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JavaScriptでの引数の省略に関する実務での活用法14選

JavaScriptの引数省略を極める14の方法 JS
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この記事では、プログラムの基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

本記事のサンプルコードを活用して機能追加、目的を達成できるように作ってありますので、是非ご活用ください。

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●JavaScriptの引数省略とは?

JavaScriptでは、関数を呼び出す際に引数を省略することができます。

引数を省略すると、関数内ではそれらの引数がundefinedとして扱われます。

引数省略は、関数の柔軟性を高め、コードの可読性を向上させる効果的な手法です。

○引数省略のメリット

引数省略には、いくつかのメリットがあります。

まず、関数の呼び出し側で必要のない引数を指定しなくて済むため、コードがスッキリとします。

また、デフォルト値を設定しておくことで、引数が省略された場合でも適切な値が使用されるようになります。

これにより、関数の利用者は引数の指定に悩むことなく、簡単に関数を呼び出せるようになります。

さらに、引数省略を活用することで、同じ関数を様々な状況で使い回すことができます。

たとえば、デフォルト値が設定されている引数を省略すれば、そのデフォルト値が適用されます。

一方で、特定の状況では引数を明示的に指定することで、関数の動作を細かく制御できます。

このように、引数省略はコードの柔軟性を高め、様々な場面で関数を活用できるようにします。

○引数省略の注意点

ただし、引数省略を使用する際には、いくつか注意すべき点があります。

引数を省略しすぎると、関数の意図が伝わりにくくなったり、予期せぬ動作を引き起こしたりする可能性があります。

そのため、引数を省略する際は、関数の目的や期待される動作を考慮し、適切な引数を指定するようにしましょう。

また、引数の順序にも気をつける必要があります。

引数を省略する場合は、右から左に向かって省略していく必要があります。

途中の引数だけを省略することはできないので、注意が必要です。

引数省略を適切に活用することで、コードの可読性と柔軟性を高められます。

一方で、省略しすぎには注意が必要です。

関数の目的に合わせて、適切な引数を指定するようにしましょう。

では、次は引数省略の基本的な使い方について見ていきましょう。

●引数省略の基本的な使い方

JavaScriptでは、関数を定義する際に引数を指定しますが、その引数の一部を省略可能にすることができます。

引数を省略する場合、省略された引数にはundefinedが自動的に割り当てられます。

これにより、関数の呼び出し側では必要な引数だけを指定すればよくなり、コードがスッキリと読みやすくなります。

○サンプルコード1:省略可能な引数の指定

では早速、引数省略の基本的な使い方を見ていきましょう。

次のサンプルコードを見てみましょう。

function greet(name, message) {
  if (message === undefined) {
    message = "こんにちは";
  }
  console.log(name + "さん、" + message + "!");
}

greet("山田"); // 出力: 山田さん、こんにちは!
greet("佐藤", "おはようございます"); // 出力: 佐藤さん、おはようございます!

このサンプルコードでは、greet関数は2つの引数nameとmessageを受け取ります。

ただし、messageは省略可能な引数です。

関数内では、messageがundefinedかどうかを確認し、undefinedの場合はデフォルトのメッセージ”こんにちは”を使用しています。

greet関数の呼び出し方を見ると、1つ目の呼び出しでは引数nameだけを指定し、messageは省略しています。

この場合、messageにはundefinedが割り当てられ、関数内でデフォルトのメッセージが使用されます。

2つ目の呼び出しでは、両方の引数を指定しているので、指定されたメッセージが使用されます。

このように、引数を省略可能にすることで、関数の呼び出し側では必要な引数だけを指定できるようになります。

これにより、コードの可読性が向上し、柔軟性も高まります。

○サンプルコード2:デフォルト引数の設定

先ほどのサンプルコードでは、関数内で引数がundefinedかどうかを確認し、デフォルト値を設定していました。

しかし、JavaScriptではデフォルト引数を直接指定することもできます。以下のサンプルコードを見てみましょう。

function introduce(name, age = 30) {
  console.log(name + "さんは" + age + "歳です。");
}

