C++のmultimapを完全攻略!初心者から上級者まで理解できる10のサンプルコード

C++のmultimapを完全攻略!初心者から上級者まで理解できる10のサンプルコード

C++のmultimapを使いこなすための詳細なガイドのイメージC++
この記事は約19分で読めます。

 

【サイト内のコードはご自由に個人利用・商用利用いただけます】

このサービスは複数のSSPによる協力の下、運営されています。

この記事では、プログラムの基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

基本的な知識があればカスタムコードを使って機能追加、目的を達成できるように作ってあります。

※この記事は、一般的にプロフェッショナルの指標とされる『実務経験10,000時間以上』を凌駕する現役のプログラマチームによって監修されています。

サイト内のコードを共有する場合は、参照元として引用して下さいますと幸いです

※Japanシーモアは、常に解説内容のわかりやすさや記事の品質に注力しております。不具合、分かりにくい説明や不適切な表現、動かないコードなど気になることがございましたら、記事の品質向上の為にお問い合わせフォームにてご共有いただけますと幸いです。
(送信された情報は、プライバシーポリシーのもと、厳正に取扱い、処分させていただきます。)

はじめに

この記事を読めば、C++のmultimapについて、初心者から上級者まで深く理解し、使いこなすことができるようになります。

C++は強力なプログラミング言語であり、その中でもmultimapは非常に便利なデータ構造の一つです。

この記事では、multimapの基本から応用までを、具体的なサンプルコードとともに紹介します。

読者がC++とmultimapについて理解を深めることができるよう、初心者にも分かりやすい言葉で解説します。

●C++とは

C++は、プログラミング言語の中でも特に強力で柔軟な言語です。

多くのソフトウェア開発で利用されており、その効率の良さと高いパフォーマンスが評価されています。

C++は、オブジェクト指向プログラミングをサポートすることで知られ、複雑なソフトウェアシステムの開発に適しています。

また、C言語との互換性もあり、幅広い用途に対応できるのが大きな特徴です。

○C++の歴史と特徴

C++は1980年代にBjarne Stroustrupによって開発されました。

当初はC言語にオブジェクト指向の機能を追加したものでしたが、次第に独自の機能が追加されていきました。

現在では、高速処理、メモリ管理の効率性、豊富なライブラリが特徴です。

C++はシステムプログラミングやゲーム開発、組み込みシステムなど、幅広い分野で利用されています。

○プログラミング初心者へのC++の紹介

プログラミング初心者がC++を学ぶ際は、基本的な構文から始めることが重要です。

C++は、変数の宣言や制御構文、関数の定義など、基本的なプログラミングの要素を全て含んでいます。

最初はシンプルなプログラムから始め、徐々にオブジェクト指向の概念やクラスの使用方法など、より高度なトピックへと進んでいくことをお勧めします。

また、C++のコミュニティは非常に大きく、多くのリソースやチュートリアルがオンラインで利用できるため、学習のサポートも充実しています。

●multimapとは

multimapはC++の標準テンプレートライブラリ(STL)に属するコンテナの一つです。

このコンテナは、キーと値のペアを格納することができ、特に一つのキーに複数の値を関連付けることが可能な点が特徴です。

multimapは内部的には平衡二分木を用いて実装されており、これにより検索、挿入、削除の各操作を対数時間で行うことができます。

また、multimapはキーに基づいて自動的にソートされるため、常に順序付けされた状態でデータを保持します。

multimapの使用例としては、一人の学生が複数の試験の点数を持っている状況を想定すると分かりやすいでしょう。

ここで、学生の名前がキーとなり、その学生の各試験の点数が値としてmultimapに格納されます。

このように、multimapは一対多の関係を持つデータを扱うのに適しています。

○multimapの基本概念

multimapを使用するには、まず#include <map>をインクルードする必要があります。

基本的な宣言方法はstd::multimap<キーの型, 値の型> 変数名;の形式をとります。

ここで、キーの型値の型には、格納したいデータの型を指定します。

例えば、文字列のキーに対して整数の値を持つmultimapを作成したい場合は、std::multimap<std::string, int> myMultimap;のように宣言します。

multimapの基本的な操作には、挿入(insert)、検索(find)、削除(erase)があります。

挿入はmyMultimap.insert(std::make_pair(キー, 値));の形式で行います。

検索はauto it = myMultimap.find(キー);を用いて特定のキーに関連付けられた値を探し、削除はmyMultimap.erase(キー);で特定のキーとそれに関連付けられた値を削除します。

