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初心者必見!Dartで参照渡しをマスターする10の方法

Dartプログラミングで参照渡しを学ぶ初心者のためのイラスト付きガイド Dart
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この記事では、プログラムの基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

本記事のサンプルコードを活用して機能追加、目的を達成できるように作ってありますので、是非ご活用ください。

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はじめに

プログラミングでは、データの効率的な扱いが重要です。特に、Dart言語においては、値渡しとオブジェクトの参照の仕組みの理解が不可欠です。

この記事では、Dartでのオブジェクト参照の扱い方を詳細に解説し、プログラミング初心者がこの概念を習得できるようにします。

ここでの解説は、初心者でも理解しやすいように丁寧に行い、Dartの基本概念から始めて、値渡しとオブジェクト参照のメカニズム、実用的なコード例に至るまでを網羅します。

●Dartとは?

Dartは、Googleが開発したプログラミング言語で、主にウェブとモバイルアプリケーション開発に利用されます。

この言語はオブジェクト指向であり、C言語やJavaといった言語に慣れ親しんでいるプログラマーにも馴染みやすい設計がなされています。

Dartの特徴は、そのモダンな構文に加え、高いパフォーマンスと効率的な開発プロセスです。

特に、Flutterフレームワークと組み合わせた際のクロスプラットフォーム開発能力は高く評価されています。

○Dart言語の基本概念

Dartの言語構造を理解する上で、まず特に重要な点を押さえておく必要があります。

Dartはオブジェクト指向プログラミング言語であり、データと処理を一つのオブジェクトとしてカプセル化します。

これにより、より綺麗で再利用可能なコードを書くことが可能になります。

また、Dartは型安全な言語であり、変数や関数の型がコンパイル時に確認されるため、ランタイムエラーの発生を最小限に抑えることができます。

さらに、Dartはモダンな構文を持ち、初心者にも理解しやすい言語設計がなされています。

最後に、Dartはそのパフォーマンスにも優れており、特にモバイルアプリ開発において、その高速な実行速度が重宝されています。

これらの基本概念を理解することで、Dart言語の基礎を固めることができます。

●Dartにおける引数の渡し方の基本

Dartにおいて、オブジェクトや変数がどのように関数に渡されるかを理解することは、データ構造やアルゴリズムを扱う上で中心的な役割を果たします。

Dartはすべての引数を「値渡し」で渡します。ただし、オブジェクトの場合、渡される「値」は「オブジェクトへの参照」です。

これは、いわゆる「参照の値渡し」または「オブジェクト共有渡し(call by sharing)」と呼ばれる仕組みです。

C#のref/out/inやSwiftのinoutのような、真の意味での参照渡し(変数そのものを渡す機能)は、Dartには存在しません。

○値渡しとオブジェクト参照の仕組み

Dartでは、すべての変数は「値」を保持します。プリミティブ型(int、double、bool)の場合はその値自体を、オブジェクト型の場合は「オブジェクトへの参照」を保持します。

関数に引数を渡す際、Dartはこの「値」をコピーして渡します。

プリミティブ型の場合、値自体がコピーされるため、関数内での変更は呼び出し元に影響しません。

オブジェクト型の場合、コピーされるのは「オブジェクトへの参照」であり、オブジェクト自体は複製されません。

そのため、関数内でオブジェクトのプロパティを変更すると、その変更は呼び出し元のオブジェクトにも反映されます。

○真の参照渡しとの違い

真の参照渡し(例:C#のref、Swiftのinout)では、変数そのものを渡すため、関数内で変数の参照先自体を変更できます。

一方、Dartでは参照の「値」を渡すため、関数内で引数に新しいオブジェクトを代入しても、呼び出し元の変数には影響しません。

// Dartの挙動(値渡し)
void tryToReassign(List<int> list) {
  list = [99, 99, 99]; // この代入は呼び出し元に影響しない
}

void main() {
  List<int> myList = [1, 2, 3];
  tryToReassign(myList);
  print(myList); // 出力: [1, 2, 3] - 変更されていない
}

