C++におけるclearerr関数の使い方7選 – Japanシーモア

C++におけるclearerr関数の使い方7選

C++のclearerr関数のイメージC++
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はじめに

この記事では、C++でのプログラミングにおける重要な関数の一つ、clearerr関数について詳しく解説します。

プログラミング初心者から中級者までが理解しやすいように、clearerr関数の基本的な役割から具体的な使用例までを一通り紹介していきます。

この関数はファイル操作におけるエラー処理を効果的に行うために不可欠であり、エラーフラグをクリアすることでプログラムの安定性を高めるために役立ちます。

具体的なサンプルコードを交えながら、その使い方を実践的に学べる内容を目指しています。

●clearerr関数の基本

clearerr関数は、C言語標準ライブラリにも含まれる、FILEオブジェクトのエラーフラグをリセットするための関数です。

C++でファイル入出力を扱う際、エラーが発生すると特定のエラーフラグが設定されます。

これらのフラグは、ファイル操作が正常に行われなかったことを表しており、プログラムがエラーの原因を判断し、適切な処理を行うための重要な手がかりとなります。

clearerr関数を使用することで、これらのエラーフラグをクリアし、ファイルストリームを再利用する準備を整えることができます。

○clearerr関数とは何か?

clearerr関数は、ファイルに関連したエラーフラグとEOF(ファイル終端)フラグをクリアすることで、ファイルストリームをエラー状態から復旧させる役割を果たします。

この関数を呼び出すことで、以降のファイル操作がスムーズに行われるようになります。

関数のプロトタイプは下記の通りです。

void clearerr(FILE *stream);

この関数は戻り値を持たず、指定されたFILEポインタに関連付けられたエラーインジケータとEOFインジケータをクリアします。

○clearerr関数のプロトタイプ

上記のプロトタイプからもわかるように、clearerr関数は非常にシンプルな構造をしています。

この関数に渡す引数は、エラー状態をクリアしたいFILE型のポインタだけです。

FILE型のポインタは、fopenやfreopenなどの関数によって得られる、開かれたファイルへの参照を表します。

○clearerr関数を使用する状況

clearerr関数は、ファイル操作中にエラーが発生した後、そのエラーを処理し終えた場合にエラーフラグをリセットするために使用します。

例えば、freadやfwriteなどの関数が失敗した場合、エラー処理を行った後でclearerr関数を呼び出し、次の操作を安全に行う準備を整えることが一般的です。

また、不正な操作や予期しないファイルの終わりに遭遇した後、再度ファイル操作を試みる前にも利用されます。

●clearerr関数の使い方

C++プログラミングにおけるclearerr関数の使い方を具体的に解説します。

この関数はファイル操作時にエラーが発生した際、そのエラーフラグをリセットすることでファイルストリームをクリーンな状態に戻します。

これにより、プログラムはエラーの影響を受けずに続行することが可能になります。

ここでは、基本的な使い方から特定の状況での応用までをサンプルコードと共に紹介します。

○サンプルコード1:ファイルのエラーフラグをクリアする基本的な使い方

ファイル操作でエラーが発生した際には、clearerr関数を呼び出してエラーフラグとEOFフラグをリセットします。

下記のコードは、fopenでファイルを開き、fgetcを使って一文字読み取るシンプルな例です。

読み取り中にエラーが発生した場合、clearerrを使用してエラーフラグをクリアし、処理を続行します。

#include <stdio.h>

int main() {
    FILE *fp = fopen("example.txt", "r");
    if (fp == NULL) {
        perror("File opening failed");
        return 1;
    }

    int ch = fgetc(fp);
    if (ferror(fp)) {
        perror("File read error occurred");
        clearerr(fp);  // エラーフラグをクリア
        printf("エラーフラグがクリアされました。\n");
    }

    fclose(fp);
    return 0;
}

このサンプルでは、エラーが発生した後にclearerr関数を使用してエラーフラグがクリアされる様子を示しています。

これにより、プログラムはエラーの影響から解放され、次の操作に移ることができます。

○サンプルコード2:エラーチェックと共にclearerrを使用する方法

ファイル操作中にエラーを検出し、そのエラーを処理した後に続けて読み書きを行う必要がある場合、clearerr関数が非常に役立ちます。

下記のコードでは、ファイルからデータを読み取りながらエラーをチェックし、発生したエラーをクリアした後にさらに読み取りを試みます。

#include <stdio.h>

int main() {
    FILE *fp = fopen("example.txt", "r+");
    if (fp == NULL) {
        perror("File opening failed");
        return 1;
    }

