Pythonとワイルドカードを使う10の効果的な方法

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この記事では、プログラムの基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

基本的な知識があればカスタムコードを使って機能追加、目的を達成できるように作ってあります。

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はじめに

プログラミング言語のPythonとワイルドカードの組み合わせは、ファイルや文字列の検索を柔軟に行うための強力なツールとなります。

この記事では、Pythonでワイルドカードを活用する10の方法を、サンプルコードを交えながら詳しく解説します。

●Pythonとは

Pythonは、コードが読みやすく、明確な文法を持つ汎用の高水準プログラミング言語です。

その特性と利点は多岐にわたります。

○Pythonの特性

Pythonの特性は主に次の三つに分けられます。

1つ目は、そのシンプルさとコードの可読性。

2つ目は、大量のライブラリとフレームワークによる強力なサポート。

3つ目は、データ分析や機械学習など、多岐にわたる用途で利用できるという点です。

○Pythonの利点

Pythonの利点は、その学習曲線の緩やかさと拡張性の高さです。

Pythonは、初心者でも学びやすい言語である一方、高度なプログラミングにも対応可能です。

●ワイルドカードとは

ワイルドカードは、一般的にはあるパターンに一致する複数の項目を指すための記号や文字列のことを指します。

○ワイルドカードの一般的な用途

ワイルドカードは、特定のパターンに一致するファイル名を検索したり、正規表現で文字列を検索する際に使われます。

また、データベースのクエリで複数のレコードを選択する際にも利用されます。

●Pythonでのワイルドカードの使い方

Pythonでワイルドカードを使う方法はいくつかあります。

基本的な使い方から応用例まで、次のサンプルコードを見てみましょう。

○サンプルコード1:基本的なワイルドカードの使い方

下記のコードでは、globモジュールを使って、特定のパターンに一致するファイル名を取得する基本的な方法を表します。

この例では、’*.txt’というパターンを使って、全てのテキストファイルを取得しています。

import glob

txt_files = glob.glob('*.txt')

for file in txt_files:
    print(file)

このコードを実行すると、カレントディレクトリに存在する全てのテキストファイル名が出力されます。

○サンプルコード2:ディレクトリ内の特定の拡張子を持つファイルを検索

下記のコードでは、特定のディレクトリ内の特定の拡張子を持つファイルを検索する方法を表します。

この例では、’/path/to/dir/’ディレクトリ内の全ての’.png’ファイルを検索しています。

import glob

png_files = glob.glob('/path/to/dir/*.png')

for file in png_files:
    print(file)

このコードを実行すると、指定したディレクトリに存在する全ての’.png’ファイルのパスが出力されます。

○サンプルコード3:特定のパターンに一致する文字列を検索

下記のコードでは、特定のパターンに一致する文字列を検索する方法を表します。

この例では、’abc*’というパターンで始まる全ての文字列を検索しています。

import fnmatch

names = ['abc123', 'abcxyz', 'xyzabc', 'abcdef', '123abc']
matching_names = fnmatch.filter(names, 'abc*')

for name in matching_names:
    print(name)

このコードを実行すると、’abc’で始まる文字列だけが出力されます。

●Pythonでのワイルドカードの応用例

これまでに学んだワイルドカードの基本的な使い方を応用して、Pythonの機能をさらに拡張するいくつかの方法を紹介します。

○サンプルコード4:動的なモジュールインポート

Pythonでワイルドカードを利用すると、動的にモジュールをインポートすることも可能です。

下記のサンプルコードは、指定したモジュール内の全てのクラスや関数をインポートする例です。

import importlib
import os
import glob

module_path = '/path/to/your/module'
os.chdir(module_path)

for filename in glob.glob('*.py'):
    module_name = os.path.splitext(filename)[0]
    module = importlib.import_module(module_name)

このコードでは、まずglobとos、importlibの三つのモジュールをインポートしています。

globはワイルドカードを使って特定のパターンに一致するファイル名を探し出す機能を提供し、osはオペレーティングシステム関連の関数、importlib はモジュールを動的にロードできます。