この挙動は、Dartがオブジェクトへの参照を「値として」渡すことを明確に示します。

●Dartでのオブジェクト参照のメカニズム

プログラミング言語Dartでは、オブジェクト参照の仕組みが重要な役割を果たします。

Dartにおけるこのメカニズムを理解するためには、まずDartのデータ型の扱い方とオブジェクト指向プログラミングの基本的な概念を把握する必要があります。

Dartでは、オブジェクト型の変数には、オブジェクト自体ではなく、オブジェクトが格納されているメモリ位置への参照が格納されます。

関数やメソッドにオブジェクトを渡す際、実際にはその参照の値がコピーされて渡されます。

このメカニズムは、プログラムの効率性を高める一方で、不意のデータ変更に注意が必要です。

例えば、ある関数にオブジェクトを渡した場合、その関数内でオブジェクトのプロパティが変更されると、その変更は関数の外部にも影響を及ぼします。

これは、同じメモリ上のオブジェクトを参照しているためです。

ただし、関数内で引数変数に新しいオブジェクトを代入しても、呼び出し元の変数には影響しません。

これは、渡されているのが「参照の値のコピー」であるためです。

このように、Dartでのオブジェクト参照のメカニズムはプログラムのパフォーマンスと機能性に大きな影響を及ぼします。

したがって、Dartを使用するプログラマーは、このメカニズムを正しく理解し、効果的に利用することが重要です。

○Dartのメモリ管理とオブジェクト参照

Dartのメモリ管理においては、ガベージコレクション(GC)が中心的な役割を果たします。

ガベージコレクションは、プログラムが不要になったメモリを自動的に解放するプロセスです。

Dartでは、オブジェクトやデータがもはや必要ないとシステムが判断した場合、自動的にそのメモリが解放されます。

これにより、プログラマーはメモリリークを防ぎやすくなるとともに、メモリ管理に関する負担を軽減できます。

複数の変数が同じオブジェクトを参照している場合、メモリ管理はより複雑になります。

なぜなら、そのオブジェクトがどの時点で不要になるかを決定するのが難しくなるからです。

例えば、あるオブジェクトが複数の関数に渡され、それぞれの関数がそのオブジェクトを異なる方法で使用している場合、どの関数が最後にそのオブジェクトを使用するかを予測するのは困難です。

●Dartでオブジェクトを関数に渡す方法

Dartでオブジェクトを関数に渡す際の挙動を理解することは、効率的なコードを書く上で非常に重要です。

前述の通り、Dartではオブジェクトへの参照が値としてコピーされて渡されます。

これにより、大きなデータ構造やオブジェクトを効率的に扱うことができ、メモリの使用量を節約できます。

ただし、この方法では、関数内でオブジェクトのプロパティが変更されると、それらの変更が元のオブジェクトにも反映されるため、慎重な扱いが必要です。

○サンプルコード1:基本的なオブジェクトの扱い

Dartでの基本的なオブジェクトの扱いを表す簡単な例を見てみましょう。

下記のコードでは、modifyList関数はリストを受け取り、リストの最初の要素を変更します。

この変更は、関数の外部にある元のリストにも反映されます。

void modifyList(List<int> list) {
  list[0] = 99; // リストの最初の要素を99に変更
}

void main() {
  List<int> originalList = [1, 2, 3];
  modifyList(originalList);
  print(originalList); // 出力: [99, 2, 3]
}

このコードでは、modifyList関数にリストへの参照の値が渡され、関数内でリストの内容が変更されています。

この変更は、main関数内のoriginalListにも影響を与えます。

しかし、関数内でlistに新しいリストを代入しても、originalListには影響しません。

void tryToReassignList(List<int> list) {
  list = [99, 99, 99]; // この代入はoriginalListに影響しない
  print('関数内: $list'); // 出力: 関数内: [99, 99, 99]
}

void main() {
  List<int> originalList = [1, 2, 3];
  tryToReassignList(originalList);
  print('関数外: $originalList'); // 出力: 関数外: [1, 2, 3]
}

○サンプルコード2:オブジェクトのプロパティ変更

次に、カスタムオブジェクトのプロパティ変更の例を見てみましょう。

下記のコードでは、Personクラスのインスタンスを関数に渡し、その関数内でオブジェクトのプロパティを変更します。

class Person {
  String name;
  Person(this.name);
}

void changeName(Person person) {
  person.name = 'Alice'; // プロパティの変更は反映される
}

void tryToReassignPerson(Person person) {
  person = Person('Charlie'); // この代入は呼び出し元に影響しない
}

void main() {
  Person person = Person('Bob');
  changeName(person);
  print(person.name); // 出力: Alice
  
