基本情報技術者試験は、2023年から通年実施のCBT方式に変わりました。紙の試験で大教室に集まって一斉に解いた時代と、いまの受験はまったく別物です。自分で予約した日時に、近所のテストセンターへ行き、パソコンの前に座って解く。だからこそ「当日、何が起きるのか」を知らないまま行くと、序盤の数分で無駄に消耗します。
この記事は、初受験の人が会場の入り口で戸惑わないために、受付から科目A・科目Bを解き終えて結果を見るまでの流れを、実際の段取りに沿って通しで説明します。持ち物の何が必須で何が会場で貸し出されるのか、間の休憩をどう使うか、終了直後に画面へ出る点数の意味まで踏み込みます。当日の合否は知識量だけでなく、CBTという「環境」にどれだけ慣れているかでも変わります。
そもそもFEの試験当日は紙とどう違うのか
まず押さえたいのは、CBTでは「全員が同じ問題を同じ時刻に解く」わけではないという点です。受験者ごとに予約した日時はバラバラで、同じ部屋で隣の人がまったく別の試験を受けていることも珍しくありません。だから周りのページをめくる音も、終了の合図のアナウンスもなく、静かな環境で自分のペースで進みます。
試験は科目Aと科目Bの二部構成です。科目Aは四択の知識問題が60問・90分、科目Bはアルゴリズムと情報セキュリティを問う20問・100分。この二つを同じ日に連続して受け、間に最長10分の休憩を挟めます。午前・午後と日をまたいでいた旧制度を知っている人ほど、ここは認識を上書きしておきたいところです。
ここで効いてくるのが、CBTならではの「画面で完結する」性質です。問題用紙に書き込めず、線を引いたり図を描いたりは手元のメモ用紙でやることになる。実際、擬似言語のトレースを画面だけで追うのはかなりつらく、当日いきなりだと普段の半分も力が出ません。紙の問題集で解けていた人がCBTで崩れる原因の多くは、知識ではなく操作と画面への不慣れです。
とはいえ、これは事前に潰せる弱点でもあります。IPAは過去のサンプル問題を公開しており、本番に近い画面で擬似言語を追う練習ができる教材も世に出ています。当日初めて画面でトレースする、という状態だけは避けておくと、同じ実力でも結果が変わってきます。
会場到着から受付まで——ここで落ちる人がいる
当日でまず気をつけるのは時刻です。会場には試験開始の30分前から5分前までに着くよう案内されます。早すぎても入れず、遅刻すると受験できないので、初めての会場なら最寄り駅からの徒歩時間を一本早い電車で吸収しておくのが無難です。CBTは座席数に限りがあり、遅刻者を待つ仕組みがありません。
受付で最初に求められるのが本人確認書類です。ここが当日いちばんの落とし穴で、本人確認書類を提示できないと、どんな理由があっても受験できません。運転免許証やマイナンバーカードといった顔写真付きの公的書類が基本で、氏名の表記が申込内容と一致している必要があります。旧姓のまま申し込んでいた、書類を家に忘れた、といった理由でその場で帰された人は実在します。
受付を通ると、IDとパスワードが印字された受験ログイン情報のシートを渡されます。これは試験システムにログインするための鍵で、記載内容が自分のものか確認します。会場によっては記載確認や署名を求められることもあるので、案内に従ってください。
そのうえで、携帯電話・上着・カバンといった手荷物はすべてロッカーに預けます。スマートウォッチや電子機器も当然対象です。試験室に持ち込めるのは、原則として会場が貸し出す筆記用具とメモ用紙だけ。自前のペンやノート、電卓は持ち込めません。この「身一つで入る」感覚を当日初めて味わうと地味に動揺するので、頭に入れておくと落ち着きます。
持ち物——必須は実質ひとつ、貸与で足りるもの
持ち物の結論はシンプルで、絶対に要るのは本人確認書類だけです。受験票を紙で持参する必要はなく、メモ用紙と筆記用具は会場で貸し出されます。電卓は持ち込めませんが、計算が必要な問題のために試験システム側に電卓機能が用意されているので、手元で叩く道具は要りません。
