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TypeScriptの列挙型を解説!10の実用的なサンプルコードで完全理解!

TypeScriptの列挙型を理解するためのイラスト付きガイド TypeScript
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この記事では、プログラムの基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

本記事のサンプルコードを活用して機能追加、目的を達成できるように作ってありますので、是非ご活用ください。

※この記事は、一般的にプロフェッショナルの指標とされる『実務経験10,000時間以上』を満たす現役のプログラマチームによって監修されています。

※Japanシーモアは、常に解説内容のわかりやすさや記事の品質に注力しております。不具合、分かりにくい説明や不適切な表現、動かないコードなど気になることがございましたら、記事の品質向上の為にお問い合わせフォームにてご共有いただけますと幸いです。
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はじめに

TypeScriptのプログラミング言語は、型安全性を提供するための多くの機能とシンタックスを持っています。その中でも、列挙型は特に注目される部分です。

この記事では、TypeScriptの列挙型について初心者から中級者までの読者に対して、その使い方や応用例、注意点、カスタマイズ方法を10つの実用的なサンプルコードと共に解説します。

プログラミングの世界には数多くの概念や言語、機能が存在しますが、その中で「列挙型」はどのような役割を持ち、どのように活用するのか。

この記事を通して、その疑問に答えを見つけていただけることを願っています。では、まず列挙型がどのようなものなのか、基本から見ていきましょう。

●TypeScriptの列挙型とは

TypeScriptは、強力な型システムを持つJavaScriptのスーパーセットとして広く認知されています。

この型システムの中で、特に初心者から中級者に向けて理解が必要とされるのが「列挙型」です。

列挙型は、名前付きの定数セットを表現するのに適した構造で、特定の一連の値を明示的に列挙するために使用されます。

この記事では、TypeScriptの列挙型の定義やその利点、さらには詳細な使い方について、具体的なサンプルコードとともに解説します。

サンプルコードでは、日本語のコメントを使って、コードの意味や動作を詳しく説明しています。

○基本的な列挙型の定義と利点

列挙型は、関連する値のセットを一元的に管理するのに役立ちます。

曜日を表す基本的な列挙型の定義を紹介します。

enum Weekdays {
    Monday,   // 0
    Tuesday,  // 1
    Wednesday,// 2
    Thursday, // 3
    Friday,   // 4
    Saturday, // 5
    Sunday    // 6
}

このコードでは、Weekdaysという名前の列挙型を定義しています。

この例では、Mondayは0、Tuesdayは1と、自動的に数値が割り当てられています。

利点として、列挙型はコードの可読性を向上させ、誤った値の代入を防ぐことができます。

また、IDEのオートコンプリート機能を使用すると、可能な値の一覧が表示され、コーディングが効率的に行えます。

具体的には、次のようにWeekdaysの値を使用することができます。

let today: Weekdays = Weekdays.Friday;
if (today === Weekdays.Friday) {
    console.log('今日は金曜日!');
}

