初心者から上級者まで!C++でProtectedをマスターする6つの実例付き解説

C++のprotectedキーワードの基本と応用を表すイメージC++
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基本的な知識があればカスタムコードを使って機能追加、目的を達成できるように作ってあります。

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はじめに

この記事では、C++言語の中でも特に重要な概念であるprotectedキーワードに焦点を当てています。

プログラミング初心者から経験豊富な上級者まで、どのレベルの読者もこの記事から多くを学ぶことができるでしょう。

C++の基本からprotectedの使い方、さらには応用例まで、段階を追って詳しく解説していきます。

●C++とは

C++は、広く使用されているプログラミング言語の一つです。

多くのシステムやアプリケーションの開発に使用されており、その効率性と柔軟性から高い評価を受けています。

C++はC言語をベースにしており、オブジェクト指向プログラミングをサポートすることでより強力になっています。

C++は、速度とパフォーマンスを重視する開発者にとって魅力的な選択肢となっています。

○C++の基本的な特徴

C++の最も顕著な特徴は、その性能の高さと、低レベルと高レベルのプログラミングの両方に対応していることです。

また、オブジェクト指向プログラミングの概念を導入し、クラスとオブジェクトを使用することで、コードの再利用性と保守性を向上させています。

さらに、豊富なライブラリと強力なコンパイラにより、さまざまな用途に柔軟に対応できる点も、C++の強みです。

○プログラミング言語としてのC++の位置づけ

プログラミング言語としてのC++は、システムプログラミングやアプリケーション開発、ゲーム開発など、幅広い分野で使用されています。

その高いパフォーマンスと汎用性により、デスクトップアプリケーションからサーバーサイドのアプリケーション、組み込みシステムまで、多岐にわたる環境での開発に利用されています。

また、教育の分野でも広く採用されており、プログラミングの基本を学ぶための言語としても重要な位置を占めています。

●アクセス修飾子とは

プログラミング言語C++において、アクセス修飾子は非常に重要な役割を果たします。

これらはクラスのメンバー(変数や関数など)へのアクセスを制御し、プログラムの安全性と整合性を保持するために使用されます。

アクセス修飾子には主にpublicprivate、そしてprotectedの三種類があります。

これらはクラス内のメンバーへのアクセスレベルを定義し、オブジェクト指向プログラミングにおけるカプセル化と情報隠蔽の原則を実現します。

アクセス修飾子を使用することで、クラスの設計者はそのクラスの使用方法を制御し、誤った方法での利用を防ぐことができます。

例えば、クラス内の特定のメンバーを隠蔽することで、クラスの内部実装を変更しても、クラスの利用者に影響を与えることなく、より安全なコードの保守が可能になります。

○アクセス修飾子の種類と基本的な概念

C++における主なアクセス修飾子には下記の3つがあります。

  1. public -> このキーワードで宣言されたメンバーは、どこからでもアクセス可能です。つまり、クラスの外部からもアクセスできるため、公開インターフェースとして使用されます。
  2. private -> これによって宣言されたメンバーは、そのクラス自身と友達クラス(friend class)からのみアクセス可能です。これは、クラスの内部実装の詳細を隠蔽し、外部からの直接的なアクセスを禁止するために使用されます。
  3. protected -> protectedで宣言されたメンバーは、そのクラス自身と派生クラス(子クラス)からアクセス可能ですが、一般のクラス外部からはアクセスできません。これにより、派生クラスが基底クラスの特定のメンバーにアクセスできるようにしつつ、それ以外の外部からのアクセスを制限します。

