COBOLのINDEXED BY句活用法8選

INDEXED BY句を活用するイメージCOBOL
この記事は約12分で読めます。

 

【サイト内のコードはご自由に個人利用・商用利用いただけます】

この記事では、プログラムの基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

基本的な知識があればカスタムコードを使って機能追加、目的を達成できるように作ってあります。

※この記事は、一般的にプロフェッショナルの指標とされる『実務経験10,000時間以上』を凌駕する現役のプログラマチームによって監修されています。

サイト内のコードを共有する場合は、参照元として引用して下さいますと幸いです

※Japanシーモアは、常に解説内容のわかりやすさや記事の品質に注力しております。不具合、分かりにくい説明や不適切な表現、動かないコードなど気になることがございましたら、記事の品質向上の為にお問い合わせフォームにてご共有いただけますと幸いです。
(送信された情報は、プライバシーポリシーのもと、厳正に取扱い、処分させていただきます。)

はじめに

この記事を読めば、COBOLのINDEXED BY句の基本から応用まで、その使い方を深く理解できるようになります。

COBOLは、ビジネスアプリケーション開発で長年使用されてきたプログラミング言語です。

この記事では、特にINDEXED BY句に焦点を当て、その使い方やメリット、注意点について詳しく解説していきます。

●COBOLとは

COBOL(Common Business-Oriented Language)は、1959年に開発されたビジネス向けのプログラミング言語です。

ビジネスデータ処理に特化しており、金融機関や政府機関などで広く使用されています。

COBOLは、その読みやすさと信頼性の高さから、長年にわたり業務用アプリケーションの開発に重宝されてきました。

○COBOLの歴史と特徴

COBOLは、1960年代初頭にアメリカ国防総省の要請により開発されました。

その目的は、異なるメーカーのコンピュータでも共通して使用できるビジネス指向のプログラミング言語を作ることでした。

COBOLの特徴は、英語に近い構文を持ち、非技術者でも理解しやすいことです。

これにより、ビジネスロジックのコーディングが容易になりました。

また、COBOLは堅牢なデータ処理能力を持ち、大量のトランザクション処理に優れています。

○なぜ今もCOBOLが重要なのか

COBOLが今も重要視される理由は、多くの既存システムがCOBOLで書かれているためです。

特に金融業界や政府機関では、過去数十年にわたり蓄積されたCOBOLプログラムが現在も稼働しています。

これらのシステムは、今日に至るまで企業の基幹業務を支えており、突然の言語変更は困難です。

また、COBOLは大規模なデータ処理と安定した運用に優れており、これらの要件を満たす新しい言語がないため、今後もCOBOLの需要は続くと考えられます。

●INDEXED BY句の基本

COBOLにおけるINDEXED BY句は、配列やテーブル内の特定の要素に簡単にアクセスするための重要な機能です。

INDEXED BY句は、配列の各要素を特定のインデックスで参照することを可能にし、データの検索や処理を効率化します。

この句を使用することで、プログラム内でのデータ操作が容易かつ直感的になり、大量のデータを扱う場合の処理速度も向上します。

○INDEXED BY句とは何か

INDEXED BY句は、配列やテーブルの要素を指定するために使用されるCOBOLの構文です。

通常、配列の宣言時にこの句を用いて、インデックス名を指定します。

このインデックスは、配列内の特定の位置を表すために使われ、プログラムの中でその位置にあるデータにアクセスする際に重要な役割を果たします。

例えば、ある配列の第5要素にアクセスする場合、INDEXED BY句で定義されたインデックスを使用してその要素を指定できます。

01 数値テーブル。
   05 数値項目 OCCURS 10 TIMES INDEXED BY 数値インデックス。

上のサンプルコードでは、「数値テーブル」という配列が宣言されており、この配列には「数値項目」という要素が10個含まれています。

‘数値インデックス’は、これらの要素を指定するために使用されるインデックスです。

○INDEXED BY句の役割とメリット

INDEXED BY句の主な役割は、配列内の要素に効率的にアクセスすることです。

特に大きなデータセットを扱う際に、この句はデータの検索や更新を容易にし、プログラムの実行速度を向上させることができます。

INDEXED BY句を用いることで、特定の要素へのアクセスが直感的になり、プログラムの可読性も高まります。

また、エラーの可能性を減らし、デバッグ作業を簡素化することも、この句の大きなメリットの一つです。

●INDEXED BY句の使い方

