C++におけるWriteFile関数の活用術8選

C++のWriteFile関数を使ったコーディング例のイメージC++
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この記事では、プログラムの基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

基本的な知識があればカスタムコードを使って機能追加、目的を達成できるように作ってあります。

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はじめに

C++は多くの開発者にとって不可欠な言語ですが、特にファイル操作は基本中の基本。その中でも「WriteFile関数」は非常に重要な機能を持っています。

この記事では、C++でWriteFile関数を使ったファイル操作の方法を初心者でも分かるように詳しく解説します。

例として、具体的なサンプルコードを示しながら、その使い方や注意点、エラーの対処法についても触れていきます。

この記事を読めば、C++におけるWriteFile関数の活用方法が理解でき、より効率的なプログラミングが可能になるでしょう。

●C++とWriteFile関数の基本

C++は、システムプログラミングやアプリケーション開発で広く使われるプログラミング言語です。

強力な機能と高い効率性を備え、ソフトウェア開発の現場では欠かせない存在となっています。

C++には多様なライブラリと機能がありますが、中でもファイル操作は基本的な部分であり、多くのプログラムで使われます。

WriteFile関数は、C++においてファイルにデータを書き込む際に使用するWindows APIの一つです。

この関数を利用することで、テキストファイルやバイナリファイルへの書き込みが可能になります。

具体的には、指定されたファイルハンドルにデータを書き込む機能を持っており、ファイルの作成や編集など幅広い場面で活用されます。

○C++とは

C++は、C言語を拡張した形で開発されたプログラミング言語で、オブジェクト指向プログラミングをサポートしています。

その性質上、ソフトウェアの設計やコードの再利用がしやすく、大規模なプロジェクトにも適しています。

また、メモリ管理や低レベルの操作が可能なため、システムプログラミングやゲーム開発など、パフォーマンスが要求される分野で広く用いられています。

○WriteFile関数の基礎知識

WriteFile関数を使うには、まずファイルハンドルが必要です。

ファイルハンドルとは、オペレーティングシステムがファイルを識別するために使用する一種の目印です。

ファイルを開く際にこのハンドルが生成され、WriteFile関数はこのハンドルを通してファイルにアクセスします。

関数を使用する際には、書き込むデータのサイズや書き込みを開始する位置などを指定する必要があります。

また、書き込み操作の成否を確認するための戻り値も重要な役割を果たします。

これらの基本を理解することで、C++でのファイル操作がよりスムーズになります。

●WriteFile関数の使い方

C++におけるWriteFile関数の使用方法を理解するためには、まず関数のシグネチャとそのパラメータを知ることが重要です。

WriteFile関数は、データをファイルに書き込むためのWindows API関数であり、下記のように定義されています。

BOOL WriteFile(
  HANDLE       hFile,
  LPCVOID      lpBuffer,
  DWORD        nNumberOfBytesToWrite,
  LPDWORD      lpNumberOfBytesWritten,
  LPOVERLAPPED lpOverlapped
);

ここで、hFileは書き込みを行うファイルのハンドル、lpBufferは書き込むデータが格納されているバッファ、nNumberOfBytesToWriteは書き込むバイト数、lpNumberOfBytesWrittenは実際に書き込まれたバイト数を受け取る変数、lpOverlappedは非同期操作に使用される構造体を指します。

関数が成功するとTRUEを返し、失敗するとFALSEを返します。

○サンプルコード1:テキストファイルへの書き込み

テキストファイルへの簡単な書き込み例を紹介します。

まず、CreateFile関数を使用してファイルハンドルを取得し、その後WriteFile関数でテキストをファイルに書き込みます。

#include <windows.h>
#include <iostream>

int main() {
    HANDLE hFile = CreateFile("example.txt",                // ファイル名
                              GENERIC_WRITE,                // 書き込みモード
                              0,                            // 共有モード
                              NULL,                         // セキュリティ属性
                              CREATE_ALWAYS,                // 常に新規作成
                              FILE_ATTRIBUTE_NORMAL,        // ファイル属性
                              NULL);                        // テンプレートファイル

    if (hFile == INVALID_HANDLE_VALUE) {
        std::cerr << "ファイルの作成に失敗しました。" << std::endl;
        return 1;
    }

    const char* text = "Hello, WriteFile!";
    DWORD written;

