【Verilog入門】10選の基本ロジックとサンプルコード

Verilogプログラムの基本ロジックの図解とサンプルコードVerilog
この記事は約8分で読めます。

 

【サイト内のコードはご自由に個人利用・商用利用いただけます】

この記事では、プログラム(回路記述)の基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

基本的な知識があればカスタムコードを使って機能追加、目的を達成できるように作ってあります。

※この記事は、一般的にプロフェッショナルの指標とされる『実務経験10,000時間以上』を凌駕する現役のプログラマチームによって監修されています。

サイト内のコードを共有する場合は、参照元として引用して下さいますと幸いです

※Japanシーモアは、常に解説内容のわかりやすさや記事の品質に注力しております。不具合、分かりにくい説明や不適切な表現、動かないコードなど気になることがございましたら、記事の品質向上の為にお問い合わせフォームにてご共有いただけますと幸いです。
(送信された情報は、プライバシーポリシーのもと、厳正に取扱い、処分させていただきます。)

はじめに

Verilogはハードウェア記述言語として、デジタル回路の設計と検証に広く使用されています。

この記事では、Verilogの基本的なロジックからサンプルコードまでを初心者向けに解説します。

この情報を元に、Verilogのロジック構築の基礎をしっかりと掴んでいただけることを目指しています。

●Verilogとは

Verilogは、デジタルシステムの動作をモデル化するための言語であり、ASICやFPGAの設計に広く利用されています。

簡単に言えば、ハードウェアの動きをテキストとして記述することで、それをシミュレートや合成に利用することができます。

○Verilogの基本

Verilogには、回路の動作を記述する「Behavioral」や、実際の回路構造を記述する「Structural」など、いくつかの記述方法が存在します。

この記事では、基本的なBehavioralな記述に焦点を当てて解説します。

●ロジックの基本

ロジック回路は、デジタルシステムを構築する基盤となる部分です。

基本的なロジックについて解説します。

○AND演算とは

AND演算は、すべての入力が1であるときのみ出力が1となるロジックです。

その他の場合、出力は0となります。

○OR演算とは

OR演算は、入力のうち一つ以上が1であるときに出力が1となるロジックです。

すべての入力が0の場合のみ、出力は0となります。

○NOT演算とは

NOT演算は、入力が1の場合は出力が0、入力が0の場合は出力が1となるロジックです。

●サンプルコード集

○サンプルコード1:AND演算

このコードではAND演算を使って、2つの入力信号が両方とも1のときのみ出力が1となるコードを紹介しています。

この例では、入力Aと入力BをANDして、出力Yを得ています。

module AND_logic(input A, input B, output Y);
    assign Y = A & B;
endmodule

このコードを実行すると、AとBの入力が両方1のときのみ、出力Yが1となります。

○サンプルコード2:OR演算

このコードではOR演算を使って、2つの入力信号のどちらか一方、または両方が1のとき出力が1となるコードを紹介しています。

この例では、入力Aと入力BをORして、出力Yを得ています。

module OR_logic(input A, input B, output Y);
    assign Y = A | B;
endmodule

このコードを実行すると、AまたはB、もしくは両方の入力が1のとき、出力Yが1となります。

○サンプルコード3:NOT演算

このコードではNOT演算を使って、入力信号を反転させるコードを紹介しています。

この例では、入力Aを反転して、出力Yを得ています。

module NOT_logic(input A, output Y);
    assign Y = ~A;
endmodule

このコードを実行すると、入力Aが1のとき出力Yが0、入力Aが0のとき出力Yが1となります。

●応用例

○サンプルコード4:複数の入力を持つANDロジック

このコードでは、3つの入力信号がすべて1のときのみ出力が1となるANDロジックのコードを紹介しています。

この例では、入力A、B、CをANDして、出力Yを得ています。

module AND3_logic(input A, input B, input C, output Y);
    assign Y = A & B & C;
endmodule

このコードを実行すると、A、B、Cの入力がすべて1のときのみ、出力Yが1となります。

○サンプルコード5:複数の入力を持つORロジック

このコードでは、3つの入力信号のうち一つ以上が1であるときに出力が1となるORロジックのコードを紹介しています。

この例では、入力A、B、CをORして、出力Yを得ています。

module OR3_logic(input A, input B, input C, output Y);
    assign Y = A | B | C;
endmodule

