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【C++】アクセス修飾子を完全ガイド!初心者からプロまで8つのサンプルコードで完全解説

C++のアクセス修飾子を徹底解説するイメージ C++
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この記事では、プログラムの基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

本記事のサンプルコードを活用して機能追加、目的を達成できるように作ってありますので、是非ご活用ください。

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はじめに

この記事では、C++におけるアクセス修飾子の全てを徹底解説します。

初心者から経験豊富なプログラマーまで、C++のアクセス修飾子に関して、その基本から応用までを深く理解できる内容となっています。

この記事を読むことで、C++のアクセス修飾子がどのように機能し、どう使われるのかが明確になります。

実践的なサンプルコードも交えながら、初心者でも理解しやすい形で解説していきますので、安心して読み進めてください。

●C++とアクセス修飾子の基本

C++は、オブジェクト指向プログラミング言語の一つで、非常に強力かつ多用途に使用されています。

C++で重要な概念の一つが、「アクセス修飾子」と呼ばれるものです。

アクセス修飾子は、クラス内のメンバ(変数や関数)へのアクセスを制御するためのキーワードです。

これにより、データのカプセル化や情報隠蔽といったオブジェクト指向の基本原則を実現することができます。

つまり、アクセス修飾子を適切に使用することで、プログラムの安全性や保守性を高めることが可能になるのです。

○C++の基本構造とは

C++のプログラムは、主にクラスという単位で構成されています。

クラスとは、データとそれを操作する関数を一つにまとめたもので、オブジェクト指向プログラミングの基本的な構成要素です。

各クラスは、その中にメンバ変数(データ)とメンバ関数(操作)を持ち、これらのメンバへのアクセスを制御するのがアクセス修飾子の役割です。

○アクセス修飾子とは

C++におけるアクセス修飾子には、「public」、「private」、「protected」という3種類があります。

これらの修飾子は、クラスのメンバに対するアクセス権を定義します。

「public」修飾子は、そのメンバがどこからでもアクセス可能であることを意味します。

一方で、「private」修飾子は、そのメンバがクラス内部からのみアクセス可能であることを示し、外部からの直接的なアクセスを防ぎます。

「protected」修飾子は、そのクラス自体と派生クラスからのみアクセス可能で、他の外部クラスからはアクセスできないことを意味しています。

これらの修飾子を適切に使用することで、クラスの設計者はメンバへのアクセスを厳密にコントロールし、より安全で保守しやすいコードを作成できます。

●アクセス修飾子の種類と特徴

C++のアクセス修飾子は、クラスのメンバに対するアクセスをコントロールする重要な要素です。

この部分では、C++における3つの主要なアクセス修飾子「public」、「private」、「protected」の特徴と役割について詳しく説明します。

○public:公開アクセス修飾子

「public」とは、クラスのメンバがどこからでもアクセス可能であることを意味します。

public修飾子を使用すると、そのメンバはクラスの外部からもアクセスでき、他のクラスや関数から自由に使用できます。

これは、特にインターフェースやAPIとして機能する部分に適しています。

たとえば、クラスの公開メソッドやプロパティは、通常public修飾子を使って定義されます。

○private:非公開アクセス修飾子

「private」は、そのメンバがクラスの内部からのみアクセス可能であることを意味します。

private修飾子を使用したメンバは、クラスの外部からは直接アクセスすることができません。

これにより、クラスの内部実装を隠蔽し、外部からの不適切な利用を防ぐことができます。

クラスの内部状態を保持するための変数などは、private修飾子で宣言することが一般的です。

○protected:保護されたアクセス修飾子

「protected」修飾子は、そのメンバが宣言されたクラスとそのサブクラス(派生クラス)内でのみアクセス可能であることを意味します。こ

れは、private修飾子と似ていますが、派生クラスからもアクセスが可能です。

protectedメンバは、基本クラスとサブクラス間で共有される情報を隠蔽する際に使用されます。

これにより、基本クラスのメンバを派生クラスで再利用できるようにしつつ、外部からのアクセスは制限されます。

●アクセス修飾子の使い方

C++でのアクセス修飾子の使い方を理解することは、効率的で安全なコードを書く上で非常に重要です。

ここでは、実際のサンプルコードを用いて、それぞれの修飾子の使い方を具体的に説明していきます。

○サンプルコード1:クラス内でのpublicの使用

public修飾子を使うことで、クラスの外部からもアクセス可能なメンバを定義することができます。

下記のコードは、public修飾子を用いた例です。

class MyClass {
public:
    int publicVariable;

    void publicMethod() {
        // ここでpublicVariableを使用可能
    }
};

int main() {
    MyClass obj;
    obj.publicVariable = 10;  // MyClassの外部からアクセス可能
    obj.publicMethod();       // MyClassの外部からアクセス可能
}