introduce("山田"); // 出力: 山田さんは30歳です。
introduce("佐藤", 25); // 出力: 佐藤さんは25歳です。

このサンプルコードでは、introduce関数の2つ目の引数ageにデフォルト値として30を指定しています。

これにより、ageが省略された場合は自動的に30が使用されます。

1つ目の呼び出しでは、引数nameだけを指定し、ageは省略しています。

この場合、ageにはデフォルト値の30が使用されます。

2つ目の呼び出しでは、両方の引数を指定しているので、指定された値の25が使用されます。

デフォルト引数を使用することで、関数内での条件分岐を減らすことができ、コードがよりシンプルになります。

また、呼び出し側でも引数の指定が柔軟になるため、コードの可読性が向上します。

●TypeScriptでの引数省略と型指定

TypeScriptは、JavaScriptに型システムを導入した言語です。

TypeScriptを使用することで、引数の型を明示的に指定できるようになり、コードの品質と保守性が向上します。

また、TypeScriptには引数の省略を表現するための構文もあります。

○サンプルコード3:オプション引数の指定

TypeScriptでは、引数名の後に?を付けることでオプション引数を指定できます。

オプション引数は、省略可能な引数を表します。

次のサンプルコードを見てみましょう。

function greet(name: string, message?: string) {
  if (message === undefined) {
    message = "こんにちは";
  }
  console.log(`${name}さん、${message}!`);
}

greet("山田"); // 出力: 山田さん、こんにちは!
greet("佐藤", "おはようございます"); // 出力: 佐藤さん、おはようございます!

このサンプルコードでは、greet関数の2つ目の引数messageに?を付けることで、オプション引数として指定しています。

オプション引数は、呼び出し時に省略することができます。

1つ目の呼び出しでは、引数nameだけを指定し、messageは省略しています。

この場合、messageはundefinedとして扱われ、関数内でデフォルトのメッセージが使用されます。

2つ目の呼び出しでは、両方の引数を指定しているので、指定されたメッセージが使用されます。

オプション引数を使用することで、引数の省略を明示的に表現できます。

また、型指定と組み合わせることで、より堅牢なコードを書くことができます。

○サンプルコード4:複数のオプション引数

TypeScriptでは、複数のオプション引数を指定することもできます。

次のサンプルコードを見てみましょう。

function introduce(name: string, age?: number, job?: string) {
  let introduction = `${name}さんは`;

  if (age !== undefined) {
    introduction += `${age}歳で、`;
  }

  if (job !== undefined) {
    introduction += `職業は${job}です。`;
  }

  console.log(introduction);
}

introduce("山田"); // 出力: 山田さんは
introduce("佐藤", 30); // 出力: 佐藤さんは30歳で、
introduce("鈴木", 25, "エンジニア"); // 出力: 鈴木さんは25歳で、職業はエンジニアです。

このサンプルコードでは、introduce関数は3つの引数を受け取ります。

nameは必須の引数ですが、ageとjobはオプション引数として指定されています。

関数内では、それぞれのオプション引数がundefinedかどうかを確認し、undefinedでない場合は対応する情報を文字列に追加しています。

1つ目の呼び出しでは、引数nameだけを指定しています。

この場合、ageとjobはundefinedのままなので、最小限の紹介文が出力されます。

2つ目の呼び出しでは、nameとageを指定しています。この場合、ageに関する情報が追加されます。

3つ目の呼び出しでは、全ての引数を指定しているので、全ての情報が含まれた紹介文が出力されます。

複数のオプション引数を使用することで、関数の柔軟性がさらに高まります。

呼び出し側では必要な情報だけを指定すればよく、不要な引数は省略できます。

また、TypeScriptの型システムにより、引数の型に関するエラーを事前に防ぐことができます。

●可変長引数の活用法

JavaScriptでは、関数の引数の数が予め決まっていない場合でも、可変長引数を使って柔軟に対応することができます。

可変長引数を活用することで、任意の数の引数を受け取ることができ、コードの再利用性が高まります。

○サンプルコード5:残余引数の使用

JavaScriptの残余引数(Rest Parameters)を使用すると、関数に渡された引数を配列として受け取ることができます。

次のサンプルコードを見てみましょう。

function sum(...numbers) {
  let total = 0;
  for (let number of numbers) {
    total += number;
  }
  return total;
}

console.log(sum(1, 2, 3)); // 出力: 6
console.log(sum(4, 5, 6, 7)); // 出力: 22
console.log(sum(1, 2, 3, 4, 5)); // 出力: 15

