COBOLのEVALUATE文をマスターするための8ステップ徹底解説 – Japanシーモア

COBOLのEVALUATE文をマスターするための8ステップ徹底解説

COBOLのEVALUATE文を使用したプログラミングのイメージCOBOL
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説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

基本的な知識があればカスタムコードを使って機能追加、目的を達成できるように作ってあります。

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はじめに

この記事を読めば、COBOLのEVALUATE文をマスターすることができます。

COBOLは、長い歴史を持つプログラミング言語ですが、今日でも金融や行政などの分野で広く使われています。

この記事では、COBOLの基本からEVALUATE文の使い方までを、初心者でも理解できるように詳しく解説します。

COBOLをこれから学ぶ方や、プログラミングの基本を学びたい方に最適な内容です。

●COBOLとは

COBOL(Common Business-Oriented Language)は、1959年に開発されたビジネス向けプログラミング言語です。

その設計思想は、ビジネスでのデータ処理を効率的に行うことに焦点を当てています。

COBOLは、その読みやすい英語のような文法が特徴で、非プログラマーにも理解しやすいことから、長年にわたり金融機関や政府機関で広く使用されてきました。

また、COBOLは大規模なデータ処理に強いという特徴があり、現在でも多くの既存システムで活用されています。

○COBOLの歴史と現在

COBOLは、その歴史の中で多くのバージョンアップを経てきました。

初期のバージョンから現在に至るまで、様々な拡張が加えられ、現代のコンピューティング環境にも対応しています。

特に、2002年に導入されたオブジェクト指向機能は、現代のプログラミングスタイルにも適応する大きな進化でした。

しかし、COBOLの基本的な構造や文法は初期のデザインを踏襲しており、長い間使われてきた既存のコードとの互換性を保っています。

○COBOLの基本構造

COBOLのプログラムは、複数の部分(Division)で構成されています。

これらは、プログラムの異なる側面を表し、明確な構造を持っています。

主なDivisionは次の通りです。

  1. Identification Division:プログラムの名前や作成者などの基本的な情報を記述します。
  2. Environment Division:プログラムが動作するコンピュータシステムの環境設定を行います。
  3. Data Division:プログラムで使用するデータの定義を行います。
  4. Procedure Division:プログラムの実際の処理手順を記述します。

これらのDivisionは、プログラムの構造を明確にし、読みやすさを高めることに貢献しています。

特に、Procedure Divisionでは、EVALUATE文をはじめとする様々な文が使用され、プログラムのロジックを構築します。

COBOLのプログラムは、これらのDivisionを基本とし、それぞれの部分で特定の役割を果たすことで、ビジネスロジックを効率的に記述できます。

●EVALUATE文の基本

COBOLのEVALUATE文は、多岐にわたる条件分岐を簡潔に記述するための強力なツールです。

この文は、多くのプログラミング言語におけるswitch文やcase文に似ていますが、COBOL特有の構文と機能を持っています。

EVALUATE文を使うことで、複雑なif-else文を使用する代わりに、条件に基づく処理を明確かつ簡潔に記述することができます。

これは、特に大規模なビジネスアプリケーションにおいて、コードの可読性とメンテナンスの容易さを大幅に向上させます。

○EVALUATE文とは何か

EVALUATE文は、一つまたは複数の条件を評価し、それぞれに対応する処理を実行するために使用されます。

この文は、特定の値や条件に基づいて異なる処理を選択する際に特に有用です。

例えば、ユーザーの入力値に応じて異なるメッセージを表示したり、特定のデータタイプに基づいて異なる計算を行う場合などに利用されます。

○EVALUATE文の文法

EVALUATE文の基本的な文法は、次の形式に従います。

EVALUATE 条件
    WHEN 値1
        処理1
    WHEN 値2
        処理2
    ...
    WHEN OTHER
        その他の処理
END-EVALUATE

