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VHDLでの算術演算子の完璧な使い方10選

VHDLの算術演算子を使ったコードのサンプルイメージ VHDL
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この記事では、プログラム(回路記述)の基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

本記事のサンプルコードを活用して機能追加、目的を達成できるように作ってありますので、是非ご活用ください。

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はじめに

VHDLの算術演算子は、デジタル設計において頻繁に使用されるものです。

初心者から上級者まで、この言語を使う者にとって、その正しい理解と使い方は必須です。

この記事では、VHDLの算術演算子に関する知識を徹底的に解説し、実際の使用例を10の具体的なサンプルコードを通してご紹介します。

●VHDLの算術演算子とは

VHDLの算術演算子は、数字やビットの計算を行う際に使用される記号や命令のことを指します。

○算術演算子の基本

算術演算子には、加算、減算、乗算、除算などの基本的な計算を行うものから、シフト操作やモジュロ計算など、特定の条件下での計算をサポートするものまで、さまざまな種類が存在します。

●算術演算子の使い方

○サンプルコード1:基本的な加算と減算

このコードでは、2つの整数値を加算・減算する基本的な操作を表しています。

signal a, b, sum, diff : integer := 0;

begin
  sum <= a + b;
  diff <= a - b;
end;

この例では、2つの整数値abの加算結果をsumに、減算結果をdiffに格納しています。

○サンプルコード2:乗算と除算の方法

このコードでは、2つの整数値の乗算と除算の基本的な操作を表しています。

signal a, b, mult, div : integer := 0;

begin
  mult <= a * b;
  div <= a / b;
end;

この例では、abの乗算結果をmultに、除算結果をdivに格納しています。

○サンプルコード3:モジュロと剰余の違い

このコードでは、モジュロと剰余計算の違いを表しています。

signal a, b, mod_res, rem_res : integer := 0;

begin
  mod_res <= a mod b;
  rem_res <= a rem b;
end;

この例では、abで割ったときのモジュロと剰余の計算結果をそれぞれmod_resrem_resに格納しています。

○サンプルコード4:シフト操作の例

このコードでは、左シフトと右シフト操作を行う方法を表しています。

signal num : integer := 0;
signal left_shift, right_shift : integer := 0;

begin
  left_shift <= num sll 2;
  right_shift <= num srl 2;
end;

この例では、numを2ビット左シフトした結果をleft_shiftに、2ビット右シフトした結果をright_shiftに格納しています。

●算術演算子の応用例

VHDLでの算術演算子の使用は、基本的な計算だけではなく、さまざまな高度な応用が可能です。

ここでは、それらの応用例をいくつかのサンプルコードとともに解説していきます。

○サンプルコード5:複雑な計算の組み合わせ

このコードではVHDLを使って、複数の算術演算子を組み合わせた複雑な計算を実行しています。

この例では、加算、減算、乗算を組み合わせて、特定の計算式を実装しています。

library IEEE;
use IEEE.STD_LOGIC_1164.ALL;
use IEEE.STD_LOGIC_ARITH.ALL;

entity complex_calc is
    Port ( A : in integer;
           B : in integer;
           C : in integer;
           result : out integer);
end complex_calc;

architecture calc_arch of complex_calc is
begin
    process(A, B, C)
    begin
        result <= A * B - C + A;
    end process;
end calc_arch;

このコードを実行すると、ABCの3つの入力値に基づいて、計算式A * B - C + Aの結果がresultに格納されます。たとえば、A=2、B=3、C=1とした場合、resultは7になります。

○サンプルコード6:算術演算子を使用した関数の作成

VHDLでは、算術演算子を使用して独自の関数を定義することも可能です。

次のコードは、平均値を求める関数を表しています。

library IEEE;
use IEEE.STD_LOGIC_1164.ALL;
use IEEE.STD_LOGIC_ARITH.ALL;

entity avg_func is
end avg_func;

architecture avg_arch of avg_func is
    function average(A: integer; B: integer) return integer is
    begin
        return (A + B) / 2;
    end function average;
begin
end avg_arch;

