Pythonで理解する標準偏差の手順10選

Pythonと標準偏差の学習の手引きとなるイメージPython

 

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この記事では、プログラムの基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

基本的な知識があればカスタムコードを使って機能追加、目的を達成できるように作ってあります。

※この記事は、一般的にプロフェッショナルの指標とされる『実務経験10000時間以上』を満たすプログラマ集団によって監修されています。

はじめに

Pythonを使って、データの標準偏差を計算する方法を学ぶことは非常に重要です。

なぜなら、標準偏差はデータのばらつきや変動を数値化し、それがどれだけ平均値から散らばっているかを理解するための強力なツールだからです。

この記事では、Pythonで標準偏差を計算する具体的な手順を10個紹介します。コードを実際に実行しながら一緒に学びましょう。

●Pythonとは

Pythonは、そのシンプルさと可読性から多くの開発者に愛されているプログラミング言語です。

初心者にとっても学びやすく、またデータ分析や機械学習、Web開発など幅広い分野で利用されています。

●標準偏差とは

標準偏差は、データが平均値からどれだけ散らばっているかを測るための統計的な尺度です。

値が大きければ大きいほど、データは平均値から広く散らばっています。

標準偏差を計算することで、データの分布の概観をつかむことができます。

●Pythonで標準偏差を計算する手順

○Pythonのインストール方法

Pythonを使用するためには、まずPythonをインストールする必要があります。

公式ウェブサイトからダウンロードしてインストールすることができます。

その際、最新の安定版を選択してください。

○Pythonの基本的な構文

Pythonを使って標準偏差を計算するためには、基本的なPythonの構文を理解する必要があります。

例えば、変数の定義、リストの作成、forループ、if文などの基本的な構文が使用されます。

○Pythonでの標準偏差の計算方法

Pythonで標準偏差を計算するための基本的な手順は次のようになります。まず、データのリストを作成します。

次に、データの平均を計算し、各データと平均との差の二乗を求めます。その結果をすべて加えて平均を取り、その平方根を計算します。

これが標準偏差です。

これからは、具体的なサンプルコードを交えて、Pythonでの標準偏差の計算方法を詳しく解説していきます。

○サンプルコード1:リストの標準偏差

このコードでは、Pythonの基本的な機能だけを使ってリストの標準偏差を計算しています。

この例では、数値のリストを作り、それらの標準偏差を計算しています。

data = [1, 2, 3, 4, 5]
mean = sum(data) / len(data)
variance = sum((x - mean) ** 2 for x in data) / len(data)
std_dev = variance ** 0.5
print(std_dev)

このコードを実行すると、リストdataの標準偏差が出力されます。

リストの各要素から平均値を引き、それを二乗して総和を取り、リストの要素数で割ることで分散を計算します。

その分散の平方根が標準偏差です。これは標準偏差の定義に基づいています。

○サンプルコード2:NumPyを用いた標準偏差の計算

NumPyは、Pythonで数値計算を行うためのライブラリで、大量のデータの標準偏差を簡単に計算することができます。

次のコードではNumPyを使って標準偏差を計算しています。

import numpy as np

data = np.array([1, 2, 3, 4, 5])
std_dev = np.std(data)
print(std_dev)

このコードを実行すると、リストdataの標準偏差が出力されます。

NumPyのstd関数を使うことで、簡単に標準偏差を計算することができます。

このように、Pythonのライブラリを使うことで、より簡単に、より効率的に標準偏差を計算することができます。

○サンプルコード3:DataFrameの標準偏差

次に、Pythonの強力なライブラリであるPandasの一部として存在するDataFrameを使用した標準偏差の計算方法を見ていきましょう。

このコードではPandasを使ってDataFrameを作成し、DataFrameの各列の標準偏差を計算しています。

まずはじめにPandasライブラリをインポートします。

import pandas as pd

次に、DataFrameを作成します。

今回は例として、3つの列A、B、Cを持つDataFrameを作成します。

それぞれの列にはランダムな数値を設定します。

df = pd.DataFrame({
    'A': [1, 2, 3, 4, 5],
    'B': [2, 3, 4, 5, 6],
    'C': [3, 4, 5, 6, 7]
})

