【COBOL】サブルーチンをマスターする11ステップを解説

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この記事では、プログラムの基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

基本的な知識があればカスタムコードを使って機能追加、目的を達成できるように作ってあります。

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はじめに

COBOL(Common Business-Oriented Language)は、ビジネス向けのプログラミング言語として広く使用されています。

この記事では、COBOLの基本的な概念から、サブルーチンの詳細な使い方までを、初心者にも理解しやすく解説します。

COBOLは、その独特の構文と強力な処理能力で、特に大規模なデータ処理において優れた性能を発揮します。

この記事を読むことで、COBOLの基本的な知識を身につけ、サブルーチンの作成や利用に必要なスキルを習得できるようになります。

●COBOLとは

COBOLは、1959年に開発された歴史あるプログラミング言語です。主にビジネス、財務、および行政分野でのデータ処理に使用されています。

COBOLは、その名の通り「ビジネス指向」の言語であり、英語に近い構文を有しているため、非技術者にも理解しやすい特徴があります。

また、COBOLは堅牢なエラー処理能力と、大量のデータを扱う際の効率の良さで知られています。

○COBOLの歴史

COBOLは、コンピュータの黎明期に開発された言語の一つです。

その開発は、より多くの人々にコンピュータプログラミングを容易にすることを目的としていました。

初期のコンピュータ言語は、主に科学技術計算用途に使われていましたが、COBOLはビジネス用途に特化していました。

これは、当時のビジネス界においては画期的なことであり、その結果、COBOLはビジネスデータ処理の主要言語として広く普及しました。

○COBOLの特徴と利点

COBOLの最大の特徴は、その読みやすい自然言語に近い構文です。

これにより、プログラミングの経験が少ない人でも理解しやすく、学習のハードルが低くなっています。

また、COBOLは大規模なデータベースやファイル処理システムを扱うのに適しており、金融機関や政府機関など、大量のデータを扱う必要がある場所で重宝されています。

さらに、COBOLは堅牢なエラー処理機能を持ち、プログラムの信頼性を高めることができます。

●COBOLの基本構造

COBOLの基本構造は、他の多くのプログラミング言語と比べてユニークです。

COBOLプログラムは、主に四つの部分、すなわちIDENTIFICATION DIVISION, ENVIRONMENT DIVISION, DATA DIVISION, そしてPROCEDURE DIVISIONから構成されます。

IDENTIFICATION DIVISIONはプログラムの識別情報、ENVIRONMENT DIVISIONはプログラムが実行される環境に関する設定、DATA DIVISIONは変数の宣言やデータ構造の定義、PROCEDURE DIVISIONは実際の処理手順やビジネスロジックを記述する場所です。

これらの部分はCOBOLプログラムの基本骨格を形成し、それぞれが特定の目的を持っています。

○プログラムの基本構成

プログラムの基本構成を理解するために、単純なCOBOLプログラムの例を見てみましょう。

この例では、ユーザーから入力された数値を加算して結果を表示するシンプルなプログラムを作成します。

IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. SimpleAddition.
ENVIRONMENT DIVISION.
DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
01 Num1 PIC 9(4).
01 Num2 PIC 9(4).
01 Sum PIC 9(4).
PROCEDURE DIVISION.
    DISPLAY 'Enter first number: '.
    ACCEPT Num1.
    DISPLAY 'Enter second number: '.
    ACCEPT Num2.
    ADD Num1 TO Num2 GIVING Sum.
    DISPLAY 'The sum is: ', Sum.
    STOP RUN.

このコードは、IDENTIFICATION DIVISIONでプログラムのIDを設定し、DATA DIVISIONで数値を格納するための変数を宣言しています。

PROCEDURE DIVISIONでは、ユーザーからの入力を受け取り、それらの数値を加算して結果を表示しています。

○データ型と変数の宣言

COBOLでは、変数はDATA DIVISION内のWORKING-STORAGE SECTIONで宣言されます。

変数の宣言には、「PIC」(ピクチャー)句が使われ、変数がどのように格納されるかを定義します。

例えば、「01 Num1 PIC 9(4)」という宣言は、最大4桁の数値を格納できるNum1という変数を作成することを意味します。「9」は数値を示し、「(4)」は桁数を表しています。

