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Swiftの参照渡しを15選の方法でマスターしよう!

Swiftの参照渡しを表すコードスニペットの画像 Swift
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はじめに

この記事を読めば、Swiftの参照渡しをマスターすることができるようになります。

Swiftの参照渡しという概念は初めて触れる人にとっては少し難しく感じるかもしれませんが、それを手助けするために、この記事では参照渡しの基本から応用までを丁寧に解説します。

一歩一歩、具体的なサンプルコードとともに学び進めていきましょう。

●Swiftの参照渡しとは

Swiftの参照渡しは、ある変数やデータの「参照」、すなわちそのデータへの「道しるべ」を渡す方法を指します。

これは、データ自体をコピーして新しい場所に置く「値渡し」とは異なります。

○参照渡しの基本概念

参照渡しは、メモリ上の特定の場所を指す「ポインタ」や「リファレンス」として理解できます。

実際にデータそのものを渡すのではなく、データが存在する場所への道しるべを渡すことで、元のデータを変更したりアクセスしたりすることができます。

これにより、大量のデータを持つオブジェクトや配列を効率的に扱うことが可能となります。

○値渡しとの違い

値渡しと参照渡しの最も大きな違いは、「データのコピーが作成されるか否か」です。

値渡しでは、データがコピーされ、そのコピーが関数やメソッドに渡されます。

このため、関数やメソッド内で行われる変更は、コピーにのみ適用され、元のデータには影響を及ぼしません。

一方、参照渡しでは、元のデータへの参照が渡されるため、関数やメソッド内での変更が元のデータに直接反映されます。

これにより、異なる場所から同じデータを共有したり、大きなデータ構造を効率的に操作することが可能となります。

●Swiftでの参照渡しの使い方

Swiftの参照渡しを使うことで、効率的にメモリを使用することができます。

しかし、どのように使えばいいのか、どんな時に使用するのが適切なのかを正確に理解することが大切です。

○サンプルコード1:基本的な参照渡し

このコードではクラスを用いて基本的な参照渡しを行っています。

Swiftでは、クラスのインスタンスは参照型となるため、自動的に参照渡しになります。

class MyClass {
    var number: Int = 0
}

let objA = MyClass()
objA.number = 100

let objB = objA
objB.number = 200

print(objA.number) // 200
print(objB.number) // 200

このコードを実行すると、objAobjBは同じメモリアドレスを参照しているため、objBでの変更がobjAにも反映されます。

そのため、出力結果はどちらも200となります。

○サンプルコード2:関数内での参照渡し

このコードでは関数内で参照渡しを利用しています。

関数の引数としてクラスのインスタンスを渡すことで、関数内で行った変更が元のインスタンスにも反映されることを表しています。

class Person {
    var name: String = ""
}

func changeName(of person: Person) {
    person.name = "Taro"
}

let personA = Person()
changeName(of: personA)

print(personA.name) // Taro

このコードでは、関数changeNameの引数としてpersonAを渡しています。

関数内で名前を”Taro”に変更すると、この変更がpersonAにも反映されます。

そのため、出力結果は”Taro”となります。

○サンプルコード3:クラスと構造体での違い

Swiftにおける最も重要な違いの一つは、クラスと構造体の間のデータの渡し方です。クラスは参照型であり、構造体は値型です。

これにより、データのコピーと共有の仕方に大きな違いが生まれます。

このコードではクラスと構造体を用いて、その違いを明確に表しています。

class MyClass {
    var number: Int = 0
}

struct MyStruct {
    var number: Int = 0
}

let originalClass = MyClass()
let originalStruct = MyStruct()

let copiedClass = originalClass
var copiedStruct = originalStruct

copiedClass.number = 50
copiedStruct.number = 50

print(originalClass.number) // 50
print(originalStruct.number) // 0

このコードを実行すると、originalClassのプロパティnumberの値は50に変わります。

これはcopiedClassoriginalClassのメモリアドレスを参照しているためです。

しかし、originalStructのプロパティnumberの値は0のまま変わりません。

これは、構造体の場合、新しいインスタンスがメモリ上にコピーされるためです。

○サンプルコード4:配列や辞書としての参照渡し

Swiftにおける配列や辞書も参照渡しの概念を理解する上で重要です。

これらのコレクションは基本的に値型ですが、中に含まれる要素が参照型の場合、挙動が変わります。

このコードでは、配列内にクラスのインスタンスを含む場合の参照渡しを表しています。

class Animal {
    var name: String

    init(name: String) {
        self.name = name
    }
}

let dog = Animal(name: "Dog")
let cat = Animal(name: "Cat")

