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Pythonでヒストグラムを描画する方法8選

ヒストグラムの徹底解説 Python
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この記事では、プログラムの基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

本記事のサンプルコードを活用して機能追加、目的を達成できるように作ってありますので、是非ご活用ください。

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●Pythonでヒストグラムを描画する意義とは?

データ分析は、情報を視覚化することが非常に重要です。

その中でも、ヒストグラムは特に便利なツールの一つです。

Pythonを使ってヒストグラムを描画する意義について、詳しく見ていきましょう。

○データ分析における重要性

ヒストグラムは、データの分布を視覚的に表現する強力な手段です。

数値データの頻度分布を棒グラフで表すことで、データの特徴を一目で把握することができます。

例えば、ある会社の従業員の年齢分布を考えてみましょう。

単純に平均年齢だけを見ても、全体像は掴みにくいものです。

しかし、ヒストグラムを使えば、20代が多いのか、40代が中心なのか、それとも幅広い年齢層がいるのかといった情報を即座に理解することができます。

また、ヒストグラムは外れ値の検出にも役立ちます。

データの大多数から著しく離れた値があれば、それはヒストグラム上で孤立した棒として現れます。

経験則では、このような外れ値の存在は、データ収集の誤りや特殊なケースを示唆することがあります。

さらに、ヒストグラムを使えば、データの対称性や歪みも視覚的に確認できます。

正規分布に従うデータなら左右対称な山型になりますし、右や左に歪んだ分布も一目瞭然です。

○Pythonを選ぶ理由

Pythonは、データ分析やヒストグラム描画に最適なプログラミング言語の一つです。

その理由をいくつか挙げてみましょう。

まず、Pythonには豊富なデータ分析ライブラリが揃っています。

NumPy、pandas、matplotlibなどの強力なライブラリを使うことで、複雑なデータ処理や可視化を簡単に行うことができます。

次に、Pythonの文法は比較的シンプルで学習しやすいです。

他の言語と比べて、少ないコード行数で多くのことを実現できます。

経験上、これはプログラミング初心者にとって大きな利点となります。

さらに、Pythonは汎用性が高く、データ分析以外の分野でも広く使われています。

ウェブ開発や機械学習など、幅広い分野で活用できるスキルを身につけられます。

最後に、Pythonには活発なコミュニティがあります。

問題に直面したときも、オンラインフォーラムやドキュメンテーションを通じて、素早く解決策を見つけられる可能性が高いです。

ヒストグラム描画におけるPythonの具体的な利点を見てみましょう。

例えば、matplotlibライブラリを使えば、わずか数行のコードでヒストグラムを作成できます。

import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np

# サンプルデータの生成
data = np.random.normal(0, 1, 1000)

# ヒストグラムの描画
plt.hist(data, bins=30)
plt.title('正規分布のヒストグラム')
plt.xlabel('値')
plt.ylabel('頻度')
plt.show()

このコードを実行すると、正規分布に従うランダムデータのヒストグラムが表示されます。

Pythonを使えば、このように簡単にデータを可視化できるのです。

Pythonでヒストグラムを描画する意義は、データの分布を効率的に理解し、分析の質を向上させることにあります。

視覚化によって得られる洞察は、データドリブンな意思決定を支援し、ビジネスや研究に大きな価値をもたらします。

●ヒストグラム描画の基本・matplotlibを使う

Pythonでヒストグラムを描画する際、最も一般的に使用されるライブラリは matplotlib です。

matplotlibは豊富な機能を持ち、高品質なグラフを簡単に作成できます。

ここでは、matplotlibを使用してヒストグラムを描画する基本的な方法を学びましょう。

まずは、簡単なヒストグラムから始めて、徐々に複雑な操作へと進んでいきます。

皆さんも一緒に手を動かしながら、ヒストグラム描画のスキルを磨いていきましょう。

○サンプルコード1:シンプルなヒストグラム

最も基本的なヒストグラムの描画方法から見ていきます。

ランダムなデータを生成し、それを使ってシンプルなヒストグラムを作成してみましょう。

import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np

# ランダムデータの生成
data = np.random.randn(1000)

# ヒストグラムの描画
plt.hist(data)
plt.title('シンプルなヒストグラム')
plt.xlabel('値')
plt.ylabel('頻度')
plt.show()

このコードを実行すると、標準正規分布に従うランダムデータのヒストグラムが表示されます。

np.random.randn(1000)で1000個のデータポイントを生成し、plt.hist(data)でヒストグラムを描画しています。

plt.title()plt.xlabel()plt.ylabel()でグラフにタイトルと軸ラベルを追加しています。