○multimapと他のコンテナとの違い

multimapと他のSTLコンテナとの主な違いは、キーの重複を許容する点にあります。

例えば、std::mapはキーの重複を許さないため、同じキーに対して新しい値を挿入しようとすると、既存の値が更新されます。

しかし、std::multimapは同じキーに対して複数の値を持つことができるため、同じキーに対して新しい値を挿入しても、既存の値は保持され、新しい値が追加されます。

また、std::unordered_mapstd::unordered_multimapはハッシュテーブルを基にしており、挿入や検索の平均時間計算量が一定ですが、これらは要素が順序付けされていません。

一方で、std::mapstd::multimapは二分木を基にしており、要素が自動的にソートされるという利点があります。

●multimapの基本的な使い方

C++におけるmultimapの基本的な使い方は、主に宣言、要素の挿入、検索、削除の4つのステップに分けられます。

ここでは、これらのステップを個別に詳しく見ていきましょう。

○サンプルコード1:multimapの宣言と初期化

multimapを使用する前に、まずはその宣言と初期化を行う必要があります。

宣言は非常にシンプルで、下記のような形式を取ります。

#include <map>
#include <string>

int main() {
    std::multimap<std::string, int> myMultimap;
    // ここでmultimapを使用する
    return 0;
}

このコードでは、std::string型のキーとint型の値を持つmultimapを宣言しています。

これは、例えば人の名前をキーとして、その人の年齢を値として格納する際に便利です。

○サンプルコード2:要素の挿入

multimapに要素を挿入するには、insertメソッドを使用します。

下記のコードは、いくつかのキーと値のペアをmultimapに挿入する例です。

#include <map>
#include <string>
#include <iostream>

int main() {
    std::multimap<std::string, int> myMultimap;

    // 要素の挿入
    myMultimap.insert(std::make_pair("Alice", 30));
    myMultimap.insert(std::make_pair("Bob", 25));
    myMultimap.insert(std::make_pair("Alice", 35));  // 同じキーで異なる値

    // 挿入された要素の表示
    for (auto& elem : myMultimap) {
        std::cout << elem.first << ": " << elem.second << std::endl;
    }

    return 0;
}

このコードでは、”Alice”というキーに対して2つの異なる値を挿入しています。

multimapは同じキーに対して複数の値を持つことができるため、これが可能です。

○サンプルコード3:要素の検索

multimap内の要素を検索するには、findメソッドを使用します。

下記のコードは、特定のキーに対応する値を検索する例です。

#include <map>
#include <string>
#include <iostream>

int main() {
    std::multimap<std::string, int> myMultimap;

    // 要素の挿入
    myMultimap.insert(std::make_pair("Alice", 30));
    myMultimap.insert(std::make_pair("Bob", 25));

    // "Alice"の値を検索
    auto range = myMultimap.equal_range("Alice");
    for (auto it = range.first; it != range.second; ++it) {
        std::cout << it->first << ": " << it->second << std::endl;
    }

    return 0;
}

このコードでは、equal_rangeメソッドを用いて、”Alice”というキーに対応するすべての値を取得しています。

○サンプルコード4:要素の削除

最後に、multimapから要素を削除する方法を見てみましょう。

下記のコードは、特定のキーに関連する要素をすべて削除する例です。

#include <map>
#include <string>
#include <iostream>

int main() {
    std::multimap<std::string, int> myMultimap;

    // 要素の挿入
    myMultimap.insert(std::make_pair("Alice", 30));
    myMultimap.insert(std::make_pair("Bob", 25));

    // "Alice"に関連する要素をすべて削除
    myMultimap.erase("Alice");

    // 残った要素の表示
    for (auto& elem : myMultimap) {
        std::cout << elem.first << ": " << elem.second << std::endl;
    }

    return 0;
}

このコードでは、eraseメソッドを使用して”Alice”に関連するすべての要素を削除しています。

●multimapの応用例

multimapはその柔軟性から、さまざまな応用例に適用することが可能です。

ここでは、multimapを使ったデータのソート、集計、複雑な検索の方法について具体的なサンプルコードを交えて解説します。

○サンプルコード5:multimapを使ったデータのソート

multimapは、デフォルトでキーによる自動的なソート機能を持っています。

この特性を活用することで、データを効率的に整理し、必要な情報を迅速にアクセスすることが可能です。

下記のサンプルコードでは、複数の要素をmultimapに挿入し、自動的にソートされた結果を表示しています。

#include <iostream>
#include <map>
#include <string>

int main() {
    std::multimap<std::string, int> myMultimap;

