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Pythonで理解!有限要素法の10段階マスター法

Pythonで有限要素法を学ぶ10段階ガイドのサムネイル画像 Python
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この記事では、プログラムの基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

本記事のサンプルコードを活用して機能追加、目的を達成できるように作ってありますので、是非ご活用ください。

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はじめに

有限要素法は、複雑な形状や物性を持つ物体の物理的挙動を計算するための強力な手段です。

しかし、理論の理解だけでなく、実際の計算方法もマスターすることが求められます。

本記事では、プログラミング言語Pythonを使って、有限要素法を段階的に学んでいきます。

Pythonの環境設定から、有限要素法の基本的な数式の取り扱い、具体的な応用例まで、一歩ずつ進めていきましょう。

●Pythonとは

Pythonは、コードがシンプルで読みやすく、また多くの科学計算ライブラリが存在するため、科学技術計算の現場で広く用いられています。

その一方で、初心者でも習得しやすい特性を持っており、有限要素法を学ぶ上でも最適なプログラミング言語といえます。

●有限要素法とは

有限要素法は、連続体を離散化した「有限要素」に分割し、それぞれの要素で物理的挙動を近似計算する手法です。

力学、熱伝導、流体力学など、幅広い分野で応用されています。

●Pythonで有限要素法を理解するための準備

○Pythonの環境設定

まずは、Pythonの環境設定から始めましょう。

Pythonの最新版は、公式ウェブサイトからダウンロード可能です。

また、コードの記述や実行はJupyter Notebookを用いると便利です。

○必要なライブラリのインストール

次に、Pythonで有限要素法を学ぶために必要なライブラリをインストールします。

計算にはNumpy、グラフの作成にはMatplotlibが便利です。

Pythonのパッケージ管理ツールpipを使って、次のコマンドでインストールできます。

pip install numpy matplotlib

このコードでは、pipというPythonのパッケージ管理ツールを用いて、必要なライブラリであるnumpyとmatplotlibをインストールしています。

これらのライブラリは、数値計算やグラフ描画を効率的に行うためのものです。

●Pythonと有限要素法の基本

○基本的な数式の扱い

有限要素法を理解するためには、行列やベクトルの扱いに慣れる必要があります。

Numpyを使うと、Pythonでもこれらの数式を効率よく扱うことができます。

例えば、行列Aとベクトルbの積を求めるには、次のように書くことができます。

import numpy as np

A = np.array([[1, 2], [3, 4]])
b = np.array([5, 6])
result = np.dot(A, b)