ここで、条件は評価される式や変数、値1値2は条件が満たされた時に評価される具体的な値や条件です。

処理1処理2はそれぞれの条件が真の時に実行される処理を表し、WHEN OTHERはどの条件も満たされなかった場合のデフォルトの処理を指定します。

EVALUATE文は、複数の条件を同時に評価することも可能です。

たとえば、次のように2つの異なる条件を同時に評価し、それぞれの組み合わせに対応する処理を定義することができます。

EVALUATE 条件1 ALSO 条件2
    WHEN 値1-1 ALSO 値2-1
        処理1
    WHEN 値1-2 ALSO 値2-2
        処理2
    ...
    WHEN OTHER
        その他の処理
END-EVALUATE

このようにEVALUATE文を用いることで、COBOLプログラムの条件分岐を効率的に、かつ読みやすく記述することができます。

●EVALUATE文の使い方

EVALUATE文の使い方を理解するためには、実際のサンプルコードを通してその機能を見ることが重要です。

ここでは、EVALUATE文を用いた基本的な条件分岐の例と、複数条件を扱うより複雑な例を紹介します。

これらの例を通じて、COBOLにおけるEVALUATE文の強力な機能を理解し、自分のプログラミングスキルに応用してみましょう。

○サンプルコード1:条件分岐の基本

最初の例として、簡単な条件分岐を行うサンプルコードを見てみましょう。

このコードでは、ユーザーが入力した数字に応じて異なるメッセージを表示します。

EVALUATE 数字
    WHEN 1
        DISPLAY '数字は1です。'
    WHEN 2
        DISPLAY '数字は2です。'
    WHEN OTHER
        DISPLAY '1か2以外の数字です。'
END-EVALUATE

このコードでは、変数数字の値によって、異なるメッセージをDISPLAY文を用いて出力しています。

WHEN 1WHEN 2の各セクションで、それぞれの数字が選択された場合の処理を定義しています。

また、WHEN OTHERのセクションでは、1または2以外の数字が入力された場合のデフォルトの処理を定義しています。

○サンプルコード2:複数条件の処理

次に、複数の条件を同時に評価する例を見てみましょう。

この例では、2つの異なる条件をEVALUATE文で評価し、それぞれの条件の組み合わせに応じて異なる処理を行います。

EVALUATE TRUE ALSO TRUE
    WHEN 数字 = 1 ALSO 色 = '赤'
        DISPLAY '数字は1で、色は赤です。'
    WHEN 数字 = 2 ALSO 色 = '青'
        DISPLAY '数字は2で、色は青です。'
    WHEN OTHER
        DISPLAY '条件に一致しません。'
END-EVALUATE

このコードでは、変数数字の2つの条件を同時に評価しています。

最初のWHEN文では、数字が1でが赤の場合の処理を定義し、次のWHEN文では、数字が2でが青の場合の処理を定義しています。

ここでもWHEN OTHERを用いて、いずれの条件にも一致しない場合のデフォルトの処理を記述しています。

●EVALUATE文の応用例

EVALUATE文は、単なる条件分岐を超えて、より複雑な応用例でも活用できます。

データの分類、ループ処理、例外処理など、さまざまなシナリオにおいてEVALUATE文の強力な機能を用いることで、COBOLプログラミングの効率と可読性を高めることができます。

ここでは、これらの応用例を具体的なサンプルコードを通じて紹介します。

○サンプルコード3:データの分類処理

データの分類処理では、EVALUATE文を使用して複数のデータポイントを分類することができます。

下記の例では、商品のカテゴリに応じて異なる処理を行います。

EVALUATE 商品カテゴリ
    WHEN '書籍'
        DISPLAY '書籍の処理を行います。'
    WHEN '食品'
        DISPLAY '食品の処理を行います。'
    WHEN OTHER
        DISPLAY 'その他のカテゴリの処理を行います。'
END-EVALUATE

このサンプルでは、商品カテゴリの値に応じて異なるメッセージを表示します。

EVALUATE文は、このように複数のカテゴリや条件に基づいた分岐処理に適しています。

○サンプルコード4:EVALUATE文を使ったループ処理

ループ処理においても、EVALUATE文を活用することが可能です。

下記の例では、ループ内でEVALUATE文を使用して、特定の条件に基づいてループを制御します。

PERFORM VARYING インデックス FROM 1 BY 1 UNTIL インデックス > 10
    EVALUATE インデックス
        WHEN 5
            DISPLAY 'インデックスが5に達しました。'
            EXIT PERFORM
        WHEN OTHER
            CONTINUE
    END-EVALUATE
END-PERFORM