このサンプルコードでは、sum関数は残余引数numbersを受け取ります。

関数内では、numbersは配列として扱われ、for…of文を使って配列の要素を順番に処理しています。

sum関数を呼び出す際に、任意の数の引数を渡すことができます。

1つ目の呼び出しでは1, 2, 3が渡され、合計値6が出力されます。

2つ目の呼び出しでは4, 5, 6, 7が渡され、合計値22が出力されます。

3つ目の呼び出しでは1, 2, 3, 4, 5が渡され、合計値15が出力されます。

残余引数を使用することで、関数の引数の数に制限がなくなり、柔軟性が高まります。

また、引数を配列として受け取ることができるため、配列のメソッドを活用してデータを処理することもできます。

○サンプルコード6:スプレッド構文での展開

スプレッド構文(Spread Syntax)は、配列やオブジェクトの要素を展開するための構文です。

可変長引数との組み合わせで使用することで、より柔軟な引数の受け渡しが可能になります。

次のサンプルコードを見てみましょう。

function multiply(multiplier, ...numbers) {
  return numbers.map(number => number * multiplier);
}

const numbers = [1, 2, 3, 4, 5];
console.log(multiply(2, ...numbers)); // 出力: [2, 4, 6, 8, 10]

console.log(multiply(3, 10, 20, 30)); // 出力: [30, 60, 90]

このサンプルコードでは、multiply関数は第1引数としてmultiplierを受け取り、残りの引数は残余引数numbersとして受け取ります。

関数内では、numbersの各要素にmultiplierを掛けた結果を新しい配列として返しています。

1つ目の呼び出しでは、事前に定義された配列numbersをスプレッド構文を使って展開し、multiply関数に渡しています。

配列の要素が個別の引数として扱われ、それぞれ2倍された結果が出力されます。

2つ目の呼び出しでは、直接引数として数値を渡しています。

残余引数により、任意の数の引数を受け取ることができ、それぞれの数値が3倍された結果が出力されます。

●名前付き引数のメリット

JavaScriptでは、関数の引数を名前付きで指定することができます。

名前付き引数を使用することで、引数の意味が明確になり、コードの可読性が向上します。

また、引数の順序に依存せずに値を指定できるため、柔軟性も高まります。

○サンプルコード7:オブジェクトでの引数指定

名前付き引数を実現する一つの方法は、オブジェクトを引数として受け取ることです。

次のサンプルコードを見てみましょう。

function greet({ name, message }) {
  console.log(`${name}さん、${message}`);
}

greet({ name: "山田", message: "こんにちは" }); // 出力: 山田さん、こんにちは
greet({ message: "お疲れ様です", name: "佐藤" }); // 出力: 佐藤さん、お疲れ様です

このサンプルコードでは、greet関数はオブジェクトを引数として受け取ります。

オブジェクトのプロパティとして、nameとmessageを指定します。

関数を呼び出す際には、オブジェクトリテラルを使って引数を指定します。

1つ目の呼び出しでは、nameプロパティに”山田”、messageプロパティに”こんにちは”を指定しています。

2つ目の呼び出しでは、プロパティの順序を入れ替えていますが、正しく動作します。

オブジェクトを使った名前付き引数の指定は、引数の意味が明確になり、コードの可読性が向上します。

また、引数の順序に依存しないため、柔軟性も高くなります。

ただし、オブジェクトのプロパティ名を間違えると、意図しない動作になる可能性があるので注意が必要です。

○サンプルコード8:分割代入での引数の受け取り

オブジェクトを引数として受け取る際に、分割代入(Destructuring Assignment)を使用することで、コードをさらに簡潔に書くことができます。

次のサンプルコードを見てみましょう。

function introduce({ name, age, job }) {
  console.log(`私の名前は${name}です。年齢は${age}歳で、職業は${job}です。`);
}

const person = {
  name: "鈴木",
  age: 28,
  job: "エンジニア"
};

