          result <= acc_result;
        end
      endcase
    end
  end

endmodule

このモジュールは、3ステージのパイプラインで乗算累積演算を実装しています。

各ステージでcase文とbegin endを使用して、異なる処理を定義しています。

○サンプルコード12:高度なデバッグ技法

複雑な回路のデバッグは困難を極めます。

case文とbegin endを使用して、高度なデバッグ機能を実装できます。

module debug_module(
  input wire clk,
  input wire reset,
  input wire [7:0] data_in,
  input wire [2:0] debug_select,
  output reg [31:0] debug_out
);

  reg [7:0] data_history [0:3];
  reg [31:0] error_count;
  reg [31:0] overflow_count;

  integer i;

  always @(posedge clk or posedge reset) begin
    if (reset) begin
      for (i = 0; i < 4; i = i + 1)
        data_history[i] <= 8'b0;
      error_count <= 32'b0;
      overflow_count <= 32'b0;
    end else begin
      // データヒストリーの更新
      for (i = 3; i > 0; i = i - 1)
        data_history[i] <= data_history[i-1];
      data_history[0] <= data_in;

      // エラーカウントの更新
      if (data_in == 8'hFF)
        error_count <= error_count + 1;

      // オーバーフローカウントの更新
      if (data_in == 8'h00 && data_history[0] == 8'hFF)
        overflow_count <= overflow_count + 1;
    end
  end

  // デバッグ出力の選択
  always @(*) begin
    case (debug_select)
      3'b000: debug_out = {data_history[3], data_history[2], data_history[1], data_history[0]};
      3'b001: debug_out = {24'b0, data_in};
      3'b010: debug_out = error_count;
      3'b011: debug_out = overflow_count;
      3'b100: debug_out = {24'b0, data_history[0]};
      3'b101: debug_out = {24'b0, data_history[1]};
      3'b110: debug_out = {24'b0, data_history[2]};
      3'b111: debug_out = {24'b0, data_history[3]};
    endcase
  end

endmodule

このデバッグモジュールは、入力データの履歴、エラーカウント、オーバーフローカウントなど、様々なデバッグ情報を提供します。

case文を使用して、デバッグ情報の選択を実装しています。

まとめ

case文とbegin endは、Verilog言語において非常に重要な構文です。基本的な使い方から高度な応用まで、幅広い場面で活用できます。

ステートマシンの実装、複雑な条件付き信号処理、パイプライン処理の最適化、高度なデバッグ機能の実装など、実際の回路設計で遭遇する様々な課題に対応できます。

新しい技術や手法を積極的に学び、実際の設計に適用していくことで、より効率的で信頼性の高い回路設計が可能になるでしょう。