COBOLの変数宣言は、他の言語と比べて独特であり、その表記法を理解することはCOBOLプログラミングの重要な部分です。

●サブルーチンとは

サブルーチンとは、COBOLプログラム内で繰り返し使用される処理をひとまとめにしたものです。

これにより、コードの重複を避け、プログラムの構造を整理して、保守や拡張が容易になります。

サブルーチンは、特定の処理を実行するための命令の集合であり、必要に応じてプログラムの異なる部分から呼び出すことができます。

COBOLでは、「PERFORM」文を使用してサブルーチンを呼び出します。

サブルーチンは、プログラムの読みやすさと効率を向上させる重要な要素です。

○サブルーチンの定義

サブルーチンを定義する際には、PROCEDURE DIVISION内に処理を記述します。

例えば、2つの数値を加算する単純なサブルーチンは下記のように定義できます。

PROCEDURE DIVISION.
ADD-NUMBERS SECTION.
    ADD Num1 TO Num2 GIVING Sum.
    DISPLAY 'Sum is: ', Sum.

この例では、「ADD-NUMBERS」というセクション内に加算処理を記述しています。

プログラムの他の部分からこのサブルーチンを「PERFORM ADD-NUMBERS」という文で呼び出すことで、2つの数値を加算し、結果を表示する処理を実行できます。

○サブルーチンの利用場面

サブルーチンは、繰り返し発生する処理や複雑な処理をカプセル化する場合に有用です。

例えば、データベースからのデータ取得、数値計算、レポートの生成など、様々なシナリオでサブルーチンを利用できます。

サブルーチンを使用することで、プログラムの可読性が向上し、エラーの発見や修正が容易になります。

また、一つのサブルーチンを複数の場所で再利用することで、コードの量を減らし、プログラム全体のメンテナンスを効率化することが可能です。

●サブルーチンの基本構文

COBOLでのサブルーチンは、特定の処理をモジュール化し、プログラム内の任意の場所から呼び出すことができるようにする機能です。

サブルーチンは一般にPROCEDURE DIVISION内に記述され、必要に応じて「PERFORM」文を使って呼び出されます。

サブルーチンの基本的な構造は、入力パラメータ、処理内容、そして出力パラメータを含むことができます。

サブルーチンの呼び出しは、PERFORM文によって実現されます。

例えば、「PERFORM CALCULATE-TOTAL」のように記述することで、CALCULATE-TOTALという名前のサブルーチンを実行することができます。

サブルーチン内では、ビジネスロジックや計算処理などが行われ、その結果は呼び出し元のプログラムに戻されます。

○サンプルコード1:基本的なサブルーチン

ここでは、単純な加算を行う基本的なサブルーチンの例を紹介します。

このサブルーチンでは、2つの数値を加算し、結果を表示します。

PROCEDURE DIVISION.
SIMPLE-ADDITION.
    ADD Num1 TO Num2 GIVING Total.
    DISPLAY 'Total: ', Total.

このサブルーチンは「SIMPLE-ADDITION」と名付けられ、Num1とNum2を加算し、結果をTotalに格納した後、画面に表示します。

このサブルーチンはプログラム内の任意の場所から「PERFORM SIMPLE-ADDITION」という文で呼び出すことができます。

○サンプルコード2:パラメータを持つサブルーチン

パラメータを持つサブルーチンは、呼び出し時に特定の値を渡すことができるサブルーチンです。

このタイプのサブルーチンは、より柔軟な処理と再利用性を提供します。

例えば、下記のサブルーチンは、渡された2つの数値を乗算し、結果を表示します。

PROCEDURE DIVISION.
MULTIPLY-VALUES SECTION.
    MULTIPLY Num1 BY Num2 GIVING Result.
    DISPLAY 'Result: ', Result.

このサブルーチンでは、Num1とNum2を乗算し、その結果をResultに格納します。

呼び出し元のプログラムでは、これらの変数に適切な値を設定した後、「PERFORM MULTIPLY-VALUES」という文でこのサブルーチンを実行します。

●サブルーチンの応用例

COBOLにおけるサブルーチンの応用例は多岐にわたります。

サブルーチンは、繰り返し使用される複雑な処理や、プログラムの特定の部分でのみ必要となる処理を効率的に管理するために使用されます。

例えば、金融システムにおける利息計算、レポート生成、データベース操作など、様々なビジネスロジックがサブルーチンを通じて実装されることがあります。

これにより、プログラム全体の可読性とメンテナンス性が向上し、再利用性も高まります。

サブルーチンの利用は、プログラムのモジュール性を高め、変更や拡張が容易になるため、大規模なアプリケーション開発において特に重要です。

また、同じコードの繰り返しを避けることで、エラーの発生を減らし、全体的な開発効率を向上させることができます。

○サンプルコード3:データ処理のためのサブルーチン

データ処理を行うためのサブルーチンの例として、下記のようなコードが考えられます。

このサンプルでは、特定のデータ処理を行い、結果を表示します。

PROCEDURE DIVISION.
DATA-PROCESSING SECTION.
    * ここにデータ処理のロジックを記述
    DISPLAY 'Data processing completed.'.