  tryToReassignPerson(person);
  print(person.name); // 出力: Alice(Charlieにはならない)
}

このコードでは、Personオブジェクトへの参照の値がchangeName関数に渡され、関数内でそのnameプロパティが変更されています。

この変更は、main関数内のpersonオブジェクトにも反映されています。

一方、tryToReassignPerson関数では新しいオブジェクトを代入していますが、これは呼び出し元には影響しません。

○サンプルコード3:リストとマップの操作

リストやマップも同様の挙動を示します。

下記のコードでは、マップを関数に渡し、その関数内でマップの内容を変更します。

void addToMap(Map<String, int> map) {
  map['newKey'] = 10; // マップへの追加は反映される
}

void tryToReassignMap(Map<String, int> map) {
  map = {'completely': 100, 'new': 200}; // この代入は反映されない
}

void main() {
  Map<String, int> originalMap = {'key': 5};
  addToMap(originalMap);
  print(originalMap); // 出力: {key: 5, newKey: 10}
  
  tryToReassignMap(originalMap);
  print(originalMap); // 出力: {key: 5, newKey: 10}(変わらない)
}

このコードでは、addToMap関数でマップに新しい要素を追加していますが、この変更はmain関数のoriginalMapにも反映されています。

一方、tryToReassignMap関数での再代入は、呼び出し元には影響しません。

●オブジェクト共有の応用例

Dartのオブジェクト共有の仕組みは、多様なプログラミングシナリオで活用されます。

これは、オブジェクト指向プログラミングの柔軟性と組み合わせて使用することで、コードの再利用性、保守性、および拡張性を大幅に向上させることができます。

例えば、大規模なデータ構造を操作する際や、複数の関数間でオブジェクトの状態を共有する際に、この仕組みは非常に効果的です。

応用例として、オブジェクトが複数の関数によって操作されるシナリオを考えます。

これにより、データ構造の一部を効率的に更新でき、複数の処理を一連の操作としてまとめることが可能になります。

また、オブジェクトの状態を複数のコンポーネント間で共有することにより、状態の一貫性を保ちながらも、それぞれのコンポーネントが独立して動作することができます。

○サンプルコード4:関数を通じたデータ更新

関数を介したデータ更新の例を紹介します。

この例では、updateData関数がカスタムオブジェクトの一部を更新し、その変更が元のオブジェクトに反映されることを表しています。

class Data {
  int value;
  Data(this.value);
}

void updateData(Data data) {
  data.value += 10;
}

void main() {
  Data myData = Data(20);
  updateData(myData);
  print(myData.value); // 出力: 30
}

このコードでは、Dataオブジェクトへの参照の値がupdateData関数に渡され、関数内でvalueプロパティが変更されています。

この変更は、main関数内のmyDataオブジェクトにも反映されています。

○サンプルコード5:クラスメソッドを使った状態管理

クラスメソッドを使用した状態管理の例を紹介します。

この例では、クラス内のメソッドがオブジェクトの状態を変更し、その変更がオブジェクト全体に影響を与えることを表しています。

class Counter {
  int _count;
  Counter(this._count);

  void increment() {
    _count++;
  }

  int get count => _count;
}

void main() {
  Counter myCounter = Counter(0);
  myCounter.increment();
  print(myCounter.count); // 出力: 1
}

このコードでは、Counterクラスにincrementメソッドが定義されており、このメソッドが_countプロパティを変更します。

main関数内でincrementメソッドを呼び出すと、myCounterオブジェクトの_countプロパティが増加します。

○サンプルコード6:カスタムオブジェクトの共有

カスタムオブジェクトの共有は、より複雑なデータ構造やビジネスロジックを扱う際に非常に有効です。

下記の例では、カスタムクラスのオブジェクトを関数に渡し、そのオブジェクトの状態を変更する方法を表しています。

class User {
  String name;
  int age;
  User(this.name, this.age);
}

void updateUser(User user, String newName, int newAge) {
  user.name = newName;
  user.age = newAge;
}

void main() {
  User user = User('John', 30);
  updateUser(user, 'Alice', 28);
  print('Name: ${user.name}, Age: ${user.age}'); // 出力: Name: Alice, Age: 28
}

このコードでは、UserクラスのインスタンスがupdateUser関数に渡され、関数内でユーザーの名前と年齢が更新されています。

これらの変更は、main関数内のuserオブジェクトにも反映されています。

●注意点と対処法

Dartでのオブジェクト共有は、その便利さと効率性にも関わらず、特定の注意点を伴います。

関数やメソッドが渡されたオブジェクトのプロパティを直接変更することができますが、これは予期せぬデータ変更やバグを引き起こす可能性があります。

特に、大規模なアプリケーションや複数の開発者が関わるプロジェクトでは、オブジェクト共有による副作用を避けるために慎重な設計が必要です。

○メモリリークの予防

メモリリークは、不要になったオブジェクトが適切にメモリから解放されずに残ってしまうことで発生します。

Dartでは、ガベージコレクションが自動的にメモリ管理を行いますが、特定のオブジェクトに対する参照が複数存在すると、ガベージコレクションがそのオブジェクトをメモリから適切にクリーンアップできないことがあります。