ここで初受験者が誤解しやすいのが「だから何も準備しなくていい」という結論です。実際は逆で、貸与されるメモ用紙は枚数も大きさも限られます。
科目Bの擬似言語を変数の値を書きながら追うと、紙はあっという間に埋まります。限られたメモ欄をどう使うかを、本番で初めて考えるのは不利です。
普段の演習から「配列の中身を表で書く」「ループごとに変数を一行で更新する」といった自分の書き方を固めておくと、当日の紙が足りなくなりにくい。
細かい点では、ハンカチやティッシュなど会場ごとに持ち込みの可否が分かれるものもあります。花粉や鼻炎の季節は、予約した会場の案内で持ち込み可否を事前に確認しておくと安心です。制度の運用は会場によって細部が異なるため、最終的な持ち込みルールは自分の予約会場の指示が優先されます。
科目A——60問90分の時間配分が本当の勝負
ログインすると、まず科目Aが始まります。四択の知識問題が60問、制限は90分。単純に割ると1問あたり90秒ですが、計算問題と用語問題を同じ速度で解こうとすると後半で時間が溶けます。FEの科目Aで安定して取る人は、例外なく時間配分の型を持っています。
具体的には、まず全問を一周して、即答できる用語・暗記系を先に確定させ、計算や読解が必要な問題に後フラグを立てて戻る、という二周法が効きます。CBT画面には「あとで見直す」ためのフラグ機能と未回答の一覧があり、これを使えば飛ばした問題に確実に戻れます。紙のように「塗り忘れ」で1問落とす事故は、未回答一覧をひと目確認するだけで防げます。
そして見落とされがちなのが、科目AはIRT(項目応答理論)という方式で採点される点です。素点で「1問何点」と公開されておらず、難易度を加味して評価点が出ます。だから極端な難問1問に固執して5分溶かすより、確実に取れる問題を取りこぼさないほうが評価点は伸びます。捨てる勇気が点になる、というのはCBTのIRTでこそ当てはまる話です。
科目Aを終えると、ここで最長10分の休憩を挟めます。トイレに行く、水を飲む、肩を回す——たった10分でも、続く100分の科目Bの集中力がまるで違います。逆に勢いで休憩を飛ばして突入すると、いちばん頭を使う擬似言語を疲れた状態で読むことになる。この休憩を「取るもの」として最初から計画に入れておいてください。
科目B——擬似言語と情報セキュリティ、20問100分の中身
休憩のあとが科目Bです。問題数は20問で、内訳はアルゴリズム(プログラミング)が16問、情報セキュリティが4問。制限時間は100分で、20問しかないぶん1問の重みが大きい。科目Aの軽快さで臨むと、序盤の数問で時間を使い果たします。
アルゴリズム問題の中心は擬似言語です。これはIPA独自の記法で書かれた疑似的なプログラムで、空欄に入る処理を選んだり、与えられた入力での実行結果を答えたりします。特定のプログラミング言語の文法暗記ではなく、変数と配列がどう変化するかを正確に追えるかが問われる。だからこそ、頭の中だけで追おうとすると崩れ、メモ用紙に変数の値を書き出してトレースできるかが合否を分けます。
ここが当日の現実です。画面の擬似言語を見ながら、手元のメモに「i=0のとき配列はこう、i=1でこう」と書き下す。この往復作業を本番で初めてやると、画面とメモの視線移動だけで消耗します。事前に同じ手順を体に入れておくと、当日は読解そのものに集中できる。情報セキュリティの4問は知識寄りで、用語と典型的な攻撃・対策を押さえていれば短時間で取りに行けるため、ここを先に確定させて時間を稼ぐ戦い方もあります。
20問で6割が合格ラインという構造は、裏を返せば取りこぼせる問題が限られるということです。1問の重みが大きいので、難しいアルゴリズム1問に20分張りつくより、セキュリティと解けるアルゴリズムを確実に拾って、難問は最後に回す。この優先順位を当日その場で考えるのではなく、戦略として決めておくのが、初受験で一番効きます。
試験終了の瞬間と、画面に出る点数の正体
科目Bを解き終えて終了操作をすると、CBTならではの体験が待っています。その場で科目Aと科目Bの評価点が画面に表示されます。合格基準は1000点満点で科目A・Bともに600点以上。点数を見た瞬間に、手応えではなく数字で結果の見当がつくのは、紙の試験にはなかった大きな違いです。
