TypeScriptでのアサーションの完全ガイド10選

TypeScriptのアサーションの図解イメージ TypeScript
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はじめに

TypeScriptは、JavaScriptのスーパーセットとして、型の安全性とスケーラビリティを追求して設計された言語です。

この記事では、TypeScriptにおける「アサーション」の重要性とその使い方に焦点を当て、10の具体的な使用例や注意点、カスタマイズ方法を詳細に解説していきます。

アサーションは、TypeScriptの強力な機能の一つであり、初心者から上級者まで幅広く活用されています。

アサーションとは、簡単に言うと、変数の型を手動で指定する際に使用するTypeScriptの特殊な記法です。しかし、この強力なツールを適切に使用するには注意が必要です。

誤用すると、予期しないエラーやバグの原因となる可能性があります。

本ガイドでは、アサーションの基本的な使い方から応用例、そして注意点やカスタマイズ方法まで、幅広く網羅しています。

TypeScriptのアサーションの図解イメージを参照しながら、具体的なサンプルコードとともに、その使い方や実践的な活用方法を理解していきましょう。

●TypeScriptのアサーションとは

TypeScriptのアサーションは、特定の値や変数が持つべき型を強制するための手段です。

これにより、コンパイラに特定の型情報を伝えることができます。

アサーションは、主に2つの構文で使用されます。

○アングルブラケットを使用した構文

let value: any = "これは文字列です";
let length: number = (<string>value).length;

このコードでは、value変数に任意の型を持つ文字列を代入しています。

その後、アサーションを使ってvalueを文字列として扱い、その長さを取得しています。

○asキーワードを使用した構文

let value: any = "これは文字列です";
let length: number = (value as string).length;

この構文も先程の例と同じ動作をしますが、JSXとの互換性のため、多くの場面でasキーワードが推奨されます。

●TypeScriptでのアサーションの使い方

TypeScriptは、JavaScriptに静的型付けを持ち込むことで、コードの安全性と予測可能性を向上させることを目指したプログラミング言語です。

その中で、アサーションはTypeScriptの特徴の一つとして、型の制約を緩和する時や型の細かいカスタマイズを行う時に活用されます。

○サンプルコード1:基本的なアサーションの使用

このコードでは、基本的なアサーションの使用方法を表しています。

この例では、文字列を数字として扱うためのアサーションを行っています。

let value: any = "123";
let length: number = (value as string).length;
console.log(length); // 出力結果: 3

上記のコードでは、value変数の型がanyであり、それを文字列型とみなして、その長さを取得しています。

出力結果は3となります。

○サンプルコード2:非nullアサーション

このコードでは、非nullアサーションの使用方法を解説しています。

この例では、nullやundefinedが来ないことを保証するためのアサーションを行っています。

function getName(user: { name: string } | null) {
    return user!.name; 
}

userがnullでないことを確認するために、!を使用しています。

ただし、このアサーションは実際の値がnullやundefinedである場合、ランタイムエラーが発生するので注意が必要です。

○サンプルコード3:型アサーションの適切な使用

このコードでは、適切な型アサーションの使用方法を表しています。

この例では、任意の型から特定の型への変換を表しています。

interface Cat {
    type: 'cat';
    sound: 'meow';
}

interface Dog {
    type: 'dog';
    sound: 'woof';
}

function makeSound(animal: Cat | Dog) {
    if (animal.type === 'cat') {
        let cat = animal as Cat;
        console.log(cat.sound); // 出力結果: meow
    } else {
        let dog = animal as Dog;
        console.log(dog.sound); // 出力結果: woof
    }
}

上記のコードでは、animalの型がCatである場合とDogである場合に分岐し、それぞれの動物の音を出力しています。

asキーワードを使用して、適切な型アサーションを行っています。

○サンプルコード4:アサーションと型ガード

このコードでは、アサーションと型ガードの組み合わせの使用方法を表しています。

この例では、型ガードを使って安全に型アサーションを行っています。

function isCat(animal: Cat | Dog): animal is Cat {
    return animal.type === 'cat';
}

function makeSoundWithGuard(animal: Cat | Dog) {
    if (isCat(animal)) {
        console.log(animal.sound); // 出力結果: meow
    } else {
        console.log(animal.sound); // 出力結果: woof
    }
}

