「基本情報技術者試験の合格率はどのくらいか」を調べる方の多くは、数字そのものより「未経験の自分でも受かるのか」を確かめたいはずです。直近の合格率はおおむね3〜4割で、ペーパー時代の2割台より高く見えます。
ただ、この数字を「簡単になった」と受け取るのは早計です。合格率は受験者全体の平均であって、あなた一人の受かりやすさとは別物だからです。
この記事では、年度別の推移を一次情報で確認したうえで、なぜ数字が動いたのか、合格基準はどう決まるのか、そして未経験と情報系経験者でどう戦略が変わるかまでを整理します。学習にかかる費用と、給付を使った場合の負担の考え方にも踏み込みます。
合格率は約3〜4割。ただし「あなたが受かる確率」とは別の数字です
結論から言えば、基本情報技術者試験(FE)の合格率は、通年受験になって以降おおむね30〜45%程度で推移しています。ペーパー方式だった頃は20%台前半の回も多く、見た目の数字は確かに上がりました。
合格率は「受けた人のうち何割が受かったか」の平均にすぎず、あなた個人の前提を反映しません。同じ4割でも、毎日2時間学べる人と週末しか時間が取れない人では、到達の確度がまるで違います。
実際、編集部がエンジニアとして現場で見てきた範囲でも、合否を分けるのは地頭よりも「科目Bのアルゴリズムを早い段階で手を動かして潰せたか」でした。数字に安心して着手が遅れる人ほど、本番で時間切れになります。
ここで大事なのは、合格率という他人の平均ではなく、自分の学習時間・経験・進め方というコントロールできる変数に視点を移すことです。以降は、その判断材料を順に揃えていきます。
【年度別】合格率の推移を一次情報で確認する
まず数字の出どころを揃えます。FEの合格率はIPA(情報処理推進機構)が試験統計として公表しており、推移は次のように整理できます。値は2026年6月時点で確認したもので、最新は必ずIPAの統計ページをご確認ください。
大きな転換点は2023年4月です。それまでの年2回の集合方式から、CBT(コンピューターを使った通年受験)へ移行し、受験のハードルと受験者の顔ぶれが変わりました。
| 時期・方式 | 合格率の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| ペーパー方式時代(〜2020年頃) | 約20〜25% | 年2回の集合試験。受験者の母集団が比較的固定的 |
| CBT移行初期(2020〜2022年頃) | 約40%前後 | 随時受験が可能になり受験行動が変化 |
| 新制度(2023年4月〜・科目A/B) | 約30〜45% | 出題形式を刷新。回や層により幅がある |
同じ「合格率」でも、方式が違う年度を並べて比べると誤読が生まれます。ペーパー時代の2割台と現行の4割前後は、単純な「難化・易化」では説明できません。
数字を引用するときは、必ず実施年度と方式をセットで確認してください。古い年度の合格率だけが独り歩きしている解説も少なくありません。
なぜ制度改正で合格率が上がったのか
「合格率が上がった=簡単になった」と早合点しやすいのですが、実際にはもう少し込み入っています。最大の要因は受験者層の変化だと考えられます。
通年でいつでも受けられるようになると、人は「準備が整ってから申し込む」行動を取りやすくなります。年2回の締め切りに追われて準備不足のまま受ける人が減れば、それだけで平均合格率は押し上げられます。
つまり、問題そのものが易しくなったというより、受かる準備をした人が受ける比率が高まった可能性が大きい、という読み方です。これは試験の難易度低下とは意味が違います。
実際、出題範囲の広さや科目Bの問題解決の重さは大きくは変わっていません。未経験者が体感する難しさは、合格率の数字ほど下がっていない、というのが現場の感覚に近いところです。
ここを取り違えると、「4割も受かるなら片手間で大丈夫」と着手が甘くなり、かえって遠回りになります。数字は前提条件込みで読むのが安全です。
合格基準点と採点方式|「600点取ったのに落ちる」仕組み
合格の可否は「合格率」ではなく合格基準点で決まります。FEは科目A・科目Bの2区分で、いずれも1000点満点中600点以上が基準です(2026年6月時点・最新はIPA要綱で要確認)。
注意したいのは採点方式です。FEはIRT(項目応答理論)という方式で、単純な正答数の足し算ではなく、問題ごとの難易度などを加味してスコアが算出されます。
