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C++によるPID制御の完全ガイド10選

C++によるPID制御の完全ガイドのイメージ C++
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この記事では、プログラムの基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

本記事のサンプルコードを活用して機能追加、目的を達成できるように作ってありますので、是非ご活用ください。

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はじめに

C++でPID制御を学ぶことは、プログラミングの知識を深める絶好の機会です。

PID制御は、様々なシステムの動作を安定かつ効率的に制御するために広く使用されています。

この記事では、C++によるPID制御の基本から応用までを、初心者から上級者まで分かりやすく解説します。

サンプルコードとその詳細な解説を通じて、あなたもC++でのPID制御のスキルを磨くことができるでしょう。

●C++におけるPID制御の基礎

C++でのPID制御を理解するには、まずPID制御の3つの要素―比例(P)、積分(I)、微分(D)―を理解することが重要です。

これらの要素は、システムの挙動を制御するために、互いに補完しながら働きます。

C++のコードを通して、これらの要素の基本的な実装方法を見ていきましょう。

○サンプルコード1:PID制御の基本構造

PID制御の基本的な構造をC++で実装するサンプルコードを紹介します。

ここでは、PID制御の各要素を組み合わせ、シンプルなフィードバックループを形成します。

class PIDController {
private:
    double kp; // 比例ゲイン
    double ki; // 積分ゲイン
    double kd; // 微分ゲイン
    double prev_error; // 前回の誤差
    double integral; // 積分値

public:
    PIDController(double kp, double ki, double kd) 
        : kp(kp), ki(ki), kd(kd), prev_error(0), integral(0) {}

    double update(double setpoint, double actual) {
        double error = setpoint - actual;
        integral += error;
        double derivative = error - prev_error;
        prev_error = error;
        return kp * error + ki * integral + kd * derivative;
    }
};

このコードでは、PIDControllerクラスが定義され、各PID要素のゲイン(kp, ki, kd)が初期化されています。

updateメソッドでは、目標値(setpoint)と実際の値(actual)の差(error)を計算し、PID制御の式に基づいて出力値を求めます。

○サンプルコード2:比例制御(P制御)の実装

比例制御は最も基本的な制御方法で、出力は目標値と現在値の誤差に比例します。

比例ゲイン(kp)はこの関係を調整するために使用されます。

double proportionalControl(double setpoint, double actual, double kp) {
    double error = setpoint - actual;
    return kp * error;
}

このコードでは、比例制御の機能を実装しています。

関数proportionalControlは、目標値(setpoint)、現在値(actual)、比例ゲイン(kp)を引数として受け取り、誤差に比例した出力を返します。

○サンプルコード3:積分制御(I制御)の実装

積分制御は、時間の経過と共に蓄積される誤差に対応するために使用されます。

これにより、定常状態の誤差を減少させることができます。

double integralControl(double error, double &integral, double ki) {
    integral += error;
    return ki * integral;
}

このコードでは、積分制御のメカニズムを実装しています。

関数integralControlは、誤差(error)、積分値(integral)、積分ゲイン(ki)を引数に取り、誤差の積分に基づいた出力を返します。

○サンプルコード4:微分制御(D制御)の実装

微分制御は、誤差の変化率(すなわち誤差の微分)に基づいて制御を行います。

これにより、システムの応答速度が向上し、過渡的な誤差を減少させることができます。

double derivativeControl(double error, double prev_error, double kd) {
    double derivative = error - prev_error;
    return kd * derivative;
}

このコードでは、微分制御の機能を実装しています。

関数derivativeControlは、現在の誤差(error)、前回の誤差(prev_error)、微分ゲイン(kd)を引数に取り、誤差の変化率に基づいた出力を返します。

●PID制御の実践的な使い方

PID制御は理論的には単純ですが、実際のアプリケーションに応用する際には、様々な要素を考慮する必要があります。

実際のプロジェクトにおいてPID制御を効果的に実装するためには、パラメータのチューニング、ノイズへの対応、そして複数のコントローラの協調などが重要なポイントです。

これらのポイントを理解し、C++での実装方法を見ていきましょう。

○サンプルコード5:PIDパラメータのチューニング方法

PID制御を成功させる鍵は、パラメータの適切な設定にあります。

比例(P)、積分(I)、微分(D)の各ゲインを調整することで、システムの応答を最適化します。

ここでは、C++を使用してPIDパラメータをチューニングするための基本的な方法を表すコードを見てみましょう。

void tunePID(PIDController &pid, double kp, double ki, double kd) {
    pid.setKp(kp);
    pid.setKi(ki);
    pid.setKd(kd);
}

