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JavaScriptのqueueMicrotaskメソッドの効果的な活用法8選

JavaScriptのqueueMicrotaskメソッドを使った非同期処理の制御方法 JS
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●queueMicrotaskとは?

JavaScriptでは、非同期処理を扱うことが非常に重要です。

非同期処理を適切に制御することで、アプリケーションのパフォーマンスを向上させることができるのです。

そのための強力な武器の1つが、queueMicrotaskメソッドです。

queueMicrotaskは、ECMAScript 2020で導入された比較的新しいメソッドですが、非同期処理を扱う上で欠かせない存在となっています。

このメソッドを使うことで、マイクロタスクと呼ばれる特殊なタスクを効果的に管理できるようになります。

○マイクロタスクとは

マイクロタスクとは、JavaScriptのイベントループ内で高い優先度を持つタスクのことを指します。

通常のタスクとは異なり、マイクロタスクはイベントループの現在の反復が終了する前に実行されます。

つまり、マイクロタスクは可能な限り早く実行されるのです。

マイクロタスクの代表的な例としては、Promiseのコールバックや、MutationObserverのコールバックなどがあります。

このコールバックは、他の通常のタスクよりも先に実行されます。

○queueMicrotaskの役割

queueMicrotaskメソッドは、指定したコールバック関数をマイクロタスクキューに追加するための機能を提供します。

このメソッドに渡されたコールバック関数は、現在のイベントループの反復が終了する前に実行されます。

queueMicrotaskを使うことで、非同期処理の実行順序を細かく制御できるようになります。

例えば、ある処理を他の処理よりも先に実行したい場合や、特定の条件が満たされた後に処理を実行したい場合などに、queueMicrotaskは威力を発揮します。

○サンプルコード1:基本的な使い方

それでは、queueMicrotaskの基本的な使い方を見ていきましょう。

次のコードは、queueMicrotaskを使って2つの関数を順番に実行する例です。

console.log('開始');

queueMicrotask(() => {
  console.log('マイクロタスク1');
});

console.log('中間');

queueMicrotask(() => {
  console.log('マイクロタスク2');
});

console.log('終了');

このコードを実行すると、次のような結果が出力されます。

開始
中間
終了
マイクロタスク1
マイクロタスク2

ご覧の通り、queueMicrotaskに渡されたコールバック関数は、同期的なコードの実行が終わった後に実行されています。

これが、マイクロタスクの基本的な動作です。

queueMicrotaskを使えば、非同期処理をより細やかに制御できるようになります。

次は、queueMicrotaskとsetTimeoutの違いについて見ていきましょう。

●queueMicrotaskとsetTimeoutの違い

JavaScriptで非同期処理を扱う際、queueMicrotaskとsetTimeoutはどちらもよく使われるメソッドです。

しかし、この2つのメソッドには重要な違いがあります。その違いを理解することが、効果的な非同期処理の制御につながるのです。

○実行順序の比較

queueMicrotaskとsetTimeoutの最も大きな違いは、実行のタイミングにあります。

queueMicrotaskに渡されたコールバック関数は、現在のイベントループの反復が終了する前に実行されます。

一方、setTimeoutに渡されたコールバック関数は、指定された時間が経過した後に実行されます。

つまり、queueMicrotaskはsetTimeoutよりも優先度が高いのです。

これは、マイクロタスクがイベントループの現在の反復内で処理されるためです。

setTimeoutは、新しいタスクを作成し、それを後続のイベントループの反復で処理します。

○サンプルコード2:queueMicrotaskとsetTimeout

この違いを実際のコードで確認してみましょう。

ここでは、queueMicrotaskとsetTimeoutを組み合わせた例を紹介します。

console.log('開始');

setTimeout(() => {
  console.log('タイムアウト');
}, 0);

queueMicrotask(() => {
  console.log('マイクロタスク');
});

console.log('終了');