このサブルーチンでは、特定のデータを処理するロジックを記述し、処理が完了したことをユーザーに通知します。

このようなサブルーチンは、データベースからのデータ抽出や変換処理において特に有用です。

○サンプルコード4:複数のサブルーチンを組み合わせる

複数のサブルーチンを組み合わせることで、より複雑な処理を効果的に実装することが可能です。

ここでは、異なるサブルーチンを組み合わせて使用する例を紹介します。

PROCEDURE DIVISION.
MAIN-LOGIC SECTION.
    PERFORM DATA-PROCESSING.
    PERFORM CALCULATION-PROCESS.
    DISPLAY 'All processes completed.'.

CALCULATION-PROCESS SECTION.
    * 計算処理のロジックを記述
    DISPLAY 'Calculation completed.'.

この例では、メインロジックの中で「DATA-PROCESSING」と「CALCULATION-PROCESS」という二つのサブルーチンを呼び出しています。

これにより、各サブルーチンが独立して機能し、全体の処理の流れが明確になります。

●サブルーチンのデバッグと最適化

COBOLプログラミングにおけるサブルーチンのデバッグと最適化は、効率的なプログラム運用に不可欠です。

デバッグは、サブルーチン内のエラーや問題点を特定し、修正するプロセスです。

一方、最適化は、サブルーチンのパフォーマンスを改善し、処理速度やリソース使用を効率化することを目指します。

○デバッグの方法とツール

COBOLでのサブルーチンデバッグには、様々な方法とツールが存在します。

基本的なデバッグ手法には、プログラムの実行中に変数の値を監視したり、特定の処理が実行されるかどうかを確認するステップ実行が含まれます。

また、多くのCOBOL開発環境には、ブレークポイント設定や変数監視機能を備えたデバッガが組み込まれています。

これらのツールを使用することで、サブルーチン内の問題点を効率的に特定し、修正することができます。

○パフォーマンスの最適化

サブルーチンのパフォーマンス最適化には、いくつかの重要な側面があります。

最適化の目的は、サブルーチンの実行速度を向上させ、メモリ使用量を減少させることです。

これには、不要な処理の削除、ループ構造の改善、効率的なデータ構造の使用などが含まれます。

また、COBOL特有の最適化技術には、インラインPERFORM文の使用や、不要なデータコピーを避けるための参照渡しの活用があります。

●エラー処理と例外管理

COBOLプログラミングにおけるエラー処理と例外管理は、信頼性の高いソフトウェアを作成する上で重要です。

エラー処理は、プログラム実行中に発生する予期せぬ状況やエラーに対処することを指します。

例外管理は、これらのエラー状況を検出し、適切に対応するための戦略を含みます。

これにより、プログラムはより堅牢で安定したものとなります。

○サンプルコード5:エラー処理の実装

エラー処理を実装する一例として、下記のようなサブルーチンが考えられます。

このサブルーチンでは、特定の条件下でエラーメッセージを表示し、プログラムの実行を安全に終了させます。

PROCEDURE DIVISION.
ERROR-HANDLING SECTION.
    IF ErrorCondition
        DISPLAY 'Error occurred: ', ErrorMessage
        STOP RUN
    END-IF.

このサンプルでは、「ErrorCondition」が真の場合、エラーメッセージが表示され、プログラムが停止します。

これにより、エラーが発生した際の適切な処理が可能となり、プログラムの安全性が向上します。

○サンプルコード6:例外管理の方法

例外管理では、プログラム内で発生する可能性のある例外状況を予測し、それに対応するコードを記述します。

ここでは、特定の例外が発生した際に特定の処理を行うサンプルコードを紹介します。

PROCEDURE DIVISION.
EXCEPTION-HANDLING SECTION.
    PERFORM SPECIFIC-PROCESS
    ON EXCEPTION
        DISPLAY 'An exception occurred.'
        PERFORM ERROR-HANDLING
    NOT ON EXCEPTION
        DISPLAY 'Process completed successfully.'
    END-PERFORM.

