【COBOL】3次元配列の使い方を7つのステップとサンプルコードで解説 – Japanシーモア

【COBOL】3次元配列の使い方を7つのステップとサンプルコードで解説

COBOLの3次元配列を学ぶ初心者向けのイラストCOBOL
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はじめに

COBOL(コモン・ビジネス指向言語)は、ビジネス用途に特化したプログラミング言語です。

初めてこの言語に触れる方でも理解しやすいように、COBOLでの3次元配列の使い方を、基本から応用まで段階的に解説していきます。

この記事を読めば、COBOLの3次元配列を使いこなすことができるようになり、COBOLプログラミングのスキルを一層深めることができるでしょう。

●COBOLとは

COBOLは、1959年に開発された歴史のあるプログラミング言語です。

その設計は、ビジネスでのデータ処理に特化しており、会計、財務、人事管理などの分野で広く使われています。

COBOLの特徴は、英語に近い文法を持ち、読みやすく理解しやすいことです。

これにより、非技術者でもプログラムの流れを把握しやすくなっています。

○COBOLの概要

COBOLは、主に大規模な商用システムで使用され、銀行、保険会社、政府機関などで重要な役割を果たしています。

長い間にわたる使用により、信頼性と安定性が高く評価されており、現在も多くの企業で利用されています。

COBOLプログラムは、データ記述部と手続き部から構成され、複雑なビジネスロジックやデータ操作を効率的に処理することができます。

○COBOLの歴史と現在の使われ方

COBOLは、その長い歴史の中で、幾度となくアップデートが行われてきました。

最新の標準は、2002年に策定され、オブジェクト指向プログラミングやXMLとの連携など、現代的な機能が追加されています。

しかし、多くの既存システムでは、古いバージョンのCOBOLが依然として使用されており、これらのシステムの維持・更新は重要な課題となっています。

現在のCOBOLプログラマーは、古いコードの理解と新しい技術の適用の両方が求められることが多いです。

●3次元配列の基本

3次元配列は、データを3次元の形で格納するためのデータ構造です。

通常の1次元配列がデータを一列に並べるのに対し、3次元配列は立方体の形でデータを配置します。

これにより、より複雑なデータの関係性を表現できるようになります。

例えば、3次元配列は空間データの表現や、複数の属性を持つデータの管理に有用です。

○3次元配列の定義と特徴

3次元配列は、縦、横、奥行きの3つの次元を持ちます。

それぞれの次元は、配列の添字(インデックス)によってアクセスされます。

例えば、3次元配列 array[x][y][z] では、xyz がそれぞれの次元のインデックスを表しています。

これにより、3次元空間内の任意の点にデータを格納したり、データを取り出したりすることが可能になります。

○COBOLでの3次元配列の宣言方法

COBOLでは、3次元配列を宣言するには、OCCURS 句を使って各次元のサイズを定義します。

たとえば、各次元が10、20、30のサイズの3次元配列を宣言する場合は、下記のように記述します。

01  THREE-DIM-ARRAY.
    05  ROWS OCCURS 10 TIMES.
        10  COLUMNS OCCURS 20 TIMES.
            15  DEPTH OCCURS 30 TIMES PIC X(10).

ここで、ROWS は最初の次元(縦)、COLUMNS は二番目の次元(横)、DEPTH は三番目の次元(奥行き)を表しています。

PIC X(10) は各要素が文字列型(最大10文字)であることを表しています。

この宣言により、THREE-DIM-ARRAY は3次元配列として機能し、任意の要素にアクセスすることができます。

●3次元配列の使い方

COBOLでの3次元配列の使い方は、他のプログラミング言語と同様に、データの格納、検索、更新に役立ちます。

3次元配列を使用することで、より複雑なデータ構造を効率的に扱うことが可能になります。

例えば、会社の部署ごとの年度別販売データや、3次元空間上のオブジェクトの位置情報など、多層的なデータを管理するのに適しています。

○サンプルコード1:3次元配列の初期化

3次元配列を使用する際、最初に配列を初期化する必要があります。

下記のサンプルコードは、COBOLで3次元配列を初期化する方法を表しています。

IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. ARRAYSAMPLE.
DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
01  THREE-DIM-ARRAY.
    05  ROWS OCCURS 10 TIMES.
        10  COLUMNS OCCURS 20 TIMES.
            15  DEPTH OCCURS 30 TIMES PIC X(10) VALUE SPACES.

PROCEDURE DIVISION.
    PERFORM VARYING I FROM 1 BY 1 UNTIL I > 10
        PERFORM VARYING J FROM 1 BY 1 UNTIL J > 20
            PERFORM VARYING K FROM 1 BY 1 UNTIL K > 30
                MOVE 'DATA' TO THREE-DIM-ARRAY (I, J, K)
            END-PERFORM
        END-PERFORM
    END-PERFORM.
    STOP RUN.

このコードでは、THREE-DIM-ARRAYという名前の3次元配列を作成し、すべての要素を文字列 ‘DATA’ で初期化しています。

PERFORM 文を使用して、配列の各要素にアクセスし、値を設定しています。

○サンプルコード2:3次元配列へのデータ格納

3次元配列にデータを格納する際は、配列の各次元のインデックスを指定して、特定の位置に値を設定します。

下記のサンプルコードは、特定の位置にデータを格納する方法を表しています。

MOVE 'NEW DATA' TO THREE-DIM-ARRAY (5, 10, 15).

