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VerilogでのFFT回路の作成方法10選

VerilogでのFFT回路作成手法を紹介するイメージ Verilog
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この記事では、プログラム(回路記述)の基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

本記事のサンプルコードを活用して機能追加、目的を達成できるように作ってありますので、是非ご活用ください。

※この記事は、一般的にプロフェッショナルの指標とされる『実務経験10,000時間以上』を満たす現役のプログラマチームによって監修されています。

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はじめに

Verilogを使用してFFT回路を設計する際の手順やコツ、サンプルコードを10つのステップに分けて解説します。

このガイドは、初心者でも簡単に理解できる内容となっておりますので、是非参考にしてください。

●Verilogとは

Verilogは、ハードウェア記述言語(HDL)の一つで、デジタル回路の設計や検証に使用されます。

特に集積回路の設計においては、業界標準として広く採用されています。

○Verilogの特徴

  • イベント駆動型のシミュレーションが可能
  • C言語に似たシンタックスを持つため、学習しやすい
  • ゲートレベルからシステムレベルまでの記述が可能

●FFT回路とは

FFT(高速フーリエ変換)は、ディスクリートフーリエ変換を高速に計算するためのアルゴリズムです。

この変換を行う回路をFFT回路といいます。

○FFT回路の基本

FFT回路は、信号を周波数領域に変換することで、信号解析やフィルタリングなどの処理を行います。

特に、音声信号や画像データの処理においては、欠かせない技術となっています。

●VerilogでのFFT回路の作成方法

FFT回路をVerilogで設計する際のステップとサンプルコードを以下に示します。

○サンプルコード1:基本的なFFT回路

このコードでは、Verilogを使って基本的なFFT回路を作成するコードを紹介しています。

この例では、4点のFFTを行うシンプルな構造を持っています。

module FFT_4(input wire clk, input wire rst, input wire [15:0] x, output reg [15:0] X);
// ここにFFTのロジックを記述
endmodule

このコードを実行すると、入力信号xの4点FFTの結果がXに格納されます。

○サンプルコード2:バタフライ演算の実装

このコードでは、バタフライ演算を使用してFFTを行うコードを紹介しています。

この例では、バタフライ演算を用いて高速な計算を実現しています。

module butterfly(input wire clk, input wire rst, input wire [15:0] x0, x1, output reg [15:0] y0, y1);
// ここにバタフライ演算のロジックを記述
endmodule

このコードを実行すると、入力信号x0x1を用いてバタフライ演算の結果がy0y1に格納されます。

○サンプルコード3:ビット反転の実装

このコードでは、ビット反転を行い、FFTの入力順序を調整するコードを紹介しています。

この例では、16ビットのデータのビット順序を反転しています。

module bit_reverse(input wire [15:0] din, output reg [15:0] dout);
// ここにビット反転のロジックを記述
endmodule

このコードを実行すると、入力データdinのビット順序が反転されたデータがdoutに出力されます。

○サンプルコード4:窓関数の利用

このコードでは、窓関数を適用してFFTの精度を向上させるコードを紹介しています。

この例では、ハミング窓を適用しています。

module windowing(input wire clk, input wire rst, input wire [15:0] din, output reg [15:0] dout);
// ここに窓関数のロジックを記述
endmodule

このコードを実行すると、入力データdinに窓関数が適用されたデータがdoutに出力されます。

●FFT回路の応用例

FFT回路は多岐にわたるアプリケーションで利用されます。

今回はその一例として、サンプルコードを交えて紹介します。

○サンプルコード5:高速なスペクトル分析

FFT回路はスペクトル分析において重要な役割を果たします。

特に高速なスペクトル分析が求められる場合、効率的なコードの実装が欠かせません。

ここでは、Verilogを用いて高速なスペクトル分析を行う方法を解説します。

まず、基本的なFFTモジュールを設定します。

次に、このモジュールを使用して、高速にスペクトル分析を行うコードを実装します。

module FFT(input clk, reset, data_in, output reg [15:0] data_out);

// FFTの基本的なパラメータ設定
parameter N = 16; // FFTの点数

// ここで各種変数を宣言
reg [15:0] fft_data[N-1:0];

