RubyでNumpyを理解し活用する12のステップ – Japanシーモア

RubyでNumpyを理解し活用する12のステップ

プログラミング初心者がRubyでNumpyを使いこなすためのガイドブックRuby
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はじめに

RubyでNumpyのようなライブラリを使用してデータ分析や科学計算を行うことができます。

この記事では、初心者でも理解しやすいように、Numpyの基本的な機能や使い方について12のステップで解説します。

各ステップには具体的なサンプルコードも掲載しています。

これを読めばRubyでNumpyを活用する方法が一から理解できるでしょう。

●Numpyとは

NumpyはPythonで開発された数値計算ライブラリです。

配列や行列の演算、統計計算などを高速に行うことができます。

しかし、Python以外の言語でNumpyのようなライブラリを使いたい場合はどうすれば良いでしょうか。

それがRubyです。

RubyでもNMatrixやNumo::NArrayといったライブラリを使えば、Numpyに似た機能を活用することが可能となります。

●RubyでのNumpyのセットアップ

まず、NumpyのようなライブラリをRubyで使うためには、ライブラリをインストールする必要があります。

gemコマンドを使用してNumo::NArrayをインストールする例を表します。

gem install numo-narray

上記コマンドを実行すると、Numo::NArrayがインストールされ、Rubyのプログラムで使用することができるようになります。

●基本的なNumpyの関数と使い方

次に、Numpyの基本的な関数とその使い方について学んでいきましょう。

○配列の作成

Numpyで一番重要とされるのは配列の作成です。Numo::NArrayを使って配列を作成することができます。

下記のコードは1次元配列と2次元配列を作成する例です。

require 'numo/narray'

# 1次元配列
a = Numo::DFloat[1, 2, 3, 4, 5]
puts a

# 2次元配列
b = Numo::DFloat[[1, 2, 3], [4, 5, 6]]
puts b

上記のコードを実行すると、1次元配列と2次元配列が作成されます。

それぞれの配列には任意の数字を格納できます。

○配列の形状操作

配列の形状を操作することもNumpyの重要な機能の一つです。

下記のコードは配列の形状を変更する例です。

require 'numo/narray'

a = Numo::DFloat[1, 2, 3, 4,

 5, 6]
puts a.shape

# 配列の形状を変更
b = a.reshape([2, 3])
puts b.shape
puts b

このコードでは、初めに形状が[6]の1次元配列を作成します。

次に、reshapeメソッドを使用して配列の形状を[2, 3]に変更します。

結果として、元の1次元配列が2行3列の2次元配列に変形されます。

○数学的な操作

Numpyは数学的な配列操作をサポートしています。

下記のコードでは、配列に対して数学的な操作を行う例を表します。

require 'numo/narray'

a = Numo::DFloat[1, 2, 3]
b = Numo::DFloat[4, 5, 6]

# 配列の足し算
c = a + b
puts c

# 配列の掛け算
d = a * b
puts d

このコードでは、2つの1次元配列を作成し、それらの足し算と掛け算を行います。

足し算の結果としては[5, 7, 9]、掛け算の結果としては[4, 10, 18]が得られます。

○ブールインデックス作成

ブールインデックスとは、配列の要素に対して条件を満たすか否かを表す配列のことを指します。

下記のコードでは、配列に対してブールインデックスを作成する例を示します。

require 'numo/narray'

a = Numo::DFloat[1, 2, 3, 4, 5]

# 3より大きい要素を見つける
b = a > 3
puts b

このコードでは、配列aから3より大きい要素を見つけるためのブールインデックスを作成します。

結果として、[false, false, false, true, true]というブールインデックスが得られます。

このブールインデックスは、元の配列の各要素が3より大きいか否かを表しています。

●サンプルコード1:基本的な配列操作

さて、Numpyの基本的な配列操作をRubyのNumo::NArrayで実行する方法を見ていきましょう。

配列の作成、形状変更、要素の取得や設定などを行うサンプルコードを表します。

require 'numo/narray'

# 1次元配列の作成
a = Numo::DFloat[1, 2, 3, 4, 5]
puts "1次元配列: #{a}"

# 形状変更
b = a.reshape([5, 1])
puts "形状変更後の配列: #{b}"

# 要素の取得
c = b[2, 0]
puts "取得した要素: #{c}"

# 要素の設定
b[2, 0] = 10
puts "要素設定後の配列: #{b}"

このコードでは、まずNumo::DFloatを使って1次元配列を作成します。

その後、reshapeメソッドを使用して配列の形状を[5, 1]に変更します。

さらに、配列から特定の要素を取得したり、特定の要素を新しい値に設定する方法も示しています。

上記のコードを実行すると、次のような結果が得られます。

1次元配列: [1, 2, 3, 4, 5]
形状変更後の配列: [[1], [2], [3], [4], [5]]
取得した要素: 3
要素設定後の配列: [[1], [2], [10], [4], [5]]

