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TypeScriptとngForの完全解説!初心者でも簡単に理解できる10のコード例

TypeScriptとngForの基本と応用を学べるイメージ TypeScript
この記事は約36分で読めます。

【サイト内のコードはご自由に個人利用・商用利用いただけます】

この記事では、プログラムの基礎知識を前提に話を進めています。

説明のためのコードや、サンプルコードもありますので、もちろん初心者でも理解できるように表現してあります。

本記事のサンプルコードを活用して機能追加、目的を達成できるように作ってありますので、是非ご活用ください。

※この記事は、一般的にプロフェッショナルの指標とされる『実務経験10,000時間以上』を満たす現役のプログラマチームによって監修されています。

※Japanシーモアは、常に解説内容のわかりやすさや記事の品質に注力しております。不具合、分かりにくい説明や不適切な表現、動かないコードなど気になることがございましたら、記事の品質向上の為にお問い合わせフォームにてご共有いただけますと幸いです。
(送信された情報は、プライバシーポリシーのもと、厳正に取扱い、処分させていただきます。)

はじめに

プログラミングの世界において、新しい技術やフレームワークを習得することは常に重要です。

この記事では、近年人気を集めるTypeScriptと、Angularのテンプレート構文「ngFor」の使い方とその詳細について完全に解説します。

初心者の方でも手軽に学ぶことができるよう、実践的なサンプルコードを10例交えて、詳細にわたり説明します。

この記事を通して、TypeScriptとngForの基本から応用までをしっかりと理解し、あなたのスキルセットに追加することができることを願っています。

TypeScriptやngForに関する知識がない方でも、この記事を読めば基本的な使い方から高度な使い方、さらには注意点やカスタマイズの方法までを理解することができるでしょう。

●TypeScriptとは

TypeScriptは、Microsoftが開発したJavaScriptのスーパーセットであり、大規模アプリケーションの開発を容易にするための静的型付けを持つプログラミング言語です。

JavaScriptと100%の互換性を持つ一方で、静的型検査やクラスベースのオブジェクト指向プログラミングなどの機能を追加しています。

○TypeScriptの基本的な特性

TypeScriptの開発において、基本的な特性の理解は不可欠です。

中でも静的型付けは、TypeScriptを特徴づける最も重要な要素の一つと言えるでしょう。

静的型付けにより、開発者はコードの品質を向上させ、より堅牢なアプリケーションを実現することができます。

この特性が提供するセキュリティと効率性を最大限に活用するためには、変数や関数の型を適切に定義することが求められます。

それによってエラーを早期に検出し、安定した動作を期待できるコードに仕上げることができるのです。

□静的型付け

TypeScriptは、変数や関数の引数、戻り値に対して型を指定できる静的型付けをサポートしています。

これにより、コードのエラーをコンパイル時に早期発見することができます。

このコードでは、string型の変数nameとnumber型の変数ageを定義しています。

この例では、型の違いによる代入エラーをコンパイル時にキャッチすることができます。

   let name: string = "Taro";
   let age: number = 25;
   // age = "25";  // この行はコンパイルエラーとなる

□クラスとインターフェース

JavaScriptのES6からクラスは導入されましたが、TypeScriptはこれを拡張してインターフェースやジェネリクスなどの機能を追加しています。

このコードでは、Personインターフェースと、それを実装するStudentクラスを定義しています。

この例では、インターフェースを使用してオブジェクトの構造を定義し、クラスでその構造に従った実装を行っています。

   interface Person {
       name: string;
       age: number;
   }

   class Student implements Person {
       name: string;
       age: number;
       constructor(name: string, age: number) {
           this.name = name;
           this.age = age;
       }
   }

□モジュールシステム

TypeScriptはES6のモジュールシステムをサポートしており、再利用可能なコードの組織化や名前空間の管理が容易になります。

□強力なツールセット

TypeScriptは、型情報を利用してリファクタリングやコードナビゲーション、コード補完などの強力な開発ツールを提供します。

○TypeScriptでの変数と型の定義

TypeScriptの中核となる特性の1つは、静的型付けです。

TypeScriptでの変数と型の基本的な定義方法を紹介します。

□基本的な型

TypeScriptには、number、string、booleanなどの基本的な型が存在します。

このコードでは、それぞれの型に適した変数を定義しています。

この例では、userNameに文字列、userAgeに数値、isActiveに真偽値をそれぞれ代入しています。

   let userName: string = "Hanako";
   let userAge: number = 30;
   let isActive: boolean = true;