let animals = [dog, cat]

let copiedAnimals = animals
copiedAnimals[0].name = "Puppy"

print(animals[0].name) // Puppy
print(copiedAnimals[0].name) // Puppy

配列animalscopiedAnimalsは異なるメモリアドレスを持つものの、その中に含まれるクラスのインスタンスdogは同じメモリアドレスを参照しています。

そのため、copiedAnimals内で名前を”Puppy”に変更すると、animals内の要素も変更されます。

○サンプルコード5:クロージャ内での参照渡し

Swiftのクロージャも参照型です。

したがって、クロージャ内での変数や定数の取り扱いにも注意が必要です。

このコードでは、クロージャ内で参照渡しを用いた場合の動作を表しています。

class Counter {
    var value: Int = 0
}

let myCounter = Counter()

let increaseByTwo: () -> Void = {
    myCounter.value += 2
}

increaseByTwo()

print(myCounter.value) // 2

クロージャincreaseByTwoは外部の変数myCounterをキャプチャしています。

そのため、クロージャを実行するとmyCountervalueプロパティが増加します。

この挙動は、クロージャが外部の変数を参照渡しでキャプチャするためです。

●参照渡しの応用例

Swiftの参照渡しの知識を一歩進めると、様々なシナリオでこの特性を活用できます。

特にデータの高度な操作やオブジェクト間のデータ共有では、参照渡しの理解が不可欠となります。

○サンプルコード6:高度なデータ操作

Swiftでは、特定のデータ操作において、参照渡しを活用することで効率的な処理が可能になります。

下記のコードは、複数のオブジェクトが同一のデータソースを参照する例を表しています。

class SharedData {
    var data: [Int] = []
}

let sharedDataSource = SharedData()

func addData(value: Int, to source: SharedData) {
    source.data.append(value)
}

addData(value: 10, to: sharedDataSource)
addData(value: 20, to: sharedDataSource)

print(sharedDataSource.data) // [10, 20]

このコードでは、SharedDataクラスのインスタンスsharedDataSourceにデータを追加しています。

addData関数を使用することで、同じデータソースに対して操作を行っていることがわかります。

○サンプルコード7:複数のオブジェクト間でのデータ共有

複数のオブジェクト間でデータを共有する際、参照渡しを用いることで効率的なデータの同期が可能です。

class User {
    var settings: UserSettings

    init(settings: UserSettings) {
        self.settings = settings
    }
}

class UserSettings {
    var theme: String = "Light"
}

let commonSettings = UserSettings()
let userA = User(settings: commonSettings)
let userB = User(settings: commonSettings)

userA.settings.theme = "Dark"

print(userB.settings.theme) // Dark

上記のコードでは、UserSettingsクラスのインスタンスcommonSettingsを複数のUserオブジェクトで共有しています。

userAの設定を変更すると、その変更はuserBにも反映されます。

これは、commonSettingsが参照型であるため、同じメモリアドレスを参照しているからです。

○サンプルコード8:メモリ管理との関連性

Swiftの参照型は、参照カウントというメモリ管理のシステムを使用しています。

これは、オブジェクトへの参照が何回作成されたかをカウントし、その数が0になったときにメモリから解放される仕組みです。

この特性を理解することは、メモリリークや不要なデータの蓄積を避けるために非常に重要です。

下記のコードは、クラスのインスタンスが作成され、解放される過程を表しています。

class SampleClass {
    init() {
        print("SampleClassが初期化されました。")
    }
    deinit {
        print("SampleClassがメモリから解放されました。")
    }
}

do {
    let instance = SampleClass()
    // このスコープを抜けると、instanceへの参照がなくなるため、deinitが呼び出される
}