ただし、ここで早合点しないことが大切です。画面の点数は正確ですが、これは正式な合否そのものではありません。
正式な合格発表は受験した月の翌月に、IPAのウェブサイトで受験番号により公表されます。画面の評価点が基準を超えていれば実質的に合格が見えている状態ではあるものの、制度上の確定はこの正式発表を待つことになります。
この時間差を知らないと、画面の点数だけ見て早とちりしたり、逆に不安で何度も確認したりしがちです。
終了後はメモ用紙を会場に返却し、ロッカーから荷物を回収して退室します。退室の時刻に下限はなく、早く解き終われば早く出られます。長丁場だった旧制度に比べて、当日の拘束は驚くほど短く感じるはずです。
もし基準に届かなかったら——再受験のルール
その場で点数が出るぶん、届かなかったときのショックも当日に来ます。けれどCBT化の最大の恩恵は、ここからのリカバリーが速いことです。FEには再受験の間隔ルールがあり、同じ試験区分を受け直す場合は前回受験日の翌日から申し込みができ、次に受験できるのは前回の受験から30日以上あけた日になります。
つまり、落ちても翌年まで待つ必要はなく、弱点を1か月で詰め直してもう一度挑める。当日の点数表示で「どちらの科目が足りなかったか」がその場でわかるので、復習の的が一発で絞れます。科目Aの知識が薄かったのか、科目Bのトレースで崩れたのか——再挑戦の戦略を、記憶が鮮明なうちに立てられるのはCBTならではの利点です。
ここまでが当日の全体像です。FEは知識試験であると同時に、CBTという環境への適応試験でもあります。持ち物や受付で消耗せず、画面とメモの往復に慣れた状態で臨めるかどうか。当日の流れを頭に入れておくだけで、同じ実力がそのまま点になりやすくなります。
独学で詰まったときの選択肢について
当日の段取りは知っておけば誰でも対応できますが、その手前の「科目Bの擬似言語が読めるようにならない」「学習が続かない」という壁は、独学だと自力で越えるしかありません。ここは人によって難所の場所が違い、向き不向きが出ます。
独学でも合格する人は多くいます。一方で、トレースの型が身につかないまま手が止まる、在職中で学習時間が確保できず間延びする、といった理由で止まってしまう人もいます。そうしたつまずきは、伴走してくれる学習環境のほうが越えやすい領域です。費用は内容や期間で変わり、IT分野の講座には教育訓練給付の対象となるものもあるため、定価そのものより給付を適用した後の実質負担で考えるのが現実的です。
給付の区分や自分の対象可否によって、最終的に支払う金額は大きく変わります。個別の金額は条件次第なので、ここでは断定せず、考え方だけ示しておきます。
読者タイプ別——この記事をどう使うか
初受験で当日が不安な人は、まず受付と持ち物の節をもう一度読み、本人確認書類だけは前夜にカバンへ入れておいてください。当日の事故のほとんどは、知識ではなく書類と時刻で起きます。会場の場所と到着時刻さえ詰めておけば、入り口で慌てることはなくなります。
独学で進めていて科目Bに不安がある人は、本番前に必ず画面でのトレースを一度体験しておくのが効きます。サンプル問題を画面で解き、メモ用紙の使い方を自分なりに固めておくと、当日いちばん消耗するポイントを先に潰せます。
学習そのものが続かず止まりがちな人は、独学にこだわるより、伴走のある環境を給付込みの実質負担で検討する価値があります。続かないことを意志の問題にせず、仕組みで解決する発想に切り替えると、合格までの距離はぐっと縮まります。
給付を使って学ぶなら、まず給付後の実額を確認
対象講座なら受講料の最大80%(給付区分・上限・要件あり)が後日支給され、実質負担を抑えられます。
▶ あなたの給付後の実額を試算(無料・30秒)
※給付率・実質額は区分(一般20%/特定一般40%/専門実践 最大80%)と要件で変わり、後日支給です。最終可否はハローワーク・厚生労働省でご確認ください。掲載はPR(送客手数料を受領)。