上記の関数を使用することで、2つの数値の平均値を簡単に計算することができます。

○サンプルコード7:ビット幅を考慮した演算

ビット幅は、VHDLの計算において非常に重要な要素です。

次のコードは、ビット幅を考慮して加算を行う例を表しています。

library IEEE;
use IEEE.STD_LOGIC_1164.ALL;
use IEEE.STD_LOGIC_ARITH.ALL;

entity bit_calc is
    Port ( A : in STD_LOGIC_VECTOR(7 downto 0);
           B : in STD_LOGIC_VECTOR(7 downto 0);
           result : out STD_LOGIC_VECTOR(7 downto 0));
end bit_calc;

architecture bit_arch of bit_calc is
begin
    process(A, B)
    begin
        result <= A + B;
    end process;
end bit_arch;

このコードは8ビットの入力AとBを加算して、同じく8ビットのresultに結果を格納します。

ただし、オーバーフローの可能性があるため、その点を注意しながら使用する必要があります。

○サンプルコード8:特定のビット位置の操作

VHDLの算術演算子を使って、ビット列の特定の位置にあるビットの操作も行えます。

次のコードは、8ビットの数値の4ビット目を0に設定する例を表しています。

library IEEE;
use IEEE.STD_LOGIC_1164.ALL;
use IEEE.STD_LOGIC_ARITH.ALL;

entity bit_operation is
    Port ( A : in STD_LOGIC_VECTOR(7 downto 0);
           result : out STD_LOGIC_VECTOR(7 downto 0));
end bit_operation;

architecture bit_op_arch of bit_operation is
begin
    process(A)
    begin
        result <= A and "11110111";
    end process;
end bit_op_arch;

このコードを使うと、入力Aの4ビット目だけが0に設定され、他のビットはそのままの状態でresultに出力されます。

○サンプルコード9:動的なビット幅の操作

VHDLでの算術演算子の活用は、単純な計算だけでなく、ビット幅の動的な操作にも応用することができます。

ビット幅の動的操作とは、実行時にビット幅を変更する方法を指します。

ここでは、動的なビット幅の操作を実現する方法をサンプルコードと共に解説します。

このコードでは、ビット幅を動的に変更するためのコードを表しています。

この例では、入力のビット幅に応じて出力のビット幅を変更する方法を実装しています。

library IEEE;
use IEEE.STD_LOGIC_1164.ALL;
use IEEE.STD_LOGIC_ARITH.ALL;
use IEEE.STD_LOGIC_UNSIGNED.ALL;

entity dynamic_bitwidth is
    Port ( din : in std_logic_vector(7 downto 0);
           ctrl : in std_logic_vector(2 downto 0);
           dout : out std_logic_vector(15 downto 0));
end dynamic_bitwidth;

architecture Behavioral of dynamic_bitwidth is
begin
    process(din, ctrl)
    begin
        -- コメント: ctrlの値に応じてビット幅を変更する
        case ctrl is
            when "001" =>
                dout <= din & "0000_0000";  -- ビット幅を2倍にする
            when "010" =>
                dout <= din(7 downto 4) & din(7 downto 4);  -- 上位4ビットを2回繰り返す
            when "011" =>
                dout <= din(3 downto 0) & din(3 downto 0);  -- 下位4ビットを2回繰り返す
            when others =>
                dout <= "0000_0000_0000_0000";  -- デフォルトは全て0
        end case;
    end process;
end Behavioral;

このコードの動作は次のとおりです。

まず、ctrlの入力値によって、doutの出力ビット幅を変更します。

例えば、ctrlが”001″の場合、doutのビット幅はdinのビット幅の2倍となり、低位8ビットは0になります。

また、ctrlが”010″の場合、doutの上位8ビットにdinの上位4ビットが2回繰り返され、その他の場合、doutは全て0になります。

このコードを使えば、動的にビット幅を変更する必要がある場面で、効率的にビット操作が可能です。

例えば、データ変換やシグナル処理などの応用例で役立つでしょう。

ただし、動的にビット幅を変更する場合は、実際のハードウェアでのオーバーフローやアンダーフローなどの問題も考慮する必要があります。

これについては、後述の「注意点と対処法」のセクションで詳しく触れていきます。

○サンプルコード10:算術演算子の応用例のまとめ

VHDLの算術演算子は、数学的な操作をビット単位で行うためのものです。

これまでに、様々な算術演算子の具体的な使用方法や、その応用例を解説。

ここでは、それらの応用例を一つのサンプルコードでまとめて紹介します。

このコードでは、異なるビット幅の変数に対して加算や減算を行い、シフト操作を用いてビット位置を変更する操作を行います。

この例では、算術演算子の組み合わせを活用して複雑な計算を行っています。

library IEEE;
use IEEE.STD_LOGIC_1164.ALL;
use IEEE.STD_LOGIC_ARITH.ALL;
use IEEE.STD_LOGIC_UNSIGNED.ALL;

