TypeScriptでundefinedを判定しよう!13の確実な判定法

TypeScriptのコードスニペットとともに、undefinedの確実な判定法を解説するイラストTypeScript
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この記事では、プログラムの基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

基本的な知識があればカスタムコードを使って機能追加、目的を達成できるように作ってあります。

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はじめに

近年、Web開発の世界においてTypeScriptは欠かせない技術の一つとなってきました。

その背後には、TypeScriptが持つ堅牢な型システムと、JavaScriptの柔軟性を融合した設計思想があります。

特に、初心者から経験者までの多くの開発者が取り組む課題の一つ、undefinedの扱いにおいて、TypeScriptは数多くのツールと手法を提供しています。

この記事では、TypeScriptでundefinedを効率的に判定する13の手法を徹底的に解説し、より確実なコードを書くためのガイドラインを提供します。

●TypeScriptとは?

TypeScriptは、Microsoftによって開発されたJavaScriptのスーパーセットとして設計されています。

つまり、全てのJavaScriptコードは、TypeScriptとしても機能しますが、その逆は必ずしも成り立たないという特性を持っています。

○TypeScriptの基本

TypeScriptは、JavaScriptに型システムを追加した言語です。

この型システムのおかげで、コンパイル時にエラーを検出することができ、ランタイムエラーのリスクを大幅に削減することが可能になります。

また、型を明示的に宣言することで、コードの可読性が向上し、大規模なプロジェクトでも安心して開発を進めることができます。

let name: string = "Taro";  // 文字列型の変数を宣言
let age: number = 25;       // 数値型の変数を宣言

// このコードでは、変数nameとageにそれぞれ文字列型と数値型を指定しています。
// このコードを実行すると、特にエラーは発生しませんが、もしageに文字列を代入しようとすると、コンパイルエラーが発生します。

○TypeScriptとJavaScriptの違い

□型システム

TypeScriptは静的型付け言語としての性質を持ち、変数や関数のパラメータ、戻り値に型を明示的に指定することができます。

一方、JavaScriptは動的型付け言語で、実行時まで型の情報はわかりません。

□オブジェクト指向プログラミング

TypeScriptは、JavaScriptが持つプロトタイプベースのオブジェクト指向を拡張し、よりクラシカルなクラスベースのオブジェクト指向をサポートしています。

□ツールのサポート

TypeScriptの型システムは、IDEやエディタのサポートを向上させます。

これにより、コード補完やリファクタリング、型チェックなどの高度な機能を利用することができます。

●undefinedとは?

undefinedは、多くのプログラミング言語に存在する特殊な値の1つですが、特にJavaScriptやTypeScriptでは頻繁に取り扱われます。

具体的には、変数が初期化されていない、オブジェクトのプロパティが存在しない、関数が明示的な値を返さない場合など、多くのシチュエーションでこのundefinedが出現します。

また、undefinedはリテラルとしても使用され、変数やプロパティに直接割り当てることができます。

例えば、次のコードを見てみましょう。

let variable;
console.log(variable); // このコードでは変数を宣言したものの初期化していないので、出力はundefinedとなります。

また、オブジェクトのプロパティが存在しない場合も同様です。

const obj = { name: 'Taro' };
console.log(obj.age); // このコードではageプロパティは存在しないので、出力はundefinedとなります。

このような性質を持つundefinedは、プログラミング時に多くのミスの原因ともなり得ます。

そのため、TypeScriptなどの静的型付け言語では、undefinedを適切に扱い、予期しないエラーを未然に防ぐための方法が提供されています。

○JavaScriptとTypeScriptでのundefinedの違い

JavaScriptとTypeScript、どちらもundefinedは存在しますが、TypeScriptでは型システムを有しているため、undefinedの扱い方や考え方に違いがあります。

JavaScriptでは、ほとんどの場合、undefinedは「値がまだ設定されていない」という意味合いで使われます。

しかし、TypeScriptでは、undefinedは明示的に型としても扱われます。

これにより、変数や関数の戻り値、引数などがundefinedである可能性がある場合を、型を通して明示的に表すことができます。

下記のTypeScriptのコードを考えてみましょう。

let name: string | undefined;
name = 'Taro';
console.log(name); // このコードではnameがstring型かundefined型のいずれかの値を持つことを示しています。