この例を実行すると、コンソールに「今日は金曜日!」と表示されます。

これは、変数todayがWeekdays.Fridayの値を持っているためです。

列挙型を使用することで、プログラム全体で安全に値を管理し、コードの品質を維持することができます。

特に大規模なプロジェクトやチーム開発において、統一された値を使用することは非常に重要です。

●列挙型の詳細な使い方

TypeScriptはJavaScriptに存在しない機能として列挙型(Enum)を提供しています。

列挙型は、事前に定義された一連の固定値を取ることができる特殊な型です。

これは、特定の値のグループを簡単に管理するのに役立ちます。

ここでは、列挙型の基本的な使い方からその詳細な活用法まで、サンプルコードを交えて解説します。

○サンプルコード1:基本的な列挙型の定義

最初に、最も単純な列挙型の定義方法を見ていきましょう。

enum Color {
  Red,
  Green,
  Blue
}

このコードでは、Colorという列挙型を定義しています。

この例では、RedGreenBlueという3つの固定値を持つことができます。

ここでの特徴は、各値には自動的に0からの連続した数字が割り当てられる点です。

つまり、Color.Redは0、Color.Greenは1、Color.Blueは2として扱われます。

この性質を活用して、次のように列挙型の値を取得したり、代入したりすることができます。

let myColor: Color = Color.Red;
console.log(myColor); // このコードを実行すると、0が出力されます。

実行すると、0という結果が得られるのは、Color.Redが0として定義されているためです。

同様に、Color.GreenColor.Blueもそれぞれ1と2の値を持っています。

このような列挙型を使用する利点として、コードの中で特定の意味を持つ固定値を一元的に管理できること、コードが読みやすくなること、意図しない値の代入を防ぐことなどが挙げられます。

特に、数値だけを見ても意味がわからない場合や、限定的な値しか取り得ない場合に、列挙型は非常に有効です。

○サンプルコード2:数値列挙型の利用

TypeScriptの列挙型は、数値や文字列に名前をつけることでコードの読みやすさと保守性を高める役割を果たします。

ここでは、数値列挙型の基本的な使い方に焦点を当てて解説します。

数値列挙型は、デフォルトで0から始まり、1ずつ増加する数値を各メンバーに割り当てます。

しかし、任意の数値を指定して開始することも可能です。

さらに、特定のメンバーに値を割り当てることで、後続のメンバーの値も影響を受けることがあります。

このコードでは、日本の四季を数値列挙型で表現しています。

この例では、春を1、夏を2、秋を3、冬を4として数値を割り当てています。

enum Season {
  春 = 1,  // 春は1
  夏,      // 夏は2
  秋,      // 秋は3
  冬       // 冬は4
}

この列挙型を利用することで、数値1が春を表し、数値4が冬を表すことがわかりやすくなります。

また、数値列挙型を使用する場合、指定された値から順に1ずつ増加していく特性があるため、夏、秋、冬の値はそれぞれ2、3、4と自動的に割り当てられます。

列挙型のメンバーへのアクセスは、次のようにして行います。

const mySeason = Season.春; // 1

mySeasonという変数には、数値の1が代入されます。

つまり、Season.春というコードは、背後で数値1を参照しているのです。

このように、列挙型を使用することで、特定の数値や文字列に意味のある名前を付けることができ、コード全体の可読性を向上させることができます。

特に、マジックナンバー(コード上で何の意味を持つのか不明な数値)の代わりに列挙型を使用することで、バグの原因となる誤解やミスを減少させることが期待できます。

最後に、TypeScriptでは、列挙型の数値を逆に名前に変換することも可能です。

const seasonName = Season[1]; // "春"

このコードでは、1という数値をSeason列挙型で変換して、対応する名前である”春”を取得しています。

数値列挙型は、その名の通り数値を基にした列挙型ですが、数値だけでなく、特定の意味やカテゴリを持つものを表現するのに非常に便利です。

今回の四季の例もその一つですが、他にもHTTPステータスコードや曜日など、さまざまな場面で活用することができます。

○サンプルコード3:文字列列挙型の利用

TypeScriptの列挙型には、数値だけでなく文字列も使用することができます。

文字列列挙型は、それぞれのメンバに固定の文字列を割り当てることができる特性を持っています。

実際には、APIのエンドポイントや特定の文字列値を持つ設定ファイルなど、実際の開発シーンで役立つシチュエーションが多々あります。

下記のサンプルコードは、文字列列挙型の基本的な使い方を表しています。

// 文字列列挙型の定義
enum Colors {
    Red = "RED",
    Green = "GREEN",
    Blue = "BLUE"
}

// 使用例
let favoriteColor: Colors = Colors.Green;
console.log(favoriteColor);  // GREEN

