C++でdelete演算子を使う7つの方法

C++のdelete演算子を使ったプログラミング例を徹底解説するイメージC++
この記事は約12分で読めます。

 

【サイト内のコードはご自由に個人利用・商用利用いただけます】

この記事では、プログラムの基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

基本的な知識があればカスタムコードを使って機能追加、目的を達成できるように作ってあります。

※この記事は、一般的にプロフェッショナルの指標とされる『実務経験10,000時間以上』を凌駕する現役のプログラマチームによって監修されています。

サイト内のコードを共有する場合は、参照元として引用して下さいますと幸いです

※Japanシーモアは、常に解説内容のわかりやすさや記事の品質に注力しております。不具合、分かりにくい説明や不適切な表現、動かないコードなど気になることがございましたら、記事の品質向上の為にお問い合わせフォームにてご共有いただけますと幸いです。
(送信された情報は、プライバシーポリシーのもと、厳正に取扱い、処分させていただきます。)

はじめに

C++を学び始める際、特に重要なのがメモリ管理です。

この記事では、C++における基本的なメモリ管理の方法の一つであるdelete演算子の使い方に焦点を当てます。

delete演算子は、動的に割り当てられたメモリを解放するために使用されます。

これは、C++プログラミングの基本中の基本であり、初心者から上級者まで理解しておくべき重要な概念です。

本記事では、delete演算子の基本から応用までを、サンプルコードを交えながら丁寧に解説し、読者の皆様がC++プログラミングのスキルを向上させる手助けとなることを目指します。

●C++とは

C++は、システムプログラミングやアプリケーション開発、ゲーム開発など幅広い分野で使用されるプログラミング言語です。

C言語をベースにオブジェクト指向機能を追加した言語で、高いパフォーマンスと柔軟性を備えています。

C++は、メモリ管理の自由度が高い一方で、その管理をプログラマ自身が行う必要があります。

このため、メモリリークや不正なメモリアクセスといった問題を避けるためには、メモリ管理の正しい知識と技術が求められます。

○C++の基本概要

C++でプログラミングを行う際、最も基本的な概念の一つがメモリ管理です。

C++では、プログラマが直接メモリを割り当てたり解放したりすることができ、これにより高いパフォーマンスを実現します。

メモリの割り当てには主にnew演算子が使用され、割り当てられたメモリの解放にはdelete演算子が使われます。

正しいメモリ管理を行うことで、プログラムの効率性や安定性を大きく向上させることができます。

●delete演算子の基本

C++プログラミングにおけるdelete演算子は、動的メモリ管理の核となる要素です。

C++では、プログラマが直接メモリを割り当て、使用後にそのメモリを解放する責任があります。

このメモリ解放のプロセスにおいて、delete演算子が中心的な役割を果たします。

正確にメモリを管理することは、メモリリークの防止やプログラムの効率性を保つために不可欠です。

○delete演算子とは

delete演算子は、new演算子によって動的に割り当てられたメモリを解放するために使用されます。

この演算子は、割り当てられたメモリブロックの先頭アドレスを指定することで、そのメモリブロックを解放し、再利用可能な状態に戻します。

C++においては、割り当てたメモリは使用後必ず解放する必要があり、これを怠るとメモリリークが発生し、プログラムのパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。

○delete演算子の使い方

delete演算子の使用方法は比較的シンプルです。

まず、new演算子を使用してメモリを割り当て、その後でそのメモリを使用します。

メモリの使用が終了したら、delete演算子を使って割り当てられたメモリを解放します。

この時、delete演算子にはnew演算子で割り当てられたメモリのアドレスを指定します。

例えば、下記のように使用します。

int* p = new int; // new演算子でint型のメモリを割り当てる
*p = 10;          // 割り当てられたメモリに値を格納
delete p;         // delete演算子でメモリを解放

