C++におけるnew式の完全ガイド10選 – Japanシーモア

C++におけるnew式の完全ガイド10選

C++におけるnew式を解説するイメージC++
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はじめに

この記事を読めば、C++におけるnew式を理解し、適切に使いこなすことができるようになります。

プログラミング言語C++は、高いパフォーマンスと柔軟性を持ちながら、メモリ管理における厳密な制御が可能です。

特にnew式は、メモリ確保において重要な役割を担います。

ここでは、C++のメモリ管理の基本から、new式の使い方、ポインタとの関係について、初心者でも理解できるように丁寧に解説します。

●C++におけるメモリ管理の基本

C++では、プログラマがメモリを直接管理することが多く、これは言語の柔軟性とパワーの源泉です。

メモリ管理の基本として、スタックとヒープの二つのメモリ領域があります。

スタックは関数内で宣言された変数などが格納され、関数が終了すると自動的に解放されます。

一方、ヒープは動的メモリ領域とも呼ばれ、プログラマが直接制御します。

このヒープ領域でのメモリ確保にnew式を使用します。

○メモリ確保の理解

プログラム実行中にメモリが必要になった場合、ヒープからメモリを確保する必要があります。

C++でのメモリ確保は、new演算子を用いて行われます。

例えば、int型の変数をヒープ上に確保する場合、int* ptr = new int;のように記述します。

ここで重要なのは、確保したメモリはプログラムによって明示的に解放する必要があるという点です。

○new式とは何か

new式は、ヒープメモリに新しいオブジェクトを確保し、そのアドレスをポインタとして返すC++の演算子です。

new式を使うことで、実行時に必要なメモリ量を決定し、動的にオブジェクトを生成することができます。

これにより、プログラムの柔軟性が高まりますが、メモリリークなどのリスクも伴います。

○ポインタとnewの関係

C++におけるnew式の理解には、ポインタの知識が不可欠です。

ポインタはメモリアドレスを格納する変数であり、new式によって確保されたメモリのアドレスを指し示します。

例えば、int* ptr = new int;と記述すると、ptrは新しく確保されたint型のメモリ領域を指します。

ポインタを通じて、動的に確保されたメモリを操作できるため、new式の使用はポインタと密接に関連しています。

●new式の基本的な使い方

C++でのプログラミングにおいて、new式はメモリ管理に不可欠な要素です。

new式を使用すると、プログラム実行中に動的にメモリを確保し、そのメモリ領域にオブジェクトを生成できます。

これにより、プログラムの実行時に必要なメモリ量を柔軟に管理できるようになります。

ただし、new式を使用したメモリは、使用後にdelete演算子で解放する必要があります。

これを怠るとメモリリークが発生し、プログラムの安定性や効率に影響を及ぼす可能性があります。

○サンプルコード1:基本的なオブジェクトの生成

C++における最も基本的なnew式の使用例を見てみましょう。

下記のサンプルコードでは、int型のオブジェクトを動的に生成し、その値を設定しています。

// int型のオブジェクトを動的に生成
int* myNumber = new int;
// 値を設定
*myNumber = 100;

// 使用後にメモリを解放
delete myNumber;

このコードでは、new intを使用してint型のオブジェクトをヒープ上に確保し、そのアドレスをポインタmyNumberに格納しています。

オブジェクトに値を設定した後、deleteを用いて確保したメモリを解放しています。

これにより、メモリリークを防ぐことができます。

○サンプルコード2:配列の動的確保

配列もnew式を使用して動的に確保することができます。

下記のサンプルコードでは、int型の配列を動的に生成し、各要素に値を設定しています。

// int型の配列を動的に生成(5要素)
int* myArray = new int[5];

// 配列の各要素に値を設定
for(int i = 0; i < 5; i++) {
    myArray[i] = i * 10;
}

// 使用後にメモリを解放
delete[] myArray;