このように、TypeScriptではundefinedを型として明示的に扱うことで、安全性を向上させることができます。

○undefinedの特性

undefinedは、JavaScriptやTypeScriptで頻繁に出現する値ですが、次のような特性を持ちます。

□undefinedはプリミティブ型

JavaScriptの7つのプリミティブ型(Boolean、Null、Undefined、Number、BigInt、String、Symbol)の1つです。

□グローバル変数としてのundefined

JavaScriptにはundefinedという名前のグローバル変数が存在し、そのデフォルト値はundefinedリテラルです。

□関数の返り値

関数がreturn文を持たずに終了した場合、その関数の返り値はundefinedとなります。

例えば、次のコードを見てみましょう。

function greet(): void {
    console.log("Hello");
}

const result = greet();
console.log(result);

このコードを実行すると、関数greetは何も返さないため、resultはundefinedとして出力されます。

●TypeScriptでのundefinedの判定方法

TypeScriptは、JavaScriptのスーパーセットであり、静的型付けの利点を持ちながらも、JavaScriptの柔軟性を保持しています。

しかし、その柔軟性のため、変数やオブジェクトのプロパティが実際に値を持っているのか、またはundefinedであるのかを確認することが重要となります。

ここでは、TypeScriptでのundefinedを効率的に判定する方法を1つ徹底的に解説していきます。

この手法を学ぶことで、あなたのプログラミングスキルがさらに向上することでしょう。

○サンプルコード1:typeofを用いた判定

最も基本的なundefinedの判定方法の1つは、typeof演算子を使用することです。この演算子は、指定された変数の型を文字列として返します。

したがって、変数がundefinedである場合、typeof演算子は文字列"undefined"を返します。

typeofを使用してundefinedを判定する基本的なサンプルコードを紹介します。

let value: any;

// このコードでは、value変数の型を判定しています。
if (typeof value === "undefined") {
    console.log("valueはundefinedです。");
} else {
    console.log("valueはundefinedではありません。");
}

このコードでは、まずany型の変数valueを宣言しています。

この変数は特定の値を持たずに宣言されているので、デフォルトではundefinedになります。

次に、if文を使用して、value変数がundefinedかどうかをtypeof演算子を用いて判定しています。

このコードを実行すると、変数valueundefinedであるため、”valueはundefinedです。”というメッセージがコンソールに表示されます。

○サンプルコード2:===を用いた直接的な比較

TypeScriptにおけるundefinedの判定方法には様々な手法がありますが、ここでは非常に基本的な、直接的な比較方法を取り上げます。

それは「===」を使った比較です。

JavaScriptでは「==」と「===」の2つの等価演算子が存在しますが、TypeScriptでは厳密な比較を行う「===」を使用するのが一般的です。

このコードでは、変数がundefinedであるかどうかを直接確認しています。

let value: string | undefined;

if (value === undefined) {
    console.log("valueはundefinedです。");
} else {
    console.log("valueはundefinedではありません。");
}

このコードでは変数valueを宣言しており、この変数の型はstringまたはundefinedとなっています。

if文の中で、valueundefinedと厳密に等しいかどうかを判定しています。

このコードを実行すると、初期値として何も代入されていないvalueundefinedとなるので、「valueはundefinedです。」というメッセージが表示されます。

しかし、もし変数valueに何らかの文字列が代入されていた場合、その変数はundefinedではなく、代入された文字列の値を持つこととなります。

その場合、コンソールには「valueはundefinedではありません。」と表示されるでしょう。

○サンプルコード3:!==を用いた直接的な比較

TypeScriptにおいて、変数がundefinedかどうかを判定するための方法は多数存在します。

今回は、!==演算子を使って、変数がundefinedでないことを確認する方法について詳しく解説します。

!==は、等しくないことを判定するための厳格な不等価演算子です。

JavaScriptやTypeScriptにおいて、!==は左辺と右辺が異なる値である場合にtrueを返します。

加えて、型の異なる値に対しても正確な比較が可能です。

例えば、JavaScriptではnullundefined==で比較すると等しいと判定されますが、!==を使用すると、正確に判定することができます。

!==を用いたundefinedの判定方法のサンプルコードを紹介します。

const value: string | undefined = fetchSomeValue();

if (value !== undefined) {
    console.log("valueはundefinedではありません。");
} else {
    console.log("valueはundefinedです。");
}