実行結果を見ると、データの分布が視覚的に理解しやすくなっていることがわかります。

中心付近に集中し、両端に行くほど頻度が低くなる、典型的な正規分布の形状が見て取れます。

○サンプルコード2:ビン数の調整

ヒストグラムの見た目や情報量は、ビン(棒)の数によって大きく変わります。

ビン数が少なすぎるとデータの詳細が失われ、多すぎるとノイズが目立ってしまいます。

適切なビン数を選ぶことが、効果的なデータ可視化の鍵となります。

では、ビン数を調整する方法を見てみましょう。

import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np

# ランダムデータの生成
data = np.random.randn(1000)

# ビン数を変えて描画
fig, (ax1, ax2, ax3) = plt.subplots(1, 3, figsize=(15, 5))

ax1.hist(data, bins=5)
ax1.set_title('ビン数: 5')

ax2.hist(data, bins=20)
ax2.set_title('ビン数: 20')

ax3.hist(data, bins=50)
ax3.set_title('ビン数: 50')

plt.tight_layout()
plt.show()

このコードでは、同じデータに対して異なるビン数(5, 20, 50)でヒストグラムを描画しています。

plt.subplots()を使用して3つのサブプロットを作成し、それぞれに異なるビン数でヒストグラムを描画しています。

実行結果を見比べると、ビン数による違いが明確に分かります。

ビン数が5の場合はデータの大まかな傾向しか分かりませんが、20や50になるとより細かい分布の特徴が見えてきます。

ただし、ビン数が多すぎると個々のデータポイントの影響が強く出てしまい、全体的な傾向が分かりにくくなる可能性もあります。

適切なビン数の選択は、データの性質や分析の目的によって変わってきます。

一般的には、データ数の平方根を取った値を目安にすることが多いですが、実際にはいくつかの異なるビン数で試してみて、最も適切なものを選ぶのがよいでしょう。

○サンプルコード3:カラーとスタイルのカスタマイズ

ヒストグラムの見た目は、色やスタイルを変更することでさらに改善できます。

データの特性を強調したり、複数のデータセットを比較したりする際に役立ちます。

カラーとスタイルをカスタマイズする方法を見ていきましょう。

import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np

# 2つのデータセットを生成
data1 = np.random.normal(0, 1, 1000)
data2 = np.random.normal(2, 1.5, 1000)

# ヒストグラムの描画
plt.hist(data1, bins=30, alpha=0.7, color='skyblue', edgecolor='black', label='データ1')
plt.hist(data2, bins=30, alpha=0.7, color='salmon', edgecolor='black', label='データ2')

plt.title('カスタマイズされたヒストグラム', fontsize=16)
plt.xlabel('値', fontsize=12)
plt.ylabel('頻度', fontsize=12)
plt.legend()
plt.grid(True, linestyle='--', alpha=0.7)

plt.show()

このコードでは、2つの異なる正規分布に従うデータセットを生成し、それぞれ異なる色で描画しています。alphaパラメータで透明度を設定し、edgecolorで棒の縁の色を指定しています。

また、labelパラメータでラベルを設定し、plt.legend()で凡例を表示しています。

さらに、plt.grid()でグリッド線を追加し、タイトルやラベルのフォントサイズも調整しています。

実行結果を見ると、2つのデータセットの違いが一目瞭然です。

データ1(青)は平均0、標準偏差1の標準正規分布に従っているのに対し、データ2(赤)は平均2、標準偏差1.5のより広がった分布になっています。

●pandasを活用したヒストグラム描画

データ分析の現場では、多くの場合、整形されたデータセットを扱います。

そんな時に重宝するのが、pandasライブラリです。

pandasは、データフレームという形式でデータを扱うことができ、効率的なデータ操作と分析が可能になります。

ここでは、pandasを使ってヒストグラムを描画する方法を学んでいきましょう。

○サンプルコード4:DataFrameからのヒストグラム

実際のデータ分析シナリオに近づけるため、架空の売上データを使ってヒストグラムを描画してみます。

pandasのDataFrameを使うと、複数の列を持つデータを簡単に扱えるのが特徴です。

import pandas as pd
import matplotlib.pyplot as plt

# サンプルデータの作成
data = {
    '商品A': [100, 150, 200, 120, 180, 210, 165, 140, 190, 130],
    '商品B': [80, 120, 160, 90, 140, 170, 130, 110, 150, 100],
    '商品C': [200, 250, 300, 220, 280, 310, 265, 240, 290, 230]
}