これらのアクセス修飾子は、クラスの設計において非常に重要な役割を果たし、クラスの振る舞いを適切にカプセル化し、保護するために使用されます。

○public, private, そしてprotectedの違い

publicprivateprotectedの主な違いは、それらが提供するアクセスレベルにあります。

publicは最も開放的で、クラスの外部から自由にアクセスできるメンバーを提供します。

これに対して、privateは最も制限的で、メンバーがクラスの外部からは完全に隠蔽され、クラス内部または友達クラスからのみアクセス可能です。

protectedはこれらの中間に位置し、基底クラスと派生クラス内でのみアクセス可能である一方、一般のクラス外部からはアクセスできません。

●Protectedキーワードの基本

C++のプログラミングにおいて、protectedキーワードはアクセス修飾子の一つとして非常に重要な役割を果たします。

このキーワードはクラス内部のメンバー(変数や関数など)を保護するために使用され、特定の利用状況下でのみアクセスを許可することができます。

具体的には、protectedで宣言されたメンバーはそのクラス自体と、そのクラスを継承するサブクラスからのみアクセス可能です。

これにより、クラスの設計者は、派生クラスの設計者が基底クラスの特定のメンバーにアクセスできるようにしつつ、外部からの直接的なアクセスは制限することができます。

このようにprotectedキーワードは、クラスのカプセル化と継承の原則を効果的に組み合わせることで、より安全で柔軟なプログラムの設計を可能にします。

また、protectedキーワードを使うことで、サブクラスが基底クラスの内部実装に依存しながらも、不必要な露出を防ぐことが可能になります。

○Protectedアクセス修飾子の定義

protectedアクセス修飾子は、クラス内のメンバーがそのクラス自体および継承したサブクラスからのみアクセス可能であることを意味します。

これは、そのメンバーがクラスの外部からは直接アクセスできないようにするために使用されます。

例えば、基底クラスにprotectedメンバーがある場合、そのメンバーはそのクラスを継承した任意のサブクラスからアクセスできますが、クラスの外部からはアクセスできません。

このアクセス修飾子は、特にオブジェクト指向プログラミングにおける継承の際に重要となります。

protectedメンバーは、サブクラスが基底クラスのメンバーにアクセスし、それを利用または変更することを可能にしつつ、クラス外部からのアクセスを防ぐことで、情報の隠蔽とセキュリティを保ちます。

○Protectedの基本的な使い方

protectedキーワードを使用する基本的な方法は、クラス内のメンバー宣言の前にこのキーワードを配置することです。

例えば、あるクラスにprotectedで宣言されたメンバ変数やメンバ関数がある場合、これらのメンバーはそのクラスの中と、そのクラスから派生したサブクラスの中でのみアクセス可能となります。

class BaseClass {
protected:
    int protectedMember;

public:
    BaseClass() : protectedMember(0) {}

    void setProtectedMember(int value) {
        protectedMember = value;
    }
};

class DerivedClass : public BaseClass {
public:
    void manipulateProtectedMember() {
        protectedMember = 5; // これは許可されています
    }
};

この例では、BaseClassprotectedMemberという名前のprotectedメンバ変数があります。

この変数はDerivedClassBaseClassのサブクラス)からアクセス可能ですが、BaseClassDerivedClassの外部からはアクセスできません。

これにより、protectedメンバはサブクラスによる内部実装の利用を許可しつつ、外部からの不適切なアクセスを防ぐことができます。

●Protectedの具体的な使用例

C++において、protectedキーワードの使用例は多岐にわたります。

継承のコンテキストにおいて特にその力を発揮するため、継承を利用する際のクラス設計において重要な役割を果たします。

protectedキーワードは、基底クラスの特定のメンバーを派生クラスで利用するために使用されることが一般的です。

このアクセス修飾子を用いることで、基底クラスのメンバーが派生クラスからアクセス可能になり、同時にクラス外部からのアクセスを防ぐことができます。

○サンプルコード1:継承におけるProtectedの利用

継承を使用する際、protectedキーワードはサブクラスに基底クラスのメンバーへのアクセスを許可します。

この特性を活用して、サブクラスは基底クラスのメンバーを再利用し、拡張することができます。

class Base {
protected:
    int value;

public:
    Base(int v) : value(v) {}
};

class Derived : public Base {
public:
    Derived(int v) : Base(v) {}

    void displayValue() {
        std::cout << "Value: " << value << std::endl;
    }
};