このコードでは、Colorsという名前の文字列列挙型を定義しています。

この例では、Red, Green, Blueの3つのメンバを持ち、それぞれ固定の文字列値を持っています。

列挙型のメンバを変数に割り当てる際は、例のようにColors.Greenという形で使用します。

そして、コンソールにはGREENと表示されます。

文字列列挙型の特徴として、一度定義したらその値を変更することができないという安全性があります。

また、コード内で何度も使用するような固定の文字列を一箇所で管理することができるので、将来的にその文字列を変更する必要が生じた場合も、列挙型の定義を変更するだけで済みます。

次に、この列挙型を関数内で使ってみる例を見てみましょう。

function getHexColor(color: Colors): string {
    switch(color) {
        case Colors.Red:
            return "#FF0000";
        case Colors.Green:
            return "#00FF00";
        case Colors.Blue:
            return "#0000FF";
        default:
            return "#FFFFFF";
    }
}

console.log(getHexColor(Colors.Red)); // #FF0000

この例では、Colors列挙型のメンバを引数として受け取り、その色に対応する16進数の色コードを返すgetHexColor関数を定義しています。

関数を実行すると、指定した色に対応する色コードが返されます。

このように、列挙型を使用することでコードの可読性や安全性が向上します。

○サンプルコード4:計算された列挙型の使用

TypeScriptでは、列挙型の各メンバーに計算された値を持たせることが可能です。

計算された列挙型とは、メンバーの値が実行時に計算される列挙型のことを指します。

具体的には、そのメンバーの値は、定数の式または他の計算された列挙型のメンバーを参照する式によって計算されます。

この機能を使用することで、より柔軟に列挙型をカスタマイズし、プログラムの中で変数や関数の戻り値として利用することができます。

計算された列挙型の一例を紹介します。

enum CalculatedEnum {
    // 定数値
    First = 1,
    Second,
    // 計算された値
    DoubleFirst = First * 2,
    TripleFirst = First * 3
    // この例では、Firstの値を用いてDoubleFirstとTripleFirstの値を計算しています。
}

console.log(CalculatedEnum.DoubleFirst);  // このコードは、DoubleFirstの値を表示します。
console.log(CalculatedEnum.TripleFirst);  // このコードは、TripleFirstの値を表示します。

このコードでは、CalculatedEnumという列挙型を定義しています。

その中のDoubleFirstTripleFirstは、それぞれFirstメンバーの2倍、3倍として計算されています。

つまり、DoubleFirstの値は2、TripleFirstの値は3となります。

コンソールには、それぞれのメンバーの値、つまり2と3が表示されます。

このように、計算された列挙型は、既存のメンバーや定数を元に新しい値を動的に生成する際に非常に役立ちます。

●列挙型の応用例

TypeScriptの列挙型はその単純さだけでなく、多彩な応用例を持っています。これから、列挙型がどのように他の機能やパターンと組み合わさって活躍するのか、実用的なサンプルコードとともに見ていきましょう。

○サンプルコード5:列挙型と関数を組み合わせる

列挙型を関数の引数や戻り値として利用することで、関数の振る舞いを柔軟に変更できます。

また、TypeScriptの型推論の力を借りて、関数の振る舞いを安全に制御することができます。

下記のコードは、動物の鳴き声を返しています。

// 動物の列挙型を定義
enum 動物 {
    犬 = "犬",
    猫 = "猫",
    鳥 = "鳥"
}

// 動物の鳴き声を返す関数
function 鳴き声を取得(動物種類: 動物): string {
    switch (動物種類) {
        case 動物.犬:
            return "ワンワン";
        case 動物.猫:
            return "ニャー";
        case 動物.鳥:
            return "ピヨピヨ";
        default:
            return "未知の音";
    }
}

// 関数を実行してみる
const 猫の鳴き声 = 鳴き声を取得(動物.猫);
console.log(`猫の鳴き声は: ${猫の鳴き声}`);