上記のコードでは、isCat関数を型ガードとして使用して、安全に型アサーションを行っています。

これにより、ランタイムエラーを回避することができます。

●TypeScriptのアサーションの応用例

TypeScriptにおけるアサーションは、基本的な使用方法だけでなく、さまざまな応用例も存在します。

ここでは、TypeScriptのアサーションをジェネリクスやカスタム関数と組み合わせて使用する方法、さらに条件型やマッピング型との組み合わせなど、より実践的な応用例を取り上げます。

○サンプルコード5:アサーションを活用したジェネリクスの使用

ジェネリクスは、型を変数のように扱うことができる仕組みです。

アサーションとジェネリクスを組み合わせることで、特定の型の条件を満たすかを検証することができます。

function assertIsNumber<T>(input: T): asserts input is T & number {
  if (typeof input !== 'number') {
    throw new Error('入力は数値である必要があります。');
  }
}

このコードでは、assertIsNumberという関数を表しています。

この例では、Tというジェネリクス型を使用して、入力された値が数値かどうかを確認しています。

もし入力が数値でない場合は、エラーをスローします。

実際に関数を使うと次のようになります。

const value: unknown = 5;
assertIsNumber(value);
console.log(value + 5);  // 10

上記のコードを使用すると、valueが数値であることが保証され、value + 5の結果は10となります。

○サンプルコード6:カスタム型アサーション関数の作成

カスタムの型アサーション関数を作成することで、特定の条件を満たす型のみを許容するような検証を行うことができます。

function isStringArray(value: any[]): asserts value is string[] {
  for (const item of value) {
    if (typeof item !== 'string') {
      throw new Error('配列のすべての要素は文字列である必要があります。');
    }
  }
}

const arr: any[] = ["a", "b", "c"];
isStringArray(arr);
console.log(arr.join(", "));  // a, b, c

このコードでは、isStringArrayという関数を表しています。

この例では、入力された配列がすべて文字列からなる配列かどうかを確認しています。

条件を満たさない場合はエラーをスローします。

確認後、配列のすべての要素が文字列であることが保証されます。

○サンプルコード7:条件型との組み合わせ

条件型をアサーションと組み合わせることで、より複雑な型の検証を行うことができます。

特定のキーを持つオブジェクトのみを許容する型アサーションの例を紹介します。

type HasName = { name: string };

function assertHasName(obj: any): asserts obj is HasName {
  if (!obj.name || typeof obj.name !== 'string') {
    throw new Error('オブジェクトはnameキーを持ち、その値は文字列である必要があります。');
  }
}

const person: any = { name: "Taro", age: 20 };
assertHasName(person);
console.log(person.name);  // Taro

このコードでは、assertHasNameという関数を表しています。

この例では、入力されたオブジェクトがnameキーを持ち、その値が文字列であることを確認しています。

この条件を満たす場合、person.nameの出力は”Taro”となります。

○サンプルコード8:マッピング型との組み合わせ

TypeScriptのマッピング型は、新しい型を既存の型から導き出すことができる強力な機能です。

アサーションと組み合わせることで、より洗練された型の操作や変換が可能となります。

ここでは、アサーションとマッピング型をどのように組み合わせて利用できるかについて詳しく見ていきましょう。

type MyObject = {
  name: string;
  age: number;
};

// マッピング型を用いてすべてのプロパティをオプションに変換
type Optional<T> = {
  [P in keyof T]?: T[P];
};

// アサーションを使用して、オプションのプロパティを強制的にセット
const obj: Optional<MyObject> = {};
obj.name = "Taro" as const;
obj.age = 25 as const;

console.log(obj); 

このコードでは、Optionalというマッピング型を使って、与えられた型のすべてのプロパティをオプションに変換しています。

そして、アサーションを利用して、オブジェクトobjのプロパティを設定しています。

この例では、nameageというプロパティを強制的にセットしています。

上記のコードを実行すると、{ name: 'Taro', age: 25 }という出力が得られます。

このように、マッピング型とアサーションを組み合わせることで、柔軟な型の操作や変換を行うことが可能となります。

マッピング型とアサーションの組み合わせを利用すると、次のような利点が得られます。

  1. 既存の型を簡単に変更・拡張することができます。
  2. アサーションを使って、型の制約を強制的に満たすことができます。
  3. 複雑な型の操作や変換が、より簡潔に記述できます。