    char buf[1024];
    if (fgets(buf, sizeof(buf), fp) == NULL && ferror(fp)) {
        perror("Error reading from file");
        clearerr(fp);  // エラーフラグをリセット
        printf("エラー処理後、再試行します。\n");
        if (fgets(buf, sizeof(buf), fp) != NULL) {
            printf("再試行成功: %s", buf);
        }
    }

    fclose(fp);
    return 0;
}

この例では、最初のfgets呼び出しでエラーが発生した場合に、clearerrを使ってエラーフラグをクリアし、同じファイルから再度データを読み取る試みを行っています。

○サンプルコード3:ループ処理中にclearerrを活用する例

ファイルの読み込みをループ処理で行う際に、エラーに遭遇しても処理を中断せずに続けたい場合にclearerrを活用できます。

下記のコードは、ファイルからデータを行単位で読み込むプロセス中に、一時的なエラーから回復して処理を継続する方法を表しています。

#include <stdio.h>

int main() {
    FILE *fp = fopen("example.txt", "r");
    if (fp == NULL) {
        perror("File opening failed");
        return 1;
    }

    char buf[1024];
    while (fgets(buf, sizeof(buf), fp) != NULL) {
        printf("%s", buf);
        if (ferror(fp)) {
            perror("Error during reading");
            clearerr(fp);  // エラーフラグをクリアして処理を継続
            printf("エラー後にリセットし、続行します。\n");
        }
    }

    fclose(fp);
    return 0;
}

この例では、読み取り中にエラーが発生しても、clearerr関数を呼び出してエラーフラグをリセットし、読み取りを続けています。

このようにclearerrは、ファイル処理を安定的に行うために非常に有効な関数です。

●よくあるエラーと対処法

プログラミングにおいてエラーは避けられない要素ですが、特にファイル操作では様々なエラーが発生する可能性があります。

ここでは、C++でのファイル操作時に頻繁に遭遇するエラーとその対処法を詳しく解説します。

これにより、エラー発生時の適切な対応方法を学び、プログラミングスキルの向上を目指します。

○エラーフラグがリセットされない場合の対応

ファイル操作中にエラーフラグが正しくリセットされないことがあります。

これは通常、エラーが解消されていないか、ファイルポインタが不正な状態にあることが原因です。

下記のコードは、エラーフラグが設定された後にリセットを試みる一例です。

#include <stdio.h>

void resetErrorFlag(FILE *fp) {
    if (ferror(fp)) {
        clearerr(fp);
        printf("エラーフラグをリセットしました。\n");
    } else {
        printf("エラーフラグは設定されていません。\n");
    }
}

int main() {
    FILE *fp = fopen("example.txt", "r+");
    if (fp == NULL) {
        perror("File opening failed");
        return 1;
    }

    // ファイル操作...
    fputc('x', fp);
    if (ferror(fp)) {
        perror("Error writing to file");
        resetErrorFlag(fp);
    }

    fclose(fp);
    return 0;
}

この関数resetErrorFlagは、ファイルポインタが指すファイルにエラーフラグが設定されているかをチェックし、設定されていればクリアします。

エラーが解消されていない場合は、ファイルポインタ自体が無効である可能性が考えられるため、ファイルを再オープンするなどの対応が必要です。

○ファイルポインタがNULLの場合のエラー処理

ファイルポインタがNULLとなるのは、通常、ファイルのオープンに失敗した時です。

この状態でファイル操作を行うと、プログラムがクラッシュする原因になり得ます。

適切なエラー処理を行うことで、この問題を回避できます。

下記のコードでは、ファイルオープンの成否をチェックし、失敗した場合にはエラーメッセージを出力します。

#include <stdio.h>

int main() {
    FILE *fp = fopen("nonexistent.txt", "r");
    if (fp == NULL) {
        perror("Failed to open file");
        return 1;
    }