この関数は、PIDControllerオブジェクトと新しいゲイン値を受け取り、コントローラのパラメータを更新します。

このようにして、異なる環境や要件に合わせてPID制御を微調整することができます。

○サンプルコード6:ノイズ対策とフィルタリング

PID制御を実世界のアプリケーションに適用する際には、ノイズや外乱が問題となることがあります。

ノイズをフィルタリングすることで、より安定した制御を実現できます。

下記のコードは、簡単なフィルタリング機能を実装した例です。

double filterNoise(double input, double filterStrength) {
    static double filteredValue = 0;
    filteredValue = filteredValue * (1 - filterStrength) + input * filterStrength;
    return filteredValue;
}

この関数では、受け取った入力値に対して単純なローパスフィルタを適用しています。

filterStrengthはフィルタの強度を制御するパラメータで、この値を調整することでノイズの影響を減らすことができます。

○サンプルコード7:複数のPIDコントローラの協調

複雑なシステムでは、複数のPIDコントローラを協調させる必要がある場合があります。

下記のコードは、二つのPIDコントローラが連携して動作する例を表しています。

void coordinatePIDControllers(PIDController &pid1, PIDController &pid2, double input1, double input2) {
    double output1 = pid1.update(input1);
    double output2 = pid2.update(input2);

    // ここでoutput1とoutput2を何らかの方法で協調させる
    // 例:outputの平均を取る、特定のルールに基づいて出力を調整するなど
}

この関数は、二つの異なる入力値に基づいて二つのPIDコントローラを更新し、その出力を協調させるための枠組みを提供します。

具体的な協調の方法は、システムの要件に応じて異なりますが、このようなアプローチにより、複数の制御要素を統合的に扱うことが可能です。

●よくあるエラーと対処法

C++でのPID制御は非常に効果的ですが、いくつかの一般的なエラーに直面することがあります。

これらのエラーを理解し、適切な対処法を講じることが重要です。

ここでは、PID制御において頻繁に遭遇するエラーとそれらの対処方法について詳しく解説します。

○エラー事例1:オーバーシュートとその対策

オーバーシュートは、PID制御されたシステムが目標値を超えてしまうことを指します。

これは、比例ゲインが過大に設定されている場合や微分ゲインが不十分な場合に発生しやすいです。

この問題を解決するためには、比例ゲインを減少させるか、微分ゲインを増加させる必要があります。

これにより、システムの反応速度を抑え、目標値をより正確に追跡できるようになります。

○エラー事例2:安定しない挙動と解決策

PID制御の中で安定しない挙動、つまりシステムが定常状態に落ち着かない場合があります。

これは通常、積分ゲインが大きすぎることが原因です。

積分ゲインが高いと、誤差が時間とともに積み重なり、システムが過剰に反応してしまいます。

この問題を解決するには、積分ゲインを適切に下げることが有効です。

また、積分項の蓄積を制限することで、過大な応答を抑制することもできます。

○エラー事例3:チューニング時の注意点

PID制御のチューニングは慎重に行う必要があります。

特に、パラメータは一つずつ変更し、その影響を評価することが重要です。

一度に複数のパラメータを変更すると、どのパラメータがどのような影響を及ぼしているのかを正確に把握するのが難しくなります。

また、急激なパラメータの変更は予期せぬシステムの挙動を引き起こす可能性があるため、小さな変更を加え、その結果を観察しながら調整を進めることが望ましいです。

実際の運用環境でのテストも重要で、理論的な設定値と実際の動作との間には違いがあることを理解する必要があります。

●PID制御の応用例

PID制御は、その汎用性と効率性から、多様な分野での応用が見られます。

ここでは、PID制御がどのようにして異なるアプリケーションに適用されるか、具体的な例を挙げて解説します。

これらの応用例は、PID制御の柔軟性と多様な可能性を示す良い事例です。

○サンプルコード8:ロボットアームの制御

ロボットアームの制御では、正確な位置制御が必要です。

下記のサンプルコードは、ロボットアームの各関節にPID制御を適用する方法を表しています。

class RobotArm {
    PIDController pid_joint1, pid_joint2, pid_joint3;

public:
    RobotArm(double kp1, double ki1, double kd1,
             double kp2, double ki2, double kd2,
             double kp3, double ki3, double kd3) 
        : pid_joint1(kp1, ki1, kd1), 
          pid_joint2(kp2, ki2, kd2), 
          pid_joint3(kp3, ki3, kd3) {}

    void controlJoints(double targetPosition1, double currentPosition1,
                       double targetPosition2, double currentPosition2,
                       double targetPosition3, double currentPosition3) {
        double output1 = pid_joint1.update(targetPosition1, currentPosition1);
        double output2 = pid_joint2.update(targetPosition2, currentPosition2);
        double output3 = pid_joint3.update(targetPosition3, currentPosition3);