□配列

型の後ろに[]をつけることで、その型の配列を表すことができます。

このコードでは、文字列の配列を定義しています。

この例では、colorsという変数に複数の色の文字列を代入しています。

   let colors: string[] = ["red", "green", "blue"];

□タプル

複数の型の組み合わせた固定長の配列を定義することができます。

このコードでは、文字列と数値のペアを表すタプルを定義しています。

この例では、userInfoにユーザーの名前と年齢をタプルとして代入しています。

   let userInfo: [string, number] = ["Yamada", 28];

●TypeScriptとngForの使い方

TypeScriptとngForの組み合わせは、プログラミングの世界で非常に重要な役割を果たしています。

特に、Angularを使用しての開発ではこの2つの要素は欠かせないものとなっております。

ここでは、TypeScriptとngForをどのように組み合わせて使用するのか、初心者の方でも理解しやすいように詳しく解説していきます。

○サンプルコード1:基本的なngForの使用方法

TypeScriptを用いて、オブジェクトや配列のデータを保持し、そのデータをAngularのngForディレクティブを使用して、HTML側に動的に表示するというのは非常に一般的なシナリオとなっています。

ここでは、次のようなシンプルなリストデータを表示する例を考えてみましょう。

// app.component.ts
import { Component } from '@angular/core';

@Component({
  selector: 'app-root',
  templateUrl: './app.component.html',
  styleUrls: ['./app.component.css']
})
export class AppComponent {
  items = ["りんご", "バナナ", "ぶどう"];
}

このコードでは、AppComponentクラスにitemsという配列を定義しています。

この配列には果物の名前が格納されています。

次に、HTML側でこのitemsを利用して、リストを動的に表示してみます。

<!-- app.component.html -->
<ul>
  <li *ngFor="let item of items">{{ item }}</li>
</ul>

このHTMLコードのポイントは*ngForディレクティブを使用している部分です。

これにより、items配列の各要素をitemという変数に一時的に格納しながら、リストアイテムを動的に生成しています。

このコードを実行すると、次のような出力が得られます。

ブラウザの画面には、

  • りんご
  • バナナ
  • ぶどう

という3つのリストが表示されるでしょう。

○サンプルコード2:ngForと条件文の併用

Angularの中でも非常に便利なディレクティブとしてngForがあります。

一方でTypeScriptは強力な型システムを持つJavaScriptのスーパーセットです。

この二つを組み合わせることで、効率的で読みやすいコードを実現することができます。

今回のサンプルコードでは、ngForとTypeScriptの条件文を併用して、特定の条件を満たす要素だけをリストとして表示する方法を紹介します。

// app.component.ts
import { Component } from '@angular/core';

@Component({
  selector: 'app-root',
  templateUrl: './app.component.html',
})
export class AppComponent {
  items = [
    { name: 'アイテム1', visible: true },
    { name: 'アイテム2', visible: false },
    { name: 'アイテム3', visible: true },
    { name: 'アイテム4', visible: true },
    { name: 'アイテム5', visible: false },
  ];
}

このコードでは、アイテムのリストを定義しています。

各アイテムはnamevisibleの2つのプロパティを持っています。

visibleがtrueの場合、そのアイテムを表示するようにします。

<!-- app.component.html -->
<ul>
  <li *ngFor="let item of items" *ngIf="item.visible">
    {{ item.name }}
  </li>
</ul>