    // ファイル操作...
    fclose(fp);
    return 0;
}

この例では、fopenがNULLを返した場合には直ちにエラーメッセージを出力し、プログラムを終了します。

これにより、無効なファイルポインタによるさらなるエラーを防ぎます。

ファイルが存在しない、アクセス権限がない、またはディスク容量が不足しているなど、様々な理由でファイルのオープンに失敗することがあります。

エラーメッセージを適切にハンドルすることで、問題の診断と対処が容易になります。

●clearerr関数の応用例

clearerr関数は、単にエラーフラグをクリアする以上の応用が可能です。

複雑なファイル操作やエラー管理のシステムにおいて、この関数を効果的に活用する方法をいくつか紹介します。

これにより、プログラムのロバスト性を高め、より安全で信頼性の高いコードを書くための技術を深めることができます。

○サンプルコード4:複数のファイル操作にclearerrを適用する

複数のファイルを操作する際には、一つのファイルでエラーが発生しても他のファイル操作に影響を与えないようにすることが重要です。

下記のコードは、複数のファイルを順に処理し、エラーが発生した場合にそれをクリアしながら次のファイル操作に移る方法を表しています。

#include <stdio.h>

int main() {
    const char *files[] = {"file1.txt", "file2.txt", "file3.txt"};
    FILE *fp;

    for (int i = 0; i < 3; i++) {
        fp = fopen(files[i], "r");
        if (!fp) {
            perror("Failed to open file");
            continue;
        }

        // ファイル操作の処理...
        if (ferror(fp)) {
            printf("Error handling file: %s\n", files[i]);
            clearerr(fp);
        }

        fclose(fp);
    }

    return 0;
}

このプログラムでは、各ファイルを開き、エラーが発生した場合にはエラーメッセージを出力後、clearerr関数を使ってエラーフラグをリセットしています。

これにより、次のファイル操作に影響を与えることなく処理を続けることが可能です。

○サンプルコード5:高度なエラーログシステムへの組み込み

clearerr関数は、エラーログシステムと組み合わせて、エラーの診断と記録を改善するのにも使用できます。

下記の例では、エラーが検出された場合にログファイルに記録し、エラーフラグをクリアする方法を表しています。

#include <stdio.h>

void logError(FILE *log_fp, const char *message) {
    fprintf(log_fp, "%s\n", message);
}

int main() {
    FILE *fp = fopen("example.txt", "r");
    FILE *log_fp = fopen("error_log.txt", "a");

    if (!fp) {
        logError(log_fp, "Failed to open example.txt");
    } else {
        // ファイル操作の処理...
        if (ferror(fp)) {
            logError(log_fp, "Error during file operation");
            clearerr(fp);
        }

        fclose(fp);
    }

    fclose(log_fp);
    return 0;
}

このコードでは、ファイル操作中にエラーが発生すると、そのエラーをログファイルに記録し、clearerr関数でエラーフラグをリセットしています。

これにより、エラーの追跡と処理が効率的に行われます。

○サンプルコード6:マルチスレッド環境でのclearerrの安全な使用

マルチスレッドプログラミングにおいてもclearerr関数は有効ですが、スレッドセーフな使用を心掛ける必要があります。

下記の例では、スレッドごとに独立したファイルポインタを使用し、エラー処理を行う方法を表しています。

#include <stdio.h>
#include <pthread.h>

void *fileOperation(void *arg) {
    FILE *fp = fopen((char *)arg, "r");
    if (!fp) {
        perror("Failed to open file");
        pthread_exit(NULL);
    }

    // ファイル操作の処理...
    if (ferror(fp)) {
        clearerr(fp);
    }

    fclose(fp);
    pthread_exit(NULL);
}

int main() {
    pthread_t threads[3];
    const char *files[] = {"file1.txt", "file2.txt", "file3.txt"};

    for (int i = 0; i < 3; i++) {
        pthread_create(&threads[i], NULL, fileOperation, (void *)files[i]);
    }

    for (int i = 0; i < 3; i++) {
        pthread_join(threads[i], NULL);
    }

    return 0;
}

このプログラムでは、それぞれのスレッドが独自のファイルを処理し、エラーが発生した場合にはそのスレッド内でclearerr関数を呼び出してエラーフラグをクリアしています。