このコードでは、fetchSomeValue関数を用いて何らかの値を取得し、その値をvalueに代入しています。

取得する値の型はstringundefinedのいずれかです。

次に、if文を使用して、valueがundefinedでないかを判定しています。

value !== undefinedの条件が真の場合(valueがundefinedではない場合)、”valueはundefinedではありません。”というメッセージがコンソールに表示されます。

逆に、valueがundefinedの場合、”valueはundefinedです。”と表示されます。

このコードを実行すると、fetchSomeValue関数が返す値に応じて、適切なメッセージがコンソールに表示されることが期待されます。

例として、もしfetchSomeValue関数が文字列"Hello"を返す場合、コンソールには”valueはundefinedではありません。”というメッセージが表示されるでしょう。

○サンプルコード4:オプショナルチェイニングを使用した判定

TypeScriptでは、オブジェクトや関数がundefinedやnullかどうかを安全に確認するための非常に便利な手法として、オプショナルチェイニングが導入されました。

オプショナルチェイニングを用いることで、深いネストのプロパティやメソッドへのアクセスを行う際に、その途中のオブジェクトがundefinedやnullであっても、エラーを回避しつつ安全に判定することが可能です。

具体的なサンプルコードを見てみましょう。

interface User {
    info?: {
        name?: string;
        address?: {
            city?: string;
            country?: string;
        };
    };
}

const user: User = {
    info: {
        name: "Taro",
        address: {
            city: "Tokyo"
        }
    }
};

// オプショナルチェイニングを使用しない場合
if (user && user.info && user.info.address && user.info.address.country) {
    console.log(user.info.address.country);
} else {
    console.log("国名が設定されていません");
}

// オプショナルチェイニングを使用した場合
if (user?.info?.address?.country) {
    console.log(user.info.address.country);
} else {
    console.log("国名が設定されていません");
}

このコードでは、ユーザー情報を表すUserというインターフェースを定義しています。

そして、サンプルのユーザーデータをuserという変数に格納しています。

オプショナルチェイニングを使用しない場合、userのinfo、infoのaddress、addressのcountryと、各階層のプロパティが存在するかどうかを手動でチェックする必要がありました。

これにより、コードが冗長となり、読みにくくなるデメリットがあります。

一方で、オプショナルチェイニングを使用した場合、?.という演算子を使うだけで、深い階層のプロパティが存在するかどうかを安全にチェックすることができます。

このコードを実行すると、ユーザーの国名が設定されていないため、”国名が設定されていません”というメッセージがコンソールに出力されます。

このように、オプショナルチェイニングは、ディープにネストされたプロパティの存在チェックを効率的に行うのに非常に役立ちます。

オプショナルチェイニングはTypeScript 3.7以降で利用可能です。

これを使用することで、undefinedやnullの確認をシンプルかつ効率的に行うことができ、コードの可読性や保守性も向上します。

○サンプルコード5:null合体演算子を使用した判定

TypeScriptにおけるundefinedの判定方法として、null合体演算子(??)も非常に役立ちます。

null合体演算子は、左側のオペランドがnullまたはundefinedの場合に、右側のオペランドの値を返します。

これにより、デフォルトの値を簡単に設定できるようになります。

// このコードでは、null合体演算子を使って、変数がundefinedの場合にデフォルト値を設定しています。const value = undefined;
const result = value ?? "デフォルト値";
console.log(result);  // "デフォルト値" と出力されます。

このコードを実行すると、変数valueundefinedであるため、resultには"デフォルト値"が代入され、結果として、コンソールには"デフォルト値"という文字列が出力されます。

