JavaScriptのdeferredとcallback地獄からの解放10例

JavaScriptのdeferredを理解して、非同期処理をスマートに記述JS
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●JavaScriptのdeferredとは?

JavaScriptを使った開発を行っていると、非同期処理を扱う場面に遭遇することがよくあります。

例えば、サーバーからデータを取得したり、ファイルの読み込みを行ったりする際には、処理の完了を待たずに次の処理を進めたいというニーズがありますよね。

そんな時に活躍するのが、JavaScriptのdeferredなのです。

○deferredの基本概念

deferredは、非同期処理の状態を表すオブジェクトで、Promiseの前身とも言えます。

deferredを使うことで、非同期処理の結果を受け取るまでの間、他の処理を進めることができるようになります。

これによって、処理の流れをスムーズにし、アプリケーションのレスポンスを向上させることができるのです。

deferredオブジェクトには、次の3つの状態があります。

  1. pending(処理中)
  2. resolved(処理成功)
  3. rejected(処理失敗)

非同期処理を開始した時点では、deferredオブジェクトはpending状態になります。

そして、処理が成功すればresolved状態に、失敗すればrejected状態に遷移します。

deferredオブジェクトの状態に応じて、then()やfail()、always()といったメソッドを使って、処理結果に応じた動作を記述することができます。

○deferredを使う理由

では、なぜdeferredを使うのでしょうか?その理由は大きく分けて2つあります。

1つ目は、非同期処理を扱いやすくするためです。

JavaScriptでは、従来からコールバック関数を使って非同期処理を扱ってきました。

しかし、複数の非同期処理を順番に実行したり、並列で実行したりするようなケースでは、コールバック関数が深くネストしてしまい、いわゆる「コールバック地獄」に陥ってしまうことがあります。

deferredを使えば、このようなコールバック地獄を避けることができ、より読みやすく保守性の高いコードを書くことができます。

2つ目は、エラーハンドリングを簡潔に記述できるためです。

非同期処理では、処理の途中で例外が発生する可能性があります。

コールバック関数を使った場合、各コールバック関数内でエラーハンドリングを行う必要があり、コードが冗長になりがちです。

一方、deferredを使えば、fail()メソッドを使ってエラーハンドリングを一箇所にまとめることができます。

これにより、エラーハンドリングのコードがシンプルになり、可読性が向上します。

○deferredとPromiseの違い

deferredとPromiseは、どちらも非同期処理を扱うためのオブジェクトですが、いくつかの違いがあります。

  1. Promiseはdeferredの後継として登場した
  2. PromiseはES6で標準化された一方、deferredは標準化されていない
  3. Promiseはコンストラクタで非同期処理を定義するのに対し、deferredは既存の非同期処理をラップする

Promiseの登場により、deferredを使う機会は減ってきているのが現状です。

しかし、jQueryを使ったプロジェクトや、古いブラウザもサポートする必要がある場合など、今でもdeferredが活躍する場面はあります。

deferredの基本的な使い方を理解しておくことで、それらのプロジェクトにも柔軟に対応できるようになるでしょう。

●deferredを使った基本的な非同期処理

さて、前章ではdeferredの基本概念と使う理由について学びました。それでは、実際にdeferredを使ってみましょう。

ここでは、deferredを使った基本的な非同期処理の例を3つ紹介します。

deferredを使った非同期処理は、大きく分けて3つのステップで行います。

  1. deferredオブジェクトを作成する
  2. 非同期処理を実行し、処理結果に応じてdeferredオブジェクトの状態を変更する
  3. deferredオブジェクトに登録したコールバック関数で、処理結果を受け取る

この流れを踏まえながら、それぞれのサンプルコードを見ていきましょう。

○サンプルコード1:シンプルなdeferredの例

まずは、シンプルなdeferredの使用例から見ていきましょう。

このコードでは、1秒後に”Hello, world!”というメッセージをコンソールに出力する非同期処理を、deferredを使って実装しています。

function asyncHello() {
  const deferred = $.Deferred();

  setTimeout(function() {
    console.log("Hello, world!");
    deferred.resolve();
  }, 1000);

  return deferred.promise();
}

asyncHello().then(function() {
  console.log("非同期処理が完了しました");
});