この例では、new int[5]によりint型の配列を5要素分動的に確保し、forループを用いて各要素に値を設定しています。

使用後にはdelete[]を用いて配列全体のメモリを解放しています。

配列を動的に確保する場合は、delete[]を使用することが重要です。

○サンプルコード3:初期化方法の違い

new式を用いたオブジェクトの初期化には、いくつかの方法があります。

下記のサンプルコードは、異なる初期化方法を表しています。

// デフォルトコンストラクタを使用してオブジェクトを生成
int* num1 = new int;

// 初期値を指定してオブジェクトを生成
int* num2 = new int(100);

// uniform初期化を使用(C++11以降)
int* num3 = new int{200};

// 使用後にメモリを解放
delete num1;
delete num2;
delete num3;

この例では、最初の行でデフォルトコンストラクタを使用してオブジェクトを生成し、次に初期値を指定してオブジェクトを生成しています。

最後に、C++11以降で導入されたuniform初期化を使用しています。

●new式を用いたメモリ管理の詳細

C++プログラミングにおいて、new式はオブジェクトの動的メモリ確保に不可欠です。

new式を用いることで、プログラム実行時に必要なメモリ量を確保し、そのメモリ上にオブジェクトを生成することができます。

動的メモリ確保の利点は、静的メモリ確保と比較して、柔軟にメモリを管理できる点にあります。

例えば、プログラム実行中にユーザーの入力に基づいて必要なメモリ量を変更する場合、new式は非常に効果的です。

しかし、new式を用いる際には注意が必要です。不適切なメモリ管理は、メモリリークや未定義の動作を引き起こす原因となり得ます。

そのため、new式を使ったメモリの確保と解放は、適切に行われなければなりません。

具体的には、new式で確保したメモリは使用後にdelete式を用いて解放する必要があります。

これにより、プログラムの安定性と効率性を保つことが可能になります。

○サンプルコード4:メモリリークの防止

メモリリークは、確保したメモリが適切に解放されずに残ってしまう状態を指します。

これを防ぐためには、new式で確保したメモリは必ずdelete式で解放する必要があります。

下記のコードは、new式を用いてメモリを確保し、その後delete式でメモリを解放する例を示しています。

int *p = new int; // メモリを確保
*p = 10;         // メモリに値を代入
delete p;        // メモリを解放

このコードは、整数型のメモリを動的に確保し、値を代入した後、そのメモリを解放することでメモリリークを防いでいます。

この例では、整数型のポインタpが新しく確保したメモリを指しており、delete pによってメモリが解放されます。

実行結果としては、特に画面に何かが表示されるわけではありませんが、内部的にはメモリが安全に解放されています。

○サンプルコード5:例外処理の取り扱い

new式を用いる際、メモリ確保に失敗すると例外が投げられることがあります。

このような場合に備え、例外処理を適切に行うことが重要です。

下記のコードは、new式でメモリ確保を試みる際に例外処理を行う方法を表しています。

try {
    int *p = new int[1000000]; // 大量のメモリを確保しようとする
    // メモリ確保に成功した場合の処理
    delete[] p;
} catch (std::bad_alloc &e) {
    // メモリ確保に失敗した場合の処理
    std::cerr << "メモリ確保に失敗しました: " << e.what() << std::endl;
}

このコードは、大量のメモリを確保しようとしています。

もしメモリ確保に成功すれば、そのメモリを解放します。

しかし、メモリ確保に失敗した場合(例えばシステムのメモリが不足している場合など)、std::bad_alloc例外が投げられ、キャッチブロックが実行されます。

この場合、エラーメッセージが表示され、プログラムが安全に終了します。

○サンプルコード6:カスタムアロケータの利用

C++では、標準のnew式以外にも、カスタムアロケータを用いてメモリ確保を行うことが可能です。

カスタムアロケータを使用することで、メモリ確保の挙動をカスタマイズし、特定の用途に最適化することができます。

下記のコードは、カスタムアロケータを使用してメモリを確保する例を表しています。

#include <memory>

struct MyAllocator : public std::allocator<int> {
    // カスタムアロケータの実装
};

int main() {
    MyAllocator alloc; // カスタムアロケータのインスタンス
    int *p = alloc.allocate(1); // カスタムアロケータでメモリを確保
    *p = 10;                   // メモリに値を代入
    alloc.deallocate(p, 1);    // カスタムアロケータでメモリを解放
    return 0;
}

