C++で画像処理をマスターする8つの方法を解説

C++を使った画像処理のコード例と解説のイメージC++
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この記事では、プログラムの基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

基本的な知識があればカスタムコードを使って機能追加、目的を達成できるように作ってあります。

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はじめに

この記事を読むことで、初心者から上級者まで、C++での画像処理技術を習得するための基礎から応用までの知識を身につけることができます。

画像処理は、デジタル画像を操作し、改善、変換、または理解するための技術です。

この分野は、科学研究からエンターテイメント、個人の趣味に至るまで、様々な分野で幅広く応用されています。

C++というプログラミング言語を使用して、この魅力的な技術分野にアプローチする方法を、わかりやすく丁寧に解説していきます。

●C++における画像処理の基本

C++での画像処理を始めるには、適切なライブラリの選択が重要です。

C++には、OpenCVやCImgなど、強力な画像処理ライブラリが豊富にあります。

これらのライブラリは、様々な画像処理機能を提供し、コーディングの効率を向上させます。

ライブラリを選ぶ際には、必要な機能、ドキュメントの充実度、コミュニティのサポートなどを考慮すると良いでしょう。

また、ライブラリのセットアップには、適切なインストールと環境設定が必要です。

C++コンパイラと一緒にライブラリを設定し、プログラム内で正しく参照できるようにすることが肝心です。

○サンプルコード1:画像読み込みと表示

画像処理の第一歩として、画像の読み込みと表示を行うサンプルコードを紹介します。

下記のコードは、OpenCVライブラリを使用して、画像ファイルを読み込み、ウィンドウに表示する方法を表しています。

#include <opencv2/opencv.hpp>
#include <iostream>

int main() {
    cv::Mat image = cv::imread("example.jpg"); // 画像の読み込み
    if(image.empty()) {
        std::cerr << "画像を読み込めませんでした。" << std::endl;
        return -1;
    }

    cv::imshow("画像", image); // 画像の表示
    cv::waitKey(0); // キー入力を待つ
    return 0;
}

このコードでは、cv::imread関数を使って画像ファイルを読み込み、cv::imshow関数でウィンドウに表示しています。

画像が読み込めなかった場合のエラー処理も含めています。

このシンプルな例を通じて、C++での基本的な画像操作を理解することができます。

○サンプルコード2:画像の色調整

次に、画像の色調を調整するサンプルコードを見ていきましょう。

下記のコードは、画像の明るさとコントラストを調整する方法を表しています。

#include <opencv2/opencv.hpp>
#include <iostream>

int main() {
    cv::Mat image = cv::imread("example.jpg");
    if(image.empty()) {
        std::cerr << "画像を読み込めませんでした。" << std::endl;
        return -1;
    }

    image.convertTo(image, -1, 1.5, 50); // 明るさとコントラストの調整

    cv::imshow("色調調整後の画像", image);
    cv::waitKey(0);
    return 0;
}

このコードでは、convertToメソッドを使用して、画像の明るさとコントラストを調整しています。

第二引数に-1を指定することで、元の画像と同じデータ型を使用し、第三引数と第四引数でコントラストと明るさを調整しています。

このような基本的な画像処理をマスターすることで、C++によるより複雑な画像処理に進む準備が整います。

●画像処理の応用技術

C++における画像処理の応用技術は、基本的な技術を越え、さらに複雑な処理を可能にします。

ここでは、画像のフィルタリング、エッジ検出、物体検出といった応用的な処理に焦点を当てて解説します。

これらのテクニックは、画像の品質向上、特徴の抽出、特定のオブジェクトの識別といった多くの場面で有用です。

○サンプルコード3:画像のフィルタリング

画像のフィルタリングは、画像に対して様々な効果を適用し、望む結果を得るための技術です。

例えば、ノイズの除去、鮮明化、エッジの強調などがこれに該当します。

下記のサンプルコードは、C++で画像にフィルタリングを適用する一例を表しています。

#include <opencv2/opencv.hpp>

using namespace cv;

int main() {
    // 画像を読み込む
    Mat image = imread("example.jpg");
    // フィルタリングを適用する画像の準備
    Mat filtered_image;

    // ガウシアンフィルタを適用
    GaussianBlur(image, filtered_image, Size(5, 5), 0);

