C++ clock関数の使い方5選 – Japanシーモア

C++ clock関数の使い方5選

C++のclock関数を使いこなす画像C++
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はじめに

この記事は、C++におけるclock関数の使い方を初心者にも分かりやすく解説することを目的としています。

プログラムの性能測定や時間計測が必要な場面で役立つclock関数の基本的な概念から、具体的な使用方法までを幅広くカバーします。

本記事を通じて、C++のclock関数についての理解を深め、実際のプログラミングに活かせる知識を身につけることができます。

○clock関数とは

C++で時間計測を行うための標準関数であるclock関数は、プログラムが開始してからのプロセッサ時間を測定し、clock_t型で時間を返します。

この関数はあるいはヘッダに定義されており、特に性能分析や時間に敏感なアプリケーションの開発に不可欠です。

使用する際には、CLOCKS_PER_SECというマクロを使用して、計測値を秒単位に変換することが一般的です。

●clock関数の基本

clock関数を用いる基本的な方法は、プログラムの特定の部分の実行にかかる時間を計測することです。

具体的なコード内でclock()を呼び出し、その値を開始と終了のタイミングで取得し、差分から実行時間を計算します。

このシンプルな手法は、関数の性能評価やアルゴリズムの最適化に非常に役立ちます。

○サンプルコード1:プログラムの実行時間を計測する基本的な使い方

下記のサンプルコードは、プログラムの一部の処理時間を計測する基本的な方法を表しています。

#include <iostream>
#include <ctime>

int main() {
    // 時間計測を開始
    clock_t start = clock();

    // 計測したい処理
    for (int i = 0; i < 1000000; i++) {
        // 何らかの処理
    }

    // 時間計測を終了
    clock_t end = clock();

    // 実行時間を計算(秒単位)
    double duration = static_cast<double>(end - start) / CLOCKS_PER_SEC;
    std::cout << "Duration: " << duration << " seconds." << std::endl;

    return 0;
}

このコードでは、forループの実行時間を計測しています。

start変数にループ開始前の時刻を記録し、end変数にループ終了後の時刻を記録します。

その差分をCLOCKS_PER_SECで割ることで秒単位の実行時間を求めています。

このような形で、任意の処理の実行時間を簡単に計測することが可能です。

○サンプルコード2:ループ処理の時間を計測する

下記の例では、より複雑なループ処理の時間を詳細に計測する方法を表しています。

#include <iostream>
#include <ctime>

int main() {
    // 外側のループの時間計測を開始
    clock_t start_outer = clock();

    for (int i = 0; i < 100; i++) {
        // 内側のループの時間計測を開始
        clock_t start_inner = clock();

        for (int j = 0; j < 100000; j++) {
            // 何らかの処理
        }

        // 内側のループの時間計測を終了
        clock_t end_inner = clock();
        double duration_inner = static_cast<double>(end_inner - start_inner) / CLOCKS_PER_SEC;
        std::cout << "Inner loop duration at iteration " << i << ": " << duration_inner << " seconds." << std::endl;
    }

    // 外側のループの時間計測を終了
    clock_t end_outer = clock();
    double duration_outer = static_cast<double>(end_outer - start_outer) / CLOCKS_PER_SEC;
    std::cout << "Total duration of outer loop: " << duration_outer << " seconds." << std::endl;

    return 0;
}

このコードでは、外側のループ全体の実行時間と、それぞれの内側のループの実行時間を個別に計測しています。

それにより、プログラムのどの部分が時間を要しているかを正確に把握することができ、最適化の参考にすることが可能です。

●clock関数の使い方

C++のclock関数を用いる際には、正確な時間測定が可能となるよう、いくつかの技術的な詳細に注意を払う必要があります。

特に、異なるオペレーティングシステムやハードウェアにおいてclock関数の挙動が異なる可能性があるため、その点を踏まえた上で最も効果的な使用方法を理解することが重要です。

○サンプルコード3:関数の性能評価を行う方法

プログラム内で特定の関数の性能を評価するために、clock関数を使用する例を紹介します。

このコードは、関数がどれだけのCPU時間を消費しているかを計測し、性能のボトルネックを特定するのに役立ちます。

#include <iostream>
#include <ctime>
using namespace std;

void someFunction() {
    for (int i = 0; i < 1000000; i++) {
        // 重い計算を想定
    }
}

int main() {
    clock_t start = clock();
    someFunction(); // 性能を測定したい関数
    clock_t end = clock();

    double cpu_time_used = ((double) (end - start)) / CLOCKS_PER_SEC;
    cout << "Function took " << cpu_time_used << " seconds to execute." << endl;

    return 0;
}

このサンプルでは、someFunction 関数の実行にかかった時間を秒単位で出力しています。

この方法を用いることで、異なる実装方法の性能を比較し、最適なものを選択することが可能です。

○サンプルコード4:マルチスレッド環境での使用注意点

マルチスレッドプログラムにおいてclock関数を使用する場合の注意点を表すコード例を紹介します。

clock関数はスレッドごとに異なる結果を返すことがないため、プログラム全体のCPU使用時間を測定する際には適していますが、個々のスレッドの計測には適していません。