このコードでは、まずasyncHello()関数内でdeferredオブジェクトを作成しています。

そして、setTimeout()を使って1秒後にコンソールにメッセージを出力し、deferred.resolve()を呼び出してdeferredオブジェクトの状態をresolvedに変更しています。

asyncHello()関数はdeferred.promise()を返しているので、この関数を呼び出す側では、then()メソッドを使ってdeferredオブジェクトにコールバック関数を登録することができます。

こうすることで、非同期処理が完了した後に任意の処理を実行できるようになります。

○サンプルコード2:複数の非同期処理を順番に実行する

次に、複数の非同期処理を順番に実行する例を見てみましょう。

このコードでは、3つの非同期処理を順番に実行し、すべての処理が完了した後にメッセージをコンソールに出力しています。

function asyncProcess1() {
  const deferred = $.Deferred();

  setTimeout(function() {
    console.log("非同期処理1が完了しました");
    deferred.resolve();
  }, 1000);

  return deferred.promise();
}

function asyncProcess2() {
  const deferred = $.Deferred();

  setTimeout(function() {
    console.log("非同期処理2が完了しました");
    deferred.resolve();
  }, 1500);

  return deferred.promise();
}

function asyncProcess3() {
  const deferred = $.Deferred();

  setTimeout(function() {
    console.log("非同期処理3が完了しました");
    deferred.resolve();
  }, 2000);

  return deferred.promise();
}

asyncProcess1()
  .then(asyncProcess2)
  .then(asyncProcess3)
  .then(function() {
    console.log("すべての非同期処理が完了しました");
  });

このコードでは、asyncProcess1()、asyncProcess2()、asyncProcess3()の3つの関数で非同期処理を定義しています。

それぞれの関数は、一定時間後にメッセージをコンソールに出力し、deferredオブジェクトの状態をresolvedに変更します。

そして、これらの関数をthen()メソッドでつなぐことで、非同期処理を順番に実行しています。

最後のthen()では、すべての非同期処理が完了した後に呼び出されるコールバック関数を登録しています。

このように、deferredを使えば複数の非同期処理を簡単に順番に実行することができます。

コールバックを深くネストさせる必要がないので、コードの可読性も維持しやすくなります。

○サンプルコード3:非同期処理の結果を変数に格納する

最後に、非同期処理の結果を変数に格納する例を見てみましょう。

このコードでは、非同期処理の結果として得られた値を、deferredオブジェクトを使って変数に格納しています。

function asyncMultiply(a, b) {
  const deferred = $.Deferred();

  setTimeout(function() {
    const result = a * b;
    deferred.resolve(result);
  }, 1000);

  return deferred.promise();
}

asyncMultiply(3, 4).then(function(result) {
  console.log(result); // 12
});

このコードでは、asyncMultiply()関数で非同期的に乗算を行っています。

関数内では、setTimeout()を使って1秒後に計算結果をdeferred.resolve()に渡しています。

asyncMultiply()関数を呼び出す側では、then()メソッドを使って非同期処理の結果を受け取ります。

then()に渡すコールバック関数の引数には、deferred.resolve()に渡した値が入ります。

この例では、乗算の結果である12がコンソールに出力されます。

●jQueryのdeferredの使い方

jQueryを使ったプロジェクトで非同期処理を扱う場面では、jQueryのdeferredを活用することができます。

jQueryのdeferredは、標準のPromiseとは少し異なる部分もありますが、基本的な使い方は同じです。

ここでは、jQueryのdeferredの使い方について、具体的なコード例を交えて解説していきます。

○サンプルコード4:jQueryのdeferredの基本

まずは、jQueryのdeferredの基本的な使い方から見ていきましょう。

このコードでは、jQueryのDeferredオブジェクトを使って、1秒後にメッセージをコンソールに出力する非同期処理を実装しています。

function asyncMessage() {
  const deferred = $.Deferred();

  setTimeout(function() {
    console.log("こんにちは、世界!");
    deferred.resolve();
  }, 1000);

  return deferred.promise();
}

asyncMessage().then(function() {
  console.log("非同期処理が完了しました");
});