このサンプルでは、インデックスが5に達した時点でループを終了します。

EVALUATE文を用いることで、ループの中で複雑な条件判断を行い、プログラムの流れを柔軟に制御することができます。

○サンプルコード5:EVALUATE文を用いた例外処理

例外処理においても、EVALUATE文は非常に有用です。

下記の例では、異常な状況が発生した際に特定の処理を行います。

EVALUATE エラーコード
    WHEN 0
        DISPLAY 'エラーは発生しませんでした。'
    WHEN 1
        DISPLAY '軽度のエラーが発生しました。'
    WHEN 2
        DISPLAY '重度のエラーが発生しました。'
    WHEN OTHER
        DISPLAY '予期しないエラーコードです。'
END-EVALUATE

このサンプルでは、エラーコードの値に応じて異なるエラーメッセージを表示します。

EVALUATE文を用いることで、エラー処理を明確かつ簡潔に記述することができます。

●注意点と対処法

COBOLプログラミングでEVALUATE文を使用する際には、特に留意すべきいくつかの点があります。

これらの点に注意することで、効率的で安全なプログラムを作成することが可能になります。

○よくある間違いとその解決法

EVALUATE文を使う際によく発生する問題として、条件が複雑になりすぎるケースがあります。

多くの条件を一度に評価しようとすると、コードの可読性やメンテナンス性が低下することがあります。

この問題を解決するためには、条件をシンプルに保つか、複数のEVALUATE文に分割することが有効です。

また、条件の重複や不要な分岐を避けることも重要です。

○効率的なEVALUATE文の書き方

EVALUATE文を効率的に使用するには、その目的と使われるコンテキストを明確にすることが重要です。

条件文は可能な限り簡潔にし、コードの可読性を維持することを心掛けます。

さらに、’WHEN OTHER’を適切に使用して、予期しない値や状況に対処できるようにします。

これらのポイントに注意することで、EVALUATE文の利用がより効果的かつ安全になります。

●EVALUATE文のカスタマイズ方法

COBOLプログラミングにおけるEVALUATE文のカスタマイズ方法を理解することは、プログラムの効率と効果を最大化する上で重要です。

EVALUATE文をカスタマイズすることで、プログラムの柔軟性と表現力を高めることが可能になります。

○応用的な使い方

EVALUATE文の応用的な使い方には、複数の条件を組み合わせる方法があります。

これにより、より複雑なロジックを構築し、プログラムの柔軟性を向上させることができます。

また、EVALUATE文をネストさせることにより、より詳細な条件分岐を実現することも可能です。

さらに、変数を動的に変更することで、EVALUATE文の条件を柔軟に制御することも有効な手段です。

○パフォーマンスの向上

EVALUATE文のパフォーマンスを向上させるためには、条件の最適化が重要です。

複雑な条件は計算コストが高くなるため、可能な限り単純で効率的な条件を使用することが望ましいです。

また、条件の順序を最適化することで、不要な条件評価の回数を減らし、パフォーマンスを向上させることができます。

共通するロジックはサブルーチンや関数として抽出し、再利用することによっても、全体のパフォーマンスを向上させることが可能です。

まとめ

この記事では、COBOLプログラミングにおけるEVALUATE文の基本から応用、さらにはカスタマイズ方法に至るまで、詳細にわたって解説しました。

初心者向けにEVALUATE文の基本的な構造と文法を明確にし、その使い方についてのサンプルコードを提供することで、理解を深める手助けをしました。

COBOLプログラミングにおいてEVALUATE文は非常に強力なツールであり、この記事を通じてその有効な使用方法を理解し、実践することができれば、より効果的なプログラムを作成することが可能です。

EVALUATE文の理解と適用を通じて、COBOLプログラミングのスキルをさらに高めることで、より良いプログラムを作成するための基礎を固めることができるでしょう。