この結果からわかるように、RubyのNumo::NArrayを使って、Numpyと同様の配列操作が可能であることが理解できます。

●サンプルコード2:ブールインデックス作成と利用

次に、ブールインデックスの作成とその利用方法を見ていきましょう。

下記のコードでは、配列から条件を満たす要素を選び出すためにブールインデックスを利用します。

require 'numo/narray'

# 配列の作成
a = Numo::DFloat[1, 2, 3, 4, 5]
puts "元の配列: #{a}"

# ブールインデックスの作成
index = a > 3
puts "ブールインデックス: #{index}"

# ブールインデックスを使った要素の選択
b = a[index]
puts "選択された要素: #{b}"

このコードでは、まず1次元配列を作成します。

その後、配列の各要素が3より大きいか否かを表すブールインデックスを作成します。

最後に、このブールインデックスを用いて配列から特定の要素を選択します。

このコードを実行すると、次のような結果が得られます。

元の配列: [1, 2, 3, 4, 5]
ブールインデックス: [false, false, false, true, true]
選択された要素: [4, 5]

このように、ブールインデックスを利用することで、配列から条件を満たす要素を効率的に選択できます。

このテクニックは、データ分析などにおいて非常に有用です。

●サンプルコード3:数学的な配列操作

RubyのNumo::NArrayは、配列の数学的な操作も可能です。

下記のサンプルコードでは、配列の各要素に対する数学的な演算や集約操作(最大値や合計値などを求める操作)を行っています。

require 'numo/narray'

# 配列の作成
a = Numo::DFloat[1, 2, 3, 4, 5]
puts "元の配列: #{a}"

# 配列の各要素を2倍
b = a * 2
puts "各要素を2倍した配列: #{b}"

# 配列の最大値
max_value = a.max
puts "配列の最大値: #{max_value}"

# 配列の合計
sum_value = a.sum
puts "配列の合計: #{sum_value}"

このコードでは、まず1次元配列を作成します。

次に、配列の各要素を2倍にする操作を行います。

さらに、配列の最大値を求めるmaxメソッドと、配列の合計値を求めるsumメソッドを使用しています。

このコードを実行すると、次のような結果が得られます。

元の配列: [1, 2, 3, 4, 5]
各要素を2倍した配列: [2, 4, 6, 8, 10]
配列の最大値: 5
配列の合計: 15

このように、RubyのNumo::NArrayを用いることで、PythonのNumpyと同様に配列に対する数学的な操作が可能です。

これにより、Rubyでも科学計算やデータ分析が手軽に行えます。

次に、Numo::NArrayを用いた応用的な例を見ていきましょう。

これには画像処理と統計分析の基本が含まれます。

●Numpyを用いた応用的な例

配列操作だけでなく、RubyのNumo::NArrayはより実践的な応用例として、画像処理や統計分析にも利用できます。

PythonのNumpyと同様、RubyのNumo::NArrayは大量のデータを効率的に扱うことが可能で、これにより画像や音声、テキストなど、さまざまな形式のデータを処理することが可能です。

ではまず、画像処理の基本について見てみましょう。

○画像処理の基本

画像は基本的にピクセルの集合体であり、各ピクセルは一定の色を表します。

これらの色は通常、赤、緑、青の3つの色チャネル(RGB)で表現されます。

そして、これらの色情報は数値(通常は0から255までの整数)によって表されます。

そのため、画像は基本的には3次元の配列として表現することができます(横幅、縦幅、色チャネルの3次元)。

この性質を利用して、Numo::NArrayを用いて画像の色情報を操作することが可能です。

次に、統計分析の基本について見ていきましょう。

○統計分析の基本

統計分析では、大量のデータから有用な情報を抽出するために、データの集約や操作が頻繁に行われます。

Numo::NArrayは、平均や分散などの基本的な統計量を計算するメソッドを提供しています。

また、配列の要素を条件に基づいて選択したり、ソートしたりする機能も備えています。

これにより、Rubyでも大量のデータを効率的に処理し、統計分析を行うことが可能です。

●サンプルコード4:基本的な画像処理

画像処理はNumo::NArrayの強力な機能を活用する良い例です。

ここでは、基本的な画像処理として画像の色情報を操作するシンプルな例を見てみましょう。

下記のコードでは、Numo::NArrayとともに’image_processing’というライブラリも使用しています。

このライブラリを使うと、画像をNumo::NArrayの形式に変換でき、その後の処理が容易になります。

require 'image_processing'
require 'numo/narray'

# 画像を読み込む
image = ImageProcessing::Vips.source('input.jpg').convert('RGB')

# 画像をNumo::NArrayに変換
narray = Numo::UInt8.new(3, image.width, image.height).tap do |na|
  image.each_pixel do |r, g, b, x, y|
    na[0, x, y] = r
    na[1, x, y] = g
    na[2, x, y] = b
  end
end