このコードは、前章で紹介したシンプルなdeferredの例とほとんど同じですね。

jQueryのDeferredオブジェクトを使っている点が異なりますが、基本的な流れは同じです。

Deferredオブジェクトを作成し、非同期処理の中で状態を変更し、thenメソッドで処理結果を受け取ります。

jQueryのdeferredを使う際は、$.Deferred()でDeferredオブジェクトを作成することを覚えておきましょう。

そして、Deferredオブジェクトのpromiseメソッドを呼び出すことで、Promiseオブジェクトを取得できます。

このPromiseオブジェクトを使って、thenメソッドや、catchメソッド、finallyメソッドを呼び出すことができます。

○サンプルコード5:jQueryのajaxとdeferredを組み合わせる

次に、jQueryのajaxメソッドとdeferredを組み合わせる例を見てみましょう。

このコードでは、ajaxメソッドを使ってAPIからデータを取得し、取得したデータをコンソールに出力しています。

function fetchData() {
  return $.ajax({
    url: "https://api.example.com/data",
    type: "GET",
    dataType: "json"
  });
}

fetchData()
  .then(function(data) {
    console.log("取得したデータ:", data);
  })
  .catch(function(error) {
    console.error("データの取得に失敗しました:", error);
  });

このコードでは、fetchData関数内でjQueryのajaxメソッドを使ってAPIにGETリクエストを送信しています。

ajaxメソッドは、Promiseを返すので、そのままthenメソッドやcatchメソッドを使って処理結果を受け取ることができます。

ajaxメソッドを使う際は、urlオプションでリクエスト先のURLを指定し、typeオプションでHTTPメソッドを指定します。

また、dataTypeオプションを使って、レスポンスデータの型を指定することもできます。

この例では、レスポンスデータはJSONであると想定しているので、dataTypeオプションに”json”を指定しています。

jQueryのajaxメソッドを使えば、非同期でのデータ取得を簡単に実装できます。

そして、ajaxメソッドとdeferredを組み合わせることで、取得したデータを使った後続の処理を柔軟に記述できるようになります。

○サンプルコード6:jQueryのdeferredでエラーハンドリング

最後に、jQueryのdeferredを使ったエラーハンドリングの例を見てみましょう。

このコードでは、非同期処理の中で例外が発生した場合に、failコールバックで例外をキャッチしています。

function asyncFailure() {
  const deferred = $.Deferred();

  setTimeout(function() {
    try {
      // わざと例外を発生させる
      throw new Error("何かがうまくいかなかった!");
    } catch (error) {
      deferred.reject(error);
    }
  }, 1000);

  return deferred.promise();
}

asyncFailure()
  .then(function() {
    console.log("非同期処理が成功しました");
  })
  .fail(function(error) {
    console.error("非同期処理が失敗しました:", error);
  });

このコードでは、asyncFailure関数内で、わざと例外を発生させています。

そして、try…catch文を使って例外をキャッチし、deferred.reject(error)を呼び出して、Deferredオブジェクトの状態をrejectedに変更しています。