HTMLの部分では、ngForを使ってアイテムのリストをループしています。

さらにngIfを併用することで、visibleプロパティがtrueのアイテムだけを表示しています。

これにより、visibleがfalseのアイテムはリストに表示されません。

このコードをブラウザで実行すると、次のような結果が得られます。

表示されるリストは、次のようになります。

  • アイテム1
  • アイテム3
  • アイテム4

上記の通り、visibleがtrueのアイテムのみが表示され、visibleがfalseのアイテム2とアイテム5は表示されません。

○サンプルコード3:ngForでのインデックスの利用

ngForディレクティブを使った際の、一般的なシナリオの1つとして、各項目のインデックスを取得する方法があります。

特に、リストやテーブルを表示する際に、行番号や順序を示すためにインデックスを使うことが多いです。

AngularのngForディレクティブでは、ループの各反復ごとに現在のインデックスを取得することができます。

この機能を利用することで、リストの項目に連番をつけたり、特定のインデックスの項目にスタイルを適用するなどのカスタマイズが可能になります。

ngForを用いて配列から項目をリスト表示し、その際にインデックスも表示するサンプルコードを紹介します。

import { Component } from '@angular/core';

@Component({
  selector: 'app-root',
  template: `
    <ul>
      <li *ngFor="let item of items; let i = index">
        {{ i + 1 }}. {{ item }}
      </li>
    </ul>
  `,
})
export class AppComponent {
  items: string[] = ['りんご', 'みかん', 'ぶどう', 'バナナ'];
}

このコードでは、Angularのコンポーネントを定義しています。

テンプレート内の<ul>要素内で、ngForディレクティブを使ってitems配列の各項目をリスト表示しています。

重要なポイントは、ngForディレクティブ内のlet i = index部分です。

この部分により、現在の反復のインデックスを取得して、iという変数に格納しています。

その後、{{ i + 1 }}の部分で、インデックスを1始まりの連番として表示しています。

このような書き方をすることで、次のような表示が得られます。

りんご、みかん、ぶどう、バナナという4つのフルーツがリストになり、それぞれの前に1.、2.、3.、4.という連番が付けられて表示されます。

このインデックスの取得方法は、さまざまな場面で利用可能です。

例えば、偶数行と奇数行で背景色を変えるといったスタイルのカスタマイズや、特定のインデックスの項目だけに特別な処理を適用する際などに活用できます。

○サンプルコード4:ngForを使った動的リスト表示

Angularのフロントエンド開発では、複数のデータを効率的に画面に表示するためのテクニックが求められます。

特に、リストやテーブルのような形で一連のデータをユーザーに提示する場面は頻繁にあります。

Angularでは、このような一連のデータの表示にはngForディレクティブを利用します。

ここでは、TypeScriptで定義した配列のデータを、ngForを用いて動的にリスト表示する方法について解説します。

まず、TypeScriptでデータを定義します。

今回は、商品の一覧を示すデータを想定し、次のようなインターフェースとサンプルデータを考えます。

// TypeScriptのコード部分

// 商品を表すインターフェース
interface Product {
  id: number;
  name: string;
  price: number;
}

// 商品データのサンプル
const PRODUCTS: Product[] = [
  { id: 1, name: 'りんご', price: 120 },
  { id: 2, name: 'バナナ', price: 200 },
  { id: 3, name: 'メロン', price: 500 }
];

このコードでは、商品を表すProductというインターフェースを定義しています。

この例では、商品にはidname(商品名)、price(価格)の3つの属性があります。

そして、PRODUCTSという配列にサンプルの商品データを定義しています。

次に、Angularのテンプレート部分で、このデータを動的にリスト表示する方法を見ていきましょう。

<!-- Angularのテンプレート部分 -->

<ul>
  <li *ngFor="let product of PRODUCTS">
    {{ product.id }}. {{ product.name }} - ¥{{ product.price }}
  </li>
</ul>

上記のテンプレートコードでは、*ngForディレクティブを使用して、PRODUCTS配列の各要素(商品データ)を<li>タグで動的に生成しています。

let product of PRODUCTSという部分で、配列の各要素を一時的な変数productに格納して、その後の部分でproductの属性を参照しています。