そして、作成したDataFrameの各列の標準偏差を計算します。

PandasのDataFrameには.std()というメソッドが用意されており、これを使うと各列の標準偏差を一度に計算できます。

std = df.std()
print(std)

このコードを実行すると、出力結果は以下のようになります。

A    1.581139
B    1.581139
C    1.581139
dtype: float64

上記の結果から、A、B、Cの3つの列すべての標準偏差が同じであることがわかります。

それぞれの列で値が1ずつ増えているため、この結果は予想通りです。

こうしたDataFrameに対する標準偏差の計算は、大量のデータを扱うデータ分析の現場で頻繁に用いられます。

例えば、複数の特徴量を持つデータセットに対して、各特徴量の分布の散らばり具合を確認する際などに使用できます。

○サンプルコード4:条件を指定した標準偏差

次に、条件を指定して標準偏差を計算する方法について説明します。

このコードでは、ある条件を満たすデータのみを対象に標準偏差を計算します。

まずはじめに、条件指定に使用するデータをリストとして用意します。

data = [1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10]

次に、このリストから条件を満たすデータを抽出します。

ここでは、値が5以上のデータを対象とします。

filtered_data = [i for i in data if i >= 5]

そして、抽出したデータの標準偏差を計算します。

import statistics
std = statistics.stdev(filtered_data)
print(std)

このコードを実行すると、出力結果は次のようになります。

1.8708286933869707

○サンプルコード5:二次元配列の標準偏差

二次元配列の標準偏差を計算する際にはnumpyモジュールを使います。

このサンプルコードでは、numpyを使って二次元配列を作成し、その配列の標準偏差を計算する方法を紹介します。

この例では、Pythonのnumpy.array関数を使って二次元配列を作成し、numpy.std関数を使ってその配列の標準偏差を計算しています。

import numpy as np

# 二次元配列の作成
data = np.array([[1, 2, 3], [4, 5, 6], [7, 8, 9]])

# 標準偏差の計算
std_dev = np.std(data)

print(std_dev)

このコードを実行すると、配列内の全ての値についての標準偏差が計算され、その結果が出力されます。

numpy.std関数は、デフォルトでは与えられた配列の全ての要素を一つの集合とみなして標準偏差を計算します。

この計算結果として、値が2.581988897471611と表示されます。これは、データ全体の標準偏差を表しています。

しかし、二次元配列に対して行ごと、または列ごとに標準偏差を計算したい場合もあります。

その場合は、numpy.std関数に引数を指定します。

引数のaxis=0は列ごと、axis=1は行ごとの標準偏差を計算します。

import numpy as np

# 二次元配列の作成
data = np.array([[1, 2, 3], [4, 5, 6], [7, 8, 9]])

# 列ごとの標準偏差の計算
std_dev_columns = np.std(data, axis=0)

# 行ごとの標準偏差の計算
std_dev_rows = np.std(data, axis=1)

print(std_dev_columns)
print(std_dev_rows)

このコードを実行すると、最初に列ごとの標準偏差が、次に行ごとの標準偏差が計算されて表示されます。

列ごとの標準偏差は [2.82842712 2.82842712 2.82842712] となり、行ごとの標準偏差は [0.81649658 0.81649658 0.81649658] となります。