次に、特定のディレクトリ(モジュールパス)に移動し、そのディレクトリ内の全ての.pyファイルを検索します。

そして、それぞれのファイル名から拡張子を除いた部分をモジュール名として、importlib.import_module関数を使って動的にモジュールをインポートします。

○サンプルコード5:特定の属性を持つオブジェクトを検索

Pythonのリフレクション機能を使って、特定の属性を持つオブジェクトをワイルドカードで検索することもできます。

class MyClass:
    def method1(self):
        pass

    def method2(self):
        pass

obj = MyClass()
methods = [method for method in dir(obj) if 'method' in method]
print(methods)

このコードでは、まずMyClassという名前のクラスを定義し、その中にmethod1とmethod2という二つのメソッドを定義しています。

そして、MyClassのインスタンスを作成し、dir関数を使ってそのインスタンスが持つ属性(メソッド名含む)をリストアップします。その中から’method’という文字列を含むものだけを選び出しています。

このコードを実行すると、[‘method1’, ‘method2’]というリストが出力されます。

次に進む前に、これらのコードの応用範囲を広げてみましょう。

ワイルドカードを使って一致するパターンを複数指定することで、より柔軟な検索が可能になります。

例えば、次のサンプルコードでは、複数のワイルドカードパターンに一致する文字列を一度に検索します。

○サンプルコード6:複数のパターンに一致する文字列を一度に検索

import fnmatch

strings = ['apple', 'banana', 'cherry', 'date', 'fig']
patterns = ['a*', '*n*', 'c?erry']

matches = [s for s in strings for p in patterns if fnmatch.fnmatch(s, p)]
print(matches)

このコードでは、まずfnmatchモジュールをインポートしています。

このモジュールは、ファイル名のマッチングに使用する関数を提供します。

次に、いくつかの文字列と検索パターンを定義します。

そして、リスト内包表記を使用して、各文字列が各パターンに一致するかどうかを確認します。

一致する場合、その文字列は結果リストに追加されます。このコードを実行すると、[‘apple’, ‘banana’, ‘cherry’]という結果が得られます。

次のサンプルコードでは、ワイルドカードを利用してデータのフィルタリングを行います。

○サンプルコード7:ワイルドカードを利用したデータフィルタリング

import pandas as pd

data = {'Name': ['John Doe', 'Jane Doe', 'Mary Jane', 'John Smith', 'Jane Smith'],
        'Age': [35, 28, 22, 45, 32]}

df = pd.DataFrame(data)

mask = df['Name'].str.contains('John')

filtered_df = df[mask]
print(filtered_df)

このコードでは、まずpandasというデータ分析ライブラリをインポートし、人々の名前と年齢を持つデータフレームを作成します。

次に、名前に’John’という文字列を含む行だけをフィルタリングして新たなデータフレームを作成します。

このコードを実行すると、’John’という名前を持つ人々だけが表示されます。

○サンプルコード8:正規表現との組み合わせ

Pythonでワイルドカードと正規表現を組み合わせることは、強力なテキストマッチングとパターン検索の能力を解き放つことができます。

次のコードでは、正規表現を用いて特定のパターンを持つ文字列を検索し、ワイルドカードと組み合わせてそのパターンに一致するすべての結果を取得します。

import re

# 文字列のリストを定義
data = ['cat', 'cap', 'car', 'care', 'cute', 'city', 'cast']

# 正規表現パターンを定義 (caを含む単語)
pattern = 'ca.*'

# 正規表現パターンとワイルドカードを組み合わせて検索
matches = [word for word in data if re.match(pattern, word)]

# 結果を出力
print(matches)

このコードでは、正規表現のパターン'ca.*'を使って、’ca’で始まる任意の文字列に一致する単語をdataリストから検索しています。

ワイルドカードを利用して、’ca’の後に任意の文字列が続くすべての単語を抽出しています。

このコードを実行すると、次のような結果が出力されます。

['cat', 'cap', 'car', 'care', 'cast']