        // ここでoutputを各関節のモーターに適用
    }
};

このコードでは、ロボットアームの各関節に対応するPIDコントローラを作成し、実際の位置と目標位置との差に基づいて各関節を制御しています。

○サンプルコード9:自動車の速度制御

自動車における速度制御は、安全かつ快適な運転体験に不可欠です。

下記のコードは、車両の速度をPID制御を用いて調節する方法を表しています。

class Car {
    PIDController speed_pid;

public:
    Car(double kp, double ki, double kd) : speed_pid(kp, ki, kd) {}

    void controlSpeed(double targetSpeed, double currentSpeed) {
        double throttle = speed_pid.update(targetSpeed, currentSpeed);
        // ここでthrottleをエンジンに適用して速度を制御
    }
};

このコードでは、車両の現在速度と目標速度の差に基づき、エンジンのスロットルを調整して速度を制御します。

○サンプルコード10:ドローンの飛行制御

ドローンの安定した飛行制御には、PID制御が広く利用されています。

下記のコードは、ドローンの姿勢制御にPID制御を適用する一例です。

class Drone {
    PIDController pid_roll, pid_pitch, pid_yaw;

public:
    Drone(double kp_roll, double ki_roll, double kd_roll,
          double kp_pitch, double ki_pitch, double kd_pitch,
          double kp_yaw, double ki_yaw, double kd_yaw) 
        : pid_roll(kp_roll, ki_roll, kd_roll), 
          pid_pitch(kp_pitch, ki_pitch, kd_pitch), 
          pid_yaw(kp_yaw, ki_yaw, kd_yaw) {}

    void controlAttitude(double targetRoll, double currentRoll,
                         double targetPitch, double currentPitch,
                         double targetYaw, double currentYaw) {
        double outputRoll = pid_roll.update(targetRoll, currentRoll);
        double outputPitch = pid_pitch.update(targetPitch, currentPitch);
        double outputYaw = pid_yaw.update(targetYaw, currentYaw);

        // ここでoutputをドローンのモーターに適用して姿勢を制御
    }
};

このコードでは、ドローンのロール、ピッチ、ヨーの各軸にPID制御を適用し、目標の姿勢を維持するための出力を計算しています。

●エンジニアなら知っておくべき豆知識

PID制御は、多くの工学分野で基本的かつ重要な技術です。

長い歴史を持ちながらも、現代の技術とともに進化し続けています。

エンジニアとして、PID制御に関する下記の豆知識は知っておく価値があります。

○豆知識1:PID制御の歴史と進化

PID制御の原理は100年以上前にさかのぼりますが、その基本的な概念は今日でも多くの制御システムで使用されています。

初期のPID制御は機械的な装置を使用していましたが、現代ではデジタル技術によって精度が大きく向上し、小型化や柔軟性の向上が実現しています。

また、コンピュータの進化に伴い、より複雑なPIDアルゴリズムが実装され、さまざまな産業での応用が可能になっています。

○豆知識2:現代技術におけるPID制御の役割

現代の技術において、PID制御は自動車、航空、医療機器、ロボット工学など幅広い分野で利用されています。

例えば、自動運転車では速度や車間距離の制御に、ドローンでは飛行の安定化に、工業用ロボットでは精密な動作制御にPID制御が用いられています。

これらの応用は、PID制御がいかに柔軟で信頼性の高い制御手法であるかを表しています。

また、IoT技術の発展により、リモートでの監視や制御が可能になり、より効率的で賢いシステムの構築に貢献しています。

まとめ

この記事では、C++によるPID制御の基本概念から応用例に至るまでを網羅的に解説しました。

初心者から上級者までが理解できるように配慮された内容とサンプルコードを通じて、PID制御の知識と技術を深めることができるでしょう。

PID制御は、その柔軟性と効果の高さから、多くの現代技術において重要な役割を果たしており、今後も引き続き様々な分野での応用が期待されています。