二次元配列に対する標準偏差の計算は、データ分析や機械学習などの分野で広く使われています。

例えば、画像データは色の強度を表す数値の二次元配列として扱われることが多く、画像のコントラスト(明るさの標準偏差)を計算する際にこの方法が用いられます。

また、機械学習における特徴量の標準化など、個々の特徴量(列)の分布を正規分布に近づけるために、各特徴量の標準偏差を求めることがあります。

特に、グラディエント降下法を用いた機械学習アルゴリズムでは、特徴量のスケールを揃えるためにこの操作が必要となります。

○サンプルコード6:csvファイルからの標準偏差の計算

次に、Pythonを使用してcsvファイルからデータを取り込み、その標準偏差を計算する手順を解説します。

この手順はデータ解析で頻繁に用いられます。

ここでは、pandasというライブラリを使用してcsvファイルを読み込み、numpyを使用して標準偏差を計算します。

また、サンプルデータとして’example.csv’というファイルを想定します。それには数値データが複数列に渡って格納されているとします。

import pandas as pd
import numpy as np

# CSVファイルからデータを読み込みます
data = pd.read_csv('example.csv')

# データの標準偏差を計算します
std_dev = data.std()

# 結果を表示します
print(std_dev)

このコードでは、まずpandasのread_csv関数を使ってCSVファイルを読み込みます。

次に、読み込んだデータフレーム(表形式のデータ)のstdメソッドを使って各列の標準偏差を計算します。

計算結果はstd_devという変数に格納され、最後にその内容をprint関数で表示します。

実行結果は、csvファイルの各列の標準偏差を表示します。

表示される標準偏差の数はcsvファイルの列数と同じになります。

●Pythonでの標準偏差計算の注意点と対処法

Pythonで標準偏差を計算する際の注意点をいくつか挙げます。

まず一つ目は、データが全くない(つまり、空の配列やリスト)場合の標準偏差を計算しようとするとエラーになるという点です。

この場合、計算前にデータの存在を確認するか、try-except文を使用してエラーハンドリングを行うと良いでしょう。

import numpy as np

data = []

# データが存在する場合のみ標準偏差を計算する
if data:
    print(np.std(data))
else:
    print("データが存在しません")

二つ目の注意点は、numpyのstd関数はデフォルトで不偏標準偏差ではなく、標本標準偏差を計算するという点です。

不偏標準偏差を計算するには、std関数の引数に’ddof=1’を追加する必要があります。

import numpy as np

data = [1, 2, 3, 4, 5]

# 不偏標準偏差を計算する
print(np.std(data, ddof=1))

このように、Pythonで標準偏差を計算する際には注意点がいくつかありますが、適切な対処法を用いることで問題なく標準偏差を計算できます。

これらの注意点と対処法を頭に入れておくことで、Pythonでのデータ分析がさらにスムーズに行えるようになります。

●Pythonと標準偏差計算の応用例

Pythonでの標準偏差の計算は多種多様な場面で応用可能です。

例えば、金融市場のリスク分析では、株価や為替レートの変動幅(ボラティリティ)を測るのに標準偏差が使用されます。

この記事では、その基本的な方法をいくつか紹介してきましたが、Pythonの可能性は無限大です。

標準偏差の計算はその一部にすぎません。

さまざまなライブラリを組み合わせて使うことで、Pythonの真価を発揮することができます。

それでは、サンプルコードと共に、4つ紹介していきます。

○サンプルコード7:データ分析における標準偏差の使用

データ分析において、標準偏差はデータの散らばり具合を評価するために重要な指標です。

一般的に、標準偏差が大きいほど、データは平均値から広く分布していると解釈されます。

反対に、標準偏差が小さいほど、データは平均値の近くに集まっていると解釈されます。

この特性を利用して、具体的なデータ分析を行ってみましょう。

下記のサンプルコードでは、PythonのライブラリであるNumPyを使って、ランダムな100個のデータを生成し、その標準偏差を計算します。

import numpy as np

# ランダムな100個のデータを生成
data = np.random.rand(100)

# 標準偏差を計算
std_dev = np.std(data)

# 結果を表示
print(f"データの標準偏差: {std_dev}")

このコードでは、np.random.rand(100)を使って0から1までの範囲でランダムな実数を100個生成しています。

次に、np.std(data)でこれらのデータの標準偏差を計算しています。

実行すると、”データの標準偏差: 数値”という形式で標準偏差が出力されます。

この値が大きければデータは広く分布し、小さければデータは平均値の近くに集まっていると解釈します。

このように、Pythonを使用すれば手元のデータからすぐに標準偏差を計算し、データの特性を把握することができます。

標準偏差はデータ分析の基本的な手法であり、PythonのNumPyライブラリを用いることで容易に計算できるため、覚えておくと便利です。

○サンプルコード8:機械学習における標準偏差の使用

標準偏差は、機械学習の一部である特徴量のスケーリングにおいても利用されます。

特徴量のスケーリングとは、各特徴量が異なる尺度で測定されているときに、それらを同一の尺度に揃える手法のことを言います。

これにより、モデルの学習が効率的に行えるようになります。

下記のサンプルコードは、Pythonの機械学習ライブラリであるscikit-learnのStandardScalerを用いて特徴量のスケーリングを行い、その結果を出力するものです。

from sklearn.preprocessing import StandardScaler

# 特徴量データの作成
features = np.array([[1, 10, 100],
                     [2, 20, 200],
                     [3, 30, 300],
                     [4, 40, 400]])