asyncFailure関数を呼び出す側では、thenメソッドとfailメソッドを使って、非同期処理の成功時と失敗時の処理を記述しています。

failメソッドには、reject関数に渡したエラーオブジェクトが引数として渡されます。

これを使って、エラーメッセージをコンソールに出力しています。

jQueryのdeferredでは、failメソッドを使ってエラーハンドリングを行うことができます。

reject関数に渡したエラーオブジェクトを使って、エラーの原因を特定し、適切なエラー処理を行いましょう。

●deferredを使った実践的なテクニック

さて、ここまででdeferredの基本的な使い方やjQueryのdeferredの活用方法について解説してきました。

でも、実際のプロジェクトでは、もっと複雑な非同期処理を扱うことも多いですよね。

例えば、複数の非同期処理を並列で実行したり、タイムアウト処理を実装したりする場面があります。

そんな時にも、deferredを上手に活用することで、効率的でエレガントなコードを書くことができます。

ここでは、そんな実践的なdeferredのテクニックについて、具体的なサンプルコードを交えて解説していきます。

ここで紹介するテクニックを身につけることで、より高度な非同期処理にも対応できるようになるでしょう。

それでは、一緒に見ていきましょう!

○サンプルコード7:複数の非同期処理を並列で実行する

まずは、複数の非同期処理を並列で実行する方法から見ていきましょう。

このコードでは、$.whenを使って3つの非同期処理を並列で実行し、すべての処理が完了した後にメッセージをコンソールに出力しています。

function asyncTask1() {
  const deferred = $.Deferred();

  setTimeout(function() {
    console.log("非同期タスク1が完了しました");
    deferred.resolve();
  }, 1000);

  return deferred.promise();
}

function asyncTask2() {
  const deferred = $.Deferred();

  setTimeout(function() {
    console.log("非同期タスク2が完了しました");
    deferred.resolve();
  }, 2000);

  return deferred.promise();
}

function asyncTask3() {
  const deferred = $.Deferred();

  setTimeout(function() {
    console.log("非同期タスク3が完了しました");
    deferred.resolve();
  }, 1500);

  return deferred.promise();
}

$.when(asyncTask1(), asyncTask2(), asyncTask3())
  .then(function() {
    console.log("すべての非同期タスクが完了しました");
  });

このコードでは、asyncTask1、asyncTask2、asyncTask3という3つの関数で非同期処理を定義しています。

それぞれの関数は、一定時間後にメッセージをコンソールに出力し、Deferredオブジェクトの状態をresolvedに変更します。

そして、$.whenを使って、これらの関数を並列で実行しています。

$.whenに渡された関数は、すべてPromiseを返すので、$.whenはそれらのPromiseがすべて完了するまで待ちます。

すべてのPromiseが完了すると、thenメソッドに登録されたコールバック関数が実行されます。

このように、$.whenを使えば、複数の非同期処理を簡単に並列で実行することができます。

処理の順番は保証されませんが、すべての処理が完了するのを待つことができるので、便利ですね。

○サンプルコード8:非同期処理のタイムアウト処理

次に、非同期処理のタイムアウト処理を実装する方法を見てみましょう。

このコードでは、非同期処理が一定時間内に完了しない場合に、タイムアウトエラーを発生させています。

function asyncTimeout() {
  const deferred = $.Deferred();

  setTimeout(function() {
    deferred.resolve("非同期処理が完了しました");
  }, 3000);

  return deferred.promise();
}

function timeout(promise, timeoutMillis) {
  const deferred = $.Deferred();

  const timeoutId = setTimeout(function() {
    deferred.reject(new Error("タイムアウトエラーが発生しました"));
  }, timeoutMillis);

  promise.then(
    function(value) {
      clearTimeout(timeoutId);
      deferred.resolve(value);
    },
    function(error) {
      clearTimeout(timeoutId);
      deferred.reject(error);
    }
  );

  return deferred.promise();
}

timeout(asyncTimeout(), 2000)
  .then(function(value) {
    console.log(value);
  })
  .catch(function(error) {
    console.error(error);
  });