このコードでは、「SPECIFIC-PROCESS」の実行中に例外が発生した場合、エラーメッセージが表示され、別のサブルーチン「ERROR-HANDLING」が実行されます。

例外が発生しない場合は、成功メッセージが表示されます。

このような例外管理を行うことで、プログラムは予期せぬ状況にも柔軟に対応できるようになります。

●ベストプラクティスとコーディング規約

COBOLプログラミングにおけるベストプラクティスとコーディング規約は、プログラムの品質と保守性を高めるために重要です。

ベストプラクティスに従うことで、コードは読みやすく、理解しやすいものになります。

また、チーム内で統一されたコーディング規約を持つことは、メンバー間のコミュニケーションの効率化とエラーの低減に寄与します。

○読みやすいコードの書き方

読みやすいコードを書くためには、いくつかの基本原則があります。

まず、明確かつ簡潔な命名規則を使用し、変数やサブルーチンの名前からその機能が明確にわかるようにします。

また、一貫したインデントや空白行を使用してコードを整理し、可読性を高めます。

さらに、コメントを適切に使用して、コードの意図や複雑な処理を説明します。

IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. SampleProgram.
DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
01 WS-EMPLOYEE-NAME PIC X(30).

PROCEDURE DIVISION.
    DISPLAY 'Employee Name: ' WS-EMPLOYEE-NAME.

この例では、変数の命名が明確であり、コードの構造が整理されていて読みやすくなっています。

○チームでのコーディング規約

チーム内で統一されたコーディング規約を持つことは、協力して作業する上で非常に重要です。

規約には、命名規則、インデントのスタイル、コメントの書き方などが含まれます。

これにより、チームメンバーが書いたコードを他のメンバーが読んだり、修正したりする際の効率が向上します。

たとえば、チームは次のようなコーディング規約を設けることができます。

  • 変数名はキャメルケースを使用する。
  • サブルーチンの名前は動詞を含む形で命名する。
  • コメントは英語で記述し、各主要な処理に対してその目的を説明する。

このような規約に従うことで、チーム内のコードの一貫性が保たれ、長期的なプロジェクトの成功に寄与します。

●サブルーチンの再利用とメンテナンス

COBOLプログラミングにおいて、サブルーチンの再利用はコードの効率性と一貫性を高める重要な要素です。

再利用可能なサブルーチンを設計することで、プログラム全体のメンテナンスが容易になり、変更が必要な場合にも迅速に対応できます。

○サンプルコード7:再利用可能なサブルーチン

再利用可能なサブルーチンを作成する際は、汎用性を考慮して設計します。

例えば、特定のデータ処理を行うサブルーチンを作成する場合、入力パラメータを変更することで異なる種類のデータに適用できるようにします。

IDENTIFICATION DIVISION.
PROGRAM-ID. ReusableSubroutine.
DATA DIVISION.
WORKING-STORAGE SECTION.
01 WS-DATA PIC X(30).

PROCEDURE DIVISION.
    PERFORM PROCESS-DATA VARYING WS-DATA FROM "Data1" TO "Data5".

PROCESS-DATA SECTION.
    DISPLAY "Processing: " WS-DATA.

このサンプルでは、PROCESS-DATAサブルーチンが異なるデータに対して再利用されています。

○メンテナンスのポイント

サブルーチンのメンテナンスにおいては、明確なドキュメンテーションと一貫したコーディング規約の遵守が不可欠です。

サブルーチンの機能、入力、出力、副作用について詳細に記述することで、将来的な変更やバグ修正が容易になります。

また、一貫したスタイルと命名規則を使用することで、コードの可読性が向上し、他の開発者がコードを理解しやすくなります。

まとめ

この記事を通して、COBOLプログラミングにおけるサブルーチンの概念、基本構造、定義、利用方法、応用例、そしてデバッグと最適化の技術について詳細に解説しました。

COBOLのサブルーチンは、コードの再利用性を高め、プログラムの構造を整理し、保守性を向上させるための強力なツールです。

COBOLプログラミングにおけるサブルーチンの理解と適切な使用は、ソフトウェア開発の質と効率を大きく向上させることができます。

この記事が、サブルーチンの理解と活用に役立つことを願っています。