このコードでは、まず動物という列挙型を定義しています。

その後、鳴き声を取得という関数を定義し、列挙型の値を引数として受け取ります。

関数内部では、受け取った動物種類に応じて異なる鳴き声を返します。

最後に、関数を実行し、猫の鳴き声をコンソールに出力しています。

出力結果は、猫の鳴き声は: ニャーとなります。

この方法を使うことで、関数の内部で条件分岐を持つことなく、簡潔で読みやすいコードを書くことができます。

また、列挙型を使用することで、関数の引数や戻り値の型としても利用することができるため、コードの安全性が向上します。

まとめると、列挙型と関数を組み合わせることで、次のような利点が得られます。

  1. 関数の振る舞いを柔軟に変更できる
  2. TypeScriptの型推論の力を最大限に活かすことができる
  3. コードの安全性と読みやすさが向上する

○サンプルコード6:列挙型を使ったクラスのプロパティ

TypeScriptの列挙型は、単なる一連の固定された値を持つ変数を提供するだけでなく、より複雑な構造やクラスと組み合わせて使用することもできます。

ここでは、列挙型を使用してクラスのプロパティを定義する方法について詳しく解説します。

このコードでは、ペットの種類を表す列挙型を定義し、それを使用してペットのクラスを作成します。

ペットの種類を列挙型で定義することで、安全に種類を管理し、誤って無効な値を設定することを防ぐことができます。

// ペットの種類を表す列挙型を定義
enum PetType {
    Dog = 'Dog',
    Cat = 'Cat',
    Fish = 'Fish'
}

// ペットクラスを定義
class Pet {
    constructor(public name: string, public type: PetType) {}
}

// サンプルのインスタンスを作成
const myDog = new Pet("ボブ", PetType.Dog);
const myCat = new Pet("ミー", PetType.Cat);

このサンプルでは、ペットの種類を制限することで、ペットの種類に関連するエラーを回避できます。

例えば、誤って”Dragon”や”Lion”などのペットの種類を設定しようとすると、コンパイルエラーとして検出されるため、安全にコードを記述することができます。

このコードを適切に実行すると、myDogmyCatという2つのペットのインスタンスが作成されます。

それぞれのインスタンスには、適切な名前とペットの種類が設定されます。

○サンプルコード7:列挙型を使った条件分岐

列挙型は、限られた値の集合を効率的に取り扱いたい場合に非常に有効です。

ここでは、列挙型を使った条件分岐の方法を学びます。

列挙型と条件分岐を組み合わせることで、コードの可読性や保守性を向上させることができます。

条件分岐は、プログラムの流れを変更するための基本的な手法の一つです。

特定の条件に基づいて処理を変更したい場合、ifswitch文を使用します。

列挙型を使うことで、これらの条件分岐をより明瞭に、そして型安全に行うことができます。

具体的なサンプルコードとその詳細な説明を行います。

// 列挙型の定義
enum Weather {
    Sunny, // 0
    Rainy, // 1
    Cloudy, // 2
    Snowy   // 3
}

function suggestActivity(weather: Weather): string {
    switch (weather) {
        case Weather.Sunny:
            return '外での遊びを楽しんでください。';
        case Weather.Rainy:
            return '室内での読書をおすすめします。';
        case Weather.Cloudy:
            return '映画鑑賞はいかがでしょうか。';
        case Weather.Snowy:
            return '雪だるまを作るのはどうでしょう。';
        default:
            return '天気に応じてアクティビティを選んでください。';
    }
}