これらの利点を生かして、TypeScriptのコードをよりタイプセーフに、また効率的に記述することができます。

最後に、TypeScriptのアサーションとマッピング型を組み合わせることで、高度な型の操作や変換を行う際の新たな可能性が広がります。

この組み合わせをマスターすることで、TypeScriptの持つ強力な型システムを最大限に活用することができるようになります。

○サンプルコード9:アサーションと型変換

TypeScriptにおけるアサーションは非常に強力なツールとなっていますが、その一方で型変換に似た側面も持っています。

アサーションと型変換は、一見似ているように思えるかもしれませんが、適切に使い分けることが非常に重要です。

このコードでは、アサーションと型変換の違いと、それぞれの使い方を表しています。

この例では、文字列から数値への変換と、その逆の変換を行っています。

// 型変換の例
let value1: string = "123";
let numberValue1: number = Number(value1);
console.log(numberValue1); // 123

// アサーションの例
let value2: any = "456";
let numberValue2: number = value2 as number;
console.log(numberValue2); // 456

ここで注目すべき点は、Number関数を使って型変換を行う例と、asキーワードを使ってアサーションを行う例の違いです。

前者は、文字列が数値に変換されることを期待しています。

もし数値に変換できない文字列だった場合、NaN(Not a Number)が返されます。

一方、後者のアサーションの例では、開発者がvalue2が数値であることを確信している場合に使用します。

この方法では、コンパイラに型を教えるだけで、実際の変換は行われません。

このコードを実行すると、両方のconsole.logは数値を表示しますが、アサーションの方は開発者の確信に基づいていますので、確信が誤っている場合はランタイムエラーが発生する可能性があります。

アサーションと型変換の主な違いは、アサーションはコンパイル時の型チェックを通過するためのものであり、実際の型変換を伴わない点です。

一方、型変換は実際に値の型を変更します。

注意点としては、アサーションはあくまで開発者の確信に基づいて行われるため、誤ったアサーションは予期しないエラーやバグの原因となり得ます。

そのため、アサーションを使用する際は、その確信に根拠があることを確認することが非常に重要です。

また、アサーションと型変換の使い分け方として、明示的な変換が必要な場合や変換後の型が明確でない場合は型変換を、コンパイラの型チェックを回避したい場合や、開発者が確信を持っている場合はアサーションを使用すると良いでしょう。

○サンプルコード10:アサーションを避ける方法

TypeScriptを使用する際、アサーションの利用は非常に強力ですが、必要以上に使用することは避けるべきです。

アサーションを過度に使用すると、コードの安全性が損なわれる可能性があるからです。

そのため、TypeScriptのアサーションを適切に使用するための方法や、アサーションを避けるためのアプローチを学ぶことが重要です。

アサーションを避けるための最も基本的な方法は、適切な型を設定することです。

適切な型が設定されていれば、コンパイラはその型の制約に基づいてコードの正確さを保証します。

このコードでは、string型の変数にnumber型の値を代入しようとしています。

この例では、適切な型を設定することで、コンパイラがエラーを検出する方法を表しています。

let myString: string;
myString = 123; // コンパイラエラー

上記のコードでは、myString変数に対してnumber型の値を代入しようとしているため、TypeScriptのコンパイラはエラーを出力します。

このように、適切な型を設定しておくことで、アサーションを使用せずに型の安全性を確保することができます。

また、オプションのプロパティやunion型を適切に使用することも、アサーションの必要性を減少させるアプローチとなります。

下記のコードは、union型を使用して複数の型の値を許容する方法を表しています。

let myValue: string | number;
myValue = "Hello";
myValue = 456;

この例では、myValue変数に対してstring型またはnumber型の値を代入することが許可されています。

このように、union型を利用することで、異なる型の値を持つ変数を柔軟に扱うことができます。

○注意点と対処法

TypeScriptでアサーションを利用する際の注意点と、それをうまく避けるための対処法について説明します。

□過度な使用

アサーションは強力なツールですが、過度に使用するとコードの可読性や保守性が低下する恐れがあります。

実際の型とアサーションで指定された型が一致しない場合、ランタイムエラーが発生する可能性があります。

このコードでは、明らかにnumber型の変数に対してstring型のアサーションを行っています。

let num: number = 123;
let str: string = num as unknown as string; // 適切でないアサーションの使用

