JavaScriptでメモリリークを解決!実践ガイドとサンプルコード10選

JavaScriptでメモリリークを解決するためのサンプルコードの例JS
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はじめに

この記事を読めば、JavaScriptでメモリリークを解決する方法を理解し、実践できるようになります。

初心者でも分かるように、メモリリークの原因や発見方法、対処法、注意点、カスタマイズ方法を徹底解説しています。

サンプルコードを参考にして、あなたのJavaScriptコードのパフォーマンスを向上させましょう!

●JavaScriptでのメモリリークとは

メモリリークとは、プログラムがメモリを使い終わった後に、適切に解放しないことで、メモリの無駄遣いが発生し、パフォーマンスが低下する現象です。

JavaScriptでも、オブジェクトやイベントリスナーの管理が不十分だと、メモリリークが起こることがあります。

○メモリリークの原因

JavaScriptにおけるメモリリークの主な原因は次のとおりです。

  1. イベントリスナーが解除されずに残る
  2. グローバル変数が適切に解放されない
  3. クロージャによる参照の保持
  4. DOM要素の参照が残る

これらの原因を理解し、適切に対処することでメモリリークを防ぐことができます。

●メモリリークの発見方法

○Chrome開発者ツールを利用した発見方法

Chrome開発者ツールの「Performance」タブを使って、メモリリークを発見することができます。

このタブで、「Record」ボタンを押して、メモリの使用状況を記録し、その後「Stop」ボタンを押すことで、記録したデータを解析できます。

解析結果を見て、メモリ使用量が増え続ける箇所があれば、メモリリークが発生している可能性があります。

●メモリリークの対処法

○サンプルコード1:イベントリスナーの解除

イベントリスナーを解除しないままにすると、メモリリークが発生することがあります。

イベントリスナーを適切に解除することで、メモリリークを防ぐことができます。

// イベントリスナーの登録
const button = document.querySelector('button');
const handleClick = () => {
  console.log('ボタンがクリックされました。');
};

button.addEventListener('click', handleClick);

// イベントリスナーの解除
button.removeEventListener('click', handleClick);

○サンプルコード2:グローバル変数の使用を避ける

グローバル変数が適切に解放されないことで、メモリリークが発生することがあります。

グローバル変数の使用を避け、適切にスコープを管理することで、メモリリークを防ぐことができます。

// グローバル変数を避ける例
function processData() {
  // ローカル変数を使用する
  const localData = "データを処理";
  console.log(localData);
}

processData();

○サンプルコード3:オブジェクトのプロパティを削除

オブジェクトのプロパティが不要になった場合、delete演算子を使用してプロパティを削除し、メモリリークを防ぐことができます。

// オブジェクトのプロパティを削除する例
const obj = {
  key1: "値1",
  key2: "値2"
};

console.log(obj);

// プロパティを削除
delete obj.key1;

console.log(obj);

○サンプルコード4:タイマーのクリア

setTimeoutsetIntervalで設定したタイマーは、適切にクリアしないとメモリリークが発生することがあります。

タイマーをクリアすることで、メモリリークを防ぐことができます。

// タイマーをクリアする例
const timer = setTimeout(() => {
  console.log("タイマーが実行されました。");
}, 5000);

// タイマーをクリア
clearTimeout(timer);

●メモリリークの注意点

○DOM要素の参照に注意

DOM要素への参照が残ると、メモリリークが発生することがあります。

DOM要素を操作する際には、適切に参照を解放することが重要です。

○クロージャの使用に注意

クロージャは便利な機能ですが、適切にスコープを管理しないと、メモリリークが発生することがあります。

必要最低限の変数をクロージャに渡すことで、メモリリークを防ぐことができます。

●メモリリーク対策の応用例

下記に、メモリリーク対策の応用例をいくつか示します。

○サンプルコード5:WeakMapを利用した対策

WeakMapは、キーへの参照が弱いため、ガーベジコレクタがメモリを解放できるようになります。

オブジェクトのプライベートデータを保持する際に、WeakMapを利用することで、メモリリークを防ぐことができます。

// WeakMapを利用した例
const wm = new WeakMap();

function setData(el, data) {
  // DOM要素をキーにして、データを保持
  wm.set(el, data);
}

function getData(el) {
  // DOM要素をキーにして、データを取得
  return wm.get(el);
}

const el = document.createElement("div");
setData(el, "プライベートデータ");
console.log(getData(el));

