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VHDLで学ぶ配列操作の10選

VHDLを使った配列操作のサンプルイメージ VHDL
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この記事では、プログラム(回路記述)の基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

本記事のサンプルコードを活用して機能追加、目的を達成できるように作ってありますので、是非ご活用ください。

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はじめに

VHDLは、デジタルシステムの設計やシミュレーションのための言語として広く利用されています。

特に、初心者にとって配列操作は重要な知識ポイントとなります。

この記事では、VHDLでの配列操作を10の具体的なサンプルコードを通じて詳しく解説します。

基本から応用まで、この記事を読めば配列の操作がしっかりとマスターできるでしょう。

●VHDLでの配列とは

○配列の基本概念

VHDLでの配列は、同じ型の複数のデータを連続して格納するためのデータ構造です。

例えば、数値のリストや文字列の集合などを効率よく管理するために使用されます。

●配列の操作方法

○サンプルコード1:配列の初期化

このコードでは、VHDLを使って配列を初期化するコードを紹介しています。

この例では、整数型の配列を定義し、初期値を設定しています。

type IntArray is array (0 to 9) of integer;
signal myArray : IntArray := (1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10);

このコードを実行すると、10要素の整数型の配列myArrayが作成され、1から10までの数値が順番に格納されます。

○サンプルコード2:配列へのデータ追加

このコードでは、既存の配列に新しいデータを追加する方法を表しています。

この例では、末尾に新しいデータを追加しています。

myArray(10) := 11;

このようにして、11というデータがmyArrayの11番目の位置に追加されます。

○サンプルコード3:配列からデータ取得

このコードでは、配列から特定の位置のデータを取得する方法を紹介しています。

この例では、5番目のデータを取得しています。

signal data : integer;
data := myArray(5);

この操作の結果、dataにはmyArrayの5番目のデータである5が格納されます。

○サンプルコード4:配列のサイズ変更

VHDLにおける配列のサイズ変更は、多くの初心者が戸惑うポイントの一つとなっています。しかし、一度コツを掴むと、非常に簡単に操作が可能です。

ここでは、VHDLでの配列のサイズ変更方法に関して詳しく見ていきましょう。

このコードではVHDLで配列のサイズを変更する方法を紹介しています。

この例では、既存の配列のサイズを増減させて、その結果を確認しています。

library IEEE;
use IEEE.STD_LOGIC_1164.ALL;
use IEEE.STD_LOGIC_ARITH.ALL;
use IEEE.STD_LOGIC_UNSIGNED.ALL;

entity ArrayResize is
end ArrayResize;

architecture Behavior of ArrayResize is
    type array_type is array (0 to 4) of std_logic_vector(7 downto 0);
    signal my_array: array_type;
    type resized_array_type is array (0 to 6) of std_logic_vector(7 downto 0);
    signal my_resized_array: resized_array_type;
begin
    my_array <= ("00000001", "00000010", "00000011", "00000100", "00000101");
    my_resized_array(0 to 4) <= my_array;
    my_resized_array(5) <= "00000110";
    my_resized_array(6) <= "00000111";
end Behavior;

この例のコードは、初めに5つの要素を持つ配列my_arrayを定義しています。

次に、7つの要素を持つ新しい配列my_resized_arrayを定義して、既存のmy_arrayの内容をコピーし、さらに2つの新しい要素を追加しています。

結果として、元の配列からサイズが大きい新しい配列を生成しています。

このようにして、元の配列の内容を保持したまま、サイズを変更することができます。

実際には、要素数を増やすだけでなく、減らすことも可能です。

しかし、要素数を減らす場合は、不要なデータが切り捨てられる点に注意が必要です。

○サンプルコード5:配列データのソート

VHDLにおける配列データのソートは、アルゴリズムに依存する部分が大きく、特定の方法での最適化が求められる場面もあります。

このセクションでは、基本的なバブルソートを用いた配列データのソート方法について解説します。

このコードではVHDLで配列のデータをソートするバブルソートのアルゴリズムを紹介しています。

この例では、数字のリストを昇順にソートしています。

library IEEE;
use IEEE.STD_LOGIC_1164.ALL;
use IEEE.STD_LOGIC_ARITH.ALL;
use IEEE.STD_LOGIC_UNSIGNED.ALL;