// 使用例
Derived obj(100);
obj.displayValue(); // 出力: Value: 100

このコードでは、基底クラスBaseprotectedメンバ変数valueが定義されています。

派生クラスDerivedはこのvalue変数にアクセスし、それを使用してdisplayValueメソッドで値を表示しています。

○サンプルコード2:Protectedメンバのアクセス方法

protectedメンバは、そのクラスおよび派生クラス内で自由にアクセスできます。

これにより、派生クラスは基底クラスのメンバを直接操作でき、より柔軟なコードの設計が可能になります。

class Parent {
protected:
    int protectedVar;

public:
    Parent() : protectedVar(0) {}
};

class Child : public Parent {
public:
    void setProtectedVar(int value) {
        protectedVar = value;
    }
};

// 使用例
Child obj;
obj.setProtectedVar(10);

この例では、ParentクラスのprotectedVarメンバをChildクラスが直接変更しています。

これにより、protectedVarの値を制御するメソッドをChildクラスに追加することができます。

○サンプルコード3:フレンドクラスとProtected

protectedキーワードは、フレンドクラスと組み合わせて使用することもできます。

フレンドクラスは、あるクラスのprotectedおよびprivateメンバにアクセスする特別な権限を持つクラスです。

class MyClass {
protected:
    int protectedData;

public:
    MyClass() : protectedData(0) {}

    friend class FriendClass;
};

class FriendClass {
public:
    void accessProtectedData(MyClass& obj) {
        std::cout << "Protected Data: " << obj.protectedData << std::endl;
    }
};

// 使用例
MyClass myObj;
FriendClass friendObj;
friendObj.accessProtectedData(myObj); // 出力: Protected Data: 0

このコードでは、MyClassprotectedメンバprotectedDataFriendClassがアクセスしています。

フレンドクラス宣言により、FriendClassMyClassの内部実装にアクセスする特権を得ています。

これは特定のケースで有用ですが、フレンドクラスを使用する際には情報隠蔽の原則に注意する必要があります。

●Protectedの応用

C++におけるprotectedキーワードの応用は多岐にわたります。

このアクセス修飾子は、プログラムの設計においてセキュリティと柔軟性を提供し、特にオブジェクト指向の設計パターンにおいて重要な役割を果たします。

protectedを使用することで、派生クラスが基底クラスのメンバに安全にアクセスできるようになり、コードの再利用性と拡張性が高まります。

○サンプルコード4:Protectedを使ったデザインパターン

デザインパターンにおいてprotectedキーワードは、特にテンプレートメソッドパターンやストラテジーパターンなどで効果的に利用されます。

これらのパターンでは、基底クラスで定義されたメソッドを派生クラスがオーバーライドし、特定の振る舞いをカスタマイズすることが一般的です。

class BasePattern {
protected:
    virtual void stepOne() {
        std::cout << "Base step one" << std::endl;
    }

    virtual void stepTwo() {
        std::cout << "Base step two" << std::endl;
    }

public:
    void templateMethod() {
        stepOne();
        stepTwo();
        // 他のステップがあればここに追加
    }
};

class CustomPattern : public BasePattern {
protected:
    void stepOne() override {
        std::cout << "Custom step one" << std::endl;
    }
};

// 使用例
CustomPattern obj;
obj.templateMethod(); // 出力: Custom step one, Base step two

この例では、BasePatternクラスがテンプレートメソッドtemplateMethodを定義し、CustomPatternクラスがその一部をオーバーライドしています。

protectedメソッドは、基底クラスの定義を継承しつつ、派生クラスでの振る舞いをカスタマイズすることを可能にします。

○サンプルコード5:Protectedとポリモーフィズム

ポリモーフィズムにおいてもprotectedキーワードは重要です。

基底クラスのprotectedメンバを通じて、派生クラスが多様な形で基底クラスの機能を利用または拡張することができます。

class Polygon {
protected:
    int width, height;

public:
    void setValues(int a, int b) {
        width = a;
        height = b;
    }
};

class Rectangle : public Polygon {
public:
    int area() {
        return width * height;
    }
};