この例では、THREE-DIM-ARRAYの5行目、10列目、15層目の位置に ‘NEW DATA’ という文字列を格納しています。

○サンプルコード3:3次元配列からのデータ取得

3次元配列からデータを取得するには、取得したいデータの位置を指定します。

下記のサンプルコードは、特定の位置からデータを取得する方法を表しています。

DISPLAY THREE-DIM-ARRAY (5, 10, 15).

このコードでは、THREE-DIM-ARRAYの5行目、10列目、15層目に格納されているデータを取得し、画面に表示しています。

このように、3次元配列を利用することで、複雑なデータ構造を効果的に管理し、必要なデータに素早くアクセスすることが可能になります。

●3次元配列の応用例

3次元配列は、その柔軟性から様々な応用が可能です。

例えば、複数年にわたる販売データの分析、空間データの処理、さらには複雑な科学計算にも利用できます。

ここでは、COBOLでの3次元配列を用いた具体的なデータ処理とデータ検索の応用例を見ていきましょう。

○サンプルコード4:3次元配列を使ったデータ処理

3次元配列を使ったデータ処理の一例として、配列内の特定の条件を満たすデータの集計を行います。

下記のサンプルコードは、3次元配列内の特定の値を集計する方法を表しています。

PROCEDURE DIVISION.
    INITIALIZE TOTAL.
    PERFORM VARYING I FROM 1 BY 1 UNTIL I > 10
        PERFORM VARYING J FROM 1 BY 1 UNTIL J > 20
            PERFORM VARYING K FROM 1 BY 1 UNTIL K > 30
                IF THREE-DIM-ARRAY (I, J, K) = 'TARGET'
                    ADD 1 TO TOTAL
                END-IF
            END-PERFORM
        END-PERFORM
    END-PERFORM.
    DISPLAY 'TOTAL COUNT OF TARGET: ' TOTAL.
    STOP RUN.

このコードでは、THREE-DIM-ARRAY という3次元配列を走査し、’TARGET’ という値を持つ要素の数を数えています。

このような集計は、売上データや在庫管理など、実際のビジネスシーンで役立つ処理です。

○サンプルコード5:3次元配列を活用したデータ検索

3次元配列を用いたデータ検索では、特定の基準に基づいて配列内のデータを探します。

下記のサンプルコードは、特定の条件に一致するデータを検索し、その位置を表示しています。

PROCEDURE DIVISION.
    PERFORM VARYING I FROM 1 BY 1 UNTIL I > 10
        PERFORM VARYING J FROM 1 BY 1 UNTIL J > 20
            PERFORM VARYING K FROM 1 BY 1 UNTIL K > 30
                IF THREE-DIM-ARRAY (I, J, K) = 'SEARCH'
                    DISPLAY 'FOUND AT: ' I ' ' J ' ' K
                END-IF
            END-PERFORM
        END-PERFORM
    END-PERFORM.
    STOP RUN.

このコードでは、THREE-DIM-ARRAY という3次元配列を走査し、’SEARCH’ という値を持つ要素が見つかった場合、その位置(I, J, Kの値)を表示します。

このような検索処理は、特定のデータを迅速に見つける必要がある場合に非常に有効です。

●注意点と対処法

COBOLで3次元配列を使用する際には、いくつかの重要な注意点があります。

これらの点に注意を払うことで、プログラムの効率と安定性を高めることができます。

具体的には、配列のサイズを正確に把握し、インデックスの範囲を厳守する必要があります。

また、配列を使用する前には、適切な初期化が必要です。

初期化されていない配列要素にアクセスすると、不正なデータが読み出されることがあり、予期せぬエラーの原因となります。

○3次元配列を使う際の注意点

3次元配列を扱う際には、特に配列サイズの確認が重要です。

配列の各次元のサイズを正確に設定し、オーバーフローを防ぐために注意を払う必要があります。

また、インデックスの範囲を正しく管理することも不可欠です。

インデックスが定義された範囲外を指している場合、プログラムは予期せぬエラーを引き起こす可能性があります。

したがって、ループや条件文を使用する際は、常にインデックスの範囲をチェックすることが重要です。

○よくあるエラーとその対処法

3次元配列の使用においては、特に範囲外アクセスや未初期化データの使用がよくあるエラーです。

範囲外アクセスを防ぐためには、インデックスの範囲を常にチェックし、適切に制御構造を使用することが効果的です。

また、未初期化データの使用を避けるためには、配列の全要素を明示的に初期化することが推奨されます。

これにより、不定の値を持つ要素が原因で発生するエラーを防ぐことができます。

さらに、大規模な配列を扱う際には、メモリ容量を超えないよう配列サイズを慎重に計画することが重要です。

これらの対処法を適切に実践することで、COBOLにおける3次元配列の使用時の問題を最小限に抑えることができます。

まとめ

COBOLでの3次元配列の扱いについて詳細に解説しました。

3次元配列は、データの複雑な関係性を表現する強力なツールですが、正確なサイズの設定、適切なインデックスの範囲の管理、必要な初期化の実施が重要です。

これらの基本的な原則に注意を払うことで、3次元配列はCOBOLプログラミングにおいて非常に有効に活用できます。

本記事で紹介したサンプルコードと対処法を参考に、3次元配列を用いた効率的かつ効果的なプログラミングを実現しましょう。