このコードでは、まずnumpyをnpという名前でインポートしています。

次に、2次元の行列Aとベクトルbをnumpyのarrayオブジェクトとして作成します。

最後に、numpyのdot関数を用いて行列Aとベクトルbの積を計算しています。

実行すると、結果はarray([17, 39])となります。

これは、数式で表すと[1*5 + 2*6, 3*5 + 4*6] = [17, 39]という計算が行われたことを意味します。

○有限要素法の基本概念

有限要素法は、物体を小さな「要素」に分割し、各要素での物理的な挙動を近似的に計算します。

その結果を全体で統合することで、全体の挙動を推定します。

要素の形状や数、設定する境界条件や物性値によって、計算結果の精度が決まります。

●Pythonで有限要素法を用いた計算

Pythonを使用して有限要素法を用いた計算を行うことは、物理現象のシミュレーションにとって重要なステップです。

ここでは、1次元および2次元の有限要素法についてのサンプルコードを提供します。

これらのコードを使用すれば、あなた自身で有限要素法を用いて具体的な計算を行うことが可能になります。

○サンプルコード1:1次元有限要素法

1次元有限要素法の基本を掴むための最初のサンプルコードです。

このコードでは、numpyとmatplotlibという2つのライブラリを使用して1次元有限要素法の計算を行います。

numpyは行列計算を効率的に行うためのライブラリであり、matplotlibは計算結果を視覚的に表示するためのライブラリです。

import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt

# パラメータ設定
N = 100  # 要素数
L = 10.0  # 領域の長さ
h = L / N  # 要素の長さ

# 行列とベクトルの初期化
K = np.zeros((N+1, N+1))  # 剛性行列
F = np.zeros(N+1)  # 荷重ベクトル

# 剛性行列と荷重ベクトルの計算
for i in range(N):
    K[i][i] += 1/h
    K[i+1][i+1] += 1/h
    K[i][i+1] -= 1/h
    K[i+1][i] -= 1/h

# 境界条件の処理
K[0][0] = 1.0
K[0][1] = 0.0
K[N][N] = 1.0
K[N][N-1] = 0.0
F[0] = 0.0
F[N] = 1.0

# 方程式を解く
u = np.linalg.solve(K, F)

# 結果をプロット
x = np.linspace(0, L, N+1)
plt.plot(x, u)
plt.show()

このコードでは、有限要素法による1次元弾性問題を解いています。

領域の左端は固定され、右端には単位荷重が加えられています。

境界条件を設定した後、剛性行列Kと荷重ベクトルFを用いて連立方程式を解きます。その結果をグラフに描画して表示します。

○サンプルコード2:2次元有限要素法

次に、2次元の有限要素法に挑戦します。

このコードでは、Pythonのライブラリであるscipyとmatplotlibを用いて、2次元有限要素法の計算を行います。

ここではさらに大きな範囲で有限要素法を使用して計算を行い、その結果をヒートマップで可視化します。

import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
from scipy.sparse import lil_matrix, csr_matrix
from scipy.sparse.linalg import spsolve

# パラメータ設定
N = 30  # 要素数
L = 1.0  # 領域の一辺の長さ
h = L / N  # 要素の長さ
NN = (N+1)*(N+1)  # 全節点数

# 行列とベクトルの初期化
K = lil_matrix((NN, NN))  # 剛性行列
F = np.zeros(NN)  # 荷重ベクトル

# 剛性行列と荷重ベクトルの計算
for i in range(N):
    for j in range(N):
        # 4つの節点番号
        n0 = i*(N+1)+j
        n1 = n0+1
        n2 = n1+N+1
        n3 = n0+N+1
        # 剛性行列
        K[n0,n0] += 1/h
        K[n1,n1] += 1/h
        K[n2,n2] += 1/h
        K[n3,n3] += 1/h
        K[n0,n1] -= 1/h
        K[n0,n3] -= 1/h
        K[n1,n0] -= 1/h
        K[n1,n2] -= 1/h
        K[n2,n1] -= 1/h
        K[n2,n3] -= 1/h
        K[n3,n0] -= 1/h
        K[n3,n2] -= 1/h

# 境界条件の処理
for i in range(NN):
    if i%(N+1)==0 or i%(N+1)==N or i//(N+1)==0 or i//(N+1)==N:
        K[i,:] = 0
        K[i,i] = 1
        F[i] = 0

# 方程式を解く
K = csr_matrix(K)
u = spsolve(K, F)

# 結果をプロット
u = u.reshape(N+1, N+1)
plt.imshow(u, cmap="jet", origin="lower", extent=[0, L, 0, L])
plt.colorbar()
plt.show()

このコードでは2次元平面上の熱伝導問題を解いています。

四辺を固定温度(ここでは0)に保ち、その内部の熱分布を計算しています。

剛性行列Kと荷重ベクトルFを用いて連立方程式を解き、その結果を色の濃淡で表示するヒートマップを作成しています。

“Pythonで理解!有限要素法の10段階マスター法”と題したこの記事では、Pythonを使用して有限要素法を学ぶための10段階の詳細なガイドを提供します。初心者から中級者まで、この記事で一から理解を深めていきましょう。

●Pythonで有限要素法の応用例

それでは、Pythonで有限要素法の応用例を見ていきましょう。

○サンプルコード3:熱伝導問題

有限要素法は物理問題、特に熱伝導問題の解析によく用いられます。

次のサンプルコードは、2次元領域における非定常熱伝導問題を解くためのものです。

このコードでは、numpyとscipyライブラリを用いて時間発展を計算し、matplotlibを用いてその結果を可視化します。

import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
from scipy.sparse import diags

# パラメータ設定
N = 50  # 要素数
L = 1.0  # 領域の一辺の長さ
h = L / N  # 要素の長さ
T = 0.01  # 終了時間
dt = 0.0001  # 時間ステップ
alpha = 0.01  # 熱伝導係数
k = alpha * dt / (h**2)  # 定数

# 初期条件
u = np.zeros((N+1, N+1))
u[N//2-5:N//2+5, N//2-5:N//2+5] = 100  # 中央部を100度にする

# メインループ
for _ in range(int(T/dt)):
    u_old = u.copy()
    for i in range(1, N):
        for j in range(1, N):
            u[i, j] = u_old[i, j] + k * (u_old[i-1, j] + u_old[i+1, j] + u_old[i, j-1] + u_old[i, j+1] - 4*u_old[i, j])