この例では、Weatherという名前の列挙型を定義しています。

それぞれの天気に応じたアクティビティを提案する関数suggestActivityも作成しています。

この関数は、天気の種類に応じて異なる文字列を返すようになっています。

例えば、suggestActivity(Weather.Sunny)という関数を呼び出すと、「外での遊びを楽しんでください。」という結果が得られます。

このように、列挙型を使うことで、条件分岐の中で扱われる値の範囲が限定され、予期しない値によるエラーを減少させることができます。

また、条件分岐の条件が何を意味しているのかを一目で理解することができ、コードの可読性も向上します。

そのため、状態やモード、カテゴリなど、限られた選択肢から一つを選ぶような場合には、列挙型を活用して条件分岐を行うと効果的です。

以上のサンプルコードの内容を実際にTypeScriptで実行すると、天気に応じたアクティビティの提案を得ることができます。

例えば、suggestActivity(Weather.Rainy)を実行すると、「室内での読書をおすすめします。」という提案が表示されます。

○サンプルコード8:列挙型を使ったマッピング

列挙型は、特定の値のセットを定義するのに役立ちますが、それだけではなく、関連する値や情報と一緒にマッピングするのにも利用することができます。

列挙型と連想配列やオブジェクトを組み合わせることで、より複雑で包括的なデータ構造を効果的に管理することができます。

ここでは、列挙型を使って情報をマッピングする方法を詳しく解説します。

// 列挙型の定義
enum Color {
    Red = 'RED',
    Green = 'GREEN',
    Blue = 'BLUE'
}

// 列挙型を使ったマッピングの定義
const ColorDescription: { [key in Color]: string } = {
    [Color.Red]: '情熱的な色で、エネルギーと活力を象徴しています。',
    [Color.Green]: '自然と平和を象徴する落ち着いた色です。',
    [Color.Blue]: '信頼と安定を表現する色で、冷静さを感じさせます。'
};

// 使用例
const selectedColor = Color.Red;
console.log(`${selectedColor}は、${ColorDescription[selectedColor]}と言われています。`);

このコードでは、まずColorという列挙型を定義しています。

それぞれの色(Red、Green、Blue)には文字列の値が割り当てられています。

次に、ColorDescriptionという連想配列を定義して、各色の説明をマッピングしています。

この例では、色の名前を指定すると、その色の説明を取得することができます。

最後の部分では、選択された色の名前と説明をコンソールに表示しています。

もしselectedColorの値をColor.GreenColor.Blueに変更すれば、それに応じた説明が表示されるでしょう。

○サンプルコード9:ジェネリクスと組み合わせる

TypeScriptでは、型を柔軟に扱うためのジェネリクスという機能が提供されています。

このジェネリクスを列挙型と組み合わせることで、より柔軟かつ型安全にコードを記述することが可能になります。

今回は、ジェネリクスを用いて列挙型との組み合わせ方を解説していきます。

// ジョブという列挙型を定義
enum Job {
    Engineer = 'Engineer',
    Designer = 'Designer',
    Manager = 'Manager'
}

// ジェネリクスを使用した関数定義
function showJobDetail<T extends keyof typeof Job>(job: T): void {
    // 列挙型Jobからジョブの詳細を取得
    const jobDetail = Job[job];
    console.log(`選択されたジョブは${jobDetail}です。`);
}

// 使用例
showJobDetail('Engineer');

このコードでは、まずJobという名前の列挙型を定義しています。

そして、ジェネリクスを使用した関数showJobDetailを定義しています。

この関数は、Jobのキーを引数として取り、対応するジョブの詳細をコンソールに表示します。

実行を行うと、選択されたジョブはEngineerです。という出力が得られます。

このように、ジェネリクスを利用することで列挙型のキーを動的に扱いつつ、型の安全性も保持できるのが特徴です。

具体的には、関数showJobDetailの引数jobは、Jobのキーのみ受け入れるように制約されているため、不正な値を渡すとコンパイルエラーが発生します。

これにより、コードの安全性が高まります。

列挙型とジェネリクスの組み合わせは、APIのレスポンスやフォームの入力値など、限定的な文字列や数値を扱う場面で非常に役立ちます。

特に、大規模なプロジェクトやチーム開発の際には、このような型の安全性を保持しながら柔軟にコードを記述できる点が大きな強みとなります。

次に、このコードのカスタマイズ例について見ていきましょう。

例えば、Jobの各項目に対して、それぞれのジョブの年収を取得する機能を追加することも考えられます。

// 年収情報を持つマッピングオブジェクトを定義
const jobSalary: { [key in Job]: number } = {
    [Job.Engineer]: 500万,
    [Job.Designer]: 400万,
    [Job.Manager]: 600万
};