このコードを実行すると、SampleClassのインスタンスが初期化され、その後、スコープを抜けることで解放される過程が確認できます。

○サンプルコード9:非同期処理との組み合わせ

Swiftで非同期処理を行う際にも、参照渡しの知識は重要です。

特に、クロージャ内でオブジェクトをキャプチャするときには、そのオブジェクトのライフサイクルに注意が必要です。

下記のサンプルコードは、非同期処理を行いながらオブジェクトをキャプチャする例を表しています。

import Dispatch

class AsyncClass {
    var value: Int = 0

    func asyncIncrement() {
        DispatchQueue.global().async { [weak self] in
            guard let self = self else { return }
            self.value += 1
            print("Value incremented to \(self.value)")
        }
    }
}

let asyncObject = AsyncClass()
asyncObject.asyncIncrement()

このコードのポイントは、非同期のクロージャ内で[weak self]と指定して、オブジェクトの強参照を避けている点です。

○サンプルコード10:デザインパターンでの利用例

デザインパターンにおいても、Swiftの参照渡しの特性は役立ちます。

特に、シングルトンパターンやオブザーバーパターンなど、特定のオブジェクトを共有する必要がある場合には、参照渡しを効果的に使用できます。

下記のサンプルコードは、シングルトンパターンの実装例を表しています。

class SingletonClass {
    static let shared = SingletonClass()

    private init() {}

    func logMessage() {
        print("This is a shared instance!")
    }
}

SingletonClass.shared.logMessage()

このコードのポイントは、static let sharedとして、共有のインスタンスを生成している点です。

このようにして、アプリケーション全体で一つのインスタンスのみを共有して利用することが可能となります。

●注意点と対処法

Swiftでの参照渡しは非常に便利で効率的ですが、正しく理解や使い方をしないと、いくつかの問題が生じる可能性があります。

その中でも特に重要なのが、循環参照とその結果としてのメモリリークです。

これらの問題は、アプリケーションのパフォーマンスに大きな影響を与えるため、正しい対処法を学ぶことが重要です。

○サンプルコード11:循環参照とは

循環参照とは、2つ以上のインスタンスが相互に参照しあっている状態のことを指します。

この状態が続くと、参照カウントが0にならず、メモリが解放されないため、メモリリークの原因となります。

下記のコードは、循環参照の例を表しています。

class ClassA {
    var instanceB: ClassB?
    deinit {
        print("ClassAが解放されました")
    }
}

class ClassB {
    var instanceA: ClassA?
    deinit {
        print("ClassBが解放されました")
    }
}

var a: ClassA? = ClassA()
var b: ClassB? = ClassB()

a?.instanceB = b
b?.instanceA = a

a = nil
b = nil

このコードでは、ClassAとClassBの2つのクラスがお互いを強参照しています。

そのため、aとbの変数にnilを代入しても、deinitは呼び出されません。

○サンプルコード12:弱参照を使用した対処法

循環参照を避けるための最も一般的な方法は、弱参照(weak)や非保持参照(unowned)を使用することです。

これにより、参照カウントを増やさずにオブジェクトを参照することができます。

下記のコードは、弱参照を使用して循環参照を防ぐ例を表しています。

class ClassA {
    var instanceB: ClassB?
    deinit {
        print("ClassAが解放されました")
    }
}

class ClassB {
    weak var instanceA: ClassA?
    deinit {
        print("ClassBが解放されました")
    }
}

var a: ClassA? = ClassA()
var b: ClassB? = ClassB()

a?.instanceB = b
b?.instanceA = a

a = nil
b = nil

このコードでは、ClassBのinstanceAプロパティをweakとして宣言しています。

その結果、循環参照が発生しないため、aとbの変数にnilを代入すると、deinitが呼び出されます。

○サンプルコード13:メモリリークを避けるテクニック

Swiftでは、ARC(Automatic Reference Counting)というメモリ管理の仕組みを使用していますが、循環参照を完全に避けるための手段としては不十分です。

そのため、循環参照を検出するツールや、弱参照の使用、クロージャ内でのキャプチャリストの活用など、さまざまなテクニックを駆使してメモリリークを避ける必要があります。