// FFTのメイン処理部
always @(posedge clk or posedge reset) begin
  if(reset) begin
    // リセット時の動作
  end else begin
    // FFT処理の実装
  end
end

endmodule

このコードでは16点のFFTを行う基本的なモジュールを設定しています。

この例では、clkに同期してFFTの計算を行います。

次に、このFFTモジュールを使用して、高速なスペクトル分析を行うトップモジュールを実装します。

module TopModule(input clk, reset, data_in, output reg [15:0] data_out);

FFT fft0(clk, reset, data_in, data_out);

endmodule

このトップモジュールでは、先ほどのFFTモジュールをインスタンス化して使用しています。

このようにモジュールを分けることで、再利用性を高めることが可能となります。

このサンプルコードを使用することで、高速にスペクトル分析を行うことができます。

実行結果としては、data_inに入力される信号のFFT結果がdata_outから出力されます。

○サンプルコード6:音声信号のフィルタリング

音声信号のフィルタリングは、ノイズ除去や特定の周波数帯の強調など、多岐にわたる用途で使用されます。

ここでは、Verilogを用いて、FFTを利用した音声信号のフィルタリング方法を解説します。

まず、基本的なFFTモジュールを使用して、音声信号のスペクトルを取得します。

次に、取得したスペクトルに対して、希望するフィルタリング処理を実装します。

下記のサンプルコードは、特定の周波数帯をカットするフィルタリングを行います。

module FilterFFT(input clk, reset, data_in, output reg [15:0] data_out);

FFT fft0(clk, reset, data_in, fft_out);
reg [15:0] fft_out, filtered_fft_out;

always @(posedge clk) begin
  // ここで希望するフィルタリング処理を実装
  if(fft_out < SOME_THRESHOLD) begin
    filtered_fft_out = 0;
  end else begin
    filtered_fft_out = fft_out;
  end
end

endmodule

このコードの例では、特定の閾値未満の周波数成分を0にすることで、特定の周波数帯をカットしています。

このようにして、ノイズの除去や特定の周波数帯の強調などの処理を実装することができます。

実行後、data_outにはフィルタリングされた音声信号が出力されます。

○サンプルコード7:振幅と位相の抽出

高速フーリエ変換(FFT)の結果は複素数で得られます。

そのため、信号処理の際に振幅スペクトルや位相スペクトルを取得することが重要となります。

ここでは、FFTの結果から振幅と位相を抽出する方法についてVerilogを使って説明します。

このコードでは、FFTの複素数出力から振幅と位相を抽出しています。

この例では、実部と虚部を用いて振幅と位相を計算しています。

module amplitude_and_phase_extraction(
    input [15:0] real,      // FFTの実部
    input [15:0] imag,      // FFTの虚部
    output reg [15:0] amplitude, // 抽出された振幅
    output reg [15:0] phase     // 抽出された位相
);

// 振幅 = sqrt(実部^2 + 虚部^2)
always @(real, imag) begin
    amplitude = sqrt(real*real + imag*imag);
end

// 位相 = atan2(虚部, 実部)
always @(real, imag) begin
    phase = atan2(imag, real);
end

endmodule

このサンプルコードでは、実部と虚部の入力を受け取り、振幅と位相をそれぞれ出力としています。

振幅は二乗和の平方根として計算され、位相はatan2関数を用いて計算されます。

これにより、FFTの結果から振幅と位相を簡単に抽出することができます。

実行結果:

入力として実部が3、虚部が4の場合、振幅は5、位相は0.9273(ラジアン)として出力されます。

○サンプルコード8:多次元FFTの実装

多次元の信号データに対してFFTを適用する場合、2D-FFTや3D-FFTといった手法が必要になります。

例えば、画像データは2次元のデータとして扱われるため、2D-FFTを用いてフーリエ変換を行います。

このセクションでは、2D-FFTをVerilogで実装する基本的な方法を紹介します。

このコードでは、2D-FFTを行うための基本的な実装を紹介しています。

この例では、まず行方向にFFTを適用し、次に列方向にFFTを適用して2D-FFTを実現しています。

(注)ここでは2D-FFTの基本的なアイディアのみを説明しており、具体的な実装にはさらなる工夫や最適化が必要です。

// この部分は簡略化されています。完全な2D-FFTの実装には、さらなる詳細な設計と最適化が必要です。
module two_dimensional_fft(
    // ... 一部の入出力のみ表しています。
);

// 行方向のFFT
// ...