このテンプレートをブラウザで表示すると、次のようなリストが表示されます。

  1. りんご – ¥120
  2. バナナ – ¥200
  3. メロン – ¥500

このように、ngForディレクティブを使うことで、TypeScriptで定義した配列のデータを、効率的に画面に表示することができます。

●ngForの応用例

ngForはAngularの中で非常に使いやすく、多様な機能を持つディレクティブです。

基本的なリストの表示から、高度なフィルタリングや動的な表示まで、さまざまなシチュエーションでの活用が期待されます。

ここでは、ngForの応用例として、フィルタリング機能を持つリスト表示を取り上げます。

○サンプルコード5:フィルタリング機能を持つリスト表示

フィルタリング機能を持つリスト表示は、ユーザーが入力や選択をした結果として、特定の条件に一致するデータのみを表示することを意味します。

例えば、商品リストの中から特定のキーワードやカテゴリーに一致する商品のみを抽出して表示する場合などが考えられます。

このコードでは、Angularのフォーム機能とngForを組み合わせて、キーワードに基づいたフィルタリングを実現しています。

この例では、テキストボックスにキーワードを入力することで、そのキーワードを含む商品のみをリスト表示します。

// app.component.ts
import { Component } from '@angular/core';

@Component({
  selector: 'app-root',
  templateUrl: './app.component.html',
})
export class AppComponent {
  // サンプルの商品リスト
  products = [
    { id: 1, name: 'りんご', category: '果物' },
    { id: 2, name: 'キウイ', category: '果物' },
    { id: 3, name: 'トマト', category: '野菜' },
    { id: 4, name: 'ほうれん草', category: '野菜' },
  ];
  filterKeyword = ''; // フィルタリングのキーワード

  // キーワードを元にフィルタリングを実行するメソッド
  get filteredProducts() {
    return this.products.filter(product =>
      product.name.includes(this.filterKeyword)
    );
  }
}
<!-- app.component.html -->
<input type="text" [(ngModel)]="filterKeyword" placeholder="キーワードを入力">
<ul>
  <!-- フィルタリングされた商品リストを表示 -->
  <li *ngFor="let product of filteredProducts">
    {{ product.name }} (カテゴリー: {{ product.category }})
  </li>
</ul>

このコードでは、filteredProductsというgetterを利用して、入力されたキーワードに基づいて商品リストをフィルタリングしています。

○サンプルコード6:ngForとngIfの組み合わせ

Angularを使ったフロントエンド開発において、リストやテーブルなどの複数の要素を動的に表示するために「ngFor」ディレクティブが頻繁に使用されます。

また、「ngIf」ディレクティブを使用することで、特定の条件が満たされた場合のみ要素を表示する、という操作も行うことができます。

この2つのディレクティブを組み合わせることで、リスト内の特定のアイテムだけを条件付きで表示させるなどの操作が容易になります。

ここでは、ngForとngIfの組み合わせによるサンプルコードと、その詳細な解説を行います。

import { Component } from '@angular/core';

@Component({
  selector: 'app-root',
  template: `
    <ul>
      <li *ngFor="let item of items; let i=index" *ngIf="item.isActive">
        {{ i + 1 }}. {{ item.name }}
      </li>
    </ul>
  `
})
export class AppComponent {
  items = [
    { name: 'アイテム1', isActive: true },
    { name: 'アイテム2', isActive: false },
    { name: 'アイテム3', isActive: true },
    { name: 'アイテム4', isActive: false },
    { name: 'アイテム5', isActive: true }
  ];
}

このコードでは、itemsという配列の中の各オブジェクトに「name」と「isActive」という2つのプロパティがあります。

ngForディレクティブを用いて、itemsの中の各アイテムをリストとして表示しています。

この例では、isActiveがtrueのアイテムだけを表示しています。

ngIfディレクティブを使用して、isActiveがtrueであるアイテムだけをフィルタリングして表示させています。

このように、ngForとngIfを組み合わせることで、特定の条件を満たすアイテムだけをリストから選択して表示することが可能になります。

このサンプルコードを実際にAngularアプリケーションで実行すると、次のような結果が得られます。

アイテムのリストから、isActiveがtrueのものだけが選択され、次のように表示されます。

  1. アイテム1
  2. アイテム3
  3. アイテム5

上記のように、アイテム2とアイテム4はisActiveがfalseであるため表示されません。

また、リストの番号は実際の配列のインデックスに基づいています。

このような組み合わせを使用することで、ユーザーインターフェースのカスタマイズやデータの動的なフィルタリングなど、さまざまな応用が考えられます。

たとえば、ユーザーが入力したキーワードに基づいてリストアイテムをフィルタリングする機能など、実際のアプリケーションでの利用シーンは多岐にわたります。

○サンプルコード7:ngForでの配列操作

Angularを使用する際、ngForは非常に頻繁に使用されるディレクティブの一つです。

しかし、時々ngForだけでは求められる動作や表示を実現するのが難しい場面もあります。

そこで今回は、ngForを使用して配列を操作する方法に焦点を当てて解説していきます。

このコードでは、ngForを使用して配列からデータを取り出し、リスト形式で表示する基本的な操作を行います。

加えて、配列のデータを操作する具体的な方法も合わせて紹介します。

この例では、TypeScriptの配列メソッドを活用して、リストに変更を加える操作を試みています。

import { Component } from '@angular/core';

