浮動小数点処理を学ぶ!Verilogで理解する初心者向け8つのステップ – Japanシーモア

浮動小数点処理を学ぶ!Verilogで理解する初心者向け8つのステップ

Verilogで浮動小数点処理を学ぶ初心者のためのイラストとサンプルコードVerilog
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説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

基本的な知識があればカスタムコードを使って機能追加、目的を達成できるように作ってあります。

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はじめに

プログラミング初心者がVerilogを学ぶ際に、しばしば困難を感じるのが浮動小数点の取り扱いです。

しかし、浮動小数点処理は、コンピュータ科学やデータ分析、AIの分野で必須の技術となっています。

本記事では、Verilogを用いて浮動小数点の処理を行う方法を、8つのステップで初心者でも理解できるように解説します。

●Verilogとは

Verilogは、デジタル回路の設計や検証を目的としたハードウェア記述言語の一つです。

シミュレーションや合成、タイミング解析など、広範な用途で活用されています。

●浮動小数点とは

浮動小数点とは、実数を表現するための一般的な数値表現法です。

仮数部と指数部から成り立ち、これにより広範囲の数値を高い精度で表現することが可能となります。

●Verilogでの浮動小数点の扱い方

○浮動小数点の基本的な扱い方

Verilogで浮動小数点を扱う際は、主にrealデータ型を使用します。

realデータ型は、Verilogが提供する基本的な浮動小数点のデータ型で、実数を表現することが可能です。

□サンプルコード1:基本的な浮動小数点の扱い

module floating_point();
    real number = 5.3; // realデータ型で変数を宣言し、値を代入

    initial begin
        $display("number = %f", number); // numberの値を表示
    end
endmodule

このコードでは、realデータ型を使って浮動小数点数を扱っています。

この例では、5.3という値を持つreal型の変数numberを宣言し、それを表示しています。

○浮動小数点の演算

Verilogでは、通常の算術演算子を用いて浮動小数点の加算や減算を行うことができます。

□サンプルコード2:浮動小数点の加算

module floating_point();
    real a = 5.3, b = 3.2; // realデータ型で変数を宣言し、値を代入

    initial begin
        $display("a + b = %f", a + b); // aとbの和を表示
    end
endmodule

このコードでは、浮動小数点数の加算を行っています。

この例では、aとbという2つの浮動小数点数の和を計算し、その結果を表示しています。

実行結果は “a + b = 8.5” と表示されます。

□サンプルコード3:浮動小数点の減算

module floating_point();
    real a = 5.3, b = 3.2; // realデータ型で変数を宣言し、値を代入

    initial begin
        $display("a - b = %f", a - b); // aとbの差を表示
    end
endmodule

このコードでは、浮動小数点数の減算を行っています。

この例では、aからbを引いた結果を計算し、その結果を表示しています。実行結果は “a – b = 2.1” と表示されます。

●Verilogでの浮動小数点の応用

○浮動小数点を使ったアルゴリズムの実装

Verilogでは浮動小数点を用いて、より複雑なアルゴリズムを実装することが可能です。

浮動小数点を用いた平方根の計算を行うサンプルコードを紹介します。

□サンプルコード4:浮動小数点を使ったアルゴリズムの一例

module floating_point();
    real a = 2.0; // realデータ型で変数を宣言し、値を代入

    initial begin
        $display("sqrt(a) = %f", $sqrt(a)); // aの平方根を計算し、表示
    end
endmodule

このコードでは、浮動小数点を用いて平方根の計算を行っています。

この例では、$sqrt関数を使って変数aの平方根を計算し、その結果を表示しています。

実行結果は “sqrt(a) = 1.414214” と表示されます。

●Verilogでの浮動小数点の注意点と対策

○精度とオーバーフローについて

浮動小数点数の計算では、計算精度やオーバーフローが問題となる場合があります。

精度が必要な計算では、丸め誤差を意識する必要があります。

また、大きな数値を扱うときには、オーバーフローに気をつける必要があります。

□サンプルコード5:精度問題への対策

module floating_point();
    real a = 1.0;
    real b = 1e-15; // 1.0e-15は0.000000000000001

    initial begin
        if (a + b == a) begin
            $display("

a + b is equal to a due to loss of precision");
        end else begin
            $display("a + b = %f", a + b);
        end
    end
endmodule

このコードでは、精度問題に対する対策を紹介しています。

この例では、変数aとbの和がaと等しい場合、つまり精度の問題でbが無視された場合にメッセージを表示します。

もし精度が保たれていれば、その和を表示します。

□サンプルコード6:オーバーフローへの対策

module floating_point();
    real a = 1e38; // 大きな数値
    real b = 1e10; // さらに大きな数値で加算

    initial begin
        if (a + b > real'high) begin
            $display("Overflow occurred");
        end else begin
            $display("a + b = %f", a + b);
        end
    end
endmodule

このコードでは、オーバーフローへの対策を紹介しています。

この例では、変数aとbの和が最大表現可能値(real’high)を超える場合、つまりオーバーフローが発生する場合にメッセージを表示します。

もしオーバーフローが発生しなければ、その和を表示します。

●Verilogでの浮動小数点のカスタマイズ

○ユーザ定義関数を利用した浮動小数点の操作

Verilogでは、ユーザ定義関数を利用することで、浮動小数点の操作をより柔軟に行うことが可能です。

浮動小数点を四捨五入するユーザ定義関数のサンプルコードを紹介します。

□サンプルコード7:ユーザ定義関数による浮動小数点の操作

module floating_point();
    function real round(real number);
        if (number >= 0) begin
            return $floor(number + 0.5);
        end else begin
            return $ceil(number - 0.5);
        end
    endfunction

    real a = 5.3; // realデータ型で変数を宣言し、値を代入

    initial begin
        $display("round(a) = %f", round(a)); // aを四捨五入し、表示
    end
endmodule

このコードでは、ユーザ定義関数を用いて浮動小数点の四捨五入を行っています。

この例では、round関数を用いて変数aを四捨五入し、その結果を表示しています。

実行結果は “round(a) = 5.000000” と表示されます。

●Verilogと浮動小数点の理解を深めるための参考資料

Verilogの学習や浮動小数点の理解を深めるためには、公式ドキュメンテーションや関連書籍の閲覧が有効です。

また、各種オンラインリソースやフォーラムでの議論も参考になるでしょう。

まとめ

本記事では、Verilogを使った浮動小数点処理を、初心者にもわかりやすく8つのステップで解説しました。

具体的なサンプルコードを通じて、基本的な浮動小数点の扱い方から、複雑なアルゴリズムの実装、さらには精度やオーバーフローへの対策、そしてユーザ定義関数による浮動小数点の操作まで、幅広く学ぶことができたことと思います。

これらの知識が、あなたのVerilogでのプログラミングスキル向上に役立てば幸いです。