    BOOL result = WriteFile(hFile,                          // ファイルハンドル
                            text,                           // 書き込むデータ
                            strlen(text),                   // データの長さ
                            &written,                       // 書き込まれたバイト数
                            NULL);                          // 非同期IO用構造体

    if (!result) {
        std::cerr << "ファイルへの書き込みに失敗しました。" << std::endl;
        CloseHandle(hFile);
        return 1;
    }

    CloseHandle(hFile);
    return 0;
}

このコードでは、”example.txt”というファイルに”Hello, WriteFile!”というテキストを書き込んでいます。

ファイルの作成と書き込みが成功すれば、ファイルは指定した内容で保存されます。

○サンプルコード2:バイナリファイルへの書き込み

次に、バイナリファイルへの書き込みを行う方法を紹介します。

バイナリファイルへの書き込みはテキストファイルと似ていますが、データがバイナリ形式であることが違います。

#include <windows.h>
#include <iostream>
#include <vector>

int main() {
    HANDLE hFile = CreateFile("example.bin",                // ファイル名
                              GENERIC_WRITE,                // 書き込みモード
                              0,                            // 共有モード
                              NULL,                         // セキュリティ属性
                              CREATE_ALWAYS,                // 常に新規作成
                              FILE_ATTRIBUTE_NORMAL,        // ファイル属性
                              NULL);                        // テンプレートファイル

    if (hFile == INVALID_HANDLE_VALUE) {
        std::cerr << "ファイルの作成に失敗しました。" << std::endl;
        return 1;
    }

    std::vector<char> data = {0x48, 0x65, 0x6c, 0x6c, 0x6f}; // バイナリデータ
    DWORD written;

    BOOL result = WriteFile(hFile,                          // ファイルハンドル
                            data.data(),                    // 書き込むデータ
                            data.size(),                    // データの長さ
                            &written,                       // 書き込まれたバイト数
                            NULL);                          // 非同期IO用構造体

    if (!result) {
        std::cerr << "ファイルへの書き込みに失敗しました。" << std::endl;
        CloseHandle(hFile);
        return 1;
    }

    CloseHandle(hFile);
    return 0;
}

ここでの重要な点は、書き込むデータがバイナリ形式であることです。

例えば、std::vector<char>を使ってバイナリデータを定義し、それをファイルに書き込んでいます。

○サンプルコード3:ファイルハンドルの使用

ファイル操作にはファイルハンドルが不可欠です。

ファイルハンドルは、ファイルを操作するための参照として機能します。

ここでは、ファイルハンドルを取得し、そのハンドルを用いてファイルにデータを書き込む例を紹介します。

#include <windows.h>
#include <iostream>

int main() {
    // ファイルを開くためのハンドルを取得
    HANDLE hFile = CreateFile("example.txt",                // ファイル名
                              GENERIC_WRITE,                // 書き込みモード
                              0,                            // 共有モード
                              NULL,                         // セキュリティ属性
                              OPEN_EXISTING,                // 既存のファイルを開く
                              FILE_ATTRIBUTE_NORMAL,        // ファイル属性
                              NULL);                        // テンプレートファイル

    if (hFile == INVALID_HANDLE_VALUE) {
        std::cerr << "ファイルを開くのに失敗しました。" << std::endl;
        return 1;
    }

    const char* text = "ファイルハンドルのテスト";
    DWORD written;

    // ファイルハンドルを使用してファイルに書き込み
    BOOL result = WriteFile(hFile,                          // ファイルハンドル
                            text,                           // 書き込むデータ
                            strlen(text),                   // データの長さ
                            &written,                       // 書き込まれたバイト数
                            NULL);                          // 非同期IO用構造体

    if (!result) {
        std::cerr << "ファイルへの書き込みに失敗しました。" << std::endl;
        CloseHandle(hFile);
        return 1;
    }