この例では、num変数をunknownを経由してstring型にアサートしていますが、これは不適切な使用例です。

このようなコードを実行すると、後続の処理で文字列を期待している部分でエラーが発生する可能性が高まります。

□具体的な型を避ける

具体的な型を持つ変数にアサーションを使用して変換する代わりに、より一般的な型やユニオン型を使用することで、柔軟なコードを実現することができます。

例えば、下記のコードでは、ユニオン型を使用しているため、アサーションの必要がなくなります。

let value: string | number;
value = "Hello";
value = 123;

ユニオン型を使用することで、valuestringまたはnumber型の値を代入することが可能となります。

□nullやundefinedの扱い

TypeScriptのstrictモードでは、変数がnullundefinedの場合のチェックが強化されています。

アサーションを使用してこれらの値を無視するのではなく、nullチェックやオプショナルチェイニングを使用することで、安全にコードを記述することができます。

下記のコードは、オプショナルチェイニングを使用して、プロパティが存在しない場合に安全にアクセスする例です。

let user: { name?: string } = {};
let userName: string | undefined = user?.name;

この例では、userオブジェクトにnameプロパティが存在しない場合でも、エラーを回避することができます。

●カスタマイズ方法

TypeScriptのアサーションを使用する際、様々なカスタマイズ方法が存在します。

これにより、より効果的かつ柔軟にアサーションを活用することが可能となります。

ここでは、TypeScriptのアサーションをカスタマイズする方法をいくつか詳しく解説していきます。

○カスタムアサーション関数の作成

このコードでは、カスタムアサーション関数を作成する方法を表しています。

この例では、数値が特定の範囲内にあるかをチェックするカスタムアサーション関数を作成しています。

function isInRange(value: any, min: number, max: number): asserts value is number {
    if (typeof value !== 'number' || value < min || value > max) {
        throw new Error('Value is not in range');
    }
}

let value: any = 5;
isInRange(value, 1, 10);
// この時点でvalueはnumber型として扱われる
console.log(value + 5);  // 10

このコードの中で、asserts value is numberという部分がカスタムアサーションのキーとなる部分です。この関数を通過した場合、valuenumber型として扱われます。

もし範囲外の値や数値以外のデータ型が与えられた場合、エラーを投げることで型の安全性を保ちます。

この例のように、値を計算する際、5という数字に5を加算した結果、10という数値が出力されます。

○型アサーションとオブジェクトの拡張

このコードでは、型アサーションを使用してオブジェクトを拡張する方法を表しています。

この例では、既存のオブジェクトに新しいプロパティを安全に追加する方法を表しています。

interface BasicInfo {
    name: string;
    age: number;
}

function extendInfo(obj: any, key: string, value: any): asserts obj is BasicInfo {
    if (typeof obj !== 'object' || typeof key !== 'string') {
        throw new Error('Invalid input');
    }
    obj[key] = value;
}

const person: any = { name: 'Taro', age: 25 };
extendInfo(person, 'address', 'Tokyo');
console.log(person.address);  // Tokyo

この例では、extendInfo関数を用いてpersonオブジェクトに新しいプロパティaddressを追加しています。

関数を通過した後、personBasicInfoインターフェースを持つオブジェクトとして扱われ、新しく追加したaddressプロパティに安全にアクセスできます。

上記のコードでは、Tokyoという文字列が出力されます。

これにより、型アサーションを使用してオブジェクトのプロパティを動的に拡張することができることがわかります。

まとめ

TypeScriptのアサーションは、コードの安全性を高めるための非常に有用な機能の一つと言えます。

このガイドを通して、その使い方や注意点、カスタマイズ方法を網羅的に理解できたと思います。

しかし、ここでの学びを終点とせず、実際の開発現場やプロジェクトでの経験を通して、アサーションの活用法をより深めていくことが大切です。

TypeScriptのアサーションに関する学びが、皆さんのコーディングライフにとって有益であったことを願っています。

これからも、TypeScriptを用いた開発を進める中で、新しい知見や技術を習得して、より良いソフトウェア開発者としてのスキルを磨いていってください。