introduce(person); // 出力: 私の名前は鈴木です。年齢は28歳で、職業はエンジニアです。

このサンプルコードでは、introduce関数は分割代入を使ってオブジェクトの引数を受け取ります。

引数のオブジェクトから、name、age、jobプロパティを取り出して、関数内で使用しています。

関数を呼び出す際には、あらかじめ定義されたオブジェクトpersonを引数として渡しています。

personオブジェクトのプロパティが、関数の引数に対応します。

●引数の型チェックと検証

JavaScriptは動的型付け言語であるため、関数の引数の型を明示的に指定する必要はありません。

しかし、引数の型を検証することで、予期しない動作を防ぎ、コードの信頼性を高めることができます。

○サンプルコード9:引数の型チェック

引数の型をチェックするには、typeofやinstanceofなどの演算子を使用します。

function calculateAge(birthYear) {
  if (typeof birthYear !== "number") {
    throw new Error("生年は数値で指定してください");
  }

  const currentYear = new Date().getFullYear();
  const age = currentYear - birthYear;

  return age;
}

try {
  console.log(calculateAge(1990)); // 出力: 33
  console.log(calculateAge("1995")); // エラー: 生年は数値で指定してください
} catch (error) {
  console.error(error.message);
}

このサンプルコードでは、calculateAge関数は引数birthYearの型をチェックしています。

typeof演算子を使って、birthYearがnumber型であるかどうかを確認しています。

引数が数値でない場合は、エラーをスローしています。

関数を呼び出す際には、try…catch文を使ってエラーをキャッチしています。

1つ目の呼び出しでは、正しい数値の引数を渡しているため、年齢が正常に計算されます。

2つ目の呼び出しでは、文字列の引数を渡しているため、エラーがスローされ、エラーメッセージが出力されます。

引数の型をチェックすることで、関数が期待する型の引数が渡されているかどうかを確認できます。

これにより、引数の型に起因するエラーを早期に発見し、適切な処理を行うことができます。

○サンプルコード10:カスタム型の活用

TypeScriptでは、カスタム型を定義することで、引数の型をより詳細に指定できます。

type User = {
  name: string;
  age: number;
  email: string;
};

function registerUser(user: User) {
  // ユーザー登録の処理
  console.log(`ユーザー ${user.name} (${user.age}歳) を登録しました。メールアドレス: ${user.email}`);
}

const validUser: User = {
  name: "山田太郎",
  age: 25,
  email: "yamada@example.com"
};

const invalidUser = {
  name: "鈴木花子",
  age: "30代",
  email: "suzuki@example.com"
};

registerUser(validUser); // 出力: ユーザー 山田太郎 (25歳) を登録しました。メールアドレス: yamada@example.com
registerUser(invalidUser); // エラー: Type '{ name: string; age: string; email: string; }' is not assignable to type 'User'. Types of property 'age' are incompatible. Type 'string' is not assignable to type 'number'.

このサンプルコードでは、User型を定義しています。

User型は、name、age、emailのプロパティを持つオブジェクト型です。

registerUser関数は、User型の引数を受け取ります。

引数がUser型に適合しているかどうかが、TypeScriptのコンパイラによってチェックされます。

validUserは、User型の要件を満たすオブジェクトなので、registerUser関数に渡すことができます。

一方、invalidUserは、ageプロパティが文字列型になっているため、User型との不一致が検出され、コンパイルエラーが発生します。

●よくあるエラーと対処法

JavaScriptで引数を扱う際には、様々なエラーが発生する可能性があります。

よくあるエラーを理解し、適切な対処法を知っておくことで、バグを避け、コードの品質を高めることができます。

ちょっとややこしいので、一緒に見ていきましょう。

○引数の数が合わない場合

関数を呼び出す際に、引数の数が関数の定義と一致していない場合、エラーが発生します。

少しわかりにくいと思いますので、具体的な例を見てみましょう。

function greet(name, message) {
  console.log(`${name}さん、${message}`);
}

greet("山田"); // 出力: 山田さん、undefined
greet("佐藤", "こんにちは", "元気ですか?"); // 出力: 佐藤さん、こんにちは