このコードを実行すると、A、B、Cの入力のうち一つ以上が1のとき、出力Yが1となります。

●注意点と対処法

Verilogプログラミングの際には、様々な注意点が存在します。

特に初心者の方は意図しない動作やエラーに遭遇することが少なくありません。

そのため、ここではVerilogプログラミングにおける主要な注意点と、それらの問題を回避または解決するための対処法について説明します。

○シミュレーションと実際の動作の違い

Verilogでのシミュレーションは、回路の動作をテストする非常に有用な手段です。

しかし、シミュレーションで期待通りの動作をしたからといって、実際のハードウェアで同じ動作をするとは限りません。

特に、タイミングの問題や外部のノイズなど、リアルワールドの要因が影響する場面があります。

対処法:

  • シミュレーションだけでなく、実際のハードウェア上でのテストも行い、動作を確認すること。
  • デザインの初期段階から、タイミング解析や電源解析などを行うことで、問題の早期発見・対処を行う。

○非同期信号の取り扱い

Verilogにおいて、非同期信号の取り扱いは注意が必要です。

特にクロックドメインを跨いだ信号の取り扱いには注意が必要で、セットアップタイムやホールドタイムの違反が発生すると、意図しない動作やエラーが発生します。

このコードでは、非同期信号を同期信号に変換する簡単な例を表しています。

module async_handler (
    input wire clk, // クロック信号
    input wire async_signal, // 非同期信号
    output reg sync_signal // 同期信号
);
    reg [1:0] sync_buffer;

    always @(posedge clk) begin
        sync_buffer <= {sync_buffer[0], async_signal};
        sync_signal <= sync_buffer[1];
    end
endmodule

この例では、非同期信号を2フリップフロップを通して同期信号に変換しています。

これにより、非同期信号が引き起こす可能性のある問題を緩和できます。

対処法:

  • クロックドメインを跨ぐ信号は、メタステーブルを起こさないよう、適切な同期回路を設計すること。
  • クロックドメインを跨ぐ信号の数を最小限に抑える設計を心がける。

○リセットの取り扱い

Verilogでのリセットは、デザインにおいて重要な役割を果たします。しかし、リセットの取り扱いには注意が必要です。

特に、非同期リセットと同期リセットの混在や、リセットの状態遷移が複雑になると、予期しない動作の原因となることがあります。

対処法:

  • リセットは、可能な限り同期リセットを使用する。
  • リセットの状態遷移はシンプルに保つこと。特に、多数のリセット信号が交差する場面では注意が必要です。

続いて、Verilogのカスタマイズ方法について詳しく見ていきましょう。

●カスタマイズ方法

Verilogでのロジック設計は、基本的なロジックだけでなく、それを組み合わせてオリジナルのロジックを設計することも可能です。

ここでは、独自のロジックを設計するための基本的な手法と、それを活用したサンプルコードを紹介します。

○サンプルコード6:カスタムロジックの作成

このコードでは、2つの入力信号を受け取り、特定の条件下でのみ出力をHIGHにする独自のロジックを実装しています。

この例では、入力AがHIGHで、入力BがLOWの時のみ出力をHIGHにします。

module CustomLogic(input A, input B, output Y);
    // 入力AがHIGHで、入力BがLOWの時のみ、出力をHIGHにするロジック
    assign Y = A & ~B;
endmodule

このコードの実行結果は次の通りです。

Aが1でBが0の時のみ、Yが1になることが確認できます。

A B | Y
0 0 | 0
0 1 | 0
1 0 | 1
1 1 | 0

このように、基本的なAND、OR、NOTなどのロジックを組み合わせることで、多種多様なカスタムロジックを設計することが可能です。

特定の条件下での動作を期待する際や、特定の動作を避けたい際にこのようなカスタムロジックを活用することができます。

まとめ

Verilogは、デジタルロジック設計に適した言語であり、基本的なロジックから応用例、そしてカスタムロジックの設計まで幅広く対応しています。

この記事を通じて、Verilogの基本的なロジック設計の手法を解説してきました。

実際の設計やシミュレーション時には、さまざまな条件や要件に応じて、これらの基本的なロジックを組み合わせて使用することになります。

初心者の方も、この記事の内容を参考にしながら、Verilogのロジック設計の基礎をしっかりと身につけて、実際の設計活動に取り組んでみてください。