@Component({
  selector: 'app-array-operation',
  template: `
    <div *ngFor="let item of items">{{ item.name }}</div>
    <button (click)="addItem()">アイテム追加</button>
    <button (click)="removeItem()">アイテム削除</button>
  `,
})
export class ArrayOperationComponent {
  items = [
    { id: 1, name: 'アイテム1' },
    { id: 2, name: 'アイテム2' },
    { id: 3, name: 'アイテム3' },
  ];

  addItem() {
    const newItem = { id: this.items.length + 1, name: `アイテム${this.items.length + 1}` };
    this.items.push(newItem);
  }

  removeItem() {
    this.items.pop();
  }
}

このコードでは、アイテムの配列を表示すると同時に、アイテムを追加・削除するボタンを提供しています。

ボタンがクリックされた時、それぞれaddItemメソッドとremoveItemメソッドが呼び出され、配列のデータが動的に変更されます。

  • items:これは表示するアイテムのリストを保持している配列です。初期状態で3つのアイテムを持っています。
  • *ngFor="let item of items":ngForディレクティブを使用して、items配列内の各アイテムをループ処理して表示しています。
  • (click)="addItem()"および(click)="removeItem()":これらの属性は、それぞれのボタンがクリックされたときに、指定されたメソッドを実行するためのイベントバインディングです。

コードが動作すると、最初に3つのアイテムがリスト表示されます。

追加ボタンをクリックすると、新しいアイテムが配列の最後に追加され、リストに反映されます。

削除ボタンをクリックすると、配列の最後のアイテムが削除され、リストからも消えます。

TypeScriptとngForの完全解説:初心者でも簡単に理解できる10のコード例

Angularの中心的なテンプレート構文であるngForを活用して、リアルタイムで変動するデータを簡単に表示できるテーブルを作成する方法をご紹介します。このセクションでは、TypeScriptとngForを使ったテーブル表示のサンプルコードを詳細に解説していきます。

○サンプルコード8:ngForを用いたテーブル表示

TypeScriptを使用して、AngularのngForディレクティブを利用したデータのテーブル表示方法について解説します。

まず、TypeScript側でテーブルに表示したいデータを準備します。

商品のリストを表すインターフェースとそのデータ例を紹介します。

// 商品情報のインターフェース定義
interface Product {
  id: number;
  name: string;
  price: number;
}

// 商品情報のデーアレイ
const products: Product[] = [
  { id: 1, name: '商品A', price: 1000 },
  { id: 2, name: '商品B', price: 1500 },
  { id: 3, name: '商品C', price: 2000 },
];

このコードでは、Productというインターフェースを定義して、それを元にしたproductsというデータアレイを作成しています。

この例では、id, name, priceの3つのプロパティを持つオブジェクトの配列を準備しています。

次に、AngularのテンプレートでngForを使用して、上記のデータをテーブル形式で表示する方法を見てみましょう。

<table border="1">
  <thead>
    <tr>
      <th>ID</th>
      <th>商品名</th>
      <th>価格</th>
    </tr>
  </thead>
  <tbody>
    <tr *ngFor="let product of products">
      <td>{{ product.id }}</td>
      <td>{{ product.name }}</td>
      <td>{{ product.price }}</td>
    </tr>
  </tbody>
</table>

このコードでは、ngForディレクティブを用いて、products配列の各要素(商品情報)をテーブルの行として表示しています。

具体的には、*ngFor="let product of products"という部分でproducts配列をループ処理し、その中の各productを取り出してテーブルの行として描画しています。