この例では、greet関数は2つの引数を期待していますが、1つ目の呼び出しでは引数が1つしか渡されていません。

この場合、messageはundefinedになります。

2つ目の呼び出しでは、引数が3つ渡されていますが、関数は最初の2つの引数のみを使用します。

引数の数が合わない場合の対処法としては、デフォルト引数を設定したり、可変長引数を使用したりすることがあります。

また、関数の定義と呼び出しを見直し、引数の数を一致させることも重要です。

○undefinedやnullが渡された場合

引数としてundefinedやnullが渡された場合、意図しない動作が発生する可能性があります。

それぞれの例を見てみましょう。

function calculateArea(width, height) {
  return width * height;
}

console.log(calculateArea(10, undefined)); // 出力: NaN
console.log(calculateArea(null, 5)); // 出力: 0

この例では、calculateArea関数は2つの引数を乗算して面積を計算します。

1つ目の呼び出しでは、heightにundefinedが渡されているため、結果はNaN(Not a Number)になります。

2つ目の呼び出しでは、widthにnullが渡されているため、nullは0に変換され、結果は0になります。

undefinedやnullが渡された場合の対処法としては、引数のデフォルト値を設定したり、引数の型チェックを行ったりすることがあります。

また、nullを意図的に使用する場合は、その意図を明確にコメントに記載するなど、コードの可読性を高めることが大切です。

○適切な型が渡されなかった場合

引数に予期しない型の値が渡された場合、エラーが発生したり、意図しない結果になったりする可能性があります。

こんな感じの例を見てみましょう。

function repeat(str, count) {
  return str.repeat(count);
}

console.log(repeat("Hello", "3")); // 出力: HelloHelloHello
console.log(repeat(123, 2)); // エラー: repeat is not a function

この例では、repeat関数は文字列strをcount回繰り返す処理を行います。

1つ目の呼び出しでは、countに文字列”3″が渡されていますが、JavaScriptでは文字列を数値に自動的に変換するため、意図した結果が得られます。

しかし、2つ目の呼び出しでは、strに数値123が渡されているため、repeatメソッドが存在しないことによるエラーが発生します。

適切な型が渡されなかった場合の対処法としては、引数の型チェックを行ったり、型変換を明示的に行ったりすることがあります。

また、TypeScriptを使用することで、コンパイル時に型エラーを検出できるため、型に関するエラーを早期に発見できます。

●引数省略の実践的な応用例

JavaScriptでの引数省略は、コードの可読性や柔軟性を高めるために非常に有用な技法です。

ここからは、引数省略の実践的な応用例を見ていきましょう。実際のプロジェクトでどのように活用できるのか、一緒に探っていきましょう。

○サンプルコード11:設定オブジェクトの利用

複雑な設定を持つ関数では、設定オブジェクトを引数として受け取ることで、引数の順序に依存しない柔軟な関数を作ることができます。

では早速、具体的なコードを見てみましょう。

function createButton(options = {}) {
  const {
    text = "Click me",
    color = "blue",
    size = "medium",
    onClick = () => {},
  } = options;

  // ボタンの作成処理
  const button = document.createElement("button");
  button.textContent = text;
  button.style.color = color;
  button.style.fontSize = size === "large" ? "24px" : "16px";
  button.addEventListener("click", onClick);

  return button;
}

// デフォルトの設定でボタンを作成
const defaultButton = createButton();
console.log(defaultButton); // 出力: <button style="color: blue; font-size: 16px;">Click me</button>

// カスタムの設定でボタンを作成
const customButton = createButton({
  text: "Submit",
  color: "green",
  size: "large",
  onClick: () => {
    console.log("Button clicked!");
  },
});
console.log(customButton); // 出力: <button style="color: green; font-size: 24px;">Submit</button>

この例では、createButton関数は設定オブジェクトoptionsを引数として受け取ります。

オブジェクトの分割代入を使って、必要なプロパティを取り出し、デフォルト値を設定しています。

これにより、関数の呼び出し側では必要な設定だけを指定すればよく、省略された設定にはデフォルト値が適用されます。

設定オブジェクトを使うことで、引数の順序を気にする必要がなくなり、可読性が向上します。

また、新しい設定が追加された場合でも、既存のコードを変更することなく対応できます。

○サンプルコード12:コールバック関数の引数省略

コールバック関数を引数として受け取る場合、コールバック関数の引数を省略可能にすることで、柔軟性が高まります。

実際のコードを見てみましょう。

function fetchData(callback = () => {}) {
  // データの取得処理
  const data = { id: 1, name: "John" };