よくある質問
Q. 試験当日、受験票は紙で持っていく必要がありますか?
A. 紙の受験票は不要です。当日必ず必要なのは本人確認書類で、受付で提示するとログイン情報のシートが渡されます。書類の氏名表記が申込内容と一致しているかは事前に確認しておきましょう。詳細は予約済みの会場案内で確認してください。
Q. 電卓や筆記用具は持ち込めますか?
A. 自前の電卓・筆記用具は持ち込めません。メモ用紙と筆記用具は会場で貸与され、計算が必要な問題のために試験システム側に電卓機能が用意されています。手荷物はロッカーに預けて入室します。
Q. 科目Aと科目Bは同じ日に受けるのですか?
A. 同じ日に連続して受験します。科目Aが60問90分、科目Bが20問100分で、間に最長10分の休憩を挟めます。旧制度の午前・午後とは異なり、両方を一度に解き切る形です。
Q. 合格点は何点ですか?
A. 1000点満点で、科目A・科目Bともに600点以上が基準です。採点は項目応答理論(IRT)方式のため「1問何点」という素点配点は公開されておらず、難易度を加味した評価点で判定されます。
Q. 結果はいつわかりますか?
A. 試験終了後、その場で評価点が画面に表示されます。ただしこれは正式な合否ではなく、正式な合格発表は受験した月の翌月にIPAのウェブサイトで受験番号により公表されます。最新の発表日程はIPA公式で確認してください。
Q. 科目Bの擬似言語とは何ですか?
A. IPA独自の記法で書かれた疑似的なプログラムです。特定の言語の文法暗記ではなく、変数や配列がどう変化するかを追えるかが問われます。アルゴリズム問題の中心で、メモ用紙にトレースしながら解くのが現実的です。
Q. 落ちたらすぐ受け直せますか?
A. 同じ試験区分の再受験は、前回受験日の翌日から申し込みができ、受験できるのは前回の受験から30日以上あけた日になります。年に一度しか挑めなかった旧制度より、リカバリーは速くなっています。
Q. 試験時間が余ったら早く退室できますか?
A. 解き終えて終了操作をすれば退室できます。退室時刻に下限はなく、早く終われば早く出られます。メモ用紙を返却し、ロッカーの荷物を回収して退室する流れです。
Q. 会場には何分前に着けばよいですか?
A. 試験開始の30分前から5分前までの到着が案内されています。早すぎると入れず、遅刻すると受験できないため、初めての会場は一本早い電車で余裕を持って向かうのが安全です。
次の一歩
当日の流れは、読んで頭に入れておくだけで事故が大きく減ります。本人確認書類と到着時刻、画面でのトレース練習——この三つを前夜までに済ませておけば、あとは持っている実力を出すだけです。
そのうえで、学習が止まりがちで独学に限界を感じているなら、対象講座の確認漏れや申請期限で損をしないためにも、給付を適用した後の実質負担で選択肢を見比べておくことをおすすめします。定価のままで判断して機会を逃すのは、もったいない損失です。
参考・出典
本記事の試験制度・当日の取り扱いに関する記述は、以下の公的・公式情報を参照しています。制度は改正されるため、受験前に必ず最新の公式情報と予約会場の案内をご確認ください。
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験(CBT方式)」 https://www.ipa.go.jp/shiken/mousikomi/cbt_sg_fe.html
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「合格発表日、合格証書発送日、官報公示日」 https://www.ipa.go.jp/shiken/goukaku/happyobi.html
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「基本情報技術者試験 科目B サンプル問題」 https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/henkou/2022/gmcbt80000007cfs-att/fe_kamoku_b_set_sample_qs.pdf
CBT-Solutions「【CBT】基本情報技術者試験(FE)/情報セキュリティマネジメント試験(SG)受験者ポータル」 https://cbt-s.com/examinee/examination/fe
厚生労働省「教育訓練給付制度」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html
※当編集部は各社の公開情報と厚生労働省など一次情報をもとに独自に整理・比較しています(検証日:2026年6月20日)。独自の星評価・満足度%・受講者数・口コミは掲載しません(捏造をしないため)。最終的な対象可否・金額はハローワーク等でご確認ください。掲載・選定方針 ›