実際に上記のテンプレートをブラウザで表示すると、3行のテーブルが表示されます。

それぞれの行には、商品のID、商品名、価格が表示されているはずです。

ngForディレクティブを使用する際、特に注意すべきポイントや応用的な利用方法についていくつか紹介します。

ngForはAngularが提供するディレクティブの一つで、データの変動に伴い、自動的にビューが更新される特徴を持っています。

例えば、products配列に新しい商品情報を追加すると、その情報も自動的にテーブルに追加されます。

products.push({ id: 4, name: '商品D', price: 2500 });

上記のようにproducts配列に新たな商品情報をpushすると、テーブルには新しい行が追加され、商品Dの情報が表示されるようになります。

さらに、ngForディレクティブを使って、独自の条件を持つデータのフィルタリングやソートなど、さまざまなカスタマイズも可能です。

例えば、価格が2000円以上の商品だけを表示する場合、次のようにテンプレート内で条件を指定できます。

<tr *ngFor="let product of products; let i = index" [ngIf]="product.price >= 2000">
  ...
</tr>

このように、ngForと他のディレクティブや条件式を組み合わせることで、さまざまなカスタマイズが行えます。

○サンプルコード9:ngForとカスタムディレクティブの組み合わせ

Angularは、Webアプリケーションの開発を助けるためのフレームワークです。

このフレームワーク内で提供されているngForは、リストや配列のデータを効率的に表示するためのテンプレート構文です。

一方、カスタムディレクティブは、特定の動作や機能を持った独自のディレクティブを定義することができる機能です。

ここでは、ngForとカスタムディレクティブを組み合わせる方法を、詳細なサンプルコードを交えて解説します。

特に、リスト表示にカスタムのスタイルや動作を加える場面で、この組み合わせが非常に役立ちます。

まず、次のコードは、ngForを使用して配列のデータをリスト表示し、カスタムディレクティブを使用してリストのアイテムに特定の背景色を設定する例です。

// app.module.ts
import { BrowserModule } from '@angular/platform-browser';
import { NgModule } from '@angular/core';
import { AppComponent } from './app.component';
import { HighlightDirective } from './highlight.directive';

@NgModule({
  declarations: [
    AppComponent,
    HighlightDirective
  ],
  imports: [
    BrowserModule
  ],
  bootstrap: [AppComponent]
})
export class AppModule { }

// highlight.directive.ts
import { Directive, ElementRef, Renderer2 } from '@angular/core';

@Directive({
  selector: '[appHighlight]'
})
export class HighlightDirective {
  constructor(private el: ElementRef, private renderer: Renderer2) {
    this.renderer.setStyle(this.el.nativeElement, 'backgroundColor', 'yellow');
  }
}

// app.component.ts
import { Component } from '@angular/core';

@Component({
  selector: 'app-root',
  template: `
    <ul>
      <li *ngFor="let item of items" appHighlight>{{ item }}</li>
    </ul>
  `
})
export class AppComponent {
  items = ['アイテム1', 'アイテム2', 'アイテム3'];
}

このコードでは、highlight.directive.tsにカスタムディレクティブappHighlightを定義しています。

このディレクティブは、要素に適用されるとその背景色を黄色に設定します。

app.component.tsでは、ngForを使ってitems配列の各アイテムをリスト表示しています。

この際、各アイテムにappHighlightディレクティブを適用することで、アイテムが黄色の背景で表示されるようになります。

このサンプルコードの実行を行うと、リスト内の各アイテムが黄色の背景色で表示されることを確認できます。

これにより、AngularのngForとカスタムディレクティブを組み合わせることで、リスト表示にカスタムのスタイルや動作を追加することが簡単にできることが分かります。

もちろん、カスタムディレクティブは背景色を変更するだけではありません。

例えば、マウスオーバー時にアイテムの文字色を変更する、特定のアイテムだけスタイルを変更するなど、さまざまな応用が考えられます。

その際の詳細なサンプルコードとして、マウスオーバー時に文字色を変更するカスタムディレクティブの例を紹介します。

// hover.directive.ts
import { Directive, ElementRef, Renderer2, HostListener } from '@angular/core';

@Directive({
  selector: '[appHover]'
})
export class HoverDirective {
  constructor(private el: ElementRef, private renderer: Renderer2) {}