// elが参照されなくなると、WeakMap内のデータも解放される
el = null;

○サンプルコード6:IntersectionObserverを活用

IntersectionObserverを利用することで、要素が画面内に表示されたタイミングで処理を実行できます。

これにより、メモリ使用量を抑えることができます。

// IntersectionObserverを利用した例
const io = new IntersectionObserver((entries) => {
  entries.forEach((entry) => {
    if (entry.isIntersecting) {
      // 画面内に表示された要素に対しての処理
      console.log("要素が画面内に表示されました。");
    }
  });
});

const targetElement = document.querySelector(".target");
io.observe(targetElement);

○サンプルコード7:requestAnimationFrameの利用

requestAnimationFrameを利用することで、ブラウザの描画タイミングに合わせて処理を実行できます。

これにより、パフォーマンスを向上させつつ、メモリ使用量を抑えることができます。

// requestAnimationFrameを利用したアニメーション
function animate() {
  // アニメーションの処理
  console.log("アニメーションを実行");

  // 次のフレームで再度アニメーションを実行
  requestAnimationFrame(animate);
}

// アニメーション開始
requestAnimationFrame(animate);

○サンプルコード8:Web Workersを活用

Web Workersを利用することで、バックグラウンドでスクリプトを実行できます。

これにより、メインスレッドでの処理を軽減し、メモリ使用量を抑えることができます。

// Web Workersを利用した例
const worker = new Worker("worker.js");

worker.onmessage = (event) => {
  console.log("メインスレッドで受信:", event.data);
};

// メインスレッドからWeb Workerにメッセージを送信
worker.postMessage("メインスレッドからのメッセージ");

worker.js

// Web Workerで受信したメッセージに対する処理
self.onmessage = (event) => {
  console.log("Web Workerで受信:", event.data);

  // Web Workerからメインスレッドにメッセージを返す
  self.postMessage("Web Workerからのメッセージ");
};

○サンプルコード9:プロトタイプチェーンの最適化

プロトタイプチェーンを最適化することで、オブジェクトのプロパティアクセスの速度が向上し、メモリ使用量も抑えることができます。

// プロトタイプチェーンの最適化例
function Super() {}
Super.prototype.commonMethod = function() {
  console.log("共通のメソッド");
};

function Sub1() {}
Sub1.prototype = Object.create(Super.prototype);
Sub1.prototype.constructor = Sub1;

function Sub2() {}
Sub2.prototype = Object.create(Super.prototype);
Sub2.prototype.constructor = Sub2;

const sub1 = new Sub1();
const sub2 = new Sub2();

sub1.commonMethod();
sub2.commonMethod();

○サンプルコード10:メモリ管理のカスタマイズ

メモリ管理をカスタマイズすることで、アプリケーションのメモリ使用量を最適化できます。

例えば、オブジェクトプールを利用してオブジェクトの再利用を行うことができます。

// オブジェクトプールの実装
class ObjectPool {
  constructor(createFunc) {
    this.createFunc = createFunc;
    this.pool = [];
  }

  get() {
    if (this.pool.length === 0) {
      return this.createFunc();
    }
    return this.pool.pop();
  }

  release(obj) {
    this.pool.push(obj);
  }
}

// オブジェクトプールの使用例
const pool = new ObjectPool(() => {
  return { x: 0, y: 0 };
});

// オブジェクトを取得
const obj = pool.get();

// オブジェクトを再利用
pool.release(obj);

まとめ

これらの対策を適切に組み合わせることで、JavaScriptでのメモリリークを防ぐことができます。

アプリケーションのパフォーマンスを向上させ、ユーザーエクスペリエンスを改善するために、これらの対策を積極的に取り入れましょう。