df = pd.DataFrame(data)

# ヒストグラムの描画
df['商品A'].hist(bins=5, edgecolor='black')
plt.title('商品Aの売上分布')
plt.xlabel('売上金額')
plt.ylabel('頻度')
plt.show()

このコードでは、まず3つの商品の売上データをディクショナリ形式で用意し、それをpd.DataFrame()でDataFrameに変換しています。

そして、df[‘商品A’].hist()を使って商品Aの売上データのヒストグラムを描画しています。

実行結果を見ると、商品Aの売上分布が視覚的に理解しやすくなっています。

例えば、150から200の間の売上が最も多いことがわかります。

pandasのDataFrameを使うメリットは、データの操作や前処理が簡単に行えることです。

例えば、特定の条件でデータをフィルタリングしたり、複数の列を組み合わせた新しい特徴量を作成したりすることができます。

○サンプルコード5:複数の列を比較

次に、複数の商品の売上分布を同時に比較してみましょう。

pandasとmatplotlibを組み合わせることで、複数の列のヒストグラムを簡単に描画できます。

import pandas as pd
import matplotlib.pyplot as plt

# サンプルデータの作成(前回と同じ)
data = {
    '商品A': [100, 150, 200, 120, 180, 210, 165, 140, 190, 130],
    '商品B': [80, 120, 160, 90, 140, 170, 130, 110, 150, 100],
    '商品C': [200, 250, 300, 220, 280, 310, 265, 240, 290, 230]
}

df = pd.DataFrame(data)

# 複数の列のヒストグラムを描画
df.hist(bins=5, edgecolor='black')
plt.tight_layout()  # グラフ間の余白を調整
plt.suptitle('商品別の売上分布比較', fontsize=16)
plt.show()

このコードでは、df.hist()を使って、DataFrameの全ての列のヒストグラムを一度に描画しています。

plt.tight_layout()を使うことで、グラフ間の余白を自動調整し、見やすいレイアウトにしています。

実行結果を見ると、3つの商品の売上分布が並んで表示され、一目で比較することができます。

例えば、商品Cは他の商品に比べて全体的に売上が高く、分布の幅も広いことがわかります。

●高度なヒストグラム技法

ヒストグラムの基本を押さえたところで、より高度な技法に挑戦してみましょう。

データ分析の現場では、単純なヒストグラムだけでなく、様々な工夫を凝らしたヒストグラムが使われています。

正規化されたヒストグラム、重ね合わせヒストグラム、そして2次元ヒストグラムなど、状況に応じて適切な手法を選ぶことで、データの深い洞察を得ることができます。

○サンプルコード6:正規化されたヒストグラム

正規化されたヒストグラムは、データの総数に関係なく、異なるデータセット間で分布を比較したい場合に非常に有効です。

例えば、異なる規模の会社の売上データを比較する際に使用できます。

import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt

# 2つの異なる規模の会社の売上データをシミュレート
company_a = np.random.normal(1000, 200, 1000)  # 平均1000、標準偏差200の正規分布
company_b = np.random.normal(1200, 250, 1500)  # 平均1200、標準偏差250の正規分布

# 正規化されたヒストグラムを描画
plt.hist(company_a, bins=30, alpha=0.5, density=True, label='会社A')
plt.hist(company_b, bins=30, alpha=0.5, density=True, label='会社B')

plt.xlabel('売上 (万円)')
plt.ylabel('正規化された頻度')
plt.title('会社AとBの売上分布比較(正規化)')
plt.legend()
plt.show()