// 年収情報を取得する関数を追加
function getJobSalary<T extends keyof typeof Job>(job: T): void {
    const salary = jobSalary[Job[job]];
    console.log(`${Job[job]}の年収は${salary}円です。`);
}

// 使用例
getJobSalary('Engineer');

このコードを実行すると、Engineerの年収は500万円です。という出力が得られるでしょう。

このように、ジェネリクスと列挙型を組み合わせることで、コードの再利用性や拡張性を高めつつ、型の安全性も保持することができます。

○サンプルコード10:外部ライブラリとの連携

TypeScriptの列挙型は非常に柔軟であり、他のプログラミングライブラリやフレームワークとの連携も可能です。

ここでは、TypeScriptの列挙型と外部ライブラリを連携させる方法をサンプルコードを用いて詳しく見ていきましょう。

まず、外部ライブラリを利用する際の基本的な前提として、そのライブラリがTypeScriptとの連携をサポートしているかどうかを確認する必要があります。

多くの現代のJavaScriptライブラリやフレームワークはTypeScriptの型定義ファイルを持っていることが多いですが、持っていない場合は、@typesディレクトリを利用して型定義を追加することも考慮する必要があります。

下記のサンプルコードでは、外部ライブラリmomentを用いて、日付関連の処理を行いつつ、列挙型を活用する例を表します。

// まずはmomentライブラリをインストール
// npm install moment @types/moment

import moment from 'moment';

// 曜日を列挙型で定義
enum WeekDay {
    Sunday,
    Monday,
    Tuesday,
    Wednesday,
    Thursday,
    Friday,
    Saturday,
}

// 当日の曜日を取得
const getTodayWeekDay = (): WeekDay => {
    const today = moment().day(); // 0から6までの数字で曜日を取得
    return WeekDay[today];
}

// 実行
const todayIs = getTodayWeekDay();
console.log(`今日は${WeekDay[todayIs]}です。`); // 今日の曜日名を出力

このコードでは、まず外部ライブラリmomentを使って現在の曜日を数字として取得します。

そして、その数字をもとに、WeekDayという列挙型を用いて曜日の名前を取得しています。

この例から、外部ライブラリの関数の返り値や引数として列挙型を使用することで、コードの可読性や安全性を向上させることができることがわかります。

また、今回使用したmomentライブラリのように、TypeScriptの型定義ファイルが提供されているライブラリを利用することで、列挙型を含むさまざまなTypeScriptの機能を存分に活用することができます。

この方法を取り入れることで、TypeScriptの列挙型の強力な型チェック機能を外部ライブラリと組み合わせることができ、より堅牢なアプリケーションの開発を効率的に進めることができるでしょう。

●列挙型の注意点と対処法

TypeScriptの列挙型は非常に便利な機能であり、多くの場面で使用されますが、利用する際に知っておくべき注意点とその対処法がいくつか存在します。

ここでは、これらのポイントを詳しく取り上げ、安全に列挙型を活用する方法を解説します。

○数値列挙型の暗黙的な型変換

TypeScriptの数値列挙型は、他の数値と容易に互換性があるため、意図しない型変換が発生する可能性があります。

具体的には、数値列挙型の値を他の数値変数に代入することが可能となります。

enum Numbers {
    One = 1,
    Two = 2,
    Three = 3,
}

let num: number;
num = Numbers.One;  // このコードでは、列挙型の値を数値型の変数に代入しています。

このコードでは、列挙型NumbersOneを数値型の変数numに代入しています。

このような暗黙的な型変換は、予期しない動作の原因となる可能性があるため、特定のケースでのみ許可するなど、注意深く利用する必要があります。

ただ、列挙型の値を他の型と混同しないよう、型アサーションを活用して意図した型に変換することを明示的に示します。

let num: number = Numbers.One as number;  // 型アサーションを使い、意図的に数値型へ変換しています。

○文字列列挙型の不変性

文字列列挙型は、値の変更ができないという特性があります。

したがって、一度定義した列挙型の値は、プログラムの実行中に変更することはできません。

enum Colors {
    Red = "RED",
    Green = "GREEN",
    Blue = "BLUE",
}

// 次のコードはエラーとなります。
// Colors.Red = "PINK";