    // 要素の挿入
    myMultimap.insert(std::make_pair("Alice", 35));
    myMultimap.insert(std::make_pair("Bob", 25));
    myMultimap.insert(std::make_pair("Alice", 30));

    // ソートされた要素の表示
    for (const auto& elem : myMultimap) {
        std::cout << elem.first << ": " << elem.second << std::endl;
    }

    return 0;
}

このコードでは、”Alice”と”Bob”の名前に対応する年齢が挿入され、名前に基づいて自動的にソートされています。

○サンプルコード6:multimapを使ったデータの集計

multimapは、キーに関連付けられた値の集計にも使用できます。

下記のサンプルコードでは、特定のキーに関連付けられたすべての値を集計する方法を表しています。

#include <iostream>
#include <map>
#include <string>

int main() {
    std::multimap<std::string, int> myMultimap;

    // 要素の挿入
    myMultimap.insert(std::make_pair("Alice", 10));
    myMultimap.insert(std::make_pair("Bob", 20));
    myMultimap.insert(std::make_pair("Alice", 30));

    // "Alice"の値の集計
    int sum = 0;
    auto range = myMultimap.equal_range("Alice");
    for (auto it = range.first; it != range.second; ++it) {
        sum += it->second;
    }
    std::cout << "Aliceの合計: " << sum << std::endl;

    return 0;
}

このコードでは、”Alice”というキーに関連付けられたすべての値を合計しています。

○サンプルコード7:multimapを使った複雑な検索

multimapでは、特定の条件を満たす要素を効率的に検索することも可能です。

下記のサンプルコードでは、特定の範囲の値を持つ要素を検索する方法を表しています。

#include <iostream>
#include <map>
#include <string>

int main() {
    std::multimap<std::string, int> myMultimap;

    // 要素の挿入
    myMultimap.insert(std::make_pair("Alice", 10));
    myMultimap.insert(std::make_pair("Bob", 20));
    myMultimap.insert(std::make_pair("Alice", 30));

    // 特定の範囲の値を持つ要素の検索
    std::string searchKey = "Alice";
    int lowerBound = 15;
    int upperBound = 25;

    auto it = myMultimap.lower_bound(searchKey);
    auto endIt = myMultimap.upper_bound(searchKey);
    for (; it != endIt; ++it) {
        if (it->second >= lowerBound && it->second <= upperBound) {
            std::cout << it->first << ": " << it->second << std::endl;
        }
    }

    return 0;
}

このコードでは、”Alice”というキーに関連付けられ、15から25の範囲内の値を持つ要素を検索しています。

●multimapの注意点と対処法

multimapを使用する際には、いくつかの注意点を理解し、適切な対処法を採用することが重要です。

特に、メモリ使用量とパフォーマンスに関する懸念があります。

○注意点1:メモリ使用量について

multimapは、キーと値のペアを格納するために追加のメモリを消費します。

特に、大量のデータを扱う場合、メモリ使用量は顕著になる可能性があります。

また、multimapは内部的に平衡二分木を使用するため、ノードごとにメモリを消費します。

対処法としては、不必要な要素の挿入を避け、必要なデータのみをmultimapに保持することが挙げられます。

また、使用後は適切にメモリを解放することも重要です。例えば、特定の操作が完了した後には、不要になった要素を削除することでメモリ使用量を節約できます。

○注意点2:パフォーマンスについて

multimapの操作には、特に検索や挿入において時間がかかる場合があります。

これは、内部的に平衡二分木を使用しているためで、特に要素数が多い場合にパフォーマンスの低下が見られることがあります。

パフォーマンスを向上させるためには、検索や挿入の回数を最小限に抑えることが効果的です。

また、検索の効率化のために、キーを適切に選択し、ソートされた状態を維持することが重要です。

○対処法:効率的なmultimapの使い方

multimapを効率的に使用するためには、下記のような対策が有効です。

  1. 必要なデータのみを保持し、不要なデータは迅速に削除する
  2. 操作の回数を最小限に抑え、特に大量のデータを扱う際には、検索や挿入の最適化に努める
  3. キーの選択に注意し、ソートの効率を高める
  4. 大規模なデータセットを扱う場合は、他のコンテナタイプ(例えばunordered_map)の使用を検討する