このコードを実行すると、次のような結果が得られます。

開始
終了
マイクロタスク
タイムアウト

ご覧の通り、queueMicrotaskに渡されたコールバックは、setTimeoutに渡されたコールバックよりも先に実行されています。

これは、マイクロタスクがイベントループの現在の反復内で処理されるためです。

○パフォーマンスへの影響

queueMicrotaskとsetTimeoutの違いは、アプリケーションのパフォーマンスにも影響を与えます。

一般的に、マイクロタスクはsetTimeoutよりも効率的です。

その理由は、マイクロタスクがイベントループの現在の反復内で処理されるため、新しいタスクを作成するオーバーヘッドがないからです。

一方、setTimeoutは新しいタスクを作成し、それを後続のイベントループの反復で処理するため、オーバーヘッドが発生します。

したがって、可能な限りマイクロタスクを使用することで、アプリケーションのパフォーマンスを向上させることができるのです。

ただし、マイクロタスクを過剰に使用すると、イベントループがブロックされ、UIの応答性が低下する可能性があるので注意が必要です。

●Promiseとの関係

JavaScriptの非同期処理を語る上で、Promiseは外せない存在です。

実は、queueMicrotaskとPromiseには密接な関係があるのです。Promiseの動作を理解することが、queueMicrotaskを効果的に活用する鍵となります。

○Promiseのマイクロタスク

Promiseのコールバック関数は、マイクロタスクとして扱われます。

つまり、Promiseの解決(resolve)または拒否(reject)が発生すると、それに対応するコールバック関数がマイクロタスクキューに追加されるのです。

この動作は、queueMicrotaskを使った場合と非常に似ています。

Promiseのコールバックも、現在のイベントループの反復が終了する前に実行されます。

○サンプルコード3:PromiseとqueueMicrotask

Promiseとqueuemicrotaskの関係を、実際のコードで確認してみましょう。

console.log('開始');

Promise.resolve().then(() => {
  console.log('Promise');
});

queueMicrotask(() => {
  console.log('マイクロタスク');
});

console.log('終了');

このコードを実行すると、次のような結果が得られます。

開始
終了
Promise
マイクロタスク

ご覧の通り、PromiseのコールバックとqueueMicrotaskに渡されたコールバックは、同じタイミングで実行されています。

これは、どちらもマイクロタスクとして扱われるためです。

ただし、実行順序には微妙な違いがあります。

Promiseのコールバックは、queueMicrotaskに渡されたコールバックよりも先に実行されます。

これは、Promiseのジョブキューがマイクロタスクキューよりも先に処理されるためです。

○エラーハンドリング

Promiseとqueuemicrotaskを使う際は、エラーハンドリングにも注意が必要です。

Promiseでは、拒否(reject)されたPromiseに対応するコールバックが呼び出されます。

一方、queueMicrotaskに渡されたコールバック内で発生したエラーは、グローバルエラーハンドラ(window.onerror)でキャッチする必要があります。

したがって、queueMicrotaskを使う場合は、適切なエラーハンドリングを行うことが重要です。

エラーを見逃さないようにすることで、アプリケーションの安定性を高めることができます。

Promiseとqueuemicrotaskの関係を理解することは、非同期処理の制御に役立ちます。

でも、これらの動作を完全に理解するには、JavaScriptのイベントループについても知る必要があります。

イベントループとqueueMicrotaskの関係について、もう少し詳しく見ていきましょう。

●イベントループとの関係

JavaScriptのイベントループは、非同期処理を理解する上で欠かせない概念です。

queueMicrotaskの動作を完全に理解するには、イベントループとの関係を知ることが重要でしょう。

○マイクロタスクキューの処理

イベントループは、タスクキューとマイクロタスクキューの2つのキューを持っています。

タスクキューには、setTimeout、setInterval、I/O操作などのタスクが追加されます。

一方、マイクロタスクキューには、Promiseのコールバックやqueuemicrotaskに渡されたコールバックが追加されます。

イベントループの各反復では、まずタスクキューからタスクを1つ取り出して実行します。

そのタスクの実行が完了すると、マイクロタスクキューが空になるまで、マイクロタスクを1つずつ取り出して実行します。

これが、queueMicrotaskに渡されたコールバックが、他のタスクよりも先に実行される理由です。

○サンプルコード4:イベントループの可視化

イベントループの動作を可視化するために、次のようなコードを考えてみましょう。

console.log('開始');

setTimeout(() => {
  console.log('タイムアウト1');
  queueMicrotask(() => {
    console.log('マイクロタスク2');
  });
}, 0);

queueMicrotask(() => {
  console.log('マイクロタスク1');
});

setTimeout(() => {
  console.log('タイムアウト2');
}, 0);

console.log('終了');