このコードでは、density=Trueパラメータを使用して正規化されたヒストグラムを描画しています。

y軸は頻度ではなく、確率密度を表しています。

結果として、異なるサンプルサイズのデータセットでも、分布の形状を直接比較することができます。

実行結果を見ると、会社Aと会社Bの売上分布の形状の違いが明確に表れています。

会社Bの方が全体的に高い売上を示していますが、同時にばらつきも大きいことがわかります。

○サンプルコード7:重ね合わせヒストグラム

重ね合わせヒストグラムは、複数のデータセットの分布を同時に比較する際に便利です。

例えば、異なる製品カテゴリーの売上分布を比較する場合に使用できます。

import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt

# 3つの製品カテゴリーの売上データをシミュレート
category_a = np.random.normal(1000, 200, 1000)
category_b = np.random.normal(1200, 250, 1000)
category_c = np.random.normal(800, 150, 1000)

# 重ね合わせヒストグラムを描画
plt.hist([category_a, category_b, category_c], bins=30, 
         label=['カテゴリーA', 'カテゴリーB', 'カテゴリーC'],
         alpha=0.7, stacked=True)

plt.xlabel('売上 (万円)')
plt.ylabel('頻度')
plt.title('製品カテゴリー別売上分布(重ね合わせ)')
plt.legend()
plt.show()

このコードでは、plt.hist()関数に複数のデータセットをリストとして渡し、stacked=Trueパラメータを使用して重ね合わせヒストグラムを描画しています。

各カテゴリーのデータは異なる色で表示され、積み重ねられています。

実行結果を見ると、3つのカテゴリーの売上分布が一目で比較できます。

カテゴリーBが最も高い売上を示していますが、カテゴリーAとCも重要な貢献をしていることがわかります。

○サンプルコード8:2次元ヒストグラム

2次元ヒストグラムは、2つの変数間の関係を視覚化するのに役立ちます。

例えば、商品の価格と販売数量の関係を調べる場合に使用できます。

import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt

# 商品の価格と販売数量のデータをシミュレート
prices = np.random.normal(1000, 200, 1000)
quantities = np.random.normal(50, 10, 1000) - prices * 0.02  # 価格が高いほど数量が少し減少

# 2次元ヒストグラムを描画
plt.hist2d(prices, quantities, bins=30, cmap='YlOrRd')
plt.colorbar(label='頻度')

plt.xlabel('価格 (円)')
plt.ylabel('販売数量')
plt.title('商品の価格と販売数量の関係')
plt.show()

このコードでは、plt.hist2d()関数を使用して2次元ヒストグラムを描画しています。

x軸に価格、y軸に販売数量を取り、色の濃さで頻度を表現しています。

また、plt.colorbar()で色の凡例を追加しています。

実行結果を見ると、価格と販売数量の関係が視覚的に理解できます。

価格が高くなるにつれて販売数量が減少する傾向が見て取れます。

高度なヒストグラム技法を使いこなすことで、データの奥深い分析が可能になります。

正規化されたヒストグラムは異なるスケールのデータを比較する際に、重ね合わせヒストグラムは複数のカテゴリーを同時に比較する際に、そして2次元ヒストグラムは2つの変数間の関係を探る際に、それぞれ威力を発揮します。

●ヒストグラム描画時のよくあるエラーと対処法

Pythonでヒストグラムを描画する際、時として予期せぬエラーに遭遇することがあります。しかし、落胆する必要はありません。

エラーは学習の機会であり、それを解決することで、より深くPythonとデータ可視化を理解することができます。

ここでは、頻繁に遭遇するエラーとその対処法について詳しく見ていきましょう。

○「ValueError: bins must increase monotonically」の解決

このエラーは、ビンの設定が適切でない場合に発生します。

具体的には、ビンの境界値が単調増加していない場合に起こります。

例えば、次のようなコードでエラーが発生する可能性があります。

import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np

data = np.random.randn(1000)
plt.hist(data, bins=[0, 1, 0.5, 2])
plt.show()

このコードを実行すると、「ValueError: bins must increase monotonically」というエラーメッセージが表示されます。

エラーの原因は、ビンの境界値が[0, 1, 0.5, 2]と、単調増加していないことにあります。

解決策は、ビンの境界値を適切に設定することです。

次のように修正しましょう。

import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np

data = np.random.randn(1000)
plt.hist(data, bins=[0, 0.5, 1, 2])
plt.show()