COBOLプログラミングにおいて、INDEXED BY句の使い方を理解することは非常に重要です。

この句を適切に使用することで、配列やテーブル内のデータに対して効率的かつ柔軟にアクセスすることが可能になります。

INDEXED BY句は、特定のインデックスを使って配列の要素を参照するために用いられ、データの検索や更新作業を効率化します。

○サンプルコード1:基本的なINDEXED BY句の使用

ここでは、INDEXED BY句を使用する基本的な例を紹介します。

この例では、単純な数値配列を作成し、INDEXED BY句を用いて配列内の特定の要素にアクセスしています。

01 数値テーブル。
   05 数値項目 PIC 9(4) OCCURS 10 TIMES INDEXED BY 数値インデックス。

PROCEDURE DIVISION.
   MOVE 1234 TO 数値項目 (数値インデックス OF 5)。
   DISPLAY "5番目の要素: " 数値項目 (数値インデックス OF 5)。

このコードでは、「数値テーブル」という配列が宣言され、10個の「数値項目」を含んでいます。

‘数値インデックス’を使用して、配列の5番目の要素に値1234を代入し、その値を表示しています。

○サンプルコード2:複数のINDEXED BY句を使う場合

複数のINDEXED BY句を使用することで、より複雑なデータ構造に対しても柔軟にアクセスすることが可能です。

下記のサンプルコードでは、2次元の配列を操作するために2つのINDEXED BY句を使用しています。

01 二次元テーブル。
   05 行 OCCURS 5 TIMES。
       10 列 PIC 9(4) OCCURS 10 TIMES INDEXED BY 列インデックス。
   05 行インデックス USAGE IS INDEX。

PROCEDURE DIVISION.
   SET 行インデックス TO 3。
   MOVE 5678 TO 列 (行インデックス OF 1, 列インデックス OF 7)。
   DISPLAY "3行目7列目の要素: " 列 (行インデックス OF 1, 列インデックス OF 7)。

このコードでは、’二次元テーブル’という2次元の配列が宣言されており、5行10列のデータを含んでいます。

‘行インデックス’と’列インデックス’を使用して、3行目7列目の要素に値5678を代入し、その値を表示しています。

●INDEXED BY句の応用例

COBOLにおけるINDEXED BY句の応用は、プログラミングの柔軟性と効率を大きく向上させます。

INDEXED BY句を使用することで、データベースのような複雑なデータ構造へのアクセスや、複雑なデータ処理が簡単になります。

ここでは、INDEXED BY句の応用例として、効率的なデータ検索とデータ操作のサンプルコードを紹介します。

○サンプルコード3:効率的なデータ検索

INDEXED BY句を使用して、配列内のデータを効率的に検索する方法の例を紹介します。

下記のコードでは、特定の条件を満たす要素を配列から探し出しています。

01 商品テーブル。
   05 商品項目 PIC X(10) OCCURS 100 TIMES INDEXED BY 商品インデックス。
01 検索キーワード PIC X(10) VALUE "ペン".

PROCEDURE DIVISION.
   PERFORM VARYING 商品インデックス FROM 1 BY 1 UNTIL 商品インデックス > 100
      IF 商品項目 (商品インデックス) = 検索キーワード
         DISPLAY "一致する商品が見つかりました: " 商品項目 (商品インデックス)
         EXIT PERFORM
      END-IF
   END-PERFORM.

このサンプルコードでは、100個の商品項目を持つ「商品テーブル」を検索し、「ペン」というキーワードに一致する商品を探しています。

INDEXED BY句を使うことで、配列の各要素に効率的にアクセスし、条件に合うデータを素早く見つけることができます。

○サンプルコード4:INDEXED BY句を使ったデータ操作

次に、INDEXED BY句を使用して複雑なデータ操作を行う方法を紹介します。

下記のコードでは、二次元配列内のデータを操作しています。

01 学生成績表。
   05 学生行 OCCURS 10 TIMES。
       10 成績 PIC 9(3) OCCURS 5 TIMES INDEXED BY 成績インデックス。
   05 学生インデックス USAGE IS INDEX.

PROCEDURE DIVISION.
   SET 学生インデックス TO 1。
   PERFORM VARYING 成績インデックス FROM 1 BY 1 UNTIL 成績インデックス > 5
      ADD 10 TO 成績 (学生インデックス, 成績インデックス)
   END-PERFORM.