この例では、MyClassクラスにpublicVariableというpublicな変数とpublicMethodというpublicなメソッドが定義されています。

これらはクラスの外部から直接アクセスすることが可能です。

○サンプルコード2:クラス内でのprivateの使用

private修飾子を使用すると、そのメンバはクラスの外部からはアクセスできなくなります。

これは、クラスの内部データをカプセル化し、外部からの不適切な変更を防ぐために使用されます。

class MyClass {
private:
    int privateVariable;

public:
    void setPrivateVariable(int value) {
        privateVariable = value;  // privateメンバにアクセス
    }

    int getPrivateVariable() {
        return privateVariable;   // privateメンバにアクセス
    }
};

int main() {
    MyClass obj;
    obj.setPrivateVariable(20);  // セッターを通じてprivateVariableにアクセス
    int value = obj.getPrivateVariable();  // ゲッターを通じてprivateVariableの値を取得
}

このコードでは、MyClassクラスのprivateVariableは外部から直接アクセスすることができず、代わりにpublicなメソッドsetPrivateVariablegetPrivateVariableを通じて間接的にアクセスすることになります。

これにより、クラスの内部状態を適切に管理することができます。

○サンプルコード3:クラス内でのprotectedの使用

protectedアクセス修飾子は、クラス自体とその派生クラスからアクセスできるようにするために使われます。

下記のコードでは、基底クラスであるBaseClass内のprotectedメンバが、派生クラスDerivedClassからアクセス可能である様子を表しています。

class BaseClass {
protected:
    int protectedVariable;

public:
    void setProtectedVariable(int value) {
        protectedVariable = value;
    }
};

class DerivedClass : public BaseClass {
public:
    void showProtectedVariable() {
        // BaseClassのprotectedVariableにアクセス可能
        std::cout << "Protected Variable: " << protectedVariable << std::endl;
    }
};

int main() {
    DerivedClass obj;
    obj.setProtectedVariable(30);  // BaseClassのメソッドを通じて設定
    obj.showProtectedVariable();   // DerivedClassのメソッドを通じて表示
}

このコードでは、DerivedClassBaseClassを継承しているため、BaseClassprotectedVariableにアクセスすることが可能です。

これにより、クラスの派生を通じて再利用性と拡張性が高まります。

○サンプルコード4:継承とアクセス修飾子

クラスの継承においては、アクセス修飾子が重要な役割を果たします。

下記のサンプルコードでは、継承を使用している際のアクセス修飾子の挙動について解説します。

class BaseClass {
public:
    int publicVar;
private:
    int privateVar;
protected:
    int protectedVar;
};

class DerivedClass : public BaseClass {
public:
    void accessMembers() {
        publicVar = 10;     // 公開メンバへのアクセス可能
        // privateVar = 20; // エラー: privateメンバへのアクセス不可
        protectedVar = 30;  // 保護されたメンバへのアクセス可能
    }
};

int main() {
    DerivedClass obj;
    obj.accessMembers();
    obj.publicVar = 40;   // 外部からの公開メンバへのアクセス可能
    // obj.privateVar = 50; // エラー: 外部からprivateメンバへのアクセス不可
    // obj.protectedVar = 60; // エラー: 外部からprotectedメンバへのアクセス不可
}

この例では、BaseClassのpublicメンバは派生クラスDerivedClass及び外部からアクセス可能であること、privateメンバはBaseClass内部からのみアクセス可能であること、そしてprotectedメンバは派生クラス内からのみアクセス可能であることが表されています。

これにより、継承を利用した際のデータの保護とアクセシビリティが実現されます。

●アクセス修飾子の応用例

C++のアクセス修飾子は、基本的な使い方だけでなく、より高度なプログラミングテクニックにも応用されます。

ここでは、カプセル化、ポリモーフィズム、フレンドクラスといった概念をアクセス修飾子と組み合わせた応用例を、具体的なサンプルコードとともに解説します。

○サンプルコード5:カプセル化とアクセス修飾子

カプセル化は、オブジェクトの詳細な内部データを隠蔽し、外部から直接アクセスできないようにするプログラミング手法です。

下記のサンプルコードは、カプセル化の一例を表しています。

class EncapsulationExample {
private:
    int hiddenData;

public:
    void setData(int value) {
        if (value > 0) { // 条件をチェック
            hiddenData = value;
        }
    }

    int getData() {
        return hiddenData;
    }
};

int main() {
    EncapsulationExample obj;
    obj.setData(10); // 正しい使い方
    int data = obj.getData(); // データの取得
}

この例では、hiddenDataはprivate修飾子によって隠蔽され、外部から直接アクセスされることはありません。

代わりにpublicメソッドを通じて、間接的にこのデータにアクセスします。

○サンプルコード6:ポリモーフィズムとアクセス修飾子

ポリモーフィズムは、異なるクラスのオブジェクトが同一のインターフェースやメソッドを共有することを指します。

これにより、様々な型のオブジェクトを統一的に扱うことが可能になります。

下記のサンプルコードは、ポリモーフィズムの実現にアクセス修飾子がどのように使われるかを表しています。

class BaseClass {
public:
    virtual void doSomething() {
        // 基本的な動作
    }
};

class DerivedClass : public BaseClass {
public:
    void doSomething() override {
        // 派生クラス特有の動作
    }
};

void execute(BaseClass *obj) {
    obj->doSomething();
}

int main() {
    BaseClass base;
    DerivedClass derived;
    execute(&base);    // 基本クラスの動作
    execute(&derived); // 派生クラスの動作
}