  @HostListener('mouseover') onMouseOver() {
    this.renderer.setStyle(this.el.nativeElement, 'color', 'red');
  }

  @HostListener('mouseout') onMouseOut() {
    this.renderer.setStyle(this.el.nativeElement, 'color', 'black');
  }
}

このカスタムディレクティブをngForで表示されるリストに適用すると、マウスオーバー時にそのアイテムの文字色が赤くなり、マウスアウト時には黒に戻るという動作を実現できます。

このように、カスタムディレクティブを活用することで、リスト表示にさまざまなカスタム動作やスタイルを追加することができます。

○サンプルコード10:ngForとイベントバインディングの併用

Angularでのアプリケーション開発において、リスト表示やループ処理を実現するngForと、ユーザーからのインタラクションを捉えるイベントバインディングは頻繁に併用されます。

特に、リスト内の各アイテムに対して何らかのアクションを設定したい場合、この組み合わせは非常に便利です。

下記のコードは、TypeScriptとngForを利用して、リスト内の各アイテムにクリックイベントを設定した例です。

// app.component.ts
import { Component } from '@angular/core';

@Component({
  selector: 'app-root',
  templateUrl: './app.component.html',
  styleUrls: ['./app.component.css']
})
export class AppComponent {
  items = ["アイテム1", "アイテム2", "アイテム3"];

  onItemClick(item: string) {
    alert(`${item}がクリックされました。`);
  }
}
<!-- app.component.html -->
<ul>
  <li *ngFor="let item of items" (click)="onItemClick(item)">{{item}}</li>
</ul>

このコードでは、AppComponent内にitemsという文字列の配列が定義されています。

app.component.html内では、ngForを使ってこのitemsの各要素をリストアイテムとして表示しています。

さらに、ngForと併用してイベントバインディング(click)を設定し、リストアイテムがクリックされた際にonItemClickメソッドが呼び出されるようにしています。

コードは次のように実行されます。

  1. itemsの配列定義:TypeScriptで文字列の配列itemsを定義しています。この配列には3つの文字列のアイテムが格納されています。
  2. onItemClickメソッド:クリックされたアイテムの情報を受け取り、それをアラートで表示するメソッドです。この関数は、HTML側でクリックイベントが発生した時に呼び出されます。
  3. ngForの使用:HTMLの<ul>タグ内で*ngForディレクティブを用いて、itemsの各アイテムをリスト表示しています。
  4. イベントバインディング:各リストアイテムに(click)イベントバインディングを設定しています。これにより、リストアイテムがクリックされるとonItemClickメソッドが実行されます。

このようなコードを実行すると、ブラウザ上に”アイテム1″, “アイテム2”, “アイテム3″という3つのリストアイテムが表示されます。

そして、これらのアイテムのいずれかをクリックすると、該当するアイテム名を含むアラートが表示されることとなります。

例えば、”アイテム2″をクリックすると「アイテム2がクリックされました。」というアラートメッセージが表示されるのです。

●注意点と対処法

Angularでのリスト表示やループ処理において、ngForは非常に有用なディレクティブです。

一方で、TypeScriptは静的型チェック機能を持つため、コードの品質向上に貢献します。

しかし、これらを使用する際にはいくつかの注意点が存在します。

それでは、それらの注意点と、それに対する対処法について詳しく解説します。

○ngForのパフォーマンス問題とその対処法

ngForを使って大量のデータをループ表示する場合、アプリケーションのパフォーマンスが低下することがあります。

特に、データの更新が頻繁に行われる場合には、この問題が顕著になることがあります。

対処法としては、AngularのChangeDetectionStrategyを利用する方法が考えられます。

ChangeDetectionStrategyをOnPushに設定することで、コンポーネントの変更検出が効率的に行われ、パフォーマンスの向上が期待できます。

下記のサンプルコードでは、ChangeDetectionStrategyの設定方法を表しています。

import { Component, ChangeDetectionStrategy } from '@angular/core';

@Component({
  selector: 'app-list',
  template: `
    <div *ngFor="let item of items">{{ item.name }}</div>
  `,
  changeDetection: ChangeDetectionStrategy.OnPush
})
export class ListComponent {
  items = [...]; // データの配列
}