entity ArraySort is
end ArraySort;

architecture Behavior of ArraySort is
    type array_type is array (0 to 4) of std_logic_vector(7 downto 0);
    signal my_array: array_type := ("00000101", "00000001", "00000011", "00000100", "00000010");
    signal temp: std_logic_vector(7 downto 0);
    signal i: integer := 0;
begin
    process
    variable j: integer;
    begin
        for j in 0 to 3 loop
            if my_array(j) > my_array(j+1) then
                temp <= my_array(j);
                my_array(j) <= my_array(j+1);
                my_array(j+1) <= temp;
            end if;
        end loop;
        wait for 10 ns;  -- ソートの1ステップごとの遅延
    end process;
end Behavior;

このコードにより、初めに定義されたmy_arrayの内容が昇順にソートされることになります。

バブルソートは、隣り合う要素を比較して、順序が逆であれば交換するという操作を繰り返すことで、全体としてソートされた状態にしています。

●配列の応用例

VHDLの配列操作の基本を学んだ後、応用例を探ることが重要です。

配列は単なるデータの集まりとしてだけではなく、データ処理や検索、さらにはデータ構造の定義など、多岐にわたる用途で利用されます。

VHDLでの配列の応用例をいくつか紹介します。

○サンプルコード6:多次元配列の操作

このコードでは、VHDLで多次元配列を定義し操作する方法を表しています。

この例では、2×2の行列を定義し、それぞれの要素にアクセスしています。

library IEEE;
use IEEE.STD_LOGIC_1164.ALL;

entity multi_array_example is
end multi_array_example;

architecture Behavioral of multi_array_example is
    type matrix_2x2 is array (0 to 1, 0 to 1) of integer;
    signal my_matrix : matrix_2x2 := ((1, 2), (3, 4));
begin
    -- この部分で行列の要素にアクセスする処理を書くことができる。
end Behavioral;

このサンプルでは、2×2の整数行列をmatrix_2x2という型として定義し、それを使用してmy_matrixという名前のシグナルを初期化しています。

各要素へのアクセスはmy_matrix(0,0)のように行列のインデックスを指定することで実現できます。

○サンプルコード7:配列を使ったデータ検索

このコードでは、VHDLの配列を使って特定のデータを検索する方法を表しています。

この例では、整数の配列内に特定の数値が存在するかを確認しています。

library IEEE;
use IEEE.STD_LOGIC_1164.ALL;

entity search_array is
end search_array;

architecture Behavioral of search_array is
    type int_array is array (0 to 4) of integer;
    signal my_data : int_array := (1, 3, 5, 7, 9);
    signal target : integer := 5;
    signal found : boolean;
begin
    process
    variable i : integer := 0;
    begin
        found <= false;
        for i in my_data'range loop
            if my_data(i) = target then
                found <= true;
                exit;
            end if;
        end loop;
        wait;
    end process;
end Behavioral;

この例では、int_arrayという名前の配列を定義し、その中に5つの整数値を持つ配列my_dataを定義しています。

その後、targetという名前のシグナルに検索したい整数値を設定し、配列の中にその値が存在するかを確認するプロセスが記述されています。

結果は、foundというブール型のシグナルに格納されます。

○サンプルコード8:配列の結合

このコードでは、VHDLで二つの配列を結合する方法を表しています。

この例では、二つの文字列型の配列を結合して、新しい配列を作成しています。

library IEEE;
use IEEE.STD_LOGIC_1164.ALL;
use IEEE.STD_LOGIC_ARITH.ALL;
use IEEE.STD_LOGIC_UNSIGNED.ALL;

entity concat_arrays is
end concat_arrays;

architecture Behavioral of concat_arrays is
    type string_array is array (0 to 4) of string(1 to 5);
    signal first_array : string_array := ("Hello", " ", "How", " ", "Are");
    signal second_array : string_array := ("You", " ", "Doing", " ", "Today?");
    signal combined_array : string_array;
begin
    combined_array <= first_array & second_array;
end Behavioral;