このコードでは、まずint型のメモリがnew演算子で動的に割り当てられ、そのメモリに10が格納されます。

その後、delete演算子を使用して割り当てられたメモリを解放しています。

このようにしてメモリを適切に管理することが、C++プログラミングにおける効率的かつ安全なコード記述の基本となります。

●delete演算子のサンプルコード

C++でのdelete演算子の使い方を理解するために、いくつかの具体的なサンプルコードを見てみましょう。

これらのサンプルは、delete演算子の基本的な使用方法を示しており、動的メモリ管理の理解を深めるのに役立ちます。

○サンプルコード1:基本的な動的メモリ解放

最も基本的な形でのdelete演算子の使用例を紹介します。

ここでは、整数を格納するためのメモリを動的に割り当て、使用後に解放します。

int* p = new int;  // 動的に整数のメモリを割り当てる
*p = 5;            // 割り当てられたメモリに値を格納
delete p;          // 割り当てられたメモリを解放
p = nullptr;       // ポインタをnullに設定

この例では、まずnewを使って整数のメモリを割り当て、その後でdeleteを使って割り当てたメモリを解放しています。

メモリ解放後にポインタをnullptrに設定することで、未定義のポインタを避けることができます。

○サンプルコード2:配列のメモリ解放

配列の動的メモリ割り当てと解放の例を見てみましょう。

ここでは、複数の要素を持つ整数配列のメモリを割り当て、使用後に解放します。

int* arr = new int[3];  // 動的に3つの整数の配列を割り当てる
arr[0] = 1;
arr[1] = 2;
arr[2] = 3;
delete[] arr;           // 配列のメモリを解放
arr = nullptr;          // ポインタをnullに設定

この例では、new[]を使って整数の配列のメモリを割り当てており、delete[]を使って配列のメモリを解放しています。

配列の場合、deleteの後に[]を付けることが重要です。

○サンプルコード3:カスタムクラスオブジェクトのメモリ解放

カスタムクラスのオブジェクトに対しても、同様に動的メモリ割り当てと解放を行うことができます。

ここでは、簡単なクラスのインスタンスを作成し、メモリを割り当ててから解放する方法を紹介します。

class MyClass {
public:
    int a;
    MyClass(int val) : a(val) {}  // コンストラクタ
};

MyClass* obj = new MyClass(10);  // MyClassのインスタンスを動的に割り当てる
delete obj;                      // オブジェクトのメモリを解放
obj = nullptr;                   // ポインタをnullに設定

この例では、MyClassクラスのインスタンスをnewを使って動的に割り当て、その後deleteを使ってメモリを解放しています。

カスタムクラスの場合でも、基本的なメモリ管理のプロセスは変わりません。

○サンプルコード4:例外処理とdelete演算子

C++における例外処理とdelete演算子の組み合わせは、安全なプログラムを書く上で重要です。

例外が発生した場合でも、割り当てられたメモリは適切に解放されなければなりません。

下記のサンプルコードは、例外処理を伴うメモリ割り当てと解放の方法を表しています。

int* p = nullptr;
try {
    p = new int;  // 動的メモリの割り当て
    *p = 10;     // 割り当てられたメモリへの操作
    // ここで何らかの処理
    throw std::runtime_error("エラー発生");  // 例外を投げる
} catch (const std::exception& e) {
    delete p;    // 例外発生時もメモリを解放
    p = nullptr; // ポインタをnullに設定
    // 例外処理
}

このコードでは、newを使ってメモリを割り当てた後、意図的に例外を投げています。

catchブロック内でメモリを解放してから例外処理を行っているため、例外発生時でもリソースリークを防ぐことができます。

○サンプルコード5:スマートポインタとdelete演算子

C++11以降、スマートポインタというメモリ管理のためのユーティリティが導入されました。

スマートポインタは、オブジェクトのライフタイムを自動的に管理し、delete演算子の直接的な使用を避けることができます。

#include <memory>

class MyClass {
public:
    MyClass() {
        // コンストラクタの処理
    }
    ~MyClass() {
        // デストラクタの処理
    }
};

int main() {
    std::unique_ptr<MyClass> ptr(new MyClass());  // スマートポインタの利用
    // ここでptrを使用する
    return 0;  // スコープ外に出ると自動的にメモリが解放される
}