なお、変数valuenullundefinedでない値(例えば、文字列や数字)を持っている場合、その値がそのままresultに代入されます。

この挙動は、オブジェクトや配列のプロパティのデフォルト値を設定する際など、さまざまな場面で有用です。

例えば、次のようなコードでもnull合体演算子を活用することができます。

// このコードでは、オブジェクトのプロパティがundefinedの場合にデフォルト値を設定しています。
const user = {
  name: "Taro",
  age: undefined
};

const userName = user.name ?? "名無し";
const userAge = user.age ?? 30;

console.log(userName); // "Taro" と出力されます。
console.log(userAge);  // 30 と出力されます。

上記の例では、userオブジェクトのnameプロパティには"Taro"が、ageプロパティにはundefinedが設定されています。

そのため、userNameには"Taro"が、userAgeには30がそれぞれ代入されます。

null合体演算子は、特定の値がnullundefinedである場合に、別の値を代入する際に非常に有用です。

ただし、この演算子は、左側のオペランドがfalsyな値(false0""など)でも、それを無視して右側のオペランドの値を返すため、OR演算子(||)とは挙動が異なります。

そのため、使用する際には注意が必要です。

○サンプルコード6:関数内の引数のデフォルト値を用いた判定

TypeScriptでは関数の引数にデフォルト値を設定することができます。

この特性を利用して、引数がundefinedかどうかを判定することも可能です。

関数の引数にデフォルト値を指定すると、その引数が省略された場合やundefinedが渡された場合に、デフォルト値が使用される仕組みになっています。

関数内の引数にデフォルト値を設定し、その引数がundefinedかどうかを判定するサンプルコードを紹介します。

// 引数messageがundefinedの場合、"デフォルトのメッセージ"を出力する関数
function showMessage(message: string = "デフォルトのメッセージ"): void {
  console.log(message);
}

// それぞれの場合の関数の呼び出し
showMessage();             // 引数を省略
showMessage(undefined);    // 明示的にundefinedを渡す
showMessage("こんにちは");  // 通常の文字列を渡す

このコードでは、showMessage関数に引数としてmessageを持っていますが、デフォルト値として”デフォルトのメッセージ”を設定しています。

このため、関数呼び出し時に引数を省略したり、明示的にundefinedを渡した場合、デフォルトのメッセージが出力されます。

このコードを実行すると、関数を呼び出した際、引数を省略したとき、”デフォルトのメッセージ”が出力されます。

次に、明示的にundefinedを引数として渡した場合も同じく”デフォルトのメッセージ”が出力されます。

最後に、通常の文字列”こんにちは”を渡すと、その文字列がそのまま出力されます。

○サンプルコード7:配列の中にundefinedが存在するかの判定

配列内の要素にundefinedが存在するかどうかを判定することは、多くのプログラミングの場面で必要になることがあります。

特に、データの整合性を保つためやエラーハンドリングを行う際にこのような判定を行うことが求められます。

TypeScriptで配列内の要素にundefinedが存在するかを判定するための方法を紹介します。

const arr: (number | undefined)[] = [1, 2, undefined, 4, 5];

const hasUndefined = arr.includes(undefined);

if (hasUndefined) {
    console.log("配列の中にundefinedが存在します。");
} else {
    console.log("配列の中にundefinedは存在しません。");
}

このコードではArray.prototype.includes()を使ってundefinedが配列内に存在するかどうかをチェックしています。

includes()メソッドは、配列に指定した要素が存在する場合はtrue、存在しない場合はfalseを返します。

このコードを実行すると、配列の中にundefinedが存在します。というメッセージが表示されます。

これは、先に定義した配列arrの中にundefinedが存在するからです。

ただし、この方法は簡単に実装できる反面、配列のサイズが非常に大きい場合はパフォーマンスの問題が発生する可能性がある点に注意が必要です。

その場合、forループやArray.prototype.some()メソッドなど、他の方法を検討する価値があります。

○サンプルコード8:オブジェクトのプロパティがundefinedかの判定

TypeScriptにおいて、オブジェクトの特定のプロパティがundefinedかどうかを判定する場面は頻繁にあります。

オブジェクトのプロパティがundefinedかどうかを確かめることは、不完全なデータやAPIからの応答を処理するときに特に重要です。

ここでは、オブジェクトのプロパティがundefinedかどうかを判定する方法を一つのサンプルコードを通じて詳細に解説します。

まず、サンプルコードを見てみましょう。

// オブジェクトの型定義
type Person = {
    name: string;
    age?: number;  // オプションのプロパティ
};

const person: Person = {
    name: "山田太郎"
};