このコードでは、AngularのChangeDetectionStrategyをOnPushに設定しています。

これにより、データの更新が行われた場合のみ、変更検出が行われるようになります。

○TypeScriptでの型の取り扱いに関する注意点

TypeScriptを使用すると、変数や関数の戻り値に型を指定できます。

しかし、型の指定が不正確であったり、型の取り扱いが不適切であると、実行時に予期しないエラーが発生する可能性があります。

例として、下記のサンプルコードを考えてみましょう。

let items: string[] = ['a', 'b', 'c'];
items = [1, 2, 3];

このコードでは、items変数は文字列の配列として定義されていますが、数値の配列を代入しようとしています。

このような場合、TypeScriptのコンパイル時にエラーが発生します。

対処法として、型の指定を正確に行い、また不要な型キャストを避けるようにしましょう。

特に、any型を過度に使用すると、型の恩恵を受けることができませんので、使用を控えることが推奨されます。

また、TypeScriptのstrictモードを有効にすることで、より厳密な型チェックが行われ、予期しないエラーを早期に発見することができます。

設定方法は次の通りです。

{
  "compilerOptions": {
    "strict": true
  }
}

この設定をtsconfig.jsonファイルに追加することで、strictモードを有効にできます。

●カスタマイズ方法

AngularのngForディレクティブやTypeScriptは非常に強力なツールですが、プロジェクトの要件に応じてカスタマイズすることが求められることもあります。

ここでは、ngForのカスタムディレクティブの作成方法やTypeScriptのカスタム型の作成と利用方法を詳細に解説します。

○ngForのカスタムディレクティブの作成方法

Angularには、ngForをカスタマイズするための方法としてカスタムディレクティブを作成する機能が提供されています。

このカスタムディレクティブは、標準のngForの振る舞いを拡張したり、特定の条件下で異なる動作をさせることができます。

このコードでは、特定の条件下でリストアイテムを隠すカスタムディレクティブを作成しています。

この例では、appHideIfというディレクティブを作成して、真偽値を受け取り、真の場合に要素を非表示にします。

import { Directive, Input, TemplateRef, ViewContainerRef } from '@angular/core';

@Directive({
  selector: '[appHideIf]'
})
export class HideIfDirective {
  @Input() set appHideIf(condition: boolean) {
    if (condition) {
      this.viewContainer.clear();
    } else {
      this.viewContainer.createEmbeddedView(this.templateRef);
    }
  }

  constructor(private templateRef: TemplateRef<any>, private viewContainer: ViewContainerRef) {}
}

上記のディレクティブを利用すると、次のようにテンプレートで使用できます。

<div *ngFor="let item of items">
  <div *appHideIf="item.isHidden">{{ item.name }}</div>
</div>

この例では、isHiddenプロパティが真の場合、そのリストアイテムは非表示になります。

○TypeScriptのカスタム型の作成と利用方法

TypeScriptは静的型付け言語であるため、変数や関数の引数、返り値に型を指定することができます。

しかし、プロジェクトの要件に応じて標準の型だけでは不十分な場合、カスタム型を作成することでより柔軟な型の定義が可能です。

このコードでは、商品の情報を持つオブジェクトのカスタム型を定義しています。

この例では、Productという型を作成し、商品の名前、価格、在庫の有無をプロパティとして持っています。

type Product = {
  name: string;
  price: number;
  inStock: boolean;
};

let item: Product = {
  name: "スマートフォン",
  price: 50000,
  inStock: true
};

このように、TypeScriptのカスタム型を利用することで、コードの可読性や保守性を向上させることができます。

カスタマイズの方法は、プロジェクトの要件や目的に応じてさまざまです。

これらの方法を組み合わせることで、より柔軟なコードの実装が可能になります。

まとめ

今回の記事では、TypeScriptとngForの基本から応用までを深く探求しました。

TypeScriptはJavaScriptのスーパーセットとして、型安全性を提供する一方、ngForはAngularのテンプレート構文の一部として、リストや配列のデータを繰り返し表示するための強力なツールです。

この情報をもとに、AngularとTypeScriptの組み合わせでの開発がスムーズに進むことを願っています。

プログラミングは絶えず学び続けるものです。今回学んだ知識を基に、さらに深く探求してみてください。