このコードを実行すると、次のような結果が得られます。

開始
終了
マイクロタスク1
タイムアウト1
マイクロタスク2
タイムアウト2

ご覧の通り、マイクロタスクは、同じイベントループの反復内で、タスクの実行が完了した後に処理されています。

また、あるタスクの中で新しいマイクロタスクが追加された場合、そのマイクロタスクは、同じイベントループの反復内で処理されます。

○ブロッキングを避ける方法

マイクロタスクを使う際は、ブロッキングに注意する必要があります。

マイクロタスクを大量に追加したり、時間のかかる処理をマイクロタスクの中で行ったりすると、イベントループがブロックされ、UIの応答性が低下する可能性があります。

したがって、マイクロタスクの中では、できるだけ短い処理を行うことが重要です。

時間のかかる処理は、通常のタスクとして実行するのが賢明でしょう。

また、再帰的にマイクロタスクを追加する場合は、無限ループに陥らないように注意が必要です。

●queueMicrotaskの応用例

さて、ここまででqueueMicrotaskの基本的な使い方や、他の非同期処理との関係について理解が深まったのではないでしょうか。

でも、実際の開発現場では、もっと複雑な状況でqueueMicrotaskを活用することがあります。

そこで、queueMicrotaskのより実践的な応用例を見ていきましょう。

○サンプルコード5:非同期イテレーション

非同期処理を含むイテレーションを行う際に、queueMicrotaskが役立つことがあります。

例えば、大量のデータを処理する際に、一定数ごとに処理を中断し、UIスレッドに制御を戻すことで、アプリケーションの応答性を維持することができます。

async function processData(data) {
  let i = 0;
  const chunkSize = 1000;

  const processChunk = () => {
    const end = Math.min(i + chunkSize, data.length);
    for (; i < end; i++) {
      // データの処理
    }
    if (i < data.length) {
      queueMicrotask(processChunk);
    }
  };

  queueMicrotask(processChunk);
}

このコードでは、一度にchunkSize個のデータを処理し、残りのデータがある場合はqueueMicrotaskを使って次の処理を予約しています。

これにより、大量のデータを処理する際にUIスレッドをブロックすることなく、アプリケーションの応答性を維持することができます。

○サンプルコード6:再帰的なタスク実行

queueMicrotaskを使うと、再帰的なタスクの実行を効率的に行うことができます。

例えば、ツリー構造のデータを探索する際に、深さ優先探索を非同期的に行うことができます。

function searchTree(node, callback) {
  callback(node);
  node.children.forEach((child) => {
    queueMicrotask(() => searchTree(child, callback));
  });
}

このコードでは、各ノードに対してcallback関数を呼び出した後、子ノードに対する探索をqueueMicrotaskを使って予約しています。

これにより、探索処理を分割し、UIスレッドをブロックすることなく、大きなツリー構造を探索することができます。

○サンプルコード7:ロック機構の実装

queueMicrotaskを使うと、非同期処理におけるロック機構を簡単に実装することができます。

例えば、複数の非同期処理が共有リソースにアクセスする際に、排他制御を行うことができます。

let lock = false;

async function exclusiveOperation() {
  if (lock) {
    await new Promise((resolve) => {
      queueMicrotask(() => exclusiveOperation().then(resolve));
    });
    return;
  }
  lock = true;
  try {
    // 排他的な操作
  } finally {
    lock = false;
  }
}

このコードでは、lock変数を使って排他制御を行っています。

lockがtrueの場合、queueMicrotaskを使って操作を予約し、lockがfalseになるまで待機します。

これにより、複数の非同期処理が同時に共有リソースにアクセスすることを防ぐことができます。

○サンプルコード8:リアクティブプログラミング

queueMicrotaskは、リアクティブプログラミングにおいても重要な役割を果たします。

リアクティブプログラミングでは、データの変更を監視し、変更に応じて自動的に処理を行います。

queueMicrotaskを使うことで、データの変更に応じた処理を非同期的に実行することができます。

const data = new Proxy({ count: 0 }, {
  set(target, key, value) {
    target[key] = value;
    queueMicrotask(() => {
      console.log(`データが変更されました: ${key} = ${value}`);
    });
    return true;
  },
});

data.count = 1; // "データが変更されました: count = 1"
data.count = 2; // "データが変更されました: count = 2"