この例では、文字列列挙型ColorsRedの値を変更しようとしていますが、エラーとなります。

このような変更を試みると、コンパイル時にエラーが発生するため、実際のプログラム実行前に問題を検出できます。

ただ、文字列列挙型の値を変更する必要がある場合は、新しい列挙型の値を追加するか、既存の列挙型を完全に置き換える必要があります。

●列挙型のカスタマイズ方法

TypeScriptの列挙型は非常に柔軟性が高く、多様な使い方ができるため、独自のニーズに合わせてカスタマイズすることができます。

ここでは、列挙型をカスタマイズする方法を幾つかのサンプルコードを交えて紹介します。

○エイリアスを使って列挙型を拡張する

TypeScriptでは、エイリアスを使用して既存の列挙型を新しい形に拡張することができます。

色に関する列挙型を拡張して明るさを追加する例を紹介します。

enum Color {
    Red = "RED",
    Green = "GREEN",
    Blue = "BLUE",
}

type BrightColor = Color | "YELLOW";

let myColor: BrightColor;
myColor = Color.Red;
myColor = "YELLOW"; // BrightColorとして追加した値

このコードでは、既存のColor列挙型に新しい値”YELLOW”を追加して、新しい型BrightColorを定義しています。

これにより、既存の列挙型を変更することなく、新しい値を追加することができます。

○列挙型にメソッドを追加する

列挙型自体にメソッドを追加することはできませんが、関数を使用して列挙型の値に関連する操作を追加することができます。

enum Days {
    Monday,
    Tuesday,
    Wednesday,
    Thursday,
    Friday,
    Saturday,
    Sunday
}

function isWeekend(day: Days): boolean {
    return day === Days.Saturday || day === Days.Sunday;
}

const today = Days.Friday;
if (isWeekend(today)) {
    console.log("今日は週末!");
} else {
    console.log("今日は平日。");
}

この例では、Daysという列挙型が定義されており、それに関連するisWeekendという関数を使用して、ある日が週末かどうかを判定しています。

その結果、”今日は平日。”というメッセージがコンソールに表示されます。

○列挙型の値を動的に変更する

TypeScriptの列挙型は、値を動的に変更することは推奨されていませんが、場合によっては必要な場面もあるかもしれません。

その際には、オブジェクトのプロパティのように列挙型の値を変更することができます。

enum Config {
    Port = 3000,
    Domain = "localhost"
}

// 動的に変更
Config.Port = 8000;

console.log(Config.Port); // 8000

この例では、Configという列挙型が定義されており、そのPortの値を動的に変更しています。

その結果、8000という値がコンソールに表示されます。

このような動的な値の変更は、コードが複雑になるとバグの原因となる可能性があるので、使用する際には注意が必要です。

まとめ

TypeScriptの列挙型は、コード内で固定の値の集合を効率的に扱うための非常に有用な機能です。

この記事を通じて、基本的な使い方から応用例、そしてカスタマイズ方法まで、多岐にわたる情報を提供しました。

それぞれのサンプルコードを参考に、実際のプログラム開発での活用方法を想像してみると、その可能性の広さを実感することができるでしょう。

TypeScriptの列挙型は、プログラムの可読性や保守性を向上させるための強力なツールとして、多くの開発者に愛用されています。

今回のガイドを元に、列挙型を上手く活用し、より効率的で堅牢なプログラムの開発を目指してください。