この例では、string_arrayという名前の配列型を定義し、その型を使用してfirst_arraysecond_arrayを定義しています。

そして、combined_arrayという新しい配列に、first_arraysecond_arrayを結合した結果を格納しています。

○サンプルコード9:配列を利用したループ処理

このコードでは、VHDLで配列を利用してループ処理を行う方法を表しています。

この例では、配列の各要素にアクセスして、その要素の値に基づいた処理を行っています。

library IEEE;
use IEEE.STD_LOGIC_1164.ALL;

entity loop_array is
end loop_array;

architecture Behavioral of loop_array is
    type int_array is array (0 to 4) of integer;
    signal my_data : int_array := (10, 20, 30, 40, 50);
    signal result : integer;
begin
    process
    variable sum : integer := 0;
    begin
        for i in my_data'range loop
            sum := sum + my_data(i);
        end loop;
        result <= sum;
        wait;
    end process;
end Behavioral;

このサンプルでは、int_arrayという型を使用してmy_dataという名前の配列を定義し、その配列の各要素の合計値を計算するプロセスが記述されています。

合計値は、resultというシグナルに格納されます。

○サンプルコード10:配列のコピー

このコードでは、VHDLで一つの配列から別の配列へデータをコピーする方法を表しています。

この例では、整数の配列を新しい配列にコピーしています。

library IEEE;
use IEEE.STD_LOGIC_1164.ALL;

entity copy_array is
end copy_array;

architecture Behavioral of copy_array is
    type int_array is array (0 to 4) of integer;
    signal source_array : int_array := (1, 2, 3, 4, 5);
    signal destination_array : int_array;
begin
    destination_array <= source_array;
end Behavioral;

この例では、int_arrayという型を使用してsource_arrayという名前の配列を定義し、その配列のデータをdestination_arrayという新しい配列にコピーしています。

これらのサンプルコードを通じて、VHDLでの配列操作の基本や応用例を学んできました。

配列は非常に多様な用途で使用されるため、これらの基本的な操作をマスターすることは重要です。

●配列操作の注意点

VHDLで配列操作を行う際には、特定の注意点を考慮する必要があります。

これらの注意点を無視すると、予期しない動作やエラーが発生する可能性があります。

VHDLでの配列操作における主な注意点と、それに関連するサンプルコードを紹介します。

○配列の範囲外へのアクセス

VHDLの配列では、定義した範囲外のインデックスにアクセスするとエラーが発生します。

したがって、常にアクセスするインデックスが配列の範囲内であるかを確認する必要があります。

このコードでは、5つの要素を持つ配列を定義し、範囲外のインデックスにアクセスしようとする例を表しています。

library IEEE;
use IEEE.STD_LOGIC_1164.ALL;

entity out_of_range is
end out_of_range;

architecture Behavioral of out_of_range is
    type int_array is array (0 to 4) of integer;
    signal my_data : int_array := (1, 2, 3, 4, 5);
    signal out_of_bound_value : integer;
begin
    out_of_bound_value <= my_data(5);  -- 範囲外へのアクセス
end Behavioral;

この例では、my_data(5)という形で配列の範囲外にアクセスしようとしています。

このコードを実行すると、エラーが発生します。

○配列のサイズ固定

VHDLの配列はサイズが固定されています。

一度定義した配列のサイズを動的に変更することはできません。

新しいサイズの配列を使用する場合は、新しい配列を定義する必要があります。

下記のコードは、配列のサイズを動的に変更しようとする例を表しています。

library IEEE;
use IEEE.STD_LOGIC_1164.ALL;

entity resize_array is
end resize_array;

architecture Behavioral of resize_array is
    type int_array is array (0 to 4) of integer;
    signal my_data : int_array := (1, 2, 3, 4, 5);
begin
    -- VHDLではこのような配列のサイズ変更はサポートされていません。
    my_data := (1, 2, 3, 4, 5, 6);  -- サイズを変更しようとする
end Behavioral;