このコードでは、Proxyを使ってデータの変更を監視し、変更があった場合にqueueMicrotaskを使って非同期的に処理を行っています。

これにより、データの変更に応じたリアクティブな処理を実現することができます。

●よくあるエラーと対処法

queueMicrotaskを使いこなせるようになると、JavaScriptの非同期処理が格段に理解しやすくなります。

でも、実際に使う際には、いくつかの落とし穴があります。

ここでは、queueMicrotaskを使う上でよくあるエラーとその対処法について見ていきましょう。

○タスクの実行順序に関するエラー

queueMicrotaskを使う際によくある間違いが、タスクの実行順序を誤解することです。

queueMicrotaskに渡したコールバックは、現在のイベントループの反復が終了する前に実行されます。

つまり、同期的なコードの後、かつ他のマイクロタスクの後に実行されるのです。

この動作を理解していないと、意図しない実行順序になってしまうことがあります。

例えば、queueMicrotaskに渡したコールバックが同期的なコードよりも先に実行されると期待していると、バグの原因になるかもしれません。

この問題を避けるには、タスクの実行順序を常に意識することが重要です。

queueMicrotaskに渡すコールバックは、現在の同期的なコードの実行が終了した後に実行されることを念頭に置いてください。

○メモリリークの防止

queueMicrotaskを使う際のもう1つの注意点は、メモリリークです。

queueMicrotaskに渡したコールバックは、参照されているオブジェクトへの参照を保持します。

そのため、不要になったオブジェクトへの参照を適切に解放しないと、メモリリークが発生する可能性があります。

メモリリークを防ぐには、queueMicrotaskに渡すコールバック内で使用するオブジェクトの参照を適切に管理することが重要です。

不要になったオブジェクトへの参照は、できるだけ早く解放するようにしましょう。

また、queueMicrotaskを使って大量のタスクを追加する場合は、メモリ使用量にも注意が必要です。

タスクの追加は最小限に抑え、不要になったタスクはキャンセルするようにしましょう。

○デッドロックの回避

queueMicrotaskを使う際は、デッドロックにも注意が必要です。

デッドロックとは、複数のタスクが互いに他のタスクの完了を待ち続け、永遠に待ち状態から抜け出せなくなる状態のことです。

デッドロックは、queueMicrotaskを使った同期的な処理で発生することがあります。

例えば、あるタスクが別のタスクの完了を待っている間に、そのタスクが完了するのを待っている場合などです。

デッドロックを避けるには、タスク間の依存関係を注意深く管理することが重要です。

可能な限り、タスクを独立して実行できるように設計しましょう。

また、タスクの実行順序を適切に制御し、デッドロックが発生しないようにすることが大切です。

queueMicrotaskを使う際は、これらのエラーと対処法を念頭に置くことが重要です。

タスクの実行順序を意識し、メモリリークやデッドロックを避けることで、安全で効率的なコードを書くことができるでしょう。

まとめ

JavaScriptのqueueMicrotaskメソッドは、非同期処理を制御する上で非常に強力なツールです。

マイクロタスクの概念を理解し、queueMicrotaskとsetTimeoutの違いを把握することで、より効率的なコードを書くことができます。

また、Promiseやイベントループとの関係性を深く理解することで、非同期処理のパフォーマンスを最適化することもできるでしょう。

queueMicrotaskの応用範囲は広く、非同期イテレーションや再帰的なタスク実行、ロック機構の実装など、様々な場面で活用することができます。

ただし、タスクの実行順序やメモリリーク、デッドロックなどの問題には注意が必要です。

queueMicrotaskを使いこなすには、試行錯誤と経験が欠かせません。

エラーから学び、ベストプラクティスを身につけることで、JavaScriptの非同期処理をマスターしていきましょう。

queueMicrotaskを効果的に活用することで、より高度で洗練されたWebアプリケーションを開発することができるはずです。