このように、ビンの境界値を単調増加するように設定することで、エラーを解消できます。

実行結果では、正常にヒストグラムが描画されるはずです。

○メモリ不足エラーへの対応

大規模なデータセットを扱う際、メモリ不足エラーに遭遇することがあります。

特に、高次元のデータや大量のサンプルを含むデータセットでこの問題が顕著になります。

例えば、次のようなコードでメモリ不足エラーが発生する可能性があります。

import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt

# 非常に大きなデータセットを生成
data = np.random.randn(10000000)

# ヒストグラムを描画しようとする
plt.hist(data, bins=1000000)
plt.show()

このコードを実行すると、メモリ不足エラーが発生する可能性が高いです。

解決策としては、データのサブサンプリングやビン数の削減が考えられます。

import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt

# 非常に大きなデータセットを生成
data = np.random.randn(10000000)

# データをサブサンプリング
sampled_data = data[np.random.choice(data.shape[0], 100000, replace=False)]

# ヒストグラムを描画
plt.hist(sampled_data, bins=1000)
plt.show()

このコードでは、元のデータから100,000個のサンプルをランダムに選択し、ビン数も1,000に減らしています。

これで、メモリ使用量を大幅に削減しつつ、元のデータの分布を近似的に表現することができます。

実行結果を見ると、大規模なデータセットでもスムーズにヒストグラムが描画されることが分かります。

データのサブサンプリングは、元の分布の特性を保持しつつ、計算効率を向上させる有効な手法です。

○軸ラベルが切れる問題の修正

ヒストグラムを描画する際、軸ラベルが図の外にはみ出してしまう問題に遭遇することがあります。

特に、長いラベルや大きなフォントサイズを使用する場合に発生しやすい問題です。

例えば、次のようなコードで軸ラベルが切れる問題が発生する可能性があります。

import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np

data = np.random.randn(1000)
plt.figure(figsize=(8, 6))
plt.hist(data, bins=30)
plt.xlabel('とても長い軸ラベルですがこれは切れてしまうかもしれません')
plt.ylabel('頻度 (非常に長いラベル)')
plt.title('軸ラベルが切れる問題の例')
plt.show()

このコードを実行すると、x軸やy軸のラベルが図の外にはみ出してしまう可能性があります。

解決策としては、plt.tight_layout()を使用するか、図のサイズを調整することが考えられます。

import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np

data = np.random.randn(1000)
plt.figure(figsize=(10, 8))  # 図のサイズを大きくする
plt.hist(data, bins=30)
plt.xlabel('とても長い軸ラベルですがこれは切れないはずです')
plt.ylabel('頻度 (非常に長いラベル)')
plt.title('軸ラベルが切れる問題の解決例')
plt.tight_layout()  # レイアウトを自動調整
plt.show()

このコードでは、figureのサイズを大きくし、plt.tight_layout()を使用してレイアウトを自動調整しています。

これで、軸ラベルが切れることなく、きれいに表示されます。

実行結果を見ると、長い軸ラベルでも問題なく表示されていることが確認できます。

plt.tight_layout()は、図の要素が重ならないように自動的にレイアウトを調整してくれる便利な関数です。

●Pythonヒストグラムの応用例

Pythonを使ったヒストグラム描画の基本と高度な技法を学んできました。

では、実際のビジネスや研究の場面で、ヒストグラムがどのように活用されているのでしょうか。

ここでは、金融データの分析、画像処理、そして機械学習モデルの評価という3つの分野での応用例を見ていきましょう。

こうした実践的な例を通じて、ヒストグラムの威力と汎用性を実感できると思います。

○金融データの分析

金融分野では、株価の変動や投資リターンの分布を理解するためにヒストグラムが頻繁に使用されます。

例えば、ある株式の日次リターンの分布を可視化してみましょう。

import yfinance as yf
import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np

# Apple社の株価データを取得
ticker = yf.Ticker("AAPL")
hist = ticker.history(period="1y")

# 日次リターンを計算
returns = hist['Close'].pct_change().dropna()

# ヒストグラムを描画
plt.figure(figsize=(10, 6))
plt.hist(returns, bins=50, edgecolor='black')
plt.title('Apple社の日次リターン分布 (過去1年間)')
plt.xlabel('日次リターン')
plt.ylabel('頻度')