メモリリークを防ぐためには、オブジェクトに対するすべての参照が必要なくなった後、それらを明示的にnullに設定することが有効です。

これにより、ガベージコレクションがオブジェクトをメモリから安全に削除できるようになります。

○不意のデータ変更を避ける方法

オブジェクトを複数の場所で共有する際には、特にオブジェクトの不意の変更を避けることが重要です。

一つのオブジェクトが複数の場所で参照されている場合、一方での変更が他方にも影響を及ぼします。

これを防ぐためには、オブジェクトを関数やメソッドに渡す前にディープコピーを作成し、オリジナルのオブジェクトに影響を与えないようにする方法があります。

// リストのディープコピー例
void modifyListCopy(List<int> list) {
  var copy = List<int>.from(list); // コピーを作成
  copy[0] = 99;
  print('コピー: $copy'); // 出力: コピー: [99, 2, 3]
}

void main() {
  List<int> originalList = [1, 2, 3];
  modifyListCopy(originalList);
  print('元のリスト: $originalList'); // 出力: 元のリスト: [1, 2, 3]
}

また、オブジェクトのイミュータビリティ(不変性)を保つことも、不意の変更を防ぐ有効な手段です。

イミュータブルなオブジェクトは、作成後にその状態を変更できないように設計されており、これにより、意図しないデータの変更を防ぐことができます。

●Dartでのオブジェクト扱いのカスタマイズ

Dartプログラミングにおいてオブジェクトの扱いをカスタマイズすることは、より効率的で堅牢なアプリケーションの開発に不可欠です。

カスタマイズにより、特定のニーズに合わせてオブジェクトの挙動を調整することが可能になります。

これにより、アプリケーションのパフォーマンスを向上させると同時に、エラーのリスクを減らすことができます。

具体的なカスタマイズの例としては、イミュータブルなオブジェクトの作成、深いコピーの利用、オブジェクトのラッパークラスの導入などが挙げられます。

○サンプルコード7:カスタムクラスでの応用

カスタムクラスを使ったオブジェクト管理のカスタマイズの一例を紹介します。

下記のコードでは、データをカプセル化するカスタムクラスを作成し、このクラスを通じてデータを安全に操作します。

class EncapsulatedData {
  int _data;
  EncapsulatedData(this._data);

  void updateData(int newData) {
    _data = newData;
  }

  int getData() {
    return _data;
  }
}

void main() {
  var dataObject = EncapsulatedData(100);
  print('Initial Data: ${dataObject.getData()}'); // 出力: Initial Data: 100
  dataObject.updateData(200);
  print('Updated Data: ${dataObject.getData()}'); // 出力: Updated Data: 200
}

このコードでは、EncapsulatedDataクラスを通じてデータを操作しています。

これにより、データへの直接的なアクセスを制限し、クラスのメソッドを通じてのみデータを更新できるようにしています。

○サンプルコード8:フレームワークとの統合

フレームワークとの統合を通じてオブジェクト管理をカスタマイズする方法は、特に大規模なアプリケーション開発において有効です。

下記のコードは、Flutterフレームワークと組み合わせたオブジェクト共有の例を表しています。

import 'package:flutter/material.dart';

class User {
  String name;
  User(this.name);
}

class UserWidget extends StatelessWidget {
  final User user;

  UserWidget({Key? key, required this.user}) : super(key: key);

  @override
  Widget build(BuildContext context) {
    return Text('User Name: ${user.name}');
  }
}

void main() {
  runApp(MaterialApp(
    home: Scaffold(
      body: UserWidget(user: User('Alice')),
    ),
  ));
}

このコードでは、UserクラスのインスタンスをUserWidgetに渡し、Flutterアプリケーション内で表示しています。

Flutterのウィジェットツリーを通じてオブジェクトを渡すことにより、アプリケーションの異なる部分間でデータを共有することができます。

まとめ

この記事では、Dartプログラミング言語における値渡しとオブジェクト参照の仕組み、およびその実用的な応用方法について詳しく掘り下げました。

値渡しとオブジェクト参照の仕組みはプログラミングにおいて重要な概念であり、これを正しく習得することはDartのみならずプログラミング全般のスキルアップに繋がります。

このガイドが、Dartのオブジェクト管理の仕組みを理解し、Dartプログラミングをより深く学ぶ補助要因となれば幸いです。