entity ArithmeticOperation is
end ArithmeticOperation;

architecture Behavior of ArithmeticOperation is
    signal a : std_logic_vector(7 downto 0) := "11001010";
    signal b : std_logic_vector(7 downto 0) := "01010101";
    signal c : std_logic_vector(7 downto 0);
begin
    process
    begin
        c <= a + b;
        wait for 10 ns;
        c <= a - b;
        wait for 10 ns;
        c <= a srl 2; -- 2ビット右にシフト
        wait;
    end process;
end Behavior;

上記のサンプルコードでは、8ビットの変数aとbに対して、加算、減算、右シフトの操作を行っています。

まず、aとbを加算した結果をcに代入しています。

次に、aからbを減算した結果をcに代入します。最後に、aを2ビット右にシフトした結果をcに代入しています。

このコードを実行すると、cの値は次のように変化します。

初めの10nsの間、cの値はaとbの加算結果、すなわち”10011111″となります。

次の10nsの間、cの値はaからbを減算した結果、すなわち”01111101″となります。

最後に、aを2ビット右にシフトした結果、”00110010″となります。

●注意点と対処法

○オーバーフローとアンダーフローの問題

VHDLで算術演算子を使用する際には、オーバーフローやアンダーフローの問題が生じる可能性があります。

この問題は、ビット幅を超える値が生成された場合や、0未満の値が生成された場合に発生します。

これを防ぐためには、演算前に変数のビット幅を確認し、必要に応じてビット幅を増やすか、または演算を行わないように処理を追加することが推奨されます。

○ビット幅の考慮

VHDLでの計算では、ビット幅の考慮が必須です。

変数のビット幅が異なる場合、直接の計算ができない場合があります。

そのため、計算を行う前にビット幅を統一するなどの対応が必要です。

○演算子の優先順位と結合規則

VHDLの演算子には、優先順位と結合規則が定められています。

複数の演算子を組み合わせて使用する際には、これらのルールを理解しておくことで、意図しない計算結果を防ぐことができます。

●カスタマイズ方法

VHDLでのデザインやシミュレーションの際、標準の機能だけでは限界があります。

そこで、独自の演算子の定義や外部ライブラリの使用など、様々なカスタマイズ方法が考えられます。

それでは、これらのカスタマイズ方法を詳しく解説していきます。

○独自の演算子の定義

VHDLでは、ユーザーが独自の演算子を定義することができます。

これにより、特定の計算を簡単に表現することができるようになります。

このコードでは、新しい加算演算子を定義して、2つの数値を加算するコードを表しています。

この例では、aとbの2つの数値を取り、それらを加算して結果を返す新しい演算子を定義しています。

-- 独自の加算演算子の定義
function "+" (a, b: integer) return integer is
begin
  return a + b;
end function "+";

上記のコードを実行すると、通常の加算演算子と同様に2つの数値を加算することができます。

ただし、このように独自の演算子を定義する際には、既存の演算子との競合を避けるための注意が必要です。

○ライブラリの使用

VHDLには、様々な機能を提供する外部ライブラリが存在します。

これらのライブラリを利用することで、独自の計算や高度な演算などを効率よく実行することが可能になります。

このコードでは、外部ライブラリを利用して、高度な算術演算を行うコードを紹介しています。

この例では、math_libというライブラリを使って、平方根の計算を行っています。

-- 外部ライブラリの使用
library math_lib;

use math_lib.sqrt;

signal a, b: real;

begin
  b <= sqrt(a);
end;

このコードの実行により、aの平方根がbに格納されます。外部ライブラリを使用する際には、そのライブラリが提供する機能やメソッドを正しく理解し、適切に利用することが重要です。

まとめ

VHDLの算術演算子は非常に強力であり、様々な計算や操作を簡単に行うことができます。

しかし、標準の機能だけでは不十分な場面もあります。

そこで、独自の演算子の定義や外部ライブラリの使用など、様々なカスタマイズ方法が提供されています。

これらの方法を適切に利用することで、より効率的で高度なデザインやシミュレーションを実現することができます。