// 使用例
Rectangle rect;
rect.setValues(4, 5);
std::cout << "Area: " << rect.area(); // 出力: Area: 20

この例では、Polygonクラスが幅と高さを保持し、Rectangleクラスがこれらの値を使用して面積を計算しています。

protectedメンバは、派生クラスが基底クラスのプロパティを直接利用できるようにしています。

○サンプルコード6:Protectedを用いたセキュアなコーディング

セキュアなコーディングにおいてもprotectedキーワードの使用は有効です。

特に、クラスの内部状態を保護するために、外部からの直接アクセスを制限しながらも、サブクラスにはアクセスを許可する場合に役立ちます。

class SecureClass {
protected:


    int secureData;

public:
    SecureClass() : secureData(0) {}

    void manipulateData(int value) {
        if (value > 0) { // セキュリティチェック
            secureData = value;
        }
    }
};

class DerivedSecure : public SecureClass {
public:
    void additionalManipulation(int value) {
        if (value < 100) { // 追加のセキュリティチェック
            manipulateData(value);
        }
    }
};

// 使用例
DerivedSecure obj;
obj.additionalManipulation(50);

この例では、SecureClassがセキュアなデータ操作を提供し、DerivedSecureクラスが追加のセキュリティチェックを実装しています。

protectedメンバは、基底クラスのセキュリティロジックを継承しつつ、派生クラスで拡張することを可能にします。

●注意点と対処法

C++におけるprotectedキーワードの使用には、いくつかの注意点があります。

正しく使用することで多くの利点を享受できますが、誤用すると予期せぬ問題や複雑さをプログラムにもたらす可能性があります。

特にオブジェクト指向プログラミングの原則や設計パターンに従っている場合、protectedキーワードの適切な使用が重要です。

○Protectedの誤用とその影響

protectedキーワードの誤用の一つとして、過度の使用があります。

全てのメンバをprotectedにすることは、カプセル化の原則に反し、クラスの内部実装が不必要に露出することになります。

これにより、クラスの外部から予期せぬ方法で内部状態が変更されるリスクが生じ、バグやセキュリティの問題を引き起こす可能性があります。

また、protectedメンバが多すぎると、クラスの継承階層が複雑になり、コードの理解と保守が困難になることもあります。

特に大規模なプログラムやライブラリでは、protectedの使用を慎重に検討する必要があります。

○よくある間違いとその解決策

protectedキーワードのもう一つの間違いは、派生クラスでの不適切なアクセスです。

派生クラスが基底クラスのprotectedメンバにアクセスする際、そのメンバの意図された用途から逸脱しないようにすることが重要です。

例えば、protectedメンバが内部ロジックに関連している場合、派生クラスでこれを変更すると、基底クラスの振る舞いが壊れる可能性があります。

このような問題を解決するためには、まずprotectedメンバの使用目的を明確にし、派生クラスでの使用方法に関してドキュメント化することが重要です。

また、protectedメンバに対するアクセスを制限するためのインターフェースを提供することで、不適切な使用を防ぐことができます。

さらに、基底クラスの設計を見直し、必要な機能のみをprotectedとして提供し、それ以外はprivateにすることで、派生クラスからのアクセスを適切に制御することが効果的です。

これにより、クラスの内部実装を保護し、プログラムの安定性とセキュリティを向上させることができます。

まとめ

この記事では、C++におけるprotectedキーワードの基本から応用までを詳細に解説しました。

protectedキーワードは、オブジェクト指向プログラミングにおけるカプセル化と継承の原則を効果的に活用するための重要なツールです。

ただし、その使用には注意が必要であり、特に過度の使用や誤用はプログラムの安全性やメンテナンス性に悪影響を与える可能性があることを理解することが大切です。

適切に使用すれば、protectedキーワードはC++プログラミングにおける柔軟性と効率を大いに高めることができます。