// ageプロパティがundefinedかどうかを判定
if (person.age === undefined) {
    console.log("ageプロパティはundefinedです。");
} else {
    console.log(`ageプロパティの値は${person.age}歳です。`);
}

このコードでは、Personという型を定義しており、ageというプロパティはオプショナルなプロパティとしています。

これはageプロパティが存在しないことを許容するためです。

次に、personというオブジェクトを定義し、nameプロパティのみを設定しています。

このため、ageプロパティは明示的に設定されていません。

最後に、ageプロパティがundefinedかどうかを判定しています。

このコードを実行すると、”ageプロパティはundefinedです。”と表示されます。

なぜなら、personオブジェクトにはageプロパティが設定されていないため、その値はundefinedとなります。

この手法を用いることで、オブジェクトの任意のプロパティがundefinedかどうかを確実にチェックすることができます。

特に、APIから取得したデータの処理や、不完全なデータ構造を持つオブジェクトの処理において、このような判定は非常に有用です。

しかし、この方法にも注意が必要です。

オブジェクトのプロパティがundefinedかどうかだけを判定する場合、そのプロパティがnullである可能性も考慮しなければなりません。

nullとundefinedは似たような振る舞いをしますが、実際には異なる値です。

そのため、もしプロパティがnullの場合も考慮する必要があるならば、次のように判定することが考えられます。

if (person.age === undefined || person.age === null) {
    console.log("ageプロパティはundefinedまたはnullです。");
} else {
    console.log(`ageプロパティの値は${person.age}歳です。`);
}

○サンプルコード9:関数の戻り値がundefinedかの判定

TypeScriptで関数の戻り値がundefinedであるかどうかを確認する際、最も一般的なアプローチは関数の戻り値を直接比較する方法です。

ここでは、この判定方法を詳細に解説し、具体的なサンプルコードを用いて具体的な実装の手法を紹介します。

function sampleFunction(): string | undefined {
    // 50%の確率でundefinedを返す
    return Math.random() > 0.5 ? "Hello, TypeScript!" : undefined;
}

const result = sampleFunction();

if (result === undefined) {
    console.log("戻り値はundefinedです。");
} else {
    console.log("戻り値:", result);
}

このコードでは、sampleFunctionという関数が定義されており、この関数は50%の確率で文字列"Hello, TypeScript!"を返し、残り50%の確率でundefinedを返すようになっています。

const result = sampleFunction();の行では、関数を呼び出し、その戻り値をresult変数に代入しています。

次に、if (result === undefined)の行で、resultundefinedかどうかを===を用いて直接比較しています。

もしresultundefinedであれば、"戻り値はundefinedです。"というメッセージがコンソールに出力されます。

それ以外の場合、戻り値がコンソールに出力されます。

このコードを実行すると、コンソールに"戻り値はundefinedです。"または"Hello, TypeScript!"のどちらかが出力されることになります。

このように、関数の戻り値がundefinedであるかどうかを確認する際には、===を使って直接比較する方法が最も簡単で効率的です。

○サンプルコード10:マップやセットでのundefinedの取り扱い

TypeScriptでのコーディング作業中、マップやセットのデータ構造を扱うことがしばしばあります。

これらのデータ構造において、undefinedの取り扱いは非常に重要なテーマとなっています。

ここでは、マップやセットにおいてundefinedをどのように取り扱うか、その具体的な方法をサンプルコードを交えて解説していきます。

まずは、基本的なMapの作成から始めます。

// TypeScriptにおけるMapの定義と初期化
const myMap = new Map<string, number | undefined>();
myMap.set('key1', 1);
myMap.set('key2', undefined);