このコードでは、asyncTimeout関数で非同期処理を定義しています。

この関数は、3秒後にDeferredオブジェクトの状態をresolvedに変更します。

そして、timeout関数を定義して、Promiseにタイムアウト処理を追加しています。

timeout関数は、Promiseとタイムアウト時間をミリ秒単位で受け取ります。

関数内では、setTimeout関数を使ってタイムアウト時間後にDeferredオブジェクトの状態をrejectedに変更するようにしています。

また、元のPromiseに対して、thenメソッドを使って成功時と失敗時の処理を登録しています。

成功時には、タイムアウトをクリアしてDeferredオブジェクトの状態をresolvedに変更し、失敗時には、タイムアウトをクリアしてDeferredオブジェクトの状態をrejectedに変更します。

最後に、asyncTimeout関数とtimeout関数を組み合わせて使っています。

この例では、タイムアウト時間を2秒に設定しているので、3秒かかるasyncTimeout関数では、タイムアウトエラーが発生します。

このように、Promiseにタイムアウト処理を追加することで、非同期処理が長時間かかりすぎる場合にエラーを発生させることができます。

これを使えば、レスポンスの遅いAPIへのリクエストなどで、ユーザーを長時間待たせることを防げますね。

○サンプルコード9:deferredを使ったプログレスバーの実装

続いて、deferredを使ってプログレスバーを実装する方法を見てみましょう。

このコードでは、複数の非同期処理の進捗状況を表示するプログレスバーを実装しています。

<div id="progressBar" style="width: 0%; height: 20px; background-color: #4CAF50;"></div>

<script>
function asyncTask(taskName, timeMillis) {
  const deferred = $.Deferred();

  setTimeout(function() {
    console.log(taskName + "が完了しました");
    deferred.resolve();
  }, timeMillis);

  return deferred.promise();
}

const tasks = [
  asyncTask("タスク1", 1000),
  asyncTask("タスク2", 2000),
  asyncTask("タスク3", 1500),
  asyncTask("タスク4", 2500)
];

const progressBar = $("#progressBar");

$.when.apply($, tasks)
  .progress(function(taskName) {
    const progress = (tasks.indexOf(taskName) + 1) / tasks.length * 100;
    progressBar.css("width", progress + "%");
  })
  .then(function() {
    console.log("すべてのタスクが完了しました");
  });
</script>

このコードでは、まず、asyncTask関数を定義して、渡されたタスク名と時間に基づいて非同期処理を実行します。

そして、tasks配列に4つの非同期タスクを登録しています。

次に、progressBarという変数を定義して、HTMLのdiv要素を参照しています。

このdiv要素が、プログレスバーとして機能します。

そして、$.when.apply($, tasks)を使って、tasks配列内のすべてのPromiseを並列で実行しています。

ここで、progressメソッドを使って、各Promiseの進捗状況を監視しています。

progressメソッドには、現在完了したPromiseが渡されるので、その情報を使ってプログレスバーの幅を更新しています。

最後に、thenメソッドを使って、すべてのタスクが完了した後の処理を登録しています。

このコードを実行すると、プログレスバーが徐々に伸びていき、すべてのタスクが完了すると、プログレスバーが100%になります。

このように、deferredを使えば、非同期処理の進捗状況を視覚的に表現することができます。

○サンプルコード10:deferredを使ったキャンセル可能な非同期処理

最後に、deferredを使ってキャンセル可能な非同期処理を実装する方法を見てみましょう。

このコードでは、非同期処理の途中でキャンセルできるようにしています。

function asyncCancelable(timeMillis) {
  const deferred = $.Deferred();

  const timerId = setTimeout(function() {
    console.log("非同期処理が完了しました");
    deferred.resolve();
  }, timeMillis);

  deferred.promise().cancel = function() {
    clearTimeout(timerId);
    console.log("非同期処理がキャンセルされました");
    deferred.reject("canceled");
  };

  return deferred.promise();
}

const promise = asyncCancelable(2000);

promise.then(
  function() {
    console.log("非同期処理が成功しました");
  },
  function(reason) {
    console.error("非同期処理が失敗しました:" + reason);
  }
);

// 1秒後に非同期処理をキャンセルする
setTimeout(function() {
  promise.cancel();
}, 1000);

