【COBOL】エラーを減らすための7つの方法

COBOLプログラミングの基本的なチェック方法を解説するイメージCOBOL
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この記事では、プログラムの基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

基本的な知識があればカスタムコードを使って機能追加、目的を達成できるように作ってあります。

※この記事は、一般的にプロフェッショナルの指標とされる『実務経験10,000時間以上』を凌駕する現役のプログラマチームによって監修されています。

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はじめに

この記事を読むことで、COBOLプログラミングの基本から、エラーチェックの方法までを網羅的に理解することができます。

初心者から上級者まで、COBOLについての知識を深めることが目的です。

特に「CHECK」命令を使用してエラーを減らす具体的な方法を、実際のサンプルコードを交えながら詳しく解説します。

●COBOLとは

COBOL(Common Business-Oriented Language)は、ビジネス用途に特化したプログラミング言語です。

1959年に開発されて以来、金融機関や政府機関などで広く使われ続けています。

その特徴は、英語に近い自然な文法を持つことで、プログラミング初心者にも理解しやすい構造になっています。

また、大規模なデータ処理に適しており、信頼性の高いアプリケーションを開発するのに適しています。

○COBOLの歴史と特徴

COBOLは、商業的なデータ処理のニーズに応えるために生まれました。

主に会計システムや管理システムなど、ビジネス向けのアプリケーション開発で使用されています。

COBOLのコードは英語に似ており、分かりやすい命令文を持っているのが特徴です。

たとえば、”ADD X TO Y GIVING Z.”という命令は、XとYを加算して結果をZに格納するという直感的な操作を表しています。

○なぜ今でもCOBOLは重要なのか

多くの現代のプログラミング言語と比較しても、COBOLの重要性は未だに高いです。

特に銀行や保険会社など、大量のトランザクションを処理する必要があるビジネス分野では、その信頼性と効率性から依然として重宝されています。

また、過去数十年にわたって蓄積されたCOBOLによるシステムやアプリケーションは、今日でも多くの企業や機関で中核を担っており、これらのシステムのメンテナンスやアップデートが引き続き必要です。

そのため、COBOLを理解し、適切に扱う能力は現代でも非常に価値があるスキルと言えます。

●COBOLの基本

COBOLの基本を理解するためには、まずその構造とコーディングのスタイルを知る必要があります。

COBOLは、他の多くのプログラミング言語と異なり、非常に読みやすく、理解しやすい言語です。

これは、ビジネスアプリケーションにおいて複雑なデータ処理を行う際に非常に役立ちます。

COBOLのプログラムはいくつかの部分に分かれており、それぞれが特定の役割を持っています。

○COBOLの構文の概要

COBOLのプログラムは、IDENTIFICATION DIVISION、ENVIRONMENT DIVISION、DATA DIVISION、PROCEDURE DIVISIONの4つの主要な部分から構成されます。

IDENTIFICATION DIVISIONでは、プログラムの名前や作成者などの情報を定義します。

ENVIRONMENT DIVISIONでは、プログラムが動作する環境に関する設定を行います。

DATA DIVISIONでは、プログラムで使用されるデータの構造を定義し、PROCEDURE DIVISIONでは、実際のプログラムの手順やロジックを記述します。

たとえば、単純な足し算を行うCOBOLプログラムは下記のようになります。

IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. SimpleAddition.
DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
01 NUM1 PIC 9(3).
01 NUM2 PIC 9(3).
01 RESULT PIC 9(4).

PROCEDURE DIVISION.
    MOVE 100 TO NUM1.
    MOVE 200 TO NUM2.
    ADD NUM1 TO NUM2 GIVING RESULT.
    DISPLAY '結果: ' RESULT.
    STOP RUN.