#include <iostream>
#include <ctime>
#include <thread>

void threadFunction() {
    for (int i = 0; i < 1000000; i++) {
        // スレッドでの処理
    }
}

int main() {
    clock_t start = clock();

    thread t1(threadFunction);
    thread t2(threadFunction);
    t1.join();
    t2.join();

    clock_t end = clock();
    double cpu_time_used = ((double) (end - start)) / CLOCKS_PER_SEC;
    cout << "Total CPU time used: " << cpu_time_used << " seconds." << endl;

    return 0;
}

この例では、二つのスレッドが同時に動作している状況を表していますが、計測されるのはCPU時間の合計であり、個々のスレッドの実行時間ではありません。

そのため、マルチスレッド環境での詳細な性能分析には他の方法を検討する必要があります。

○サンプルコード5:clock関数の精度を最大化する設定

特定のプラットフォーム上でclock関数の精度を最大化する方法を説明するコード例です。

clock関数の精度は、プラットフォームによって異なるため、精度が要求されるアプリケーションではハードウェアのタイマーを直接利用することが推奨されます。

#include <iostream>
#include <ctime>
#include <chrono>

int main() {
    auto start = chrono::high_resolution_clock::now();

    // 高精度で時間計測を行いたい処理
    for (int i = 0; i < 1000000; i++) {
        // 何らかの処理
    }

    auto end = chrono::high_resolution_clock::now();
    auto duration = chrono::duration_cast<chrono::microseconds>(end - start).count();

    cout << "The process took " << duration << " microseconds." << endl;

    return 0;
}

この例では、std::chrono ライブラリの high_resolution_clock を使用して、より高い精度で処理時間を計測しています。

これにより、マイクロ秒単位での計測が可能となり、より精密な時間分析が行えます。

●よくあるエラーと対処法

C++におけるclock関数を使用する際には、一部の一般的なエラーや問題が発生することがあります。

これらのエラーを理解し、適切に対応する方法を学ぶことは、プログラムの信頼性と効率を向上させるために重要です。

○エラー例とその解決策1:時間が負の値を返す

時に、clock関数は負の値を返すことがあります。

これは、clock関数が返す値がオーバーフローして負になるためです。

特に長時間実行されるアプリケーションではこの問題が発生しやすいです。

解決策としては、プログラムの実行時間が長くなることが予想される場合には、より大きなデータ型を使用するか、または別の時間計測方法を検討することが推奨されます。

例えば、std::chrono ライブラリを使用することで、より安定した時間計測が可能です。

#include <chrono>
#include <iostream>

int main() {
    auto start = std::chrono::high_resolution_clock::now();

    // 長時間実行される処理
    for (int i = 0; i < 1000000000; i++) {}

    auto end = std::chrono::high_resolution_clock::now();
    auto duration = std::chrono::duration_cast<std::chrono::seconds>(end - start);

    std::cout << "Duration: " << duration.count() << " seconds." << std::endl;

    return 0;
}

このコードは、std::chrono を使用して実行時間を秒で計測しており、時間が負の値を返す問題を回避できます。

○エラー例とその解決策2:OSによる違いに対応する

clock関数はオペレーティングシステムによってその挙動が異なる可能性があります。

特に、UNIX系とWindows系では、時間の単位や精度が異なることがあります。

プラットフォーム間で一貫した結果を得るための一つの方法は、プラットフォーム固有のAPIを利用することです。

または、移植性を高めるためにstd::chronoのようなC++11以降の標準ライブラリを利用する方法もあります。

下記のサンプルコードは、異なるプラットフォームでも一貫した挙動を表す時間計測方法を紹介します。

#include <chrono>
#include <iostream>
#include <thread>

void process() {
    std::this_thread::sleep_for(std::chrono::seconds(1));  // 1秒間の処理を模擬
}

int main() {
    auto start = std::chrono::steady_clock::now();

    process();

    auto end = std::chrono::steady_clock::now();
    auto duration = std::chrono::duration_cast<std::chrono::milliseconds>(end - start);

    std::cout << "Processed in " << duration.count() << " milliseconds." << std::endl;

    return 0;
}

このコードでは、std::chrono::steady_clock を使用しており、システムの時間変更の影響を受けにくいため、より安定した計測が可能です。

この方法により、異なるOSでの開発でも一貫性を持たせることができます。

●clock関数の応用例

C++のclock関数は、単にプログラムの実行時間を計測するだけでなく、さまざまな応用が可能です。

リアルタイムシステムの開発や、複数のイベントを同時にトラッキングする場面などで、この関数の応用を考慮することが重要です。

○サンプルコード6:リアルタイムユーザーインターフェイスの応答時間を改善する

ユーザーインターフェイスの応答性は、アプリケーションのユーザーエクスペリエンスに直接影響を与える重要な要素です。

下記のサンプルコードは、ユーザーインターフェイスのイベント処理において、特定の操作の実行時間を計測し、その情報をもとにパフォーマンスの最適化を行う方法を表しています。