このコードでは、asyncCancelable関数を定義して、指定された時間後に完了する非同期処理を実装しています。

また、Promiseオブジェクトに、cancel関数を追加しています。

cancel関数は、非同期処理をキャンセルするために使用します。

cancel関数内では、clearTimeout関数を使ってタイマーをクリアし、Deferredオブジェクトの状態をrejectedに変更しています。

これにより、非同期処理がキャンセルされたことを示します。

そして、asyncCancelable関数を呼び出して、非同期処理を開始しています。

thenメソッドを使って、成功時と失敗時の処理を登録しています。

最後に、setTimeout関数を使って、1秒後に非同期処理をキャンセルしています。

これにより、非同期処理が途中で中断され、失敗時の処理が実行されます。

このように、deferredを使えば、非同期処理をキャンセル可能にすることができます。

これは、ユーザーが途中でキャンセルボタンを押したり、別の処理を優先したりする場合に便利ですね。

●よくあるエラーと対処法

deferredを使った非同期処理を実装していると、思わぬエラーに遭遇することがあります。

特に、初めてdeferredを使う人にとっては、エラーの原因を特定するのに苦労するかもしれません。

でも、大丈夫です。よくあるエラーとその対処法を知っておけば、問題をスムーズに解決できるはずです。

ここでは、deferredを使っていて遭遇しやすい3つのエラーと、それぞれの対処法について見ていきましょう。

これらのエラーに備えておくことで、非同期処理の実装がよりスムーズになるはずです。

○deferredの状態が変わらない場合の対処法

deferredを使った非同期処理を実装していて、一向にdeferredの状態が変わらないことがあります。

例えば、resolve()やreject()を呼び出し忘れていたり、非同期処理の中で例外が発生していたりすると、このような状況になります。

このようなエラーに気づくには、まず、deferredの状態を確認することが重要です。

このようなコードを使って、deferredの状態をコンソールに出力してみましょう。

function asyncTask() {
  const deferred = $.Deferred();

  setTimeout(function() {
    // 何らかの処理
    console.log(deferred.state()); // deferredの状態を出力
    deferred.resolve();
  }, 1000);

  return deferred.promise();
}

asyncTask().then(function() {
  console.log("非同期処理が完了しました");
});

このコードでは、setTimeout()内でdeferred.state()を呼び出して、deferredの状態をコンソールに出力しています。

非同期処理が正常に完了すれば、”resolved”と表示されるはずです。

もし、”pending”のままであれば、resolve()やreject()が呼び出されていないか、例外が発生している可能性があります。

resolve()やreject()の呼び出し忘れは、コードを確認することで発見できます。

例外が発生している場合は、try…catch文を使ってエラーをキャッチし、適切にハンドリングする必要があります。

このように、try…catch文を使って例外をキャッチし、reject()を呼び出すようにしましょう。

function asyncTask() {
  const deferred = $.Deferred();

  setTimeout(function() {
    try {
      // 何らかの処理
      throw new Error("例外が発生しました");
    } catch (error) {
      deferred.reject(error);
    }
  }, 1000);

  return deferred.promise();
}

asyncTask().catch(function(error) {
  console.error("エラーが発生しました:", error);
});

このように、try…catch文を使って例外をキャッチし、reject()を呼び出すことで、エラーを適切に処理できます。

○deferredのチェーンが途中で止まる場合の対処法

deferredを使った非同期処理をチェーンでつないでいる場合、チェーンの途中でエラーが発生すると、そこでチェーンが止まってしまうことがあります。

例えば、次のようなコードだと、asyncTask2()でエラーが発生した場合、asyncTask3()は実行されません。

function asyncTask1() {
  const deferred = $.Deferred();

  setTimeout(function() {
    console.log("タスク1が完了しました");
    deferred.resolve();
  }, 1000);

  return deferred.promise();
}

function asyncTask2() {
  const deferred = $.Deferred();

  setTimeout(function() {
    console.log("タスク2が完了しました");
    deferred.reject(new Error("タスク2でエラーが発生しました"));
  }, 1000);

  return deferred.promise();
}

function asyncTask3() {
  const deferred = $.Deferred();

  setTimeout(function() {
    console.log("タスク3が完了しました");
    deferred.resolve();
  }, 1000);

  return deferred.promise();
}

asyncTask1()
  .then(asyncTask2)
  .then(asyncTask3)
  .then(function() {
    console.log("すべてのタスクが完了しました");
  })
  .catch(function(error) {
    console.error("エラーが発生しました:", error);
  });