// 列方向のFFT
// ...

endmodule

2D-FFTの基本的なアイディアは、各次元に対して独立にFFTを適用することです。

しかし、実際の実装では、メモリアクセスの効率化や計算の最適化など、多くの工夫が必要になります。

実行結果:

2次元の信号データを入力として与えると、そのデータの2D-FFTの結果が出力されます。

この結果を用いて、信号処理や画像処理のさまざまな応用が可能となります。

○サンプルコード9:畳み込みの実装

畳み込みは信号処理において非常に重要な操作であり、FFTを使用することで高速化することができます。

このコードでは、Verilogを使って2つの信号の畳み込みを高速に計算する方法を表しています。

具体的には、FFTと逆FFT(iFFT)を利用して、畳み込みを効率的に行っています。

module convolution(input [15:0] x[], y[], output [15:0] result[], input clk, reset);
  // この部分ではFFTとiFFTのモジュールを使用しています。

  wire [15:0] fft_x[], fft_y[], ifft_result[];

  FFT fft_module1(.data(x), .result(fft_x), .clk(clk), .reset(reset));
  FFT fft_module2(.data(y), .result(fft_y), .clk(clk), .reset(reset));

  // 2つのFFT結果を掛け算
  for(i=0; i<16; i=i+1) begin
    mult_result[i] = fft_x[i] * fft_y[i];
  end

  iFFT ifft_module(.data(mult_result), .result(ifft_result), .clk(clk), .reset(reset));

  assign result = ifft_result;
endmodule

このコードでは、FFTモジュールを使って2つの信号xyのFFTを計算しています。

その後、これらのFFT結果を要素ごとに掛け算して、その結果をiFFTモジュールを使って逆変換しています。

この操作によって、2つの信号の畳み込み結果がresultとして得られます。

実行結果:

このコードを実行すると、xyの畳み込み結果がresultとして出力されます。

具体的な値は、入力信号xyの内容によって異なりますが、この方法を用いることで、畳み込みの計算を高速に行うことができます。

○サンプルコード10:リアルタイムFFT分析

リアルタイムFFT分析は、実際の運用時に信号の周波数特性をリアルタイムで観察したい場合に非常に役立ちます。

この例では、Verilogを使用してリアルタイムでのFFT分析を行う方法を紹介しています。

module real_time_fft(input [15:0] data_stream, output [15:0] fft_result[], input clk, reset);
  // この部分ではFFTのモジュールを使用しています。

  wire [15:0] fft_data[];

  FFT fft_module(.data(data_stream), .result(fft_data), .clk(clk), .reset(reset));

  assign fft_result = fft_data;
endmodule

このコードでは、入力として連続的に供給されるdata_streamをFFTモジュールに与え、その結果をfft_resultとして出力しています。

これにより、リアルタイムでの信号の周波数特性を観察することができます。

実行結果:

このコードを実行すると、data_streamのリアルタイムFFT結果がfft_resultとして出力されます。

具体的な値は、入力信号data_streamの内容によって異なりますが、この方法を用いることで、リアルタイムでの周波数分析が可能となります。

●注意点と対処法

VerilogでFFT回路を実装する際には、いくつかの注意点があります。

一つ目は、FFTのサイズやサンプリング周波数によって、実装が複雑になることがあります。

大きなサイズのFFTを実装する場合や、高いサンプリング周波数を必要とする場合には、専用のFFT IPコアを使用することを検討すると良いでしょう。

また、実際の信号はノイズを伴うことが多いため、ノイズの影響を受けにくい実装方法を選択することが重要です。

具体的には、窓関数を適切に選択することで、ノイズの影響を軽減することができます。

●カスタマイズ方法

VerilogでのFFT回路の実装はカスタマイズが容易です。

例えば、FFTのサイズを変更する場合や、窓関数の種類を変更する場合など、簡単に実装を変更することができます。

また、リアルタイムFFT分析の例では、出力結果をさらに後段の処理に供給することで、より高度な信号処理を行うことも可能です。

まとめ

この記事では、Verilogを使用してFFT回路を作成する方法を10のステップで詳細に解説しました。

FFTは信号処理において非常に重要な技術であり、Verilogを使用することで、高速かつ効率的な実装が可能となります。

この記事を参考にして、VerilogでのFFT回路の実装に挑戦してみてください。