このコードではMyAllocatorというカスタムアロケータクラスを定義しています。

allocateメソッドでメモリを確保し、deallocateメソッドでメモリを解放します。

カスタムアロケータを使用することにより、メモリ確保のプロセスをプログラムの要件に合わせて調整することが可能です。

この例では、整数型のメモリを確保し、値を代入した後、カスタムアロケータを使用してメモリを解放しています。

実行結果としては、こちらも画面に特に何かが表示されるわけではありませんが、カスタムアロケータによってメモリが特定の方法で安全に解放されています。

●new式のよくあるエラーと対処法

C++におけるnew式を使用する際には、さまざまなエラーが発生する可能性があります。

これらのエラーを理解し、適切な対処法を知ることは、プログラマーにとって重要です。

ここでは、new式に関連する代表的なエラーとその対処方法について詳しく解説します。

○メモリ不足のエラー対応

メモリ不足のエラーは、プログラムが要求するメモリをシステムが提供できない場合に発生します。

C++では、new式を使用してメモリ確保を行う際、メモリが不足しているとstd::bad_alloc例外が投げられます。

この例外を捕捉し、適切に対処することでプログラムの安定性を保つことができます。

下記のサンプルコードは、メモリ不足時のエラー対応を表しています。

try {
    int* p = new int[100000000];  // 大量のメモリ確保を試みる
    // メモリ確保に成功した場合の処理
    delete[] p;
} catch (std::bad_alloc& e) {
    // メモリ不足による例外処理
    std::cerr << "メモリ不足エラー: " << e.what() << std::endl;
}

このコードでは、まず大量のメモリを確保しようと試みています。

もしメモリ確保に成功すれば、確保したメモリを解放します。

しかし、メモリ不足で確保に失敗した場合、std::bad_alloc例外が発生し、catchブロックによるエラー処理が行われます。

この処理により、プログラムは安全に終了することができます。

○未初期化ポインタの問題

未初期化のポインタを使用することは、重大なプログラムエラーを引き起こす可能性があります。

特に、new式を用いて確保したメモリにアクセスする際には、ポインタが正しく初期化されていることを確認する必要があります。

下記のサンプルコードは、未初期化ポインタの問題とその対処法を表しています。

int* p = nullptr;  // ポインタをnullptrで初期化
p = new int;       // メモリを確保し、ポインタに割り当て
*p = 5;            // メモリに値を代入
delete p;          // メモリを解放

このコードでは、ポインタpnullptrで初期化してから、新たにメモリを確保しています。

これにより、未初期化ポインタによるエラーを防ぐことができます。

ポインタが初期化されていない状態でメモリにアクセスすると、予期せぬエラーやプログラムのクラッシュを引き起こす可能性があります。

○オブジェクトの二重解放

オブジェクトの二重解放は、すでにdeleteされたメモリを再びdeleteしようとするときに発生するエラーです。

このような操作は未定義の動作を引き起こし、プログラムの安定性を脅かします。

下記のサンプルコードは、オブジェクトの二重解放を防ぐ方法を表しています。

int* p = new int;  // メモリを確保
*p = 5;            // メモリに値を代入
delete p;          // メモリを解放
p = nullptr;       // ポインタをnullptrに設定

このコードでは、オブジェクトの解放後にポインタをnullptrに設定しています。

これにより、ポインタがすでに解放されたメモリを指していないことを保証し、二重解放のリスクを減らします。

nullptrに設定することで、ポインタが無効なメモリ参照を持っていないことが明確になり、安全なプログラムの実行に寄与します。

○サンプルコード9:デザインパターンへの応用

デザインパターンは、ソフトウェア設計における一般的な問題に対する再利用可能な解決策を提供します。

C++のnew式は、特に「ファクトリーパターン」や「シングルトンパターン」といったデザインパターンでよく使用されます。

ファクトリーパターンでは、オブジェクトの生成を専用のクラスやメソッドに任せることで、オブジェクト生成の柔軟性と再利用性を高めます。

ここでは、ファクトリーパターンを用いたサンプルコードを紹介します。

#include <memory>
#include <string>

class Product {
public:
    virtual ~Product() {}
    virtual std::string getName() const = 0;
};