このような場合、チェーンの最後にcatch()を追加することで、エラーをキャッチできます。

ただし、エラーが発生した場所を特定するのが難しくなります。

エラーが発生した場所を特定しやすくするには、各タスクにcatch()を追加する方法があります。

このように、各タスクにcatch()を追加することで、どのタスクでエラーが発生したのかを特定できます。

asyncTask1()
  .then(asyncTask2)
  .catch(function(error) {
    console.error("タスク2でエラーが発生しました:", error);
  })
  .then(asyncTask3)
  .catch(function(error) {
    console.error("タスク3でエラーが発生しました:", error);
  })
  .then(function() {
    console.log("すべてのタスクが完了しました");
  });

このように、各タスクにcatch()を追加することで、エラーが発生した場所を特定しやすくなります。ただし、コードがやや冗長になるので、必要に応じて使い分けましょう。

○同じdeferredに複数回resolve/rejectした場合の挙動

deferredの状態は、一度resolveまたはrejectされると、それ以降は変化しません。

したがって、同じdeferredに対して複数回resolve()やreject()を呼び出しても、最初の呼び出しのみが有効となります。

このコードでは、deferred.resolve()を2回呼び出していますが、2回目の呼び出しは無視されます。

function asyncTask() {
  const deferred = $.Deferred();

  setTimeout(function() {
    deferred.resolve("1回目のresolve");
    deferred.resolve("2回目のresolve"); // 無視される
  }, 1000);

  return deferred.promise();
}

asyncTask().then(function(value) {
  console.log(value); // "1回目のresolve"
});

このように、同じdeferredに対して複数回resolve()やreject()を呼び出しても、最初の呼び出しのみが有効となります。

これは、deferredの状態が変化した後は、それ以降の状態変化が無視されるためです。

ただし、この挙動を利用して、deferredを不適切に使用するのは避けましょう。

複数の非同期処理を扱う場合は、各処理に対して別々のdeferredを使用するか、$.whenを使って処理をまとめるなどの方法を検討しましょう。

●deferredとPromiseの使い分け

JavaScriptの非同期処理を扱う上で、deferredとPromiseはどちらも欠かせないツールです。

しかし、それぞれの特徴を理解し、適切に使い分けることが大切ですよね。

ここまで、deferredの基本的な使い方や実践的なテクニックを解説してきましたが、改めてdeferredとPromiseの違いを整理し、それぞれの使いどころを考えてみましょう。

この章では、deferredが適している場面とPromiseが適している場面を比較し、それぞれの特徴を活かした使い分け方を提案します。

また、既存のdeferredを使ったコードをPromiseに移行する方法についても触れます。

状況に応じて適切なツールを選択できるようになることで、より効率的で可読性の高いコードを書けるようになるはずです。

○deferredが適している場面

deferredは、jQueryを使ったプロジェクトで特に力を発揮します。

jQueryには、ajaxメソッドをはじめとする多くの非同期処理を扱うメソッドが用意されていますが、これらのメソッドの多くは、Promiseではなくdeferredを返します。

したがって、jQueryを使っている場合は、自然とdeferredを使う機会が多くなるでしょう。

また、deferredは、Promiseよりも柔軟性が高いという特徴があります。

例えば、deferredオブジェクトの状態を外部から変更することができます。

これにより、非同期処理の状態を細かくコントロールしたい場合に、deferredが適しているといえます。

具体的には、このような場面でdeferredを使うことを検討しましょう。

・jQueryのajaxメソッドを使ってデータを取得する場合
・複数の非同期処理を順番に実行したい場合
・非同期処理の進捗状況を表示したい場合
・非同期処理をキャンセルできるようにしたい場合