このプログラムでは、NUM1とNUM2にそれぞれ100と200を代入し、これらを足して結果をRESULTに格納しています。

その後、結果を表示しています。

この例では、COBOLがどのように数値を扱い、簡単な算術演算を行うかを示しています。

○基本的なプログラミング要素

COBOLのプログラミング要素には、変数、定数、演算子、制御構造などがあります。

変数はDATA DIVISIONで定義され、様々なデータ型を持つことができます。

COBOLの演算子には、加算(ADD)、減算(SUBTRACT)、乗算(MULTIPLY)、除算(DIVIDE)などがあります。

また、IF文やPERFORM文を使用して、条件分岐やループ処理を行うことができます。

●COBOLプログラムのチェックとは

COBOLプログラムのチェックは、エラーを発見し、プログラムの品質を保証するために不可欠です。

特に、ビジネスアプリケーションにおいては、エラーによる費用の増大や業務の遅延を防ぐため、正確なチェックが求められます。

COBOLプログラムのチェックでは、構文エラーや論理エラー、パフォーマンスの問題など、多岐にわたる要素が評価されます。

適切なチェック手順を踏むことで、効率的かつ信頼性の高いプログラムを作成することが可能になります。

○プログラムチェックの重要性

プログラムチェックは、単にエラーを見つけるだけでなく、将来のメンテナンスや拡張のための基礎を築くことも目的としています。

COBOLプログラムのチェックには、コードの構文が正しいか、命名規則に従っているか、効率的なデータ構造を使用しているかなど、さまざまな側面が含まれます。

また、プログラムが予期しないデータや状況に対しても適切に動作するかを検証することも重要です。

これにより、プログラムの信頼性と柔軟性が向上します。

○エラーを防ぐための基本的なアプローチ

エラーを防ぐ基本的なアプローチには、コードレビュー、ユニットテスト、統合テストがあります。コードレビューでは、他の開発者がコードを確認し、潜在的な問題を指摘します。

ユニットテストでは、各機能やモジュールが正しく動作するかを個別に検証します。統合テストでは、複数のモジュールが連携して正しく動作するかを確認します。

これらのアプローチを組み合わせることで、より堅牢で信頼性の高いCOBOLプログラムを作成することができます。

●COBOLプログラムチェックの7つの方法

COBOLプログラムをチェックする方法は多岐にわたりますが、ここでは7つの重要な方法を紹介します。

これらの方法を適切に利用することで、エラーを減らし、プログラムの品質を向上させることができます。

○サンプルコード1:構文エラーのチェック

構文エラーは、プログラムが正しくコンパイルされない原因となる一般的なエラーです。

例えば、コード内で閉じ括弧を忘れる、キーワードを誤って使用する、コロンの代わりにセミコロンを使用するなどがあります。

これらのエラーは、コンパイラによって検出されやすく、注意深いチェックで避けることができます。

PROCEDURE DIVISION.
    COMPUTE RESULT = A + B
    IF RESULT > 100 THEN
        DISPLAY "結果は100以上です。"
    END-IF.

このコード例では、COMPUTE RESULT = A + B にて等号を使用していますが、COBOLでは代入には MOVE ステートメントを使用します。

また、THEN はCOBOLの構文に存在しないため、これも構文エラーの原因となります。

○サンプルコード2:データ型のミスを防ぐ

データ型のミスは、不適切なデータ型を使用することで発生します。

例えば、数値を処理する際に文字列型を使用する、またはその逆をすることです。

適切なデータ型を選択し、データ型に応じた操作を行うことが重要です。

DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
01 NUMERIC-VAR PIC 9(3).
01 STRING-VAR PIC A(3).

PROCEDURE DIVISION.
    MOVE "123" TO NUMERIC-VAR.
    MOVE 456 TO STRING-VAR.

この例では、数値 “123” を数値型の変数 NUMERIC-VAR に、数値 456 を文字列型の変数 STRING-VAR に移動しています。

これはデータ型のミスを示しており、適切なデータ型の使用が重要です。

○サンプルコード3:論理エラーの特定

論理エラーは、プログラムがコンパイルはできるものの、期待される結果を生成しない場合に発生します。

これは、誤った条件文、誤った計算式などによって発生することが多いです。

論理エラーを特定するには、プログラムの流れを丁寧に追い、期待される動作との差異を探る必要があります。

PROCEDURE DIVISION.
    MOVE 10 TO A.
    MOVE 20 TO B.
    IF A > B THEN
        DISPLAY "AはBより大きい"
    ELSE
        DISPLAY "AはBより小さい"
    END-IF.

このコードでは、AB より大きいかどうかを判定していますが、実際には AB より小さいため、正しい出力は “AはBより小さい” となるはずです。

こうした論理エラーは、プログラムの意図と実際の動作を照らし合わせることで特定できます。

○サンプルコード4:パフォーマンスチェック

COBOLプログラムのパフォーマンスチェックは、プログラムの効率性と実行速度を向上させるために重要です。

パフォーマンスチェックでは、特にループ処理やデータアクセスの最適化に焦点を当てます。

例えば、不必要に繰り返される計算や、効率の悪いデータ構造の使用を避けることが重要です。

PROCEDURE DIVISION.
    PERFORM VARYING I FROM 1 BY 1 UNTIL I > 100000
        COMPUTE RESULT = SOME-COMPLEX-FUNCTION(I)
    END-PERFORM.