これは、正規表現パターン'ca.*'に一致するすべての単語をdataリストから抽出した結果です。

リスト内の各単語は、’ca’で始まるため、パターンに一致します。

○サンプルコード9:パス名の展開

Pythonでは、ワイルドカードを使用して、パス名を展開し、特定のパターンに一致するファイル名やディレクトリ名を取得することができます。

これはファイルシステムに対する操作を行う際に非常に役立ちます。

次のコードは、globモジュールを使用してパス名を展開し、’.txt’で終わるすべてのファイルを検索する例です。

import glob

# '.txt'で終わるすべてのファイルを検索
files = glob.glob('*.txt')

# 結果を出力
for file in files:
    print(file)

このコードでは、globモジュールのglob関数を用いて、ワイルドカードを含むパス名を指定します。

ここでは’*.txt’というパターンを指定しており、これは任意の名前を持つ’.txt’で終わるファイルを意味します。

実行結果は、そのパターンに一致するファイル名のリストになります。

このコードの出力は、実行した環境のファイルシステムとその時点での’.txt’ファイルの存在状況によります。

しかし、一般的には、指定したパターンに一致する全ての.txtファイルの名前が出力されます。

○サンプルコード10:ファイルやディレクトリの操作

Pythonとワイルドカードを組み合わせると、特定のパターンに一致するファイルやディレクトリに対して一括で操作を行うことができます。

これはファイルやディレクトリの一括処理に便利です。

次のコードでは、osglobモジュールを使用して、特定のパターンに一致するファイルを一括で削除する例を紹介します。

import os
import glob

# '.tmp'で終わるすべてのファイルを検索
files = glob.glob('*.tmp')

# 一致した各ファイルを削除
for file in files:
    os.remove(file)

このコードでは、まずglob.glob関数を使用して’.tmp’で終わる全てのファイルを検索します。

次に、その一致したファイルを一つずつos.remove関数で削除しています。

このコードを実行すると、カレントディレクトリに存在する’.tmp’で終わる全てのファイルが削除されます。

注意すべきは、この操作は不可逆であり、削除したファイルを元に戻すことはできないため、実行前に対象となるファイルが本当に不要なものであるかを確認するようにしてください。

●注意点と対処法

ワイルドカードをPythonで使用する際には、いくつかの注意点があります。

ここではそれらの注意点とそれぞれの対処法を詳しく見ていきましょう。

まず一つ目の注意点は、ワイルドカードを使用したファイル名の展開がシェルではなくPythonの処理に依存するという点です。

つまり、ターミナル上でPythonスクリプトを実行する際に、コマンドラインにワイルドカードを使用したパス名を直接入力すると、ワイルドカード部分がシェルによって展開される前にPythonスクリプトが実行されるため、期待した結果が得られない可能性があります。

この問題を避けるための対処法としては、ワイルドカードを含むパス名を直接コマンドラインに入力するのではなく、Pythonスクリプト内でglobモジュールを使用してパス名を展開する方法があります。

次に示すコードは、ワイルドカードを使用して特定の拡張子を持つすべてのファイル名を取得する例です。

import glob

# .txt拡張子を持つすべてのファイル名を取得
files = glob.glob('*.txt')
for file in files:
    print(file)

このコードではglobモジュールを使って、カレントディレクトリ内の.txt拡張子を持つすべてのファイル名を取得しています。

この例ではglob.glob('*.txt')としてワイルドカードを使って.txtという拡張子を持つすべてのファイルを取得しています。

次に、ワイルドカードは正規表現とは異なるため、混同しないように注意が必要です。

例えば、ワイルドカードの*は任意の文字列にマッチしますが、正規表現の*は直前の文字が0回以上繰り返されることにマッチします。

これらの違いを理解しておくことは、Pythonでワイルドカードを正しく使用するために重要です。

ワイルドカードと正規表現の違いを明確に理解するためには、それぞれを実際に使用してみるのが最も効果的です。

例えば、次のコードはglobモジュールとreモジュールを使用してワイルドカードと正規表現の挙動を比較する例です。

import glob
import re

# ワイルドカードを使用した例
files = glob.glob('a*.txt')
for file in files:
    print(f'ワイルドカード: {file}')

# 正規表現を使用した例
pattern = re.compile('a*.txt')
files = glob.glob('*.txt')
for file in files:
    if pattern.match(file):
        print(f'正規表現: {file}')