これらの場面では、deferredの柔軟性を活かすことで、より細かな制御が可能になります。

○Promiseが適している場面

一方、Promiseは、ES6で標準化された非同期処理の仕組みです。

Promiseを使えば、deferredと同様に、非同期処理を扱いやすくすることができます。

Promiseは、deferredよりもシンプルで、エラーハンドリングの仕組みが充実しているという特徴があります。

Promiseは、特にNode.jsを使った開発で力を発揮します。

Node.jsの標準APIの多くは、コールバック関数を引数に取る形式ですが、これをPromiseを返す形式にラップすることで、より扱いやすくなります。

また、ES2017で導入されたasync/await構文を使えば、Promiseをさらに簡潔に記述できます。

具体的には、次のような場面でPromiseを使うことを検討しましょう。

・Node.jsの標準APIを使う場合
・HTTPリクエストを送信する場合(fetch APIなど)
・async/await構文を使いたい場合
・エラーハンドリングを簡潔に記述したい場合

これらの場面では、Promiseのシンプルさとエラーハンドリングの仕組みを活かすことで、より読みやすいコードを書くことができます。

○deferredからPromiseへの移行方法

既存のプロジェクトでdeferredを使っている場合、新しく書くコードではPromiseを使いたいと思うかもしれません。

その場合は、deferredを使ったコードをPromiseに移行する必要があります。

移行の方法は、主に2つあります。

1つ目は、deferredオブジェクトのpromiseメソッドを使う方法です。

deferredオブジェクトのpromiseメソッドを呼び出すと、そのdeferredをPromiseに変換することができます。

これにより、deferredを返すメソッドをそのままPromiseチェーンの中で使うことができます。

function asyncTask() {
  const deferred = $.Deferred();

  setTimeout(function() {
    deferred.resolve("非同期処理が完了しました");
  }, 1000);

  return deferred.promise();
}

asyncTask()
  .then(function(result) {
    console.log(result);
  });

2つ目は、deferredを使ったコードをPromiseを使ったコードに書き換える方法です。

この方法は、コードの構造を大きく変更する必要があるため、時間がかかるかもしれません。

しかし、Promiseを使ったコードに統一することで、コードの一貫性が高まり、メンテナンス性が向上します。

function asyncTask() {
  return new Promise(function(resolve, reject) {
    setTimeout(function() {
      resolve("非同期処理が完了しました");
    }, 1000);
  });
}

asyncTask()
  .then(function(result) {
    console.log(result);
  });

移行の際は、deferredとPromiseの違いを理解し、コードの構造をよく考えながら進めることが大切です。

また、移行後のコードが正しく動作することを確認するために、テストを書くことも忘れずに。

まとめ

JavaScriptの非同期処理を扱う上で、deferredとPromiseは欠かせないツールです。

この記事では、deferredの基本概念から実践的な使い方、よくあるエラーへの対処法、そしてPromiseとの使い分けまで、幅広く解説してきました。

非同期処理を適切に扱うことは、JavaScriptでの開発において重要なスキルの1つです。

コールバック地獄に悩まされることなく、スマートで可読性の高いコードを書くためには、deferredやPromiseを理解し、使いこなすことが求められます。

この記事で紹介した内容を活かせば、jQueryを使ったプロジェクトでも、Node.jsを使ったプロジェクトでも、非同期処理を効率的に扱えるようになるはずです。

また、サンプルコードを参考に、自分のプロジェクトでdeferredやPromiseを活用してみてください。

JavaScriptの非同期処理は、一朝一夕には習得できない難しい概念ですが、諦めずに学び続けることが大切です。

今回の内容を理解し、実践することで、あなたもJavaScriptの非同期処理マスターに近づけるはずです。

一緒に頑張りましょう!