# 結果をプロット
plt.imshow(u, cmap="jet", origin="lower", extent=[0, L, 0, L])
plt.colorbar()
plt.show()

このコードでは、2次元平面上の熱伝導問題を解いています。

初期条件として、中央部を100度に設定し、その他の部分を0度に設定します。

時間発展を計算した結果を色の濃淡で表示するヒートマップを作成しています。

結果のヒートマップを見ると、中心部の高温が周囲に伝わっていく様子を視覚的に理解することができます。

○サンプルコード4:構造解析問題

次に、構造解析問題の解析に有限要素法を適用する例を見てみましょう。

このサンプルコードでは、構造体の変位と応力を計算します。

import numpy as np
from scipy.sparse.linalg import cg
from scipy.sparse import csr_matrix

# パラメータ設定
E = 200000  # ヤング率
nu = 0.3  # ポアソン比
thickness = 0.1  # 厚さ
force = 1000  # 力
nodes = np.array([[0, 0], [1, 0], [1, 1], [0, 1]])  # 節点座標
elements = np.array([[0, 1, 2], [0, 2, 3]])  # 要素接続情報
forces = np.zeros((4, 2))  # 力ベクトル
forces[1, 1] = -force
displacements = np.zeros((4, 2))  # 変位ベクトル

# 応力計算関数
def calculate_stress(strain, E, nu):
    lamda = E * nu / ((1 + nu) * (1 - 2 * nu))
    mu = E / (2 * (1 + nu))
    stress = np.zeros((3,))
    stress[0] = (lamda * (strain[0] + strain[1]) + 2 * mu * strain[0])
    stress[1] = (lamda * (strain[0] + strain[1]) + 2 * mu * strain[1])
    stress[2] = mu * strain[2]
    return stress

# 省略...

# 方程式を解く
K = csr_matrix(K)
u, _ = cg(K, F)

# 結果を出力
print("Displacements:")
print(u.reshape((-1, 2)))
stress = calculate_stress(strain, E, nu)
print("Stresses:")
print(stress)

このコードでは、平面応力問題を解いています。

構造体は四角形で、一部に力が加わっています。有限要素法を用いて変位を計算し、さらに変位から応力を計算します。

結果の出力部分では、変位ベクトルと応力ベクトルを表示します。

このように、Pythonで有限要素法を用いると、熱伝導問題や構造解析問題など、様々な物理現象を数値的に解析することができます。

ただし、有限要素法を用いる際にはいくつかの注意点があります。

●Pythonで有限要素法を用いる際の注意点と対処法

  1. 節点と要素の選択:節点と要素の配置

が結果の精度に影響を及ぼします。

一般的に、問題の重要な部分では節点を細かく取ることで精度を高めることができます。

  1. 境界条件の設定:有限要素法の計算では、境界条件の設定が重要となります。
    物理的な境界条件が適切に設定されていないと、結果は意味をなさないものとなります。
  2. ソルバの選択:有限要素法の計算には様々なソルバがあります。
    問題の規模や特性に応じて適切なソルバを選択することが求められます。

これらの注意点を踏まえつつ、Pythonと有限要素法を活用していきましょう。

●Pythonで有限要素法を使いこなすためのカスタマイズ方法

有限要素法は非常に柔軟性が高い数値解析手法であるため、様々なカスタマイズが可能です。

たとえば、要素の形状を変えたり(三角形、四角形、六角形など)、要素の物理的性質を変えたり(弾性、粘性、熱伝導性など)、異なる時間スキームを用いたりすることができます。

●Pythonと有限要素法のさらなる学習資源

この記事では、Pythonを用いた有限要素法の基本的な使用法を紹介しましたが、さらに深く学びたい読者は次の資源を参照することをおすすめします。

  1. Pythonを用いた有限要素法のオープンソースライブラリ:FEniCS, PyFEMなど
  2. Pythonでの数値解析に関する書籍:”Pythonによる科学・技術計算”など
  3. オンラインの教育資源:Coursera, edXなどのMOOCs

これらのリソースを利用すれば、Pythonと有限要素法の知識をさらに深めることができます。

まとめ

Pythonを使用して有限要素法を理解するための10段階のガイドを提供しました。

この記事を通じて、有限要素法の基本概念から具体的な応用例、注意点、カスタマイズ方法まで、Pythonでの有限要素法の使用法を一通り学ぶことができたことでしょう。

Pythonと有限要素法を用いて、あなたの問題解決に役立ててください。