class ConcreteProductA : public Product {
public:
    std::string getName() const override {
        return "Product A";
    }
};

class ConcreteProductB : public Product {
public:
    std::string getName() const override {
        return "Product B";
    }
};

class Factory {
public:
    std::unique_ptr<Product> createProduct(const std::string& type) {
        if (type == "A") {
            return std::make_unique<ConcreteProductA>();
        } else if (type == "B") {
            return std::make_unique<ConcreteProductB>();
        }
        return nullptr;
    }
};

// 使用例
int main() {
    Factory factory;
    auto productA = factory.createProduct("A");
    auto productB = factory.createProduct("B");

    // 生成されたオブジェクトを使用する処理
    return 0;
}

このコードでは、Factoryクラスが異なる種類のProductオブジェクトを生成します。

こうすることで、オブジェクトの生成プロセスをカプセル化し、コードの拡張や変更に柔軟に対応することができます。

○サンプルコード10:多次元配列の動的確保

C++では、多次元配列の動的確保にnew式を使用することができます。

特に、実行時に配列のサイズが決定するアプリケーションにおいて役立ちます。

下記のサンプルコードは、二次元配列を動的に確保する方法を表しています。

#include <iostream>

int main() {
    int rows = 5;
    int cols = 10;

    // 二次元配列の動的確保
    int** array = new int*[rows];
    for (int i = 0; i < rows; ++i) {
        array[i] = new int[cols];
    }

    // 配列の使用
    array[2][5] = 10;

    // 配列の解放
    for (int i = 0; i < rows; ++i) {
        delete[] array[i];
    }
    delete[] array;

    return 0;
}

このコードでは、まず行の数だけのポインタ配列を確保し、各行に対して列の数だけの整数配列を確保しています。

使用後は、確保した配列を順番に解放しています。

多次元配列の動的確保は、メモリの有効活用とプログラムの柔軟性を高める上で重要なテクニックです。

●C++プログラマーとしての豆知識

C++の世界では、プログラミング技術だけでなく、言語の背景やその進化にも注目することが大切です。

C++におけるnew式の理解を深めるためには、その歴史的背景と現代における位置づけを知ることが重要です。

○new式の歴史的背景

C++は、もともとC言語を拡張して開発された言語であり、C++におけるメモリ管理の概念もC言語の影響を強く受けています。

C言語ではメモリ管理は主にmallocfreeを用いて行われていましたが、C++ではオブジェクト指向の概念と合わせてnew式やdelete式が導入されました。

これにより、オブジェクトの動的生成や破棄がより直感的に、また安全に行えるようになりました。

new式の導入は、C++のオブジェクト指向プログラミングをより強力にする一歩となりました。

○現代C++におけるnew式の位置づけ

近年のC++では、メモリ管理に関してより安全で効率的な手法が求められています。

特にC++11以降の標準では、スマートポインタなどのリソース管理を自動化する機能が強化されており、生のポインタやnew式の直接使用は推奨されなくなっています。

スマートポインタの使用により、メモリリークやポインタの誤用によるバグを大幅に減らすことができます。

しかし、new式を完全に置き換えるわけではなく、依然として低レベルのメモリ操作や特定の状況下での利用は重要です。

現代のC++プログラマーとしては、新しいメモリ管理手法と古い手法の適切なバランスを理解し、適宜選択できる能力が求められています。

まとめ

この記事では、C++におけるnew式の基本的な使い方から応用例に至るまでを網羅的に解説しました。

new式は、メモリ管理の柔軟性を提供する一方で、適切な扱いが求められる高度な機能です。

メモリリーク防止からデザインパターンの適用、スマートポインタとの組み合わせまで、new式の使用法を理解することは、C++プログラミングにおいて極めて重要です。

本記事が、新入プログラマーから上級者までのC++の学習に役立つことを願っています。