このコードでは、文字列をキーとし、数値またはundefinedを値とするマップを定義しています。

そして、二つのキーバリューペアを追加しています。

第二のペアは、キー’key2’の値としてundefinedが設定されています。

次に、このマップから特定のキーに関連する値がundefinedかどうかを判定する方法を見てみましょう。

if (myMap.get('key2') === undefined) {
    console.log('キー"key2"の値はundefinedです。');
}

このコードを実行すると、”キー”key2″の値はundefinedです。”というメッセージが出力されます。

ここでは、Mapのgetメソッドを使用してキー’key2’の値を取得し、その値がundefinedかどうかを===を使って比較しています。

一方、Setに関しても同様の取り扱いが可能です。

下記のサンプルコードでは、undefinedを含むセットを作成し、その中にundefinedが存在するかどうかを判定しています。

// TypeScriptにおけるSetの定義と初期化
const mySet = new Set<number | undefined>();
mySet.add(1);
mySet.add(undefined);

if (mySet.has(undefined)) {
    console.log('このセットにはundefinedが存在します。');
}

このコードを実行すると、”このセットにはundefinedが存在します。”というメッセージが出力されます。

Setのhasメソッドを利用することで、特定の値がセット内に存在するかどうかを確認することができます。

○サンプルコード11:型ガードを使用した判定

TypeScriptでは、特定の型が正しいことを確かめる「型ガード」という機能を使って、変数の型を絞り込むことができます。

型ガードを利用することで、コード内での変数の取り扱いがより安全になり、意図しないバグを防ぐことができます。

今回は、undefinedの判定に型ガードをどのように使用するかを解説していきます。

型ガードを使用したundefinedの判定方法を紹介します。

function isDefined<T>(arg: T | undefined): arg is T {
  return arg !== undefined;
}

const value: number | undefined = Math.random() > 0.5 ? 123 : undefined;

if (isDefined(value)) {
  // このブロック内ではvalueはnumber型として扱われる
  console.log(value + 100);
} else {
  console.log("valueはundefinedです");
}

このコードでは、isDefinedという関数を定義しています。

この関数は、引数argがundefinedでない場合にtrueを返し、undefinedの場合にfalseを返します。

そして、関数の戻り値の型はarg is Tという形式になっており、これが型ガードのキモとなる部分です。

この型ガードにより、関数がtrueを返す場合、argT型(undefinedでない型)であることが確定されます。

サンプルコードの後半部分で、valueという変数に数値かundefinedのどちらかをランダムに代入しています。

そして、isDefined関数を使ってvalueがundefinedでないかを判定しています。

isDefined(value)がtrueを返す場合、その後のブロック内でvalueはnumber型として扱われるため、安全に数値の計算が行えます。

このコードを実行すると、valueが123の場合、その数値に100を加えた223という結果がコンソールに出力されます。

一方で、valueがundefinedの場合、”valueはundefinedです”というメッセージがコンソールに出力されます。

○サンプルコード12:type assertionを使用した判定

TypeScriptでのプログラミングにおいて、ある変数が特定の型であることを確信している場合、型アサーションを使用してその型を指定することができます。

この方法は、コンパイラに「私はこの変数の型を正確に知っているので、信じてください」と伝えるものです。

ここでは、型アサーションを使用してundefinedを判定する方法を説明します。

まず、型アサーションの基本的な書き方について簡単に触れたいと思います。

TypeScriptでは、変数の後にasキーワードを使用して、その変数が持つべき型を指定します。

型アサーションを使用してundefinedを判定するサンプルコードを紹介します。

let data: unknown;
// 何らかの処理
if ((data as string) !== undefined) {
  console.log("dataはstring型として認識されます");
}

このコードでは、unknown型のdata変数が実際にはstring型であると仮定しています。

そのため、型アサーションを使用してdataをstring型として扱い、undefinedでないことを確認しています。

しかし、この方法には注意が必要です。

実際にdataがstring型でなかった場合、ランタイムエラーが発生する可能性があります。

そのため、型アサーションを使用する場合は、その変数の型を確実に知っている、またはその変数が実際にその型であることを確認した上で使用することが重要です。

このコードを実行すると、dataがstring型として認識される場合、”dataはstring型として認識されます”というメッセージがコンソールに表示されます。

しかし、dataがstring型でない場合、エラーが発生します。

○サンプルコード13:非同期関数とundefinedの取り扱い

JavaScriptやTypeScriptでの非同期処理は、今日のWebアプリケーションやサーバーサイドのアプリケーションにおいて、中心的な役割を果たしています。