このコードでは、まずワイルドカードを使用してaで始まる.txt拡張子のファイルをすべて取得し、次に正規表現を使用して同様の条件にマッチするファイルを取得しています。

正規表現の*は直前の文字(この例ではa)が0回以上繰り返されることにマッチするため、aで始まらない.txtファイルも取得されます。

これはワイルドカードと正規表現の挙動の違いを表しています。

●カスタマイズ方法

Pythonのワイルドカードの使い方をカスタマイズする方法について見ていきましょう。

ワイルドカードの使用方法を調整することで、より具体的なファイルパターンに対応することができます。

一つ目のカスタマイズ方法は、複数のワイルドカードを組み合わせることです。

例えば、特定の複数の拡張子を持つファイルを一度に取得したい場合などに便利です。

下記のコードでは、ワイルドカードを組み合わせて.txtまたは.csv拡張子を持つすべてのファイルを取得しています。

import glob

# .txtまたは.csv拡張子を持つすべてのファイル名を取得
files = glob.glob('*.[tc][xs][tv]')
for file in files:
    print(file)

このコードではワイルドカードを使って、.txtまたは.csvという拡張子を持つすべてのファイルを取得しています。

ワイルドカードの[tc][xs][tv]は、それぞれ't'または'c''x'または's''t'または'v'の文字にマッチします。

したがって、このワイルドカードパターンは.txtおよび.csvにマッチします。

二つ目のカスタマイズ方法は、再帰的なファイル名の取得です。

ワイルドカードに**を使用することで、現在のディレクトリだけでなくその下のサブディレクトリまで再帰的に探索することが可能となります。

下記のコードでは、すべてのサブディレクトリ内の.txtファイルを取得しています。

import glob

# すべてのサブディレクトリを含む.txtファイルを取得
files = glob.glob('**/*.txt', recursive=True)
for file in files:
    print(file)

このコードではワイルドカードを使って、現在のディレクトリとすべてのサブディレクトリ内の.txt拡張子を持つすべてのファイルを取得しています。

ワイルドカードの**は、任意の階層のディレクトリにマッチします。

したがって、このワイルドカードパターンは現在のディレクトリとそのサブディレクトリすべてを探索します。

なお、この機能を利用するには、glob.glob関数の第二引数にrecursive=Trueを指定する必要があります。

まとめ

Pythonでのワイルドカードの使用は、ファイル操作において非常に便利なツールです。

ワイルドカードを使うことで、特定のパターンにマッチするファイル名を簡単に取得することができ、これによりファイルの読み込みや書き込み、その他の操作を効率的に行うことが可能となります。

特に、複数のワイルドカードを組み合わせて使用したり、再帰的なファイル名の取得を行ったりすることで、更に多様な状況に対応することができます。

このように、ワイルドカードの使い方をカスタマイズすることで、Pythonでのファイル操作をより効率的に、より具体的な条件で行うことができます。

さらに、ワイルドカードを利用することで、ディレクトリの構造やファイルの名前に依存しない一般的なコードを書くことが可能となります。

これにより、異なる環境や異なるデータセットに対しても同じコードを使用することが可能となり、コードの再利用性が向上します。

この記事ではPythonでのワイルドカードの基本的な使い方から、カスタマイズ例までを見てきました。

それぞれの例については、具体的なサンプルコードとその詳細な解説を通じて説明しました。

これらの知識を活用することで、Pythonでのファイル操作を更に効率的に、更に簡単に行うことができます。