# StandardScalerのインスタンスを作成
scaler = StandardScaler()

# 特徴量データのスケーリング
features_scaled = scaler.fit_transform(features)

# 結果を表示
print(features_scaled)

このコードでは、StandardScalerを用いて特徴量のスケーリングを行なっています。

StandardScalerは、各特徴量の平均を0、標準偏差を1に変換することでスケーリングを行います。

実行結果を見ると、各特徴量の平均が0、標準偏差が1に近い値になっていることが分かります。

これにより、様々な尺度で測定された特徴量が同一の尺度に揃えられ、機械学習モデルの学習がより効率的に行えるようになります。

○サンプルコード9:画像処理における標準偏差の使用

Pythonには、画像処理のためのライブラリとしてPIL(Python Imaging Library)があります。

このライブラリを使うことで、画像データの読み込み、表示、保存、さらには様々な加工処理を行うことができます。

下記のサンプルコードは、PILを用いて画像のコントラストを標準偏差で調整するものです。

from PIL import Image, ImageStat

# 画像の読み込み
img = Image.open("sample.jpg")

# 画像のRGB各チャンネルの平均と標準偏差を計算
stat = ImageStat.Stat(img)
mean = stat.mean
stddev = stat.stddev

# コントラスト調整
img_contrast = img.point(lambda i: (i - mean[0]) / stddev[0] * 128 + 128)

# 調整後の画像を表示
img_contrast.show()

このコードでは、まずImageStat.Stat()を用いて画像の統計情報を取得しています。

そして、この統計情報からRGB各チャンネルの平均値と標準偏差を計算します。

その後、point()メソッドとlambda関数を使って画像の各ピクセルの値をコントラスト調整します。

これにより、画像の明暗の変化がより際立つようになります。

このように、標準偏差は画像のコントラスト調整にも役立ちます。

標準偏差を使えば、画像の明るさの分布を理解し、それに基づいて画像を加工することができます。

○サンプルコード10:統計学習における標準偏差の使用

さて、次に統計学習における標準偏差の活用方法について見ていきましょう。

Pythonのライブラリであるpandasとnumpyを使って、データフレームから標準偏差を計算するサンプルコードを紹介します。

import pandas as pd
import numpy as np

# データフレームの作成
df = pd.DataFrame({
    'A': np.random.normal(0, 1, 100),
    'B': np.random.normal(1, 2, 100),
    'C': np.random.normal(2, 3, 100)
})

# 各列の標準偏差の計算
std_dev = df.std()
print(std_dev)

このサンプルコードでは、まずpandasのDataFrameを使って3つの列A、B、Cを持つ100行のデータフレームを作成しています。

各列のデータはnumpyのrandom.normal関数を用いて、それぞれ異なる平均と標準偏差を持つ正規分布から生成しています。

次に、DataFrameのstdメソッドを用いて各列の標準偏差を計算します。

これにより、各データ群の散らばり具合を一目で理解することが可能となります。

実行結果としては、3つの列A、B、Cそれぞれの標準偏差が出力されます。

この標準偏差を見ることで、データが平均値からどの程度離れて分布しているかが分かります。

この値が大きければ大きいほど、データの散らばりが大きいことを示します。

このように、Pythonを使って標準偏差を求めることは、データの特性を理解し、それに基づいて適切な統計モデルを選択したり、データの前処理を行うための重要なステップとなります。

まとめ

以上、Pythonでの標準偏差の利用方法について10のサンプルコードとともに解説してきました。

標準偏差は、データの散らばり具合を測るための基本的な統計量であり、その理解と活用はデータ分析において非常に重要です。

それぞれのサンプルコードが、Pythonでの標準偏差の計算とその活用方法を理解する一助となれば幸いです。

これらの知識を活かして、Pythonによるデータ分析の世界をさらに探求してみてください。