  // コールバック関数の呼び出し
  callback(data);
}

// コールバック関数を指定せずに呼び出す
fetchData();

// コールバック関数を指定して呼び出す
fetchData((data) => {
  console.log("Received data:", data); // 出力: Received data: { id: 1, name: "John" }
});

この例では、fetchData関数はコールバック関数callbackを引数として受け取ります。

デフォルト値として空の関数を指定しているため、コールバック関数を指定しない場合でもエラーが発生しません。

コールバック関数の引数を省略可能にすることで、呼び出し側ではコールバック関数を指定するかどうかを選択できます。

これにより、関数の利用の幅が広がり、コードの柔軟性が向上します。

○サンプルコード13:高階関数での活用

高階関数(関数を引数として受け取ったり、関数を返したりする関数)では、引数省略を活用することで、より汎用的で再利用性の高い関数を作ることができます。

こんな感じのコードを見てみましょう。

function mapArray(array, callback = (item) => item) {
  const mappedArray = [];
  for (const item of array) {
    mappedArray.push(callback(item));
  }
  return mappedArray;
}

const numbers = [1, 2, 3, 4, 5];

// そのままの配列を返す
const originalArray = mapArray(numbers);
console.log(originalArray); // 出力: [1, 2, 3, 4, 5]

// 各要素を2倍にした配列を返す
const doubledArray = mapArray(numbers, (item) => item * 2);
console.log(doubledArray); // 出力: [2, 4, 6, 8, 10]

この例では、mapArray関数は配列arrayとコールバック関数callbackを引数として受け取ります。

callbackにはデフォルト値として、そのままの要素を返す関数を指定しています。

コールバック関数を指定しない場合は、配列がそのまま返されます。

コールバック関数を指定する場合は、配列の各要素に対してコールバック関数が適用され、新しい配列が返されます。

引数省略を活用することで、高階関数の汎用性が高まり、様々な状況で再利用できるようになります。

また、関数の利用者は必要に応じてコールバック関数を指定できるため、柔軟性も向上します。

○サンプルコード14:デコレーターでの応用

デコレーター(関数や クラスを装飾する関数)では、引数省略を活用することで、装飾される関数やクラスに影響を与えることなく、柔軟に装飾を行うことができます。

実際のコードを見てみましょう。

function log(prefix = "") {
  return function (target, name, descriptor) {
    const originalMethod = descriptor.value;

    descriptor.value = function (...args) {
      console.log(`${prefix}Calling ${name} with arguments:`, args);
      const result = originalMethod.apply(this, args);
      console.log(`${prefix}Finished ${name}`);
      return result;
    };

    return descriptor;
  };
}

class Calculator {
  @log("Calculator: ")
  add(a, b) {
    return a + b;
  }
}

const calculator = new Calculator();
const result = calculator.add(3, 5);
console.log("Result:", result);
// 出力:
// Calculator: Calling add with arguments: [3, 5]
// Calculator: Finished add
// Result: 8

この例では、log関数はデコレーター関数として使用されています。

引数prefixにはデフォルト値として空文字列を指定しているため、デコレーターを使用する際にprefixを省略することができます。

デコレーターを適用したメソッドが呼び出される際、ログ出力を行う処理が追加されます。

デコレーターの引数を省略可能にすることで、デコレーターの利用者は必要に応じてカスタマイズできるようになります。

まとめ

JavaScriptにおける引数省略は、関数の柔軟性を高め、コードの可読性と保守性を向上させるための強力な技法です。

引数省略の基本的な使い方から、TypeScriptでの型指定、可変長引数、名前付き引数など、様々な応用例を見てきました。

引数省略を適切に活用することで、関数の呼び出し側では必要な引数だけを指定でき、コードがスッキリとします。

また、引数の型チェックや検証を行うことで、エラーを早期に発見し、バグを防ぐことができます。

JavaScriptの引数省略は、関数の設計と利用における重要な概念であり、適切に活用することでコードの柔軟性、可読性、保守性が向上し、開発の生産性が高まります。

ぜひ、引数省略の手法を実務のプロジェクトに取り入れてみてください。