    // ファイルハンドルを閉じる
    CloseHandle(hFile);
    return 0;
}

この例では、まずCreateFile関数を用いてファイルハンドルを取得します。

そして、WriteFile関数でファイルハンドルを用いてデータを書き込みます。

最後に、CloseHandle関数でファイルハンドルを閉じることで、リソースを適切に解放します。

○サンプルコード4:エラーハンドリングの実装

プログラミングにおいてエラーハンドリングは極めて重要です。

WriteFile関数を使用する際にも、エラーが発生する可能性があります。

#include <windows.h>
#include <iostream>

int main() {
    HANDLE hFile = CreateFile("example.txt",
                              GENERIC_WRITE,
                              0,
                              NULL,
                              CREATE_ALWAYS,
                              FILE_ATTRIBUTE_NORMAL,
                              NULL);

    if (hFile == INVALID_HANDLE_VALUE) {
        std::cerr << "ファイルの作成に失敗しました。エラーコード: " << GetLastError() << std::endl;
        return 1;
    }

    const char* text = "エラーハンドリングのテスト";
    DWORD written;

    if (!WriteFile(hFile, text, strlen(text), &written, NULL)) {
        std::cerr << "ファイルへの書き込みに失敗しました。エラーコード: " << GetLastError() << std::endl;
        CloseHandle(hFile);
        return 1;
    }

    CloseHandle(hFile);
    return 0;
}

このコードでは、CreateFile関数やWriteFile関数が失敗した場合にGetLastError関数を用いてエラーコードを取得し、エラーメッセージと共に表示しています。

これにより、何が原因でエラーが発生したのかを把握しやすくなります。

○サンプルコード5:大きなファイルへの効率的な書き込み

大きなファイルへのデータ書き込みを行う際には、パフォーマンスと効率を考慮する必要があります。

#include <windows.h>
#include <iostream>
#include <vector>

int main() {
    HANDLE hFile = CreateFile("largefile.bin",
                              GENERIC_WRITE,
                              0,
                              NULL,
                              CREATE_ALWAYS,
                              FILE_ATTRIBUTE_NORMAL,
                              NULL);

    if (hFile == INVALID_HANDLE_VALUE) {
        std::cerr << "ファイルの作成に失敗しました。" << std::endl;
        return 1;
    }

    std::vector<char> largeData(1024 * 1024, 0x00); // 1MBのデータ
    DWORD written;

    if (!WriteFile(hFile, largeData.data(), largeData.size(), &written, NULL)) {
        std::cerr << "ファイルへの書き込みに失敗しました。" << std::endl;
        CloseHandle(hFile);
        return 1;
    }

    CloseHandle(hFile);
    return 0;
}

この例では、1MBのデータを持つstd::vector<char>を作成し、それを一度にファイルに書き込んでいます。

大量のデータを扱う場合、データを分割して複数回に分けて書き込むことも考慮する必要があります。

しかし、この例ではシンプルさを重視し、一括での書き込みを行っています。

●よくあるエラーと対処法

C++でのファイル操作、特にWriteFile関数を用いた際に遭遇する可能性のある一般的なエラーとその対処法を説明します。

これらのエラーは初心者がしばしば直面するもので、それらを理解し対処することは重要です。

○エラー事例1:ファイルアクセス権限の問題

ファイルへのアクセス権限が不足している場合、WriteFile関数は失敗します。

これは、ファイルが読み取り専用であったり、ユーザーに必要な権限がない場合に発生する可能性があります。

対処法として、ファイルのプロパティを確認し、読み取り専用属性が設定されていないか確認してください。

また、ファイルがシステムファイルや他のアプリケーションによって使用中でないかも確認します。

必要に応じて、ファイルのアクセス権を調整してください。

○エラー事例2:ファイルパスの不正

指定されたファイルパスが存在しないか、間違っている場合、ファイルハンドルの取得に失敗し、WriteFile関数も失敗します。

対処法として、ファイルパスが正しいか、実際にファイルが存在するかを確認します。

パスに誤字や脱字がないかも確認し、必要であればアプリケーションがファイルにアクセスできるディレクトリにファイルがあるか確認してください。

○エラー事例3:書き込みサイズの誤り

WriteFile関数を使用する際に指定する書き込みデータのサイズが不正である場合、書き込みが正常に行われません。

特に、バッファのサイズを超えるデータを書き込もうとすると、エラーが発生します。

対処法として、書き込むデータのサイズを正確に計算し、バッファのサイズを超えていないか確認します。

バッファサイズは十分に大きいことを確認し、書き込みたいデータのサイズに合わせて調整してください。