この例では、BaseClassDerivedClassが共通のメソッドdoSomethingを持っています。

ポリモーフィズムにより、これらの異なるクラスのオブジェクトを同一の方法で操作できます。

○サンプルコード7:フレンドクラスとアクセス修飾子

フレンドクラスは、他のクラスのprivateやprotectedメンバにアクセスする特別な権限を持つクラスです。

下記のコードは、フレンドクラスを使った例を表しています。

class SecretData {
    friend class FriendClass; // FriendClassにアクセス権を付与
private:
    int secretValue;

public:
    SecretData() : secretValue(0) {}
};

class FriendClass {
public:
    void accessSecretData(SecretData& data) {
        data.secretValue = 10; // privateメンバにアクセス
    }
};

int main() {
    SecretData data;
    FriendClass obj;
    obj.accessSecretData(data); // フレンドクラスからのアクセス
}

このサンプルでは、FriendClassSecretDataクラスのprivateメンバsecretValueにアクセスできるようになっています。

これにより、特定のクラス間でのみ許される特別なアクセス権を実現しています。

●注意点と対処法

C++におけるアクセス修飾子の使用には、いくつかの重要な注意点があります。

これらを適切に理解し、適切な対処法を学ぶことで、より効率的でエラーの少ないコードを書くことができます。

○アクセス修飾子の誤用

アクセス修飾子を誤って使用すると、プログラムの保守性や可読性が低下し、思わぬバグの原因となることがあります。

例えば、すべてのメンバをpublicにしてしまうと、クラスのカプセル化が損なわれ、オブジェクトの状態が不正に変更される可能性があります。

また、過度にprivateなメンバが多いと、クラスの再利用性が低下することもあります。

対処法としては、適切なアクセスレベルを設定するためには、クラスの設計時にその目的と構造をよく理解し、各メンバがどの程度公開されるべきかを慎重に検討する必要があります。

カプセル化を保ちつつ、必要な操作を公開するバランスを取ることが重要です。

○アクセス修飾子とメモリ管理

C++におけるメモリ管理は非常に重要なトピックであり、アクセス修飾子と関連している場合があります。

特に、動的に確保されたメモリ領域を操作する際にprivateやprotectedメンバを使用すると、メモリリークや未定義動作を引き起こす可能性があります。

対処法としては、メモリを直接操作するメソッドや変数は、適切なアクセスレベルで保護し、不適切なアクセスを防ぐことが重要です。

また、メモリ操作には特に注意を払い、使用後は適切に解放することを心がけましょう。

近年では、スマートポインタなどのメモリ管理を助けるツールもありますので、これらを活用するのも良い方法です。

●アクセス修飾子のカスタマイズ方法

C++では、アクセス修飾子をカスタマイズすることで、より高度なコントロールと柔軟なコード設計が可能になります。

ここでは、アクセス修飾子のカスタマイズ方法を具体的なサンプルコードを交えて解説します。

○サンプルコード8:アクセス修飾子のカスタマイズ

カスタマイズの一例として、特定のクラスだけにアクセスを許可する方法を考えます。

この場合、フレンド宣言を利用することで、特定のクラスのみにprivateメンバへのアクセス権を与えることができます。

class CustomAccess {
private:
    int value;

    friend class SpecialAccess; // SpecialAccessクラスにのみアクセスを許可

public:
    CustomAccess() : value(0) {}

    int getValue() const {
        return value;
    }
};

class SpecialAccess {
public:
    void changeValue(CustomAccess& obj, int newValue) {
        obj.value = newValue; // CustomAccessのprivateメンバにアクセス
    }
};

int main() {
    CustomAccess obj;
    SpecialAccess modifier;
    modifier.changeValue(obj, 100); // 特別なアクセス権を持つクラスからの変更
}

このサンプルコードでは、CustomAccessクラスのvalueメンバはprivateに設定されていますが、SpecialAccessクラスからはこの値を変更することが可能です。

これにより、特定のクラス間でのみ許されるアクセス制御が実現されています。

まとめ

本記事では、C++におけるアクセス修飾子の基本から応用例、注意点と対処法、さらにはカスタマイズ方法までを詳細に解説しました。

初心者から上級者まで、幅広い読者がC++のアクセス修飾子の重要性と使い方を深く理解することができる内容となっています。

この知識を活用することで、より効率的でセキュアなプログラミングが可能になるでしょう。

C++プログラミングにおいて、このガイドが役立つことを願っています。