    // 結果を表示
    imshow("Filtered Image", filtered_image);
    waitKey(0);

    return 0;
}

このコードでは、OpenCVライブラリを使用して、画像にガウシアンフィルタを適用しています。

ガウシアンフィルタは、画像を平滑化し、ノイズを減少させるのに役立ちます。

○サンプルコード4:エッジ検出

エッジ検出は、画像中の物体の輪郭や形状を特定するのに使われる技術です。

下記のコードは、Cannyエッジ検出器を用いたエッジ検出の例を表しています。

#include <opencv2/opencv.hpp>

using namespace cv;

int main() {
    // 画像をグレースケールで読み込む
    Mat image = imread("example.jpg", IMREAD_GRAYSCALE);
    // エッジ検出の結果を格納する変数
    Mat edges;

    // Cannyエッジ検出器を適用
    Canny(image, edges, 50, 150);

    // 結果を表示
    imshow("Edges", edges);
    waitKey(0);

    return 0;
}

このコードでは、まず画像をグレースケールで読み込み、次にCannyエッジ検出器を適用しています。

結果は、エッジが白、その他が黒として表示されます。

○サンプルコード5:物体検出

物体検出は、画像内の特定の物体を識別し、その位置を特定する技術です。

物体検出には様々なアプローチがありますが、ここではOpenCVを用いた基本的な物体検出の一例を紹介します。

#include <opencv2/opencv.hpp>

using namespace cv;

int main() {
    // 画像を読み込む
    Mat image = imread("example.jpg");
    // 分類器の読み込み
    CascadeClassifier classifier("haarcascade_frontalface_default.xml");

    // 検出された物体のリスト
    std::vector<Rect> objects;
    // 分類器を用いて物体検出
    classifier.detectMultiScale(image, objects);

    // 検出された物体を矩形で囲む
    for (const auto& object : objects) {
        rectangle(image, object, Scalar(255, 0, 0));
    }

    // 結果を表示
    imshow("Detected Objects", image);
    waitKey(0);

    return 0;
}

このコードでは、OpenCVのカスケード分類器を使用して、画像内の顔を検出しています。

検出された各顔には赤い矩形が描画されます。

これは、セキュリティシステム、写真編集ソフトウェア、人工知能のトレーニングデータなど、様々な用途で応用が可能です。

●よくあるエラーとその対処法

C++における画像処理では、さまざまなエラーが発生する可能性があります。

ここでは、最も一般的なエラーとその対処法について解説します。

これらのエラーに遭遇した際には、下記の対処法を参考にしてください。

○ライブラリが見つからない場合

画像処理を行う際には、OpenCVのような外部ライブラリが必要になることが多いです。

このライブラリが見つからない場合のエラーは、主に環境設定の問題によって引き起こされます。

ライブラリがインストールされていること、そしてプロジェクトの設定が適切に行われていることを確認してください。

また、環境変数が適切に設定されているかもチェックしましょう。

○画像が正しく表示されない場合

画像が正しく表示されない場合、最初に確認すべきは画像ファイルのパスです。

絶対パスまたは正しい相対パスを使用しているかを確認してください。

また、画像ファイルのフォーマットや破損していないかも確認が必要です。

プログラムに画像ファイルが見つからない、または読み込めない場合は、エラー処理を行い適切なメッセージを出力するようにしましょう。

○処理速度の問題とその最適化

画像処理の処理速度は、特に大きな画像や複雑な処理を行う際に重要になります。

処理速度の問題に対処するためには、コードの最適化が必要です。

ループ処理の最適化、不必要な画像変換の削減、マルチスレッド処理の適用などが考えられます。

また、GPUを活用することで、大幅な処理速度の向上が期待できます。

OpenCVでは、GPUを使用した高速処理をサポートする関数が提供されていますので、これらを活用するのも一つの方法です。

●画像処理の応用例

C++を用いた画像処理の技術は多岐にわたり、様々な応用例があります。

ここでは、顔認識、動画処理、機械学習との統合という3つの具体的な応用例に焦点を当て、それぞれのサンプルコードを紹介します。

○サンプルコード6:顔認識

顔認識は、画像処理の中でも特に人気のある応用分野の一つです。

下記のサンプルコードは、OpenCVを使用して画像から顔を認識し、それを矩形で囲む方法を表しています。

#include <opencv2/opencv.hpp>

using namespace cv;