この例では、std::unique_ptrを使用してMyClassのインスタンスを動的に割り当てています。

このスマートポインタは、スコープ外に出た時点で自動的にデストラクタを呼び出し、メモリを解放します。

これにより、プログラマはdelete演算子を直接呼び出す必要がなくなり、メモリ管理が容易になります。

●delete演算子の応用例

delete演算子は、C++プログラミングにおいて基本的なメモリ管理の手法ですが、応用することでさらに複雑な状況にも対応可能です。

ここでは、delete演算子の応用例として、メモリリークの防止やメモリプールとの組み合わせを紹介します。

○サンプルコード6:delete演算子を使ったメモリリークの防止

メモリリークは、割り当てられたメモリが適切に解放されないことで発生します。

下記のサンプルコードは、delete演算子を用いてメモリリークを防ぐ方法を表しています。

class Resource {
public:
    Resource() {
        // リソースの初期化
    }
    ~Resource() {
        // リソースの解放
    }
};

void useResource() {
    Resource* res = new Resource();  // リソースの動的割り当て
    // リソースの使用
    delete res;                      // リソースの解放
}

int main() {
    useResource();
    // 他の処理
    return 0;
}

このコードでは、リソースクラスのインスタンスを動的に割り当て、使用後にdelete演算子を使って解放しています。

これにより、メモリリークを防ぐことができます。

○サンプルコード7:delete演算子とメモリプール

メモリプールは、プログラムの実行中に頻繁に行われる小さなメモリ割り当てと解放を効率化するためのテクニックです。

下記のサンプルコードは、delete演算子をメモリプールと組み合わせた使用例を表しています。

// メモリプールの実装(簡易版)
class MemoryPool {
public:
    MemoryPool(size_t size) {
        // メモリプールの初期化
    }
    ~MemoryPool() {
        // メモリプールの解放
    }
    void* allocate(size_t size) {
        // メモリの割り当て
        return nullptr;
    }
    void deallocate(void* ptr) {
        // メモリの解放
    }
};

int main() {
    MemoryPool pool(1024);  // 1024バイトのメモリプールを作成
    int* p = static_cast<int*>(pool.allocate(sizeof(int)));  // メモリプールから割り当て
    *p = 10;
    pool.deallocate(p);  // メモリプールに返却
    return 0;
}

この例では、メモリプールクラスを用いてメモリ割り当てと解放を行っています。

メモリプールは特に、小さなメモリ割り当てが頻繁に行われる場合に有効で、パフォーマンスの向上に貢献します。

メモリプールとdelete演算子を適切に組み合わせることで、効率的なメモリ管理を実現できます。

●注意点と対処法

C++でdelete演算子を使用する際、特に注意すべき点がいくつかあります。

これらの注意点を理解し、適切な対処法を取ることで、プログラムの安定性と効率を高めることができます。

○delete演算子の正しい使い方

delete演算子の使用には、いくつかの重要なガイドラインがあります。

まず、動的に割り当てたメモリは使用後必ず解放する必要があります。

これによりメモリリークを防ぐことができます。

また、同じメモリアドレスを二度解放しないように注意が必要です。

一度解放されたメモリを再度解放しようとすると、プログラムがクラッシュする可能性があります。

さらに、delete演算子を使用した後は、ポインタをnullptrに設定して、無効なメモリアドレスへのアクセスを防ぐことが推奨されます。

○メモリリークを避ける方法

メモリリークは、割り当てられたメモリが適切に解放されないことで発生します。

これを防ぐためには、変数やオブジェクトがスコープを抜ける際にメモリを解放することを確認することが重要です。

また、RAII(Resource Acquisition Is Initialization)パターンを利用して、オブジェクトのライフサイクルに合わせてリソースの割り当てと解放を行うことも有効な方法です。

○プログラムの安全性を高めるためのベストプラクティス

プログラムの安全性を高めるためには、スマートポインタの使用が推奨されます。

std::unique_ptrstd::shared_ptrなどのスマートポインタを使用することで、メモリの自動解放が可能となり、メモリリークを防ぐことができます。

また、厳密なテストとデバッグを行い、メモリリークやその他の問題を特定し対処することが重要です。

これにより、より安定して信頼性の高いプログラムを実現できます。

まとめ

本記事では、C++におけるdelete演算子の使用方法、注意点、およびその応用例を詳細に解説しました。

delete演算子は、メモリ管理の基本であり、正しく使用することでメモリリークの防止やプログラムの安定性向上に寄与します。

スマートポインタの使用やRAIIパターンの採用など、メモリ管理を効率化し安全にするためのベストプラクティスも紹介しました。

C++プログラミングにおいて、これらの知識はプログラマーにとって非常に価値があります。

適切なメモリ管理は、より効率的で安全なプログラムを作成するための鍵となります。