このため、「正答率6割だったのに600点に届かず不合格」という逆転が起こり得ます。素点感覚で「6割取れたから受かったはず」と安心できないのが、この試験の落とし穴です。
また、科目Aと科目Bはそれぞれ600点をクリアする必要があります。片方が高得点でも、もう片方が基準未満なら合格にはなりません。科目Bを軽視して落ちる人は、ここでつまずきます。
「合格率」と「合格点」は別の話です。検索でこの二つが混ざったまま対策を始めると、配点感覚を誤りがちなので、最初に分けて理解しておくと安全です。
合格率だけ見ても危険|落ちる理由を具体で押さえる
4割という数字の裏で、確実に存在する「落ちる6割」がなぜ落ちるのかを知っておくと、対策の精度が上がります。理由はおおむね三つに集約されます。
一つは出題範囲の広さです。テクノロジ系(アルゴリズム・ネットワーク・データベース・セキュリティ)に加え、マネジメント系・ストラテジ系まで問われ、未経験者は用語の量で消耗します。
二つめは科目Bのアルゴリズムと擬似言語です。暗記では太刀打ちできず、コードの動きを頭の中で追える力が要るため、ここが最大の関門になります。編集部の経験でも、合否はこの一点に集約されることが多いです。
三つめは時間配分です。CBTは画面上で問題を読み解くため、紙より読み戻しがしづらく、見直しに手間取って後半を落とす人がいます。模擬環境で操作に慣れておくことが効きます。
逆に言えば、範囲を絞らず広く薄く回し、科目Bを早期に手を動かして潰し、本番形式で時間を計って練習する、という当たり前を徹底できる人は、合格率の数字以上に受かりやすくなります。
【ケース別】あなたが受かる確率を上げるには
同じ試験でも、出発点が違えば戦略は変わります。ここでは未経験者と情報系経験者に分けて、現実的な学習時間の目安と進め方を示します。時間はあくまで目安で、個人差があります。
未経験・文系出身の方は、150〜200時間程度を見込むのが現実的です。1日1時間なら半年弱、平日2時間+週末で詰めるなら3〜4か月が一つの射程になります。
未経験者がやりがちな失敗は、参考書を頭から読み切ろうとして科目Bに手が回らないことです。科目Aの暗記は後回しでも巻き返せますが、科目Bのアルゴリズムは早く着手するほど有利です。
一方、情報系の学習経験や実務がある方は、50〜100時間程度で届くことも珍しくありません。用語と擬似言語のクセに慣れる作業が中心になり、過去問演習で形式に合わせれば短期決戦も可能です。
どちらの場合も、独学で進めるか、伴走のある講座で進めるかは、確保できる時間と挫折のしやすさで決めるのが合理的です。時間が細切れで自走が難しいと感じる方は、次章の費用面も含めて検討する価値があります。
独学とスクール、結局いくらで受かる?給付後の実額の考え方
合格率や勉強時間と並んで気になるのが費用です。ここは多くの解説が「自社講座へどうぞ」で終わってしまう一方、肝心の負担額の考え方に踏み込みません。基準だけ整理します。
独学なら、参考書と問題集、模擬試験サービスでおおむね5,000〜2万円程度に収まります。受験手数料は別途かかります。安く済む反面、つまずいた時に止まりやすいのが弱点です。
講座・スクールを使う場合、費用は数万円から数十万円まで幅があります。ここで効いてくるのが教育訓練給付です。一定の要件を満たし、対象として指定された講座を修了すると、受講費用の一部が後から支給されます。
制度は給付率と上限が区分で異なります。一般教育訓練給付は受講費用の20%(上限10万円)、特定一般は40%、専門実践は条件により最大80%まで段階的に支給されうる枠組みです(2026年6月時点・厚生労働省/ハローワーク確認。制度は改正されるため最新と対象可否は要確認)。
定価ではなく「給付後に実際いくら負担するか」で比べると、独学とスクールの距離は思ったより縮みます。ただし給付額は離職期間や受給歴など個人の前提で変わり、円単位で一律には言えません。
講座が給付対象かどうかは、厚生労働省の教育訓練給付制度 検索システムで指定講座番号を確認できます。ご自身の前提での負担額の目安は、下記の試算ツールで確かめてください。
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対象講座なら受講料の最大80%(給付区分・上限・要件あり)が後日支給され、実質負担を抑えられます。