int main() {
    Mat image = imread("example.jpg");
    CascadeClassifier face_cascade;
    face_cascade.load("haarcascade_frontalface_default.xml");

    std::vector<Rect> faces;
    face_cascade.detectMultiScale(image, faces);

    for (size_t i = 0; i < faces.size(); i++) {
        rectangle(image, faces[i], Scalar(255, 0, 0), 2);
    }

    imshow("Face Detection", image);
    waitKey(0);
    return 0;
}

このコードでは、Haar Cascade分類器を使用して顔を検出し、検出された顔を青い矩形で囲んでいます。

○サンプルコード7:動画処理

動画処理は、静止画像を超えて連続した画像フレームに対する処理を含みます。

下記のコードは、Webカメラからの入力を受け取り、リアルタイムでフレームを表示しています。

#include <opencv2/opencv.hpp>

using namespace cv;

int main() {
    VideoCapture cap(0);

    if (!cap.isOpened()) {
        return -1;
    }

    Mat frame;
    while (true) {
        cap >> frame;
        if (frame.empty()) {
            break;
        }

        imshow("Video", frame);
        if (waitKey(30) >= 0) {
            break;
        }
    }

    return 0;
}

このコードでは、VideoCapture オブジェクトを使用してカメラの映像をキャプチャし、それを連続して画面に表示しています。

○サンプルコード8:機械学習との統合

最後に、C++での画像処理と機械学習の統合について考えます。

この例では、学習済みの機械学習モデルを使用して、画像から特定のオブジェクトを認識しています。

#include <opencv2/opencv.hpp>
#include <opencv2/dnn.hpp>

using namespace cv;
using namespace cv::dnn;

int main() {
    Mat image = imread("example.jpg");

    // モデルの読み込み
    Net net = readNetFromTensorflow("model.pb");

    // 画像の前処理
    Mat blob;
    blobFromImage(image, blob, 1.0, Size(224, 224), Scalar(104, 117, 123));

    // モデルに画像を入力
    net.setInput(blob);

    // 推論の実行
    Mat output = net.forward();

    // 結果の処理
    // ...

    return 0;
}

このコードでは、TensorFlowの学習済みモデルを読み込み、画像に対して推論を行っています。

画像の前処理や推論の実行方法は、使用するモデルに依存します。

●C++における画像処理のコツと豆知識

C++での画像処理を効率的に行うためには、いくつかのコツと豆知識があります。

これらを把握することで、より効果的なプログラミングが可能になります。

○パフォーマンスの最適化

画像処理においてパフォーマンスは重要な要素です。

大きな画像や複雑な処理を行う場合、効率的なコーディングが求められます。

たとえば、ループの中で不必要な計算を避け、事前に計算可能な値はループ外で計算する、メモリアクセスを最適化する、並列処理やSIMD命令を活用するなどのテクニックが有効です。

また、OpenCVの関数を使用する際には、処理のオプションやパラメーターを適切に設定し、最適なアルゴリズムを選択することが重要です。

○豆知識1:メモリ管理

C++におけるメモリ管理は、特に画像処理においては非常に重要です。

大量のデータを扱うため、メモリの確保と解放を適切に行う必要があります。

メモリリークを避けるためには、newで確保したメモリは必ずdeleteで解放しましょう。

また、OpenCVのMatオブジェクトを使用する際には、自動的なメモリ管理が行われるため、手動でメモリを解放する必要はありませんが、オブジェクトのスコープや生存期間には注意が必要です。

○豆知識2:最新のC++機能の活用

最新のC++標準には、画像処理を効率的に行うための多くの機能が追加されています。

例えば、C++11以降ではラムダ式、自動型推論、範囲ベースのforループなどが利用でき、コードを簡潔に書くことが可能です。

また、C++14以降では、ジェネリックラムダや変数テンプレートなど、さらに強力な機能が追加されています。

これらの最新機能を活用することで、より読みやすく、保守しやすいコードを書くことができます。

まとめ

この記事では、C++を使用した画像処理の基本から応用までを網羅的に解説しました。

初心者から上級者まで理解できるよう、サンプルコードを交えながら、基本的な操作方法、応用技術、よくあるエラーの対処法、さらにはパフォーマンスの最適化や最新のC++機能の活用方法までを詳しく紹介しました。

この知識を活用することで、C++による画像処理の技術を深め、幅広いアプリケーションの開発が可能となります。