これにより、他のスレッドの操作に影響を与えることなく、安全にエラー処理が行えます。

○サンプルコード7:例外処理と組み合わせたエラーハンドリング

C++では例外処理を用いてエラーを捕捉し、処理することが一般的です。

clearerr関数を例外処理と組み合わせることで、より柔軟にエラー対応を行うことができます。

下記のコードは、ファイル操作中に発生したエラーを例外として投げ、キャッチした後にエラーフラグをクリアする方法を表しています。

#include <iostream>
#include <cstdio>
#include <exception>

class FileException : public std::exception {
    const char * what () const throw () {
        return "File operation failed";
    }
};

void processFile(const char *filename) {
    FILE *fp = fopen(filename, "r");
    if (!fp) throw FileException();

    // ファイル操作の処理...
    if (ferror(fp)) {
        clearerr(fp);
        throw FileException();
    }

    fclose(fp);
}

int main() {
    try {
        processFile("example.txt");
    } catch (const FileException& e) {
        std::cerr << e.what() << '\n';
    }

    return 0;
}

この例では、ファイル操作のエラーを例外として扱い、エラーが発生した際にはFileExceptionを投げます。

catchブロック内で例外を捕捉し、適切なエラーメッセージを出力します。

clearerr関数は、ファイルポインタのエラーフラグをリセットするために使用され、例外発生後の後処理で役立てられています。

●エンジニアなら知っておくべき豆知識

プログラミングでは、細かな知識が時に大きな違いを生むことがあります。

特にエラーハンドリングは、多くのプログラマーが直面する課題です。

C++とC言語ではエラーハンドリングのアプローチに違いがあり、これを理解することは、より効果的なプログラムを書く上で重要です。

○豆知識1:clearerrとfeof及びferrorの関係

C言語の標準入出力ライブラリでは、ファイルのエラー状態を管理するためにclearerr、feof、およびferrorという三つの関数が用意されています。

これらは連携して動作し、ファイルストリームの健全性を監視します。

clearerr関数はストリームのエラーフラグとファイル終端フラグ(EOF)をクリアします。

feof関数はファイルが終端に達しているかどうかを検出し、ferror関数は読み書きエラーが発生したかどうかを報告します。

下記のコードは、これらの関数がどのように連携して動作するかを表す例です。

#include <stdio.h>

int main() {
    FILE *fp = fopen("sample.txt", "r");
    if (!fp) {
        perror("File opening failed");
        return 1;
    }

    int ch;
    while ((ch = fgetc(fp)) != EOF) {
        putchar(ch);
    }

    if (feof(fp)) {
        printf("\nEnd of file reached.\n");
    }

    if (ferror(fp)) {
        printf("\nError reading file.\n");
        clearerr(fp);
    }

    fclose(fp);
    return 0;
}

このコードでは、ファイルを一文字ずつ読み込み、EOFに達するかエラーが発生するまで続けます。

エラーが発生した場合はclearerrを使ってエラーフラグをリセットし、処理を安全に続行できるようにします。

○豆知識2:C++とC言語のエラーハンドリングの違い

C++では例外処理を使ったエラーハンドリングが可能ですが、C言語ではこの機能を使うことができません。

C言語ではエラーが発生した場合、戻り値や特定の関数(例:errno)をチェックすることでエラーを検出します。

対照的に、C++ではエラーが発生する可能性のあるコードをtryブロックで囲み、catchブロックで例外を捕捉します。

下記のC++コードは、ファイルオープン時の例外をキャッチする方法を表しています。

#include <iostream>
#include <fstream>
#include <exception>

int main() {
    std::ifstream file;

    try {
        file.open("example.txt");
        if (!file.is_open()) {
            throw std::runtime_error("File cannot be opened");
        }

        // ファイルの読み込み処理...
    } catch (const std::exception& e) {
        std::cerr << "Error: " << e.what() << std::endl;
    }

    return 0;
}

このプログラムでは、ファイルを開く際に失敗した場合、std::runtime_errorを投げ、そのエラーをcatchブロックで捕捉しています。

これにより、C++プログラムはエラー発生時の処理をより柔軟に制御できるようになります。

まとめ

この記事では、C++におけるclearerr関数の基本的な使用方法から、より複雑なエラーハンドリングのシナリオまでを詳細に解説しました。

clearerr関数を適切に使用することで、ファイル操作中に発生するエラーを効果的に管理し、プログラムの安定性と信頼性を向上させることが可能です。

また、C言語とC++でのエラーハンドリングの違いについても触れ、より深い理解を助ける情報を紹介しました。

これにより、プログラマーはさまざまな状況で適切なエラー対応ができるようになり、より高品質なソフトウェア開発に貢献することが期待されます。