はじめに
この記事を読めば、JavaScriptでマルチスレッドを活用することができるようになります。
JavaScriptのマルチスレッド処理は、Web Workersを使って実現されます。
この記事では、Web Workersの基本から使い方、注意点、カスタマイズ方法まで、初心者向けに徹底解説します。
また、実践的なサンプルコードも10個紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
●JavaScriptでのマルチスレッドとは
JavaScriptはもともとシングルスレッドで動作する言語ですが、Web Workersを使うことでマルチスレッド処理を実現することができます。
マルチスレッド処理により、複数のタスクを並行して処理することが可能となり、パフォーマンスの向上が期待できます。
○Web Workersの基本
Web Workersは、JavaScriptのメインスレッドとは別にバックグラウンドで動作するスレッドを生成することができる機能です。
これにより、重たい処理をバックグラウンドで実行させることで、UIのフリーズを防ぐことができます。
●マルチスレッドの使い方
では、実際にWeb Workersを使用してマルチスレッド処理を実現する方法を見ていきましょう。
下記のサンプルコードでは、単純な計算や画像処理、Ajaxリクエストを並列処理する例を紹介します。
○サンプルコード1:単純な計算を並列処理
まずは、単純な計算を並列処理する例を見ていきましょう。
下記のサンプルコードでは、1から10000までの数字を足し合わせる処理を行っています。
【メインスレッド側のコード】
【worker.js(Web Worker側のコード)】
○サンプルコード2:画像処理を並列処理
次に、画像処理を並列処理する例を見ていきます。
下記のサンプルコードでは、画像のグレースケール変換を行っています。
【メインスレッド側のコード】
【worker.js(Web Worker側のコード)】
○サンプルコード3:Ajaxリクエストを並列処理
最後に、Ajaxリクエストを並列処理する例を見ていきます。
下記のサンプルコードでは、複数のURLからデータを取得する処理を並行して行っています。
【メインスレッド側のコード】
【worker.js(Web Worker側のコード)】
これで、Ajaxリクエストを並列処理する方法が分かりました。
次に、注意点と対処法について説明します。
●注意点と対処法
- DOM操作はWeb Worker内で行えません。DOM操作はメインスレッド側で行う必要があります。
- メインスレッドとWeb Worker間でデータのやり取りをする際には、データのコピーが発生します。
データ量が大きい場合、パフォーマンスに影響が出る可能性があります。
SharedArrayBufferやTransferable Objectsを使用してデータのコピーを抑える方法があります。
次に、カスタマイズ方法について見ていきます。
●カスタマイズ方法
- データ送受信のカスタマイズ
- エラーハンドリングのカスタマイズ
それぞれのカスタマイズ方法について、サンプルコードを用意しました。
○サンプルコード4:データ送受信のカスタマイズ
下記のサンプルコードでは、Transferable Objectsを使って、データをコピーせずに効率的に送受信する方法を表しています。
【メインスレッド側のコード】
【worker.js(Web Worker側のコード)】
○サンプルコード5:エラーハンドリングのカスタマイズ
下記のサンプルコードでは、Web Worker内でエラーが発生した場合のエラーハンドリングをカスタマイズする方法を表しています。
【メインスレッド側のコード】
【worker.js(Web Worker側のコード)】
これで、データ送受信のカスタマイズとエラーハンドリングのカスタマイズの方法が分かりました。
●応用例とサンプルコード
次に、応用例とサンプルコードを見ていきましょう。
○サンプルコード6:複数のWeb Workersを組み合わせる
下記のサンプルコードでは、2つのWeb Workersを組み合わせて、異なる処理を同時に実行する方法を表しています。
【メインスレッド側のコード】
【worker1.js(Web Worker 1のコード)】
【worker2.js(Web Worker 2のコード)】
○サンプルコード7:Web WorkersとPromiseを組み合わせる
下記のサンプルコードでは、Web WorkersとPromiseを組み合わせて、非同期処理を扱いやすくする方法を表しています。
【メインスレッド側のコード】
【worker.js(Web Worker側のコード)】
○サンプルコード8:Web WorkersとSharedArrayBufferを使った高速処理
下記のサンプルコードでは、Web WorkersとSharedArrayBufferを使って、高速なデータ処理を行う方法を表しています。
【メインスレッド側のコード】
【worker.js(Web Worker側のコード)】
○サンプルコード9:Web WorkersとOffscreenCanvasを組み合わせる
下記のサンプルコードでは、Web WorkersとOffscreenCanvasを使って、バックグラウンドでCanvasの描画処理を行う方法を表しています。
【HTMLファイル】
【main.js(メインスレッド側のコード)】
【worker.js(Web Worker側のコード)】
○サンプルコード10:Service Workersでのマルチスレッド処理
下記のサンプルコードでは、Service Workersを使用してマルチスレッド処理を行う方法を表しています。
この例では、キャッシュを利用してオフラインでもアクセス可能なWebアプリケーションを構築しています。
【HTMLファイル】
【main.js(メインスレッド側のコード)】
【service-worker.js(Service Worker側のコード)】
このサンプルコードを使用することで、Service Workersを利用したマルチスレッド処理を実現することができます。
これにより、Webアプリケーションのパフォーマンス向上やオフライン対応が可能になります。
まとめ
Web WorkersやService Workersを使って、マルチスレッド処理を行うことで、Webアプリケーションのパフォーマンスを向上させることができます。
また、PromiseやSharedArrayBuffer、OffscreenCanvasなどの技術を組み合わせることで、さらに効率的な処理が可能になります。
これらのサンプルコードを参考に、Webアプリケーションの開発が向上すれば嬉しい限りです。