例えば、クロージャ内でselfをキャプチャする場合、キャプチャリストを使用してselfを弱参照としてキャプチャすることで、循環参照を避けることができます。

class SampleClass {
    var value: Int = 0

    func executeClosure() {
        DispatchQueue.global().async { [weak self] in
            guard let strongSelf = self else { return }
            strongSelf.value += 1
        }
    }
}

このコードでは、キャプチャリスト内で[weak self]を指定しています。

これにより、クロージャ内でselfが弱参照としてキャプチャされ、循環参照が発生しなくなります。

●カスタマイズ方法

Swiftの参照渡しは、基本的な使い方から応用例まで多岐にわたる方法が存在します。

しかし、それらの方法をさらに最適化し、より効率的かつパーソナライズされたコードを実現するためのカスタマイズ方法も非常に重要です。

ここでは、独自の参照渡しテクニックの開発や、外部ライブラリとの連携方法について詳しく解説していきます。

○サンプルコード14:自分だけの参照渡しテクニックの開発

独自の参照渡しテクニックを開発することで、アプリケーションのパフォーマンスや可読性を向上させることが可能です。

下記のコードは、特定の条件下でのみ参照渡しを行うカスタマイズされた関数を表しています。

class CustomReference {
    var value: Int

    init(value: Int) {
        self.value = value
    }

    func customizedReferenceTransfer(to anotherInstance: CustomReference, under condition: (Int) -> Bool) {
        if condition(value) {
            anotherInstance.value = self.value
        }
    }
}

// 使用例
let instanceA = CustomReference(value: 5)
let instanceB = CustomReference(value: 10)

// valueが10より小さい場合にのみ参照渡しを行う
instanceA.customizedReferenceTransfer(to: instanceB, under: { $0 < 10 })
print(instanceB.value) // 5と出力される

このコードでは、customizedReferenceTransfer関数を使って、条件に基づいて参照渡しを行っています。

このようなカスタマイズされた参照渡しテクニックを利用することで、より細かい制御が可能となります。

○サンプルコード15:外部ライブラリとの連携

Swiftのライブラリエコシステムは豊富であり、多くのライブラリが参照渡しの仕組みを活用しています。

外部ライブラリと連携する際にも参照渡しの知識は重要です。

下記のコードは、外部ライブラリAlamofireを使用してHTTPリクエストを行う際の参照渡しの例を表しています。

import Alamofire

class NetworkManager {
    var headers: HTTPHeaders = []

    // ヘッダーを参照渡しで設定する関数
    func setHeaders(from anotherManager: NetworkManager) {
        self.headers = anotherManager.headers
    }

    func request(url: String) {
        AF.request(url, headers: headers).response { response in
            // 処理
        }
    }
}

// 使用例
let managerA = NetworkManager()
managerA.headers = ["Authorization": "Bearer YOUR_TOKEN"]

let managerB = NetworkManager()
managerB.setHeaders(from: managerA)

managerB.request(url: "https://example.com/api/data")

上記のコードでは、setHeaders関数を通じてmanagerAのヘッダー情報をmanagerBに参照渡ししています。

このように、外部ライブラリとの連携時にも参照渡しの概念は頻繁に利用されるため、その理解と活用が求められます。

まとめ

Swiftの参照渡しは、プログラミングにおける基本的な要素の一つであり、正確な知識と適切な実践方法を身につけることで、効率的でバグの少ないコードを実現することが可能となります。

本ガイドを通じて、参照渡しの基本的な概念から応用例、さらにはカスタマイズ方法までを網羅的に解説しました。

特に、参照渡しの概念の理解は、Swiftだけでなく他のプログラミング言語にも通用する知識であり、今後のプログラミングのキャリアにおいても非常に有益です。

また、実際のアプリケーション開発や外部ライブラリとの連携を進める際にも、この知識は必須となるでしょう。

今回の内容を元に、Swiftの参照渡しを正確に理解し、実践的なコードの中で適切に利用することで、より効果的なプログラミングを実現するためのステップを踏み出してください。

引き続き、Swiftの世界を深掘りして、さらなるスキルアップを目指してください。