この例では、SOME-COMPLEX-FUNCTION 関数が10万回呼ばれるため、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。

こうしたケースでは、関数の呼び出し回数を減らす、または計算を最適化することでパフォーマンスを改善できます。

○サンプルコード5:セキュリティチェック

セキュリティチェックは、COBOLプログラムが安全にデータを扱い、外部からの不正なアクセスに対して強固であることを保証するために不可欠です。

セキュリティチェックには、データの検証、エラーハンドリング、セキュリティ脆弱性のテストなどが含まれます。

DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
01 USER-INPUT PIC X(10).

PROCEDURE DIVISION.
    ACCEPT USER-INPUT.
    IF USER-INPUT NOT NUMERIC THEN
        DISPLAY "不正な入力です。"
    ELSE
        CONTINUE
    END-IF.

このコードでは、ユーザーからの入力 USER-INPUT が数値であることを検証しています。

これにより、不正なデータがプログラムに渡されるのを防ぎます。

セキュリティチェックを適切に行うことで、COBOLプログラムのセキュリティを強化し、潜在的なリスクを軽減できます。

○サンプルコード6:デバッグのテクニック

デバッグは、COBOLプログラムのエラーを特定し修正する過程です。

効果的なデバッグテクニックには、エラーメッセージの正確な解析、ブレークポイントの設定、ステップごとの実行が含まれます。

これにより、プログラムのどの部分が期待通りに動作しないかを特定し、修正することが可能になります。

PROCEDURE DIVISION.
    MOVE 0 TO A.
    PERFORM VARYING I FROM 1 BY 1 UNTIL I > 10
        ADD 1 TO A
    END-PERFORM.
    DISPLAY "最終的なAの値は: " A.

この例では、ADD 1 TO A がループ内で実行され、A の値が増加する様子を追跡することで、ループの動作を確認できます。

デバッグ時には、変数の値の変化を詳細に調べることが重要です。

○サンプルコード7:ユーザー入力の検証

ユーザーからの入力の検証は、COBOLプログラムにおいて重要なセキュリティ対策の一つです。

不正または不適切な入力がプログラムに渡されることを防ぐため、入力データの型や形式を厳格にチェックする必要があります。

DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
01 USER-INPUT PIC X(10).

PROCEDURE DIVISION.
    ACCEPT USER-INPUT.
    IF USER-INPUT IS NUMERIC THEN
        DISPLAY "数値が入力されました。"
    ELSE
        DISPLAY "数値以外の入力です。"
    END-IF.

この例では、ユーザーからの入力が数値かどうかを検証しています。

数値である場合とそうでない場合で異なるメッセージを表示しています。

入力の検証を行うことで、プログラムが不正なデータによって不適切に動作するのを防ぐことができます。

●COBOLプログラミングの応用例

COBOLは長い歴史を持つプログラミング言語であり、その応用範囲は広いです。

ビジネスアプリケーションだけでなく、さまざまな分野での応用が可能です。

ここでは、具体的な応用例としてファイル操作、データベース連携、Webアプリケーションの応用を見ていきます。

○サンプルコード8:ファイル操作の例

ファイル操作はCOBOLプログラミングにおいて一般的なタスクです。

データの読み込み、書き込み、更新など、さまざまな操作が可能です。

DATA DIVISION.
FILE SECTION.
FD  SALES-FILE.
01  SALES-RECORD PIC X(100).

PROCEDURE DIVISION.
    OPEN INPUT SALES-FILE.
    READ SALES-FILE INTO SALES-RECORD.
    CLOSE SALES-FILE.

この例では、SALES-FILE というファイルを開き、データを SALES-RECORD に読み込んでいます。

このようにCOBOLでは、ファイル操作を簡潔に記述できます。

○サンプルコード9:データベース連携の例

COBOLはデータベースとの連携も得意としています。

特に、大量のデータを扱うビジネスアプリケーションにおいて、データベースとの連携は不可欠です。

EXEC SQL
    CONNECT TO DATABASE END-EXEC.
EXEC SQL
    SELECT * FROM CUSTOMERS INTO :CUSTOMER-RECORD
END-EXEC.