# 正規分布との比較
mu, std = returns.mean(), returns.std()
x = np.linspace(mu - 3*std, mu + 3*std, 100)
plt.plot(x, stats.norm.pdf(x, mu, std) * len(returns) * (returns.max() - returns.min()) / 50, 
         color='red', linewidth=2)

plt.show()

このコードでは、yfinanceライブラリを使用してApple社の株価データを取得し、日次リターンの分布をヒストグラムで表示しています。

さらに、正規分布との比較も行っています。

実行結果を見ると、リターンの分布が正規分布からややずれていることがわかります。正規分布よりも中心部分が尖っており、裾野が広くなっています。

このような分析は、リスク管理や投資戦略の立案に重要な洞察を与えてくれます。

○画像処理での使用

画像処理の分野では、ヒストグラムは画像の輝度分布や色分布を分析するのに使用されます。

例えば、グレースケール画像の輝度ヒストグラムを描画してみましょう。

import matplotlib.pyplot as plt
from skimage import io, color

# サンプル画像を読み込み
image = io.imread('sample_image.jpg')

# グレースケールに変換
gray_image = color.rgb2gray(image)

# ヒストグラムを描画
plt.figure(figsize=(12, 6))

plt.subplot(1, 2, 1)
plt.imshow(gray_image, cmap='gray')
plt.title('グレースケール画像')
plt.axis('off')

plt.subplot(1, 2, 2)
plt.hist(gray_image.ravel(), bins=256, range=(0, 1), density=True)
plt.title('輝度ヒストグラム')
plt.xlabel('輝度値')
plt.ylabel('頻度')

plt.tight_layout()
plt.show()

このコードでは、scikit-imageライブラリを使用して画像を読み込み、グレースケールに変換しています。

その後、画像の輝度値のヒストグラムを描画しています。

実行結果では、元の画像と輝度ヒストグラムが並んで表示されます。

ヒストグラムから、画像の明るさの分布や、コントラストの特徴を読み取ることができます。

例えば、ヒストグラムが広く分布している場合はコントラストが高く、狭く集中している場合はコントラストが低いと判断できます。

○機械学習モデルの評価

機械学習の分野では、モデルの予測誤差や残差の分布を分析するためにヒストグラムが使用されます。

例えば、回帰モデルの残差分布を可視化してみましょう。

from sklearn.datasets import make_regression
from sklearn.linear_model import LinearRegression
import matplotlib.pyplot as plt

# サンプルデータを生成
X, y = make_regression(n_samples=1000, n_features=1, noise=20, random_state=42)

# 線形回帰モデルを学習
model = LinearRegression()
model.fit(X, y)

# 予測と残差の計算
y_pred = model.predict(X)
residuals = y - y_pred

# 残差のヒストグラムを描画
plt.figure(figsize=(10, 6))
plt.hist(residuals, bins=50, edgecolor='black')
plt.title('線形回帰モデルの残差分布')
plt.xlabel('残差')
plt.ylabel('頻度')

# 正規分布との比較
mu, std = np.mean(residuals), np.std(residuals)
x = np.linspace(mu - 3*std, mu + 3*std, 100)
plt.plot(x, stats.norm.pdf(x, mu, std) * len(residuals) * (max(residuals) - min(residuals)) / 50, 
         color='red', linewidth=2)

plt.show()

このコードでは、scikit-learnライブラリを使用して回帰問題のサンプルデータを生成し、線形回帰モデルを学習しています。

その後、予測と実際の値の差(残差)のヒストグラムを描画しています。

実行結果を見ると、残差の分布が正規分布に近いことがわかります。

正規分布からの大きなずれがある場合、モデルの仮定が適切でない可能性や、重要な特徴量が欠けている可能性があります。

まとめ

Pythonを使ったヒストグラム描画について、基礎から応用まで幅広く解説してきました。

このスキルは、データ分析や機械学習プロジェクトにおいて非常に重要な役割を果たします。

データの分布を視覚化し、その特性を理解することは、適切なモデルの選択、異常値の検出、意思決定支援など、多岐にわたる場面で力を発揮します。

今回の学びを基礎として、さらなるスキルアップを目指してください。