#include <iostream>
#include <ctime>

void updateUserInterface() {
    // UI更新のダミー処理
    for (int i = 0; i < 1000000; i++) {}
}

int main() {
    clock_t start = clock();

    updateUserInterface();  // UIの更新処理を実行

    clock_t end = clock();
    double elapsed = double(end - start) / CLOCKS_PER_SEC;

    std::cout << "UI update took " << elapsed << " seconds." << std::endl;

    return 0;
}

このコードは、ユーザーインターフェイスを更新する処理の実行時間を秒単位で計測し、その結果を通じてどの部分が最適化の対象であるかを判断するのに役立ちます。

○サンプルコード7:複数のタイマーを管理する高度な使用法

大規模なアプリケーションやゲームでは、複数のタイマーを同時に管理し、それぞれのイベントが発生するタイミングを正確に制御する必要があります。

下記のサンプルでは、複数のタイマーを利用して、異なるタスクの実行を計画的に行う方法を表しています。

#include <iostream>
#include <ctime>
#include <vector>

struct Timer {
    clock_t start;
    double duration;  // seconds
};

void processTask(int id) {
    // タスク処理のダミー
    for (int i = 0; i < 500000 * id; i++) {}
}

int main() {
    std::vector<Timer> timers(3);

    // 各タイマーを設定
    for (int i = 0; i < timers.size(); i++) {
        timers[i].start = clock();
        timers[i].duration = (i + 1) * 0.5;  // 時間を段階的に増加
    }

    // タスク処理
    for (int i = 0; i < timers.size(); i++) {
        processTask(i + 1);
        clock_t now = clock();
        double elapsed = double(now - timers[i].start) / CLOCKS_PER_SEC;

        if (elapsed >= timers[i].duration) {
            std::cout << "Timer " << i + 1 << ": " << elapsed << " seconds passed, task completed." << std::endl;
        }
    }

    return 0;
}

このコード例では、各タスクが指定された時間内に完了するかを監視し、その情報をもとにシステムの動作を調整します。

これにより、リアルタイムでのイベント管理が可能となり、アプリケーションの効率が向上します。

●プログラミングの豆知識

プログラミングには多くの豆知識がありますが、特にC++のclock関数を使う際に役立つ知識をいくつか紹介します。

これらの情報は、より効率的なコードを書くのに役立つだけでなく、プログラミングスキルの向上にも寄与します。

○豆知識1:clock関数とCPUクロックサイクルの関係

clock関数は、プログラムが消費するプロセッサ時間の計測に使用されますが、この関数が計測する時間は実際の壁時計の時間とは異なります。

プロセッサのクロックサイクルと密接に関連しており、このクロックサイクルはプロセッサの速度に依存するため、異なるマシンや環境では同じプログラムが異なる結果を示すことがあります。

プログラムのパフォーマンスを正確に理解するためには、この点を理解しておく必要があります。

異なるハードウェアでプログラムを実行した際のパフォーマンスを比較する場合、単純に時間を比較するのではなく、それぞれのCPUクロックサイクルも考慮に入れることが重要です。

○豆知識2:異なるコンパイラとの互換性

C++のコンパイラは多種多様であり、MicrosoftのVisual C++、GNU Compiler Collection (GCC)、Clangなどがあります。

これらのコンパイラでは、内部の最適化処理やサポートするC++のバージョンが異なるため、同じソースコードでも異なるコンパイラでコンパイルするとパフォーマンスが異なることがあります。

また、特定のプラットフォーム専用の拡張機能を利用している場合、他のプラットフォームやコンパイラで問題が発生する可能性があります。

クロスプラットフォームのアプリケーションを開発する場合は、標準的なC++コードを使用し、プラットフォーム依存のコードは最小限に抑えることが望ましいです。

下記のサンプルコードは、異なるコンパイラで同じ結果を得るための基本的な構造を表しています。

#include <iostream>

int main() {
    std::cout << "Compiler-independent behavior ensures broad compatibility." << std::endl;
    return 0;
}

このコードは非常にシンプルですが、どの標準準拠のC++コンパイラでも同じ出力を生成します。

コンパイラ間の互換性を保つためには、非標準の機能や拡張を避け、C++の標準ライブラリを活用することが重要です。

これにより、ソースコードのポータビリティとメンテナンス性が向上します。

まとめ

この記事では、C++のclock関数の基本的な使い方から応用例までを詳しく解説しました。

clock関数はプログラムの性能測定に非常に有用であり、その正確な使い方を理解することで、より効率的なプログラミングが可能になります。

また、異なるプラットフォームやコンパイラ間での互換性を考慮することも重要です。

これらの知識を活用して、さまざまな状況に適応する柔軟なコーディングスキルを身につけましょう。