非同期関数は、特定のタスクが完了するのを待たずに、次のタスクを進行させることができるので、アプリケーションのパフォーマンス向上に貢献します。

しかし、非同期関数とundefinedの取り扱いには注意が必要です。

非同期関数が完了する前にその結果を参照しようとすると、期待した結果ではなくundefinedが返されることがあります。

これは、非同期関数がまだ結果を返していないためです。

では、非同期関数の結果がundefinedであるかどうかを確実に判定する方法を見てみましょう。

// 非同期関数のサンプル
async function fetchData(): Promise<string | undefined> {
    // ここではデモのため、タイムアウトを使って非同期処理を模擬しています。
    return new Promise((resolve) => {
        setTimeout(() => {
            // 50%の確率でundefinedを返します。
            if (Math.random() > 0.5) {
                resolve(undefined);
            } else {
                resolve("データ");
            }
        }, 1000);
    });
}

// 非同期関数の結果を判定する関数
async function checkData() {
    const result = await fetchData();
    if (result === undefined) {
        console.log("データはundefinedです。");
    } else {
        console.log(`取得したデータ:${result}`);
    }
}

// 関数を呼び出し
checkData();

このコードでは、fetchDataという非同期関数を使ってデータを取得しています。

この関数は50%の確率でundefinedを返すようになっています。

そして、checkData関数内で非同期関数の結果がundefinedであるかどうかを判定しています。

このコードを実行すると、”データはundefinedです。” または “取得したデータ:データ” という結果が表示されます。

このように、非同期関数の結果がundefinedであるかどうかを判定するには、awaitを使用して非同期関数が完了するのを待ち、その後に結果をチェックする必要があります。

●undefinedの扱いにおける注意点

○明示的なundefinedと暗黙のundefined

TypeScriptにおけるundefinedの扱いにはいくつかの注意点があります。

まず、undefinedは変数が初期化されていない場合のデフォルト値として利用されることが多いです。

この場合、変数は「暗黙のundefined」として扱われます。

一方、明示的に変数にundefinedを代入した場合、その変数は「明示的なundefined」と呼ばれます。

例として次のサンプルコードを見てみましょう。

let a; // aは暗黙のundefined
let b: number | undefined = undefined; // bは明示的なundefined

このコードでは、変数aは何も代入していないため、TypeScriptはこれをundefinedと認識します。

一方で、変数bは明示的にundefinedを代入しているため、「明示的なundefined」として扱われます。

この違いは、undefinedがプログラム上で意図的に使われているのか、それとも変数の初期化を忘れた結果として生じているのかを区別するのに役立ちます。

特に、strictNullChecksオプションが有効になっている場合、この違いを意識することで、不必要なエラーやバグを防ぐことができます。

○undefinedとnullの違いと注意点

undefinednullは、両方とも「何もない」という意味合いを持つ値ですが、TypeScriptではこれらを異なる型として扱います。

JavaScriptでは、これらの違いはあまり明確でないことが多いですが、TypeScriptでの厳密な型チェックにおいては、undefinednullの違いを意識することが非常に重要です。

下記のサンプルコードでは、undefinednullの基本的な違いを表しています。

let c: undefined = undefined; // cはundefinedのみを持つことができます。
let d: null = null; // dはnullのみを持つことができます。
let e: number | undefined = undefined; // eは数値またはundefinedを持つことができます。
let f: number | null = null; // fは数値またはnullを持つことができます。