# 色情報を操作する(ここでは、赤チャネルの色情報を半分にする)
narray[0, true, true] = narray[0, true, true] / 2

# Numo::NArrayを画像に変換
image = ImageProcessing::Vips.source(narray).convert('jpg')

# 画像を保存
image.save('output.jpg')

このコードでは、まず’image_processing’ライブラリを使って画像ファイルを読み込み、RGB色空間に変換しています。

次に、この画像をNumo::NArrayの形式に変換しています。

この変換の過程では、画像の各ピクセルから赤、緑、青の色情報を取得し、Numo::NArrayの対応する位置に保存しています。

その後、このNumo::NArrayの色情報を操作しています。

具体的には、赤チャネル(0番目の次元)の色情報を半分にしています。これにより、画像は全体的に青と緑の色が強くなるはずです。

最後に、操作したNumo::NArrayを再び画像に変換し、ファイルに保存しています。

この例では、RubyとNumo::NArrayを使って画像の色情報を直接操作することができることを表しています。

もちろん、より複雑な操作や、畳み込みなどの画像処理の高度なテクニックもNumo::NArrayを使って実現可能です。

●サンプルコード5:基本的な統計分析

次に、Numo::NArrayを用いて基本的な統計分析を行ってみましょう。

ここでは、ランダムなデータの平均と標準偏差を求めるサンプルコードを紹介します。

Numo::NArrayは、大量のデータを高速に処理できるので、統計分析のようなデータ分析タスクに非常に適しています。

require 'numo/narray'

# ランダムなデータを生成
narray = Numo::DFloat.new(1000).rand

# 平均を求める
mean = narray.mean
puts "平均: #{mean}"

# 標準偏差を求める
stddev = narray.stddev
puts "標準偏差: #{stddev}"

このコードでは、まず1000個のランダムな浮動小数点数からなるNumo::NArrayを生成しています。

その後、このNumo::NArrayの平均と標準偏差を求めています。

これらの計算はNumo::NArrayのメソッドを使って一行で実行できます。

このサンプルコードを実行すると、ランダムなデータの平均と標準偏差が出力されます。

ランダムなデータを生成しているので、実行するたびに結果は変わりますが、平均はおおよそ0.5(範囲は0から1)、標準偏差はおおよそ0.29になるはずです。

Numo::NArrayを使えば、このように大量のデータに対する統計分析を手軽に、かつ高速に行うことができます。

また、この他にも分散、中央値、最大値、最小値など、さまざまな統計量を求めるメソッドが用意されています。

これらを活用することで、データ分析の幅が広がります。

●Numpyを使ったプロジェクトでの注意点と対処法

RubyでNumo::NArrayを使ったプロジェクトを進める際には、いくつかの注意点があります。

ここではそのうちの主なものについて触れ、それらをどのように対処すれば良いのかを説明します。

①大量のデータを扱う際のメモリ管理

Numo::NArrayは大量のデータを一度にメモリにロードするため、大規模なデータセットを扱う場合はメモリ容量に注意が必要です。

データの量が多すぎてメモリに収まらない場合は、データをチャンクに分けて読み込むなどの対策が必要です。

②データタイプの指定

Numo::NArrayでは、生成する際にデータタイプを指定することができます。

データタイプは計算の精度やメモリ使用量に影響を与えるため、適切なデータタイプを選択することが重要です。

例えば、整数の計算を行う場合にはInt32やInt64を、浮動小数点数の計算を行う場合にはDFloatを選択します。

③ブロードキャスティングの理解

Numo::NArrayでは、異なる形状の配列間で演算を行う際にブロードキャスティングという概念が用いられます。

これは形状が異なる配列間での演算を可能にするためのものですが、理解しないと意図しない結果を生む可能性があります。

ブロードキャスティングの動作を理解し、適切に使うことが求められます。

以上がNumo::NArrayを用いたプロジェクトでの主な注意点とそれぞれの対処法です。

これらを理解し、適切に対応することで、Numo::NArrayを効率的に活用し、プロジェクトをスムーズに進めることが可能になります。

まとめ

この記事では、RubyでNumo::NArray(RubyでのNumpyのようなライブラリ)を活用するための重要なステップとサンプルコードを紹介しました。

それぞれのコードが何を意味し、どのように動作するのかを詳細に解説し、その結果を読者が理解しやすいように説明しました。

まずは、Numo::NArrayのインストール方法から始め、配列の作成、配列の操作、基本的な統計分析といった基本的な使用方法を順を追って解説しました。

そして、Numo::NArrayを用いたプロジェクトを進める際の注意点とそれぞれの対処法について説明しました。

特に重要なのは、大量のデータを扱う際のメモリ管理、データタイプの指定、そしてブロードキャスティングの理解です。

これらはNumo::NArrayを使ったプロジェクトを進める上で避けては通れない課題であり、適切に理解し対処することが重要です。

これらの知識を身につければ、RubyでのNumpyのようなライブラリ、Numo::NArrayをより深く理解し、活用することができます。

これらのステップを経て、Rubyでのデータ分析、データサイエンスの世界がさらに広がることを期待しています。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。