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よくある質問
Q. 基本情報技術者試験の合格点は何点ですか?
A. 科目A・科目Bともに、1000点満点中600点以上が合格基準です(2026年6月時点・IPA要綱で要確認)。IRTという方式で算出されるため、正答率6割でも基準に届かないことがあります。両科目それぞれで600点を満たす必要があります。
Q. 合格に必要な勉強時間はどのくらいですか?
A. 目安として、未経験者で150〜200時間、情報系の経験がある方で50〜100時間程度とされます。1日1時間なら半年弱が一つの射程です。科目Bのアルゴリズムに早く着手できるかで、必要時間は大きく変わります。
Q. ITパスポートとはどれくらい難易度が違いますか?
A. ITパスポートが入門的な位置づけ(リテラシーレベル)であるのに対し、基本情報はその上で、アルゴリズムや擬似言語の読解など実装寄りの力が問われます。用語の知識だけで通るiパスとは、要求される思考の質が異なります。
Q. 合格率が低い回や時期はありますか?
A. 通年受験では特定の「回」が区切られにくくなりましたが、受験者層や集計期間によって公表される合格率には幅があります。最新の値はIPAの試験統計で実施期間とあわせて確認するのが確実です。
Q. 合格率が上がったのは試験が簡単になったからですか?
A. 一概にそうとは言えません。通年受験により、準備が整ってから受ける人の比率が高まった影響が大きいと考えられます。出題範囲や科目Bの重さは大きくは変わっておらず、未経験者の体感難易度は数字ほど下がっていません。
Q. 科目Aと科目Bはどちらが難しいですか?
A. 多くの受験者にとって、科目Bのほうが壁になります。暗記中心の科目Aに対し、科目Bはアルゴリズムや擬似言語の動きを追う力が必要で、手を動かした練習量が結果を左右します。早期着手が有効です。
Q. 独学とスクールはどちらがよいですか?
A. 確保できる学習時間と挫折のしやすさで決めるのが現実的です。時間がまとまって取れ自走できる方は独学が安く済みます。時間が細切れで止まりやすい方は、伴走のある講座が向きます。費用は給付後の実額で比べると判断しやすくなります。
Q. 学習にかかる費用に給付は使えますか?
A. 対象として指定された講座を要件どおりに修了すれば、教育訓練給付の対象になりうる場合があります。給付率・上限は区分で異なり、個人の前提で支給額が変わります。対象可否は厚生労働省の検索システムとハローワークでご確認ください。
Q. 受験のたびに何度でも挑戦できますか?
A. CBTの通年実施により、所定の再受験ルールの範囲で再挑戦が可能です。具体的な間隔や回数の扱いは変更されることがあるため、申し込み前にIPAの最新案内を確認してください。
次の一歩|対象講座と申請期限の確認漏れで損しないために
合格率の数字に一喜一憂するより、自分の学習時間と進め方を決め、費用面の見通しを立てるほうが結果に直結します。とくに講座を検討する方は、二つの確認を先に済ませておくと安心です。
一つは、その講座が教育訓練給付の対象として指定されているか(指定講座番号の有無)。もう一つは、給付の申請期限と事前手続きです。専門実践などは受講前の手続きが必要な場合があり、漏れると支給を受けられないことがあります。
ご自身の前提での負担額の目安は、下記の試算ツールで確認できます。確定額や対象可否は、必ずハローワークと各公式で照合してください。
参考・出典
本文の数値・制度の記述は、以下の一次・公式情報をもとに整理しました(いずれも2026年6月時点で確認。最新値・対象可否は各公式およびハローワークでご確認ください)。
情報処理推進機構(IPA)「基本情報技術者試験 統計資料」 https://www.ipa.go.jp/shiken/reports/toukei_fe.html
情報処理推進機構(IPA)「情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験」公式トップ https://www.ipa.go.jp/shiken/index.html
情報処理推進機構(IPA)「基本情報技術者試験(FE)」案内ページ https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/fe.html
情報処理推進機構(IPA)「試験制度の手引き・採点方式(IRT)に関する案内」 https://www.ipa.go.jp/shiken/seido/index.html
厚生労働省「教育訓練給付制度」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
厚生労働省「教育訓練給付制度(一般・特定一般・専門実践の概要)」 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000824577.pdf
厚生労働省「教育訓練給付制度 検索システム(指定講座の確認)」 https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kyufunavi/
ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金(支給要件・申請の流れ)」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_education.html
経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」 https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/reskillingsupport.html
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