このコードを実行すると、変数cdはそれぞれundefinednullの型を持つことが確認できます。

一方、変数efは、それぞれundefinednullを持つことが可能な合成型を示しています。

これらの違いを理解することで、TypeScriptにおけるundefinednullの取り扱いに関する問題を回避することができます。

○TypeScriptのstrictNullChecksオプション

TypeScriptのコンパイラオプションの中で、特に重要なものとしてstrictNullChecksがあります。

このオプションが有効になっている場合、TypeScriptはundefinednullをそれぞれ別の型として厳密に扱います。

この結果、undefinednullの間違った使用に対してコンパイラがエラーメッセージを出力してくれます。

具体的なサンプルコードを用いて、このオプションがどのように機能するかを見てみましょう。

let g: string;
g = undefined; // strictNullChecksが有効な場合、これはエラーとなります。

let h: string | undefined;
h = undefined; // これはエラーになりません。

このコードを実行すると、変数gへのundefinedの代入はstrictNullChecksが有効になっている場合にエラーとなります。

一方、変数hundefinedを持つことが許容される合成型であるため、エラーになりません。

●プロジェクトでのundefinedの最適な取り扱い方

TypeScriptを使ってプログラミングする際、値が存在するかどうかを判定する必要がある場面は頻繁に出てきます。

その際、undefinedの扱いは非常に重要な要素となります。

ここでは、実際のプロジェクトでundefinedを最適に取り扱う方法を詳しく解説します。

○最良のプラクティス

□変数の初期化

最初から変数をundefinedにしておくのではなく、可能な限り具体的な初期値を与えることを推奨します。

このアプローチにより、変数がundefinedの状態で意図せず使用されることを防ぐことができます。

このコードではlet name: string | undefinedを使って、変数nameに文字列型かundefinedを割り当てています。

let name: string | undefined;

このコードを実行すると、nameundefinedの初期状態となります。

□関数の戻り値を明確にする

関数が値を返す場合や、特定の条件下でundefinedを返す可能性がある場合は、戻り値の型としてundefinedを明示的に含めることが必要です。

このコードでは、関数findUserはユーザーが見つかった場合にユーザーオブジェクトを、見つからない場合にはundefinedを返すと定義されています。

type User = {
  id: number;
  name: string;
};

function findUser(id: number): User | undefined {
  // ユーザーの検索処理...
}

このコードを実行すると、findUser関数は指定されたIDのユーザーを返すか、ユーザーが見つからなければundefinedを返します。

□オプショナルなプロパティの利用

オブジェクトのプロパティが必須でない場合、オプショナルなプロパティとして定義することで、undefinedを安全に扱うことができます。

このコードでは、addressプロパティはオプショナルとして定義されており、undefinedも許容しています。

type Profile = {
  name: string;
  age: number;
  address?: string;
};

このコードを実行すると、Profile型のオブジェクトを作成する際に、addressプロパティを省略することが可能となります。

○コードの読みやすさと保守性の向上

undefinedの取り扱いにおいては、コードの読みやすさや保守性も大きな要因となります。

そのための具体的な方法を紹介います。

□明確な型アノテーションの使用

変数や関数の戻り値がundefinedを取り得る場合は、型アノテーションを使用してそれを明示的に表すことが望ましいです。

このコードでは、getUserName関数の戻り値が文字列またはundefinedであることを表しています。

function getUserName(user: User): string | undefined {
  return user ? user.name : undefined;
}

このコードを実行すると、userオブジェクトが存在する場合はユーザー名を、存在しない場合はundefinedを返します。

□条件文の使用

undefinedかどうかの判定を行う場面では、条件文を使って明確にundefinedの判定を行うことが推奨されます。

このコードでは、userundefinedでない場合にのみ、そのnameプロパティをログ出力しています。

if (user !== undefined) {
  console.log(user.name);
}

このコードを実行すると、userが定義されている場合のみ、ユーザー名がログ出力されます。

まとめ

今日の記事では、TypeScriptでundefinedを効果的かつ確実に判定する方法を13の異なる手法で徹底的に解説しました。

初心者から経験者までが、より確実なコードを書くための指南として利用できる内容となっています。

本記事を通じて、読者の皆様がTypeScriptでundefinedを効率的に取り扱う技術を磨く一助となれば幸いです。

プログラムの安定性と効率を向上させるために、是非とも今回紹介した技術の採用を検討してみてください。