これらの点に注意を払うことで、multimapのパフォーマンスを最大限に引き出し、メモリ使用量を適切に管理することが可能です。

●multimapのカスタマイズ方法

multimapの機能を最大限に活用するためには、カスタマイズが重要です。

ここでは、カスタム比較関数の使用、イテレータを使った高度な操作、さらにmultimapの拡張方法について、具体的なサンプルコードを交えて解説します。

○サンプルコード8:カスタム比較関数の使用

multimapの挙動をカスタマイズする一つの方法として、カスタム比較関数を使用することが挙げられます。

下記のサンプルコードでは、独自の比較関数を定義し、それをmultimapのコンストラクタに渡す方法を表しています。

#include <iostream>
#include <map>
#include <string>

// カスタム比較関数
struct CustomCompare {
    bool operator() (const std::string& lhs, const std::string& rhs) const {
        return lhs.size() < rhs.size();
    }
};

int main() {
    // カスタム比較関数を使用したmultimapの宣言
    std::multimap<std::string, int, CustomCompare> myMultimap;

    // 要素の挿入
    myMultimap.insert(std::make_pair("Alice", 30));
    myMultimap.insert(std::make_pair("Bob", 25));
    myMultimap.insert(std::make_pair("Carol", 22));

    // ソートされた要素の表示
    for (const auto& elem : myMultimap) {
        std::cout << elem.first << ": " << elem.second << std::endl;
    }

    return 0;
}

このコードでは、文字列の長さに基づいて要素をソートするカスタム比較関数を使用しています。

○サンプルコード9:イテレータを使った高度な操作

multimapでは、イテレータを使用してコンテナ内の要素に対して複雑な操作を行うことができます。

下記のサンプルコードは、イテレータを利用して特定の条件を満たす要素を検索し、操作する方法を表しています。

#include <iostream>
#include <map>
#include <string>

int main() {
    std::multimap<std::string, int> myMultimap;

    // 要素の挿入
    myMultimap.insert(std::make_pair("Alice", 30));
    myMultimap.insert(std::make_pair("Bob", 25));

    // イテレータを使用した要素の検索と操作
    for (auto it = myMultimap.begin(); it != myMultimap.end(); ++it) {
        if (it->first == "Alice") {
            it->second += 5;  // Aliceの値を更新
        }
    }

    // 更新された要素の表示
    for (const auto& elem : myMultimap) {
        std::cout << elem.first << ": " << elem.second << std::endl;
    }

    return 0;
}

このコードでは、”Alice”というキーを持つ要素を検索し、その値に5を加算しています。

○サンプルコード10:multimapの拡張

multimapの機能を拡張するためには、独自の関数やアルゴリズムを組み込むことが有効です。

下記のサンプルコードでは、multimapに新しい機能を追加する方法を表しています。

#include <iostream>
#include <map>
#include <string>

// multimapに新しい機能を追加する関数
void PrintAllValuesForKey(const std::multimap<std::string, int>& mmap, const std::string& key) {
    auto range = mmap.equal_range(key);
    for (auto it = range.first; it != range.second; ++it) {
        std::cout << it->first << ": " << it->second << std::endl;
    }
}

int main() {
    std::multimap<std::string, int> myMultimap;

    // 要素の挿入
    myMultimap.insert(std::make_pair("Alice", 30));
    myMultimap.insert(std::make_pair("Bob", 25));

    // 新しい機能を使用した表示
    PrintAllValuesForKey(myMultimap, "Alice");

    return 0;
}

このコードでは、特定のキーに関連するすべての値を表示する新しい関数PrintAllValuesForKeyを定義し、使用しています。

まとめ

本記事では、C++のmultimapの基本的な使い方から応用例、さらにはカスタマイズ方法に至るまでを詳細に解説しました。

初心者から上級者まで、これらの情報を活用して、より効率的かつ効果的にmultimapを使用することができます。

multimapはその柔軟性と機能性により、多様なプログラミングシナリオに適応する強力なツールです。

このガイドを参考に、C++プログラミングのスキルをさらに磨いていただければ幸いです。