このコードでは、「学生成績表」という二次元配列が宣言されており、各学生の成績を格納しています。

INDEXED BY句を使うことで、特定の学生の全科目の成績に一律に点数を加算する複雑な操作を簡単に行うことができます。

●INDEXED BY句の注意点と対処法

COBOLでINDEXED BY句を使用する際、正確さとプログラムのパフォーマンスを維持するために注意が必要です。

この句を効果的に活用するためには、特定のポイントを理解し適切に対応する必要があります。

配列のサイズを超えるインデックスを使用してアクセスすることはエラーの原因になりますし、インデックスの不適切な初期化も予期せぬ動作やエラーを引き起こす可能性があります。

また、ループ内での非効率的なインデックス操作はパフォーマンスの低下を招きます。

これらの問題を避けるためには、配列のサイズを常に意識し、インデックスを適切に初期化して使用することが重要です。

○INDEXED BY句使用時の一般的な間違い

INDEXED BY句を使用する際には、インデックスの範囲外アクセスや不適切な初期化、ループ内での非効率的なインデックス操作などの間違いが発生しやすいです。

これらの間違いを避けるためには、配列のサイズに注意を払い、インデックスを適切に管理する必要があります。

○INDEXED BY句でのパフォーマンス向上のコツ

INDEXED BY句のパフォーマンスを向上させるためには、データ構造に適したインデックスの選択、ループ内でのインデックス操作の最適化、インデックスの範囲チェックなどが有効です。

これらのアプローチを通じて、プログラムのパフォーマンスと安定性を大幅に向上させることが可能です。

●INDEXED BY句のカスタマイズ方法

COBOLのINDEXED BY句は、データ構造に合わせてカスタマイズすることが可能です。

このカスタマイズを行うことで、プログラムはより効率的にデータを処理できるようになります。

特に、ユーザー固有のデータ構造や複雑なデータ処理に対応する場合、INDEXED BY句のカスタマイズは非常に有効です。

カスタマイズの際には、データ構造の特性を理解し、それに適したインデックスの使用方法を検討することが重要です。

○サンプルコード5:INDEXED BY句のカスタマイズ例

INDEXED BY句をカスタマイズする一例として、動的にサイズが変わるデータ構造に対応する方法を紹介します。

下記のコードでは、異なるサイズのデータレコードを扱うために、INDEXED BY句を動的に調整しています。

01 変動サイズデータ。
   05 データ項目 PIC X(10) OCCURS 1 TO 100 TIMES DEPENDING ON データサイズ INDEXED BY データインデックス。
01 データサイズ PIC 9(3).

PROCEDURE DIVISION.
   MOVE 50 TO データサイズ。
   PERFORM VARYING データインデックス FROM 1 BY 1 UNTIL データインデックス > データサイズ
      MOVE "データ" TO データ項目 (データインデックス)
   END-PERFORM.

このコードでは、’データサイズ’の値に基づいて配列のサイズが動的に変化します。

‘データインデックス’を使って、この柔軟なデータ構造に効率的にアクセスしています。

○サンプルコード6:ユーザー固有のデータ構造に対応するINDEXED BY句

ユーザー固有の複雑なデータ構造に対応するためにINDEXED BY句をカスタマイズする方法を紹介します。

この例では、ネストされたデータ構造を扱うために複数のINDEXED BY句を組み合わせて使用します。

01 ユーザーデータ。
   05 ユーザー情報。
       10 ユーザー名 PIC X(20).
       10 ユーザー履歴 OCCURS 10 TIMES INDEXED BY 履歴インデックス。
           15 訪問日 PIC 9(8).
           15 購入金額 PIC 9(5).
   05 ユーザーインデックス USAGE IS INDEX.

PROCEDURE DIVISION.
   SET ユーザーインデックス TO 1。
   PERFORM VARYING 履歴インデックス FROM 1 BY 1 UNTIL 履歴インデックス > 10
      MOVE 20230101 TO 訪問日 (ユーザーインデックス, 履歴インデックス)
      MOVE 1000 TO 購入金額 (ユーザーインデックス, 履歴インデックス)
   END-PERFORM.

このコードでは、各ユーザーの訪問日と購入金額の情報を持つ複雑なデータ構造を作成しています。

INDEXED BY句を用いることで、このような複雑なデータ構造にも効率的にアクセスすることが可能です。

まとめ

この記事を通じて、COBOL言語におけるINDEXED BY句の重要性とその使い方について深く理解することができました。

INDEXED BY句は、データアクセスを効率化し、プログラムの読みやすさを向上させるための強力なツールです。

基本的な使用法から応用例、注意点と対処法、さらにはカスタマイズ方法まで、幅広い知識を提供しました。

INDEXED BY句の効果的な使用は、プログラムのパフォーマンスと安定性を向上させ、複雑なデータ構造にも対応可能とするため、COBOLプログラマーにとって非常に重要なスキルです。

この記事が提供する具体的なサンプルコードと詳細な説明を通じて、読者の皆様がINDEXED BY句をより深く理解し、実際のプログラミングに活用していただければ幸いです。