この例では、SQLを使用してデータベースに接続し、CUSTOMERS テーブルからデータを取得しています。

COBOLとSQLの組み合わせにより、効率的なデータベース操作が可能になります。

○サンプルコード10:Webアプリケーションへの応用

近年では、COBOLをWebアプリケーションに応用するケースも増えています。

特に既存のビジネスロジックをWebで利用可能にする際に、COBOLの知識が役立ちます。

DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
01  WEB-RESPONSE PIC X(1000).

PROCEDURE DIVISION.
    CALL 'WEB-SERVICE' USING WEB-RESPONSE.

この例では、COBOLプログラムからWebサービスを呼び出し、レスポンスを WEB-RESPONSE に格納しています。

COBOLとWeb技術の組み合わせにより、既存のシステムを現代のインターネット環境に適応させることができます。

●注意点と対処法

COBOLプログラミングにおいて注意すべき点とその対処法を理解することは非常に重要です。

特に、エラーメッセージの正確な解釈や一般的なトラブルシューティング技術は、効率的なプログラミングに不可欠です。

○エラーメッセージの解釈

COBOLプログラムをコンパイルまたは実行した際に発生するエラーメッセージは、問題の特定に役立ちます。

エラーメッセージには、エラーの原因や発生場所が含まれているため、これを正確に理解し対処することが重要です。

例えば、”DATA DIVISION NOT FOUND” というエラーメッセージが表示された場合、プログラム内にデータ部門が存在しないか、誤って配置されている可能性があります。

このような場合は、プログラムの構造を確認し、必要な修正を行います。

○一般的なトラブルシューティング

トラブルシューティングには、コードの段階的な検証やロジックの再確認が含まれます。

エラーが発生した場合、最初にコードのどの部分で問題が発生しているかを特定し、次にその原因を調査します。

例えば、計算結果が期待値と異なる場合、数値の初期化が適切に行われているか、演算が正しく記述されているかを確認します。

PROCEDURE DIVISION.
    MOVE 0 TO TOTAL.
    ADD 1 TO TOTAL.
    DISPLAY "合計: " TOTAL.

この例では、TOTAL に0を代入した後、1を加算しています。

結果が予期しないものであれば、変数の初期化や演算のロジックを再検討します。

●COBOLのカスタマイズ方法

COBOLプログラムをカスタマイズすることで、さまざまな業務要件に柔軟に対応し、効率的なプログラムを開発することが可能になります。

特に、コードの効率化とプログラムのメンテナンスは重要な要素です。

○コードの効率化

COBOLのコードを効率化するためには、プログラムの構造を適切に管理し、不要な処理を排除することが重要です。

例えば、重複するコードはサブルーチンや関数にまとめることで、メンテナンス性と再利用性を向上させることができます。

IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. SAMPLE-CODE.

DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
01 TOTAL PIC 9(4) VALUE ZERO.

PROCEDURE DIVISION.
    PERFORM ADDITION-PROCESS 5 TIMES.
    DISPLAY "合計値: " TOTAL.
    STOP RUN.

ADDITION-PROCESS.
    ADD 1 TO TOTAL.

このサンプルでは、加算処理を繰り返す部分をADDITION-PROCESSという名前の別のセクションに分離しています。

これにより、コードの見通しが良くなり、メンテナンスが容易になります。

○プログラムのメンテナンス

COBOLプログラムのメンテナンスには、定期的なコードレビュー、ドキュメントの更新、テストの実施が含まれます。

また、プログラムの拡張性や可読性を高めるために、適宜リファクタリングを行うことも重要です。

例えば、プログラムが大規模になった場合、各部分をモジュール化し、独立性を持たせることで、個別の機能の修正や追加が容易になります。

COBOLのカスタマイズ方法を理解し実践することで、効率的かつ柔軟なプログラミングが可能になります。

まとめ

この記事では、COBOLプログラミングにおける効果的なチェック方法とその重要性を詳しく解説しました。

COBOLの基本的な構文から始まり、プログラムチェックのための具体的なテクニック、さらにはCOBOLプログラミングの応用例まで幅広くカバーしました。

また、プログラムのメンテナンスとカスタマイズ方法についても触れ、COBOLプログラミングの基本から応用までを網羅的に理解するためのガイドをしてきました。

これらの知識を活用することで、初心者から上級者まで、COBOLプログラミングのスキルを高め、より効率的で安定したプログラムの開発が可能となります。