この例では、5つの要素を持つ配列my_dataに対して、6つの要素を代入しようとしています。

しかし、このコードはエラーとなり、サイズの変更はできません。

○初期化されていない要素へのアクセス

配列のすべての要素が明示的に初期化されていない場合、その要素にアクセスすると未定義の値が返されます。

未初期化の要素を使用する前に、必ず値を設定するようにしましょう。

このコードでは、部分的にしか初期化されていない配列からデータを取得する例を表しています。

library IEEE;
use IEEE.STD_LOGIC_1164.ALL;

entity uninitialized_access is
end uninitialized_access;

architecture Behavioral of uninitialized_access is
    type int_array is array (0 to 4) of integer;
    signal my_data : int_array := (1, 2, 3);  -- 部分的に初期化
    signal value : integer;
begin
    value <= my_data(4);  -- 初期化されていない要素へのアクセス
end Behavioral;

この例では、配列my_dataの要素のうち、3つだけが初期化されています。

未初期化の要素my_data(4)にアクセスすると、未定義の値が返されます。

●カスタマイズの方法

VHDLの配列操作は柔軟であり、多くのカスタマイズが可能です。

ここでは、一般的な配列操作のカスタマイズ方法について、具体的なサンプルコードを通じて詳しく解説します。

○配列の部分的なデータ抽出

このコードでは、配列から特定の範囲のデータだけを取得する方法を紹介しています。

この例では、配列my_dataからインデックス1から3のデータを部分的に抽出しています。

library IEEE;
use IEEE.STD_LOGIC_1164.ALL;

entity partial_extraction is
end partial_extraction;

architecture Behavioral of partial_extraction is
    type int_array is array (0 to 4) of integer;
    signal my_data : int_array := (10, 20, 30, 40, 50);
    signal extracted_data : int_array(0 to 2);
begin
    extracted_data <= my_data(1 to 3);
end Behavioral;

この操作を実施すると、extracted_dataには20, 30, 40というデータが格納されます。

○配列の逆順操作

このコードでは、配列のデータを逆順に並べ替える方法を紹介しています。

この例では、配列my_dataのデータを逆順にしてreversed_dataに格納しています。

library IEEE;
use IEEE.STD_LOGIC_1164.ALL;

entity reverse_array is
end reverse_array;

architecture Behavioral of reverse_array is
    type int_array is array (0 to 4) of integer;
    signal my_data : int_array := (10, 20, 30, 40, 50);
    signal reversed_data : int_array;
begin
    for i in my_data'range loop
        reversed_data(my_data'high - i) <= my_data(i);
    end loop;
end Behavioral;

上記のコードを実行すると、reversed_dataには50, 40, 30, 20, 10という逆順のデータが格納されます。

○配列の特定要素の更新

このコードでは、配列の特定の位置のデータを更新する方法を紹介しています。

この例では、配列my_dataのインデックス2のデータを新しい値で更新しています。

library IEEE;
use IEEE.STD_LOGIC_1164.ALL;

entity update_element is
end update_element;

architecture Behavioral of update_element is
    type int_array is array (0 to 4) of integer;
    signal my_data : int_array := (10, 20, 30, 40, 50);
begin
    my_data(2) <= 100;
end Behavioral;

この操作後、my_dataのインデックス2のデータは100に更新され、配列全体は10, 20, 100, 40, 50となります。

これらのカスタマイズ方法を駆使することで、VHDLにおける配列操作の可能性が広がります。

初心者の方でもこの記事を参考にしながら、VHDLの配列操作に慣れることができるでしょう。

まとめ

この記事では、VHDLでの配列操作を初心者向けに詳しく解説しました。

10の具体的なサンプルコードを通じて、基本から応用、カスタマイズ方法までを網羅しました。

VHDLの配列操作は非常に強力であり、この